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第十話【対面座位】-私はもう、これ以上我慢できない

――シャキン。
無言の室内で包帯をハサミで切る音がした。彼女は丁寧に切り取ったサージカルテープで包帯を留めた。

「はい、これで大丈夫」
「助かるよ……やっぱ上手だな」
「ふふ、これでも医学部だからねー、これくらいは出来るよ」

セナは先程とは打って変わったような朗らかな顔で笑った。俺の手首は湿布と包帯でしっかりと固定されていた。さすがに医学生というべきか、人差し指が動かないように縛ってあるにもかかわらず、圧迫するような痛みが全くない。

「人差し指と手首の捻挫だね。全治二週間くらいかなー、吐き気がするとか、熱っぽいとかそういうのはない?」
「いや、大丈夫。手首が痛いだけだから」
「ほんとに? タケルくん、すぐ強がるからなぁ」

セナはジト目で俺を睨む。彼女のキレイな大粒の瞳に見据えられ、俺は咄嗟に目をそらす。

「ほ、ホントだって」
「ならいいけど。私が診た感じ骨には異常無いし、固定しておけば腫れも引くと思うから」
「あぁ、ありがとう」
「これくらいなら安静にしてれば自然に治るよ。でも右手は固定ね。私が毎日換えてあげるから自分で勝手に包帯外しちゃだめだからね」

彼女の提案がありがたかった。何から何まで世話になりっぱなしで本当に頭が上がらない。

「そうだな。おとなしくしているよ」
「よろしい……でも、右手が使えないと大変だね」

セナは愛らしい美貌を歪めて怪しく微笑んだ。俺は知っている。彼女がこういう顔をするときは間違いなく何かを企んでいるときだ。

「ま、まぁ、なんとかなるよ」
「まぁた、そんなこと言って……知ってるよ?」

彼女はセミロングの髪をかきあげた。ふんわりとした甘い香りを漂わせながら、俺の股間に手を伸ばす。ゆっくりといたわるようにさすった。セナのしなやかな指先がふにふにと下着越しのペニスに触れていく。

「し、知ってるって……何を?」
「ふふ、右手が使えない生活って結構不便なんだよ? 御飯食べるのも、お手洗い行くのも、お風呂入るのも、そしてもちろん……」

彼女は俺の耳元にふうと熱い吐息を吹きかけた。ピリピリとした性感の波が体に走り、俺は思わず身をよじらせる。咄嗟に視線をずらすと浴衣のスキマからセナの胸の谷間が見えた。ブラジャーをしていないにもかかわらず、はっきりとわかるほどの大きさだった。

「あぅ♡」
「えっちなことだって一人で出来ないよ? これはもう、私がお手伝いするしかないよね」
「せ、せな、触り方やらしい……」
「それはそうだよ。ちゃんとエッチに触ってるんだから、タケルくんの感じるところを狙って撫でているの、わかるでしょう?」

セナは手のひらで俺の太ももに触れて撫で回す。柔らかな刺激と共にじんわりとした温もりが広がっていく。

「あぁっ、んっ、んぅん……」
「ほら、すぐ感じちゃう。かわいい……私、どこ触ったらタケルくんが感じてくれるか覚えちゃった」

彼女はフェザータッチで愛撫を続ける。胸、腹部、ふともも、足先と俺の感覚をしびれさせるようにゆっくりと全身の性感帯に触れていく。俺はたまらず声を漏らした。

「あぁ……はぁっ、う♡」
「タケルくん、おっぱいも感じるんだよね? ほら乳首、指先でいじるとコリコリしてるのわかるよ?」
「あぁ……ふっうっ♡」
「あは、いい反応……いっぱいいじっちゃお」

彼女の指先が俺の乳首に触れる。乳輪に沿って指を這わせたり、指先で乳首を弾かれたり、軽くつねられたりするたびに俺の全身にかすかな電流が走っていく。

「ふふ、チクビ、おっきくなってるね。舐めてあげる。んちゅ、ちゅっ、ちゅぅ♡」
「ううぅ……ふっ♡ はぁっ、あっ♡」
「れろ……んふふ、顔、真っ赤にしちゃって、かわいいなぁ……」

