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病気の母親の薬代を稼ぐ苦学生クラスメイトのお母さん①

アヤトは、リーセリアの処女を頂いた翌日、リーセリアの実家へと向かっていた。

きっちりと学園の制服を身につけ、髪もセットしている。
リーセリアは隣にはいない。アヤト一人だった。
治療のことはまだ彼女には秘密にしている。

これは、治せると期待させておいて、治せなかったとき、落胆させてしまうことを危惧したのではない。
事前調査から、彼女の母親の病気は、アヤトであれば確実に治せるものだと判明している。
ただ単に、アヤトがもうしばらくの間、嫌嫌抱かれにくるリーセリアを愉しみたかっただけだった。

因みに事前調査といっても、特別なことはしていない。
リーセリアが薬を買いにくる薬屋が、アヤトのリィセルク商会の傘下であったというだけだ。

「と、ここだな」
王都の中央通りから一本外れた路地に入りしばらく道なりに歩くと住宅街が見えてきた。
多くの一軒家が所ぜましと並んでいる。
王国1の人口密集地である王都ならではの光景だ。

土地の高い王都に一軒家を構えられるだけでも、凄いことだ。
なんでも、リーセリアの両親は若い頃冒険者として成功したらしい。その時のお金で王都に家を建てたと。

住宅街を歩き回り、やっと見つけた。

「……緑の三角屋根の二階建ての建物、と、ここかな」
アヤトは、表札を確認してから呼び鈴を鳴らした。

「はーい、どちら様で」と出てきたのは、一人の少女だ。
リーセリアをそのまま少し幼くした感じだ。

「はじめまして、私、アヤト=フォン=リィセルクと申します、リーセリア=リードさんのご実家はこちらでしょうか?」

「はい、リーセリアは私の姉ですが、姉は学園の寮で生活しているので、ここにはいませんよ」

「実はリーセリアさんではなく、お母様に用があってきたのです、私、リーセリアさんの友人でして、お母様のご病気のことについて相談を受けまして、治療に参った次第です」

「お姉ちゃんの友達?たしかに同じ制服だけど、貴方、どこかで……あっ、リィセルクってあのリィセルク商会のですか?」

「はい、そのリィセルク商会の商会長の息子です」

「新聞で見たことあります!すごいッ、お姉ちゃん、あのリィセルクさんと友達だったなんて!」

リィセルク商会は、その話題性から度々新聞社からインタビューを受けており、アヤトも父とともに何度か紙面を飾っていた。
リィセルク家は成金貴族なんて揶揄されてはいるが、それは貴族社会や商人の間であって、多くの一般民衆は、リィセルク商会、ひいてはリィセルク家に好意的だった。

リィセルク商会はこの王都にも出店しており、なかでもリィセルク商会王都1号店は、一等地に店を構えており、市民から観光客までこぞって訪れる王都の新たなシンボルになりつつあった。

その信用が役だった形だ。


アヤトは、リーセリアの母親の寝室に案内されると、改めて自己紹介をした。
「はじめまして、私、アヤト=フォン=リィセルクと申します、リーセリアさんにはいつも仲良くしていただいています」

「こほっこほっ、ベットの上からで、すいません、ルーナ=リードと申します、リーセリアとリナリアの母親です、いつもリーセリアと仲良くしてくださってありがとうございます」

「あ、私はリナリア=リードです、リーセリアの妹です!」

ペコリと頭をさげあうと、アヤトはさっそく治療の件を説明しだした。

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