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病気の母親の薬代を稼ぐ苦学生クラスメイトのお母さん①-2

リーセリアの母のルーナは、病気で痩せ細ってはいたが、美人であった。
アヤトは、リーセリアが成長したら手に入れる美しさはこうなのかと思った。
唇の左下にあるホクロがなんとも色っぽい。
触れれば折れてしまいそうな色白な腕をみると、守って差し上げなければと謎の使命感が湧き上がる、そんな女性であった。

「それでは、さっそく診ていきますね」
アヤトは好青年の仮面を貼り付けたまま、健診してゆく。
そして幾つかの質問の後、結論づけた。

「間違いありませんね、【死神病】ですね、他の病気は併発していない、大丈夫です、これなら治せます」
「ほんとですか?お母さん治るんですか?」
心配そうに見守っていたリナリアが尋ねた。だって、治せるなんてありえないことなのだから。
「もちろん、任せて下さい」

【死神病】とは、正確には病ではなく、呪いの一種だ。
ダンジョンで、その名の通り死神系統の魔物によってかけられる呪いだ。
生命力を奪い、徐々に死へ近づけていく呪いだ。
薬で呪いの進行を抑えることはできるが、薬では解呪できない。
解呪方法は、たった2つ、呪いをかけた魔物を殺すか、最上級聖属性魔法の【月の女神の慈愛】による解呪だ。
最上級聖属性魔法を使える術者なんて、世界的見てもほんの一握りしかおらず、そんな術者は神殿の大神官だったり、王家や大貴族に召し抱えられていたりと、一般民衆が治療を受けれる機会などない。
多くの患者は、薬で呪いの進行を抑えながら、運良く他の冒険者が呪いをかけた魔物を倒すのを死の恐怖に震えながら待つしかなかったのだ。

リード一家も例に漏れず、薬で呪いの進行を抑えながら、誰か他の冒険者が倒した死神が、ルーナに呪いをかけた死神と同一個体である偶然を願っていた。
そして、一縷の望みをかけて、リーセリアが第一王立魔法学園に入学し、【月の女神の慈愛】を扱える術者への伝を得ようとしていた。難関な特待生枠を取れるほど努力し、嫌いな人間に抱かれてまでも学園に残ろうと必死に。

「……彼の者に祝福を……【月の女神の慈愛
ルミナス・ドロップ
】」
アヤトが両手で輪を作り、ルーナへとかざす、そして呪文を詠唱した。そうして魔法が発動されると、室内の空気が変わったのが、ルーナやリナリアにも感じ取れた。神聖な空気に満たされたのだ。

アヤトの両手の輪っかから、光のリングが顕われ、ルーナの