セナは俺の胸から口を離し、ちらりと時計を一瞥すると、自らの浴衣の前をはだけた。適度な長さに手入れされた陰毛があらわになる。

「じゃあ、ご飯まで時間あるし……さっきの続き、しようか?」

彼女は下半身を見せつけるようにして俺の眼前で露出した。彼女の股間は湯上がり特有の火照りが混ざり、見るからに熱を持っていた。瑞々しい内ももには透明な液体が伝っている。それが汗や水でないことはこれまでの経験から明らかだった。

(下着、履いてないのか……)
「ふふ、タケルくんのいじってたら私のもこんなになっちゃった、ねぇ、わかるでしょう? 奥からね、お汁出てきて止まらないの♡」

セナは行儀悪く机の上に座ると、俺に見せつけるようにして大きくM字型に足を開いた。彼女の股間があらわになり俺の目線はたまらず釘付けになる。セナの陰部は俺が見てもわかるほど濡れており、何かを求めるように鼓動していた。

(すごい、セナのまんこ、ピンクでヒクヒク動いてる……それにめちゃくちゃ濡れてるっ)
「ふふ、タケルくん、目が血走ってるよ、おまんこじーっと見て、いやらしい」

セナは割れ目に指先を合わせるようにして、ゆっくりと陰部を開いて見せた。サーモンピンクの内部が蠢き、じゅくじゅくと透明な愛液を吐き出している。

「ほら、タケルくんと一緒にお風呂入っててこんなに濡れちゃった。 ねぇ、見える? 私のお・ま・ん・こ♡」
「あぁ、その、すごく、興奮する」
「ふふ、もっと見て良いんだよ? あは、タケルくんのおちんちん、すぐおっきくなっちゃうね。嬉しいな、今からココに挿れちゃうんだよ」

彼女は自らの指を秘部にあてがった。ゆっくりと擦りつけるようにして、白くしなやかな指を動かす。

「あっ……あん♡ おまんこ、ううぅぁあっ、こすると気持ちいい♡ ずっと我慢してたからぁ……ふう、指で触るだけですっごく感じるの♡」

セナが指を動かすたびにぴちゃぴちゃと小さな水音がした。卑猥すぎる動作に俺は視線をそらすことが出来ない。彼女は俺の視線を確認するかのように、陰部の上部にある突起状の物体を指で示す。

「ほら、タケルくん、見て……ここ、クリトリスって言うんだよ、っふう♡ この突起したトコロ、えっちでしょう? ふふ、ものすごく神経が集中してるからぁ♡……おっきくなってるときは、ゆっくりね、触れないと、あぁん、しびれちゃうのぉ♡」
(あの小さな突起がクリトリス……真っ赤でぷっくりしてて、エッチだ)

セナは指先でじんわりと、しかし確実に自らが感じるであろうポイントを愛撫していく。初めは撫でるようだった先端が、次第に膣穴の奥へと卑猥な水音を立てながら進んでいく。まるで腟口が捕食するかのように少しずつ彼女の指を飲み込んでいた。

「どう? タケルくんは、あっ♡ 私のオナニー見て、興奮する? おちんちん、おっきくなっちゃう? いいんだよ? 目に焼き付くくらいしっかり見て、私のおまんこ、ふふ、この角度だとお尻の穴も見えちゃうかな? いいよ♡ どっちも覚えて……今度一人でするときに思い出して、タケルくんのオカズにしていいよ♡」

セナは言葉通り俺に見せびらかすようにして開脚している。秘所とアナルが同時に見えていた。彼女が股間をいじるたびに、ぐちゅぐちゅと大きな水音が立ち、陰部はおろか尻穴までも濡らしていく。

彼女の周囲には普段の甘い香りに混ざって、次第に淫猥な匂いが広がっていく。男を誘惑するように独特の芳香を強めていく様はさながら食虫植物だ。時折、ヒクヒクと動くキレイな肛門も更にその印象を強める要因となっていた。

俺は目の前で繰り広げられる彼女の痴態に我慢が出来なくなった。たまらず包帯をしているのも忘れて、右手で触れそうになる。するとセナは俺の動作を静止するようにして足先でペニスをつついた。

「ダメだよ、今は私のオナニーしてる姿を見て、おちんちんを限界まで勃起させるの♡」

俺は彼女にペニスを足蹴にされているという屈辱的な状況にもかかわらず、陰茎に熱が通っていくのがわかった。

「も、もう勃ってるから……」

俺のペニスは下着の中ででおかしくなりそうなほど張り詰めていた。驚くほどに怒張し、先端が濡れているのが触れなくてもわかる。俺はそのことを示すように腰を上げて存在を主張した。

セナは俺の動作を意に介さず、なおも俺のペニスを足の裏でさすり続ける。感じながらも力加減は間違えないようで、もどかしい刺激だけが伝わっていく。

「ふふ、そうだね。おっきくなってるね……でも、まだまだ、だよ? だってタケルくんはまだ我慢したいんだもんね?」

俺のペニスはとっくに限界を超えている。これ以上我慢したら下着の中で射精しても不思議ではないほどだ。
セナは俺の気持ちを知ってか知らずか、股間に張ったテントを見て、ニヤリといやらしい笑みを浮かべる。肉食獣のような獰猛な笑顔は俺の心に恐怖心を煽ると同時に魅力的に映った。

「タケルくんは知ってるよねぇ? どう言えば私が喜ぶか、どうお願いすればしてもらえるか。でも言わないってことは、まだまだ我慢したいってことだよね?」

セナはオナニーをやめると、俺を挑発するようにして再び陰部を開いた。奥のほうが動いているのが見える。深部からとろりと密度の高い愛液が垂れた。

「わかるでしょう? 私のおまんこ、疼いているの。“おちんちんほしいよぉ”って言いながら、とくんとくんっていやらしいお汁を吐き出してるの」
「あぁ……俺も、挿れたい、セナと……」
「私と? ほら、言ってみて。大きな声で」
「せ、セナとセックスしたい!」

俺の主張にセナは不満そうに唇を尖らせた。大きな瞳を細めて再び問いかける。

「違うよねぇ? 私はタケルくんの何だった?」
「ま、ママ……」
「そうだよー、じゃあもう一回♪」

彼女は自らの股間を弄りながら問いかける。彼女も感じているようで、額には珠のような汗が浮かび、頬は紅潮を見せていた。太ももを中心に下半身はビクビクと軽く痙攣している。

「ママとセックスしたい! えっちしたい!」
「んー、えっちって、何かな?」

セナはニヤニヤと意地悪く問いかける。

「ママの、ママのおまんこに、ちんちん挿れたい、挿れて射精したい! 射精させてくださいぃ! お願いしますぅ!」
「はぁい、よく言えました。えらいでちゅねー♡」

セナは俺の必死の懇願に満足そうに微笑むと、開脚をやめて前かがみになった。浴衣のスキマからぷるんと大ぶりの乳房が顔を覗かせた。肉色の乳首はピンと卑猥に勃起している。

(チクビもあんなにおっきく……)

彼女は気にした様子もなく手を伸ばし、手慣れた様子で俺の下着を脱がす。おろすと同時にぶるんと飛び出すようにしてペニスが露出する。

「ふふ、タケルくんのおちんちん、勃起してもピンク色でかわいいね。魚肉ソーセージみたい♡」

彼女の言うように俺のペニスは先走りと混ざり、卑猥な桃色に輝いていた。セナは机に置いたポーチからゴムを取り出して手早く俺に装着した。ピッタリとしたゴムの感触は未だに慣れない。

セナは俺の首に両腕を回して唇を重ねた。口先で三回、軽く触れたあと、強く舌唇を甘噛するようにキスをする。卑猥な口づけを交わしてから、互いに見つめ合ったまま唇を離した。

「じっとしててね……」

彼女は俺に向き合ったまま、ペニスを固定すると自然な動作で腰をおろした。彼女の膣内に俺のペニスが飲み込まれていくのがわかる。俺の陰茎が潤沢に濡れた柔肉に包まれていく。

(食べられてる。俺のちんぽが、セナに、ママに、食べられていく……)
「あん、タケルくんのおちんちん……私のおまんこにぴったりのおちんちん。ふふ、大きすぎず、小さすぎず、まさに私専用のおちんちんだね」
「おれもぉ……好きぃ……ママのおまんこに挿れるの……気持ちいい」

彼女はぴったりと膣内にペニスが飲み込まれるのを確認してから腰を上下に振り始めた。ぱちん、ぱちんと濡れた股間同士が激しく叩きつけられる。

「ぁん♡ ふふ、私のお腹の中でおちんちん、暴れてる。“ママ大好き”って言ってるみたい」
「はぁっあ、いいよぉ、うあぁ……ママのおまんこ、気持ちいい。はぁっう、あったかくてじゅくじゅくで……全部、包まれてるのわかるぅ♡」

彼女の腰が上下するたびに生暖かい膣壁でペニスがこすられる。一擦りごとに絶頂してしまいそうな快感があった。

「ママっ……ふっああっ♡」
「ああっ、いい、もっともっとママって呼んで。私、タケルくんにママって呼ばれるとすっごくお腹の奥、子宮のところがきゅん♡ってなるの、気持ちいい」
「ママぁっ! ううっ♡ ママっ♡ ううぅう……もっと、もっとしてぇ♡」
「そうそう、その調子。おちんちんガンバっておっきくしてるの、わかるよ」

セナは自らの腰を押し付けるようにして、前後の動作を織り交ぜる。動物的なしなやかな腰使いだ。

「ううっ! くっあ♡ ママ……うっダメっ♡ ……ふっくっ、そんなに激しくしたら……ううぅ、射精しちゃうぅ♡」
「ふふ、ガンバって。お腹にしっかり力入れて……そうそう、そうやって我慢してから出したほうが……すっごく気持ちいいよ♡」

セナは激しく腰を振りながら俺に抱きついた。大きな胸や勃起した乳首が俺の体に触れる。俺もたまらず彼女の身体を抱きしめた。腕の中に人の体温特有の暖かさとふんわりとした柔らかさが伝わる。

「あぁぐっ、ああっふっ♡ ママのカラダ、すごいよぉ♡ はぁふっ、おっぱいも、おしりも、はぁああっ♡ おまんこも柔らかくて気持ちいよぉ♡」
「ママもタケルくんのおちんちん好きだよ、んっあふわっ♡ 熱くて固くて、ふふ、このおちんちんはセナちゃんママ専用のおちんちんなの♡ 誰にも渡さない」

あまりにも情熱的な動作に俺は自身の腰が震えだすのを感じていた。睾丸の奥からマグマのような熱気が吹き上げてくるのを感じる。陰茎がひときわ大きく、そして固くなる。セナの膣も同様で本能的にペニスから精子を絞り出そうとしているのか、一段と強く締め付ける。限界が近づいているのがわかった。

「ああっ、ママっ♡ ダメっ、あぁぐっ、これ以上すると……出ちゃう、射精しちゃうぅう♡」
「んっ、いいよ。射精してぇ、ママのおまんこでいっぱい感じて♡ 熱いザーメン吐き出してぇ♡」
「あっ、あぁ、無理ぃ♡……射精するぅ!!」

俺は射精した。下半身が激しく痙攣していた。セナの膣に強く締め上げられる。まるで魂を絞り出すかのようにどくどくと熱いものが流れ出していく感覚だけがあった。吐き出された精液によってゴムの先端がふくらんでいるのがわかった。

「……くっあ、ママの膣内
なか
、あったかい……はぁっ」
「あは、出てるのわかるぅ……ふふ、ゴム越しでもわかっちゃうんだね、あったかいのあたって……ふふ、おなかが喜んでる♡」

セナは俺とつながったまま濃密に唇を求めた。舌を絡めながら何度も唾液をやり取りする。

「あむっ♡ んふ……ぷはぁ……♡ ふふ、気持ちよかったね」

彼女が唇を離すと、テロンとした粘質性の唾液が二人の間のこぼれ落ちた。俺は何も考えられず、余韻に浸りながら、ただただ快感混じりの呼吸を繰り返すばかりだった。強すぎる刺激に目の前がチカチカしていた。

「ん、あぁ……すごかった」
「ふふ、私もしてるうちにイッちゃった……タケルくんを支配するの、ホント楽しい♪」

俺達は呼吸を整えながら身体を重ねていた。しばらくしてセナの膣から勃起の収まったペニスが抜けると、どちらともなく自然に離れた。

「なぁ、セナ……」
「なぁに?」

セナは言葉を返しながら俺のペニスからゴムを外した。パチンと音がした。

「変なことを聞くんだが、セナにとって俺って……“彼氏”なのか?」
「んー……」

俺の問いかけにセナは少し複雑そうな顔をした。前々から疑問に思っていた。セナの俺に対する扱いはなんというかつかめない。大切にしてくれているのはわかるが、時折幼児語を混ぜたり、ママと呼ばせたりとどうにも俺の考えている男女の関係と彼女が求めている関係にズレのようなものを感じていた。

「ちょっと違うかもって最近は思ってきた」
「違う?」
「うん、なんていうか、私にとってタケルくんは……んー」

彼女にしては珍しく歯切れが悪い返事だった。セナはしばらく思案してから口を開いた。

「息子、かな?」
「え……」
「もちろん、私が産んだって意味じゃなくて、なんだろう、タケルくんって私が考える理想の息子って感じなんだよね」
「そんな風に思っていたのか……」

あまりにも意外すぎる返答に俺は言葉を失った。不快ではないが、年下の女の子からそういう認識にされているのは不思議に思えた。

「うん、なんかタケルくんってかっこいいって言うより可愛いし、守って欲しいというより守ってあげたいというか……逆に私ってどうなの?」
「俺は……」
「私が思うにさ……タケルくんから見た私って“えっちの出来るお母さん”みたいな認識じゃない?」

セナの指摘に俺の胸がドキリ、と鼓動した。彼女の一言は俺にとって認識したくない部分だった。

「……ごめん」

俺は胸の奥に痛さを感じ、頭を下げた。最初は無意識だった。セナに甘えたい、という気持ちが俺の中で湧いていた。そして、気づけば彼女に母性を求めていた。

「謝らなくていいよ。私はそのほうが嬉しいかな」
「え?」

恋人、しかも年下に母性を求める男なんて気持ち悪いんじゃないだろうか。少なくとも俺が知る普通の男女関係ではない。

「実のお母さんとはエッチできない、エッチの出来る女の子はお母さんにはなれない。でも、私なら両方の条件を満たせるから、タケルくんにとって私は無くてはならない存在ってことになるよね?」
「……そうだな、俺にとってセナは無くてはならない存在だ。その気持ちだけは本当だ」

例え歪だったとしても、俺なりに彼女を思っているし、セナもまた俺のことを気遣ってくれていることがよくわかっていた。

「だったらさぁ、私達、いっそ親子みたいになっちゃおうか? 恋人でも夫婦でもない、それ以上の関係」
「それはどういう……?」
「ふふ、言葉どおりの意味。タケルくんは私のことをママと思って暮らすの、私はタケルくんのことを自分の子供みたいに可愛がっちゃう、ある意味疑似家族、みたいな?」

セナの提案に俺は言葉をつまらせた。彼女は俺に子供であることを望み、俺もまた彼女に母性を求めている。だから擬似的に親子としての関係を築いても心情的には何の問題もない。

しかし、その一線は越えてしまえばもう二度と健全な男女関係とは言えなくなる。一方で彼女も俺も望んでいるのならば、越えたところで何の問題でも無いのではないかという思いが芽生えてくる。

「……セナは、それでいいのか?」
「いいよ。素直になろう? 私はもう、これ以上我慢できない」

セナは俺の頬に優しく口付けをした。右に一度、左にもう一度。触れるような甘い口づけがじんわりと俺の心を溶かしていく。

「ふふ……とはいっても最初は恥ずかしいよね。私もちょっと恥ずかしい、だから……しばらくはごっこ遊びと思えばいいよ」
「ごっこ、遊び?」
「そう、タケルくんはマザコンの息子役、私はそんなあなたの可愛くてエッチなお母さん役。タケルくんは男の子だからおままごとってあんまりしたことない? これはそういう遊び。そう思えば素直になれるかな?」

あまりにも魅力的な提案だった。俺の心の底にある甘えを彼女は肯定すると言っている。それどころか俺にとって受け入れやすい状況までわざわざ設定してくれている。

「素直に……なっていいのかな? 俺、年上で男なのに、セナに甘えて……」
「いいんだよ。私、小早川
こばやかわ
星奈
せな
がタケルくん、うぅん……堂林
どうばやし

たける
ちゃんのママになってあげる」

セナは穏やかな笑顔を浮かべて両腕を広げた。すべてを受け入れるような自然な動作だった。俺はたまらず彼女の胸に飛び込んだ。ふんわりとした両胸が直に顔に当たる。彼女の胸からはミルクに似た優しい匂いがした。

「セナ……いや、ママ……お願いします、俺のママになってください」

俺の口から漏れた偽らざる気持ちだった。ダメだとは頭では理解している。けれども俺は彼女を求めずにはいられなかった。せめて二人きりの間だけでも良い。彼女に俺の母のような存在になって欲しい。俺の本心からの願いだった。

「うん、今日から私がタケルちゃんのママだよ、いっぱい甘えて、頼っていいんだよ♥」
「ママぁ……好きぃ……」

俺は母を求めるようにして彼女の胸に深く顔をうずめた。するとセナは俺の頭を優しく撫でた。慈しむようなその動作に俺は身を委ねた。

「でも一つだけ約束ね。ママ以外の女の人について行っちゃダメだよ?」
「もちろん、俺にはママしかいない。ママがいればいい」
「ふふ、タケルちゃんはいい子だねー」

しばらく包容するとセナはゆっくりと俺を抱きしめている腕を解いた。

「よしよし、じゃあ、いっぱい汗かいちゃったからご飯の前にシャワーで身体キレイキレイにしようね」
「……うん」

セナが手を差し出した。俺は不安を抱きながらも左手を伸ばして彼女の手を握り返す。肉付きのよい手のひらが暖かかった。

「そうだ、夕ご飯はお部屋じゃなくてレストランで食べようか。タケルちゃんの大好きなお子様ランチあるよ」
「……お子様ランチなんて成人して以来、頼んだことないぞ」
「でもタケルちゃん、オムライスもパスタもハンバーグも好きでしょ?」
「……好きだけど」

本当に俺のことを良く見ている。彼女が言うようにお子様ランチに入っている食べ物は大体好きだ。味覚が子供の頃から変わっていないと言ってしまえばそれまでなのだが。あまり実の母親と過ごした記憶のない俺にとってはああいうものは家族の象徴でもあるのだ。

「ふふ、じゃあ好物だよ。頼んじゃおう」
「俺がオーダーして大丈夫なのか、それ?」
「大丈夫じゃない? ダメだったら帰ってからママが作ってあげる」

俺は彼女に手を引かれたまま、子供のようにシャワールームへと向かった。

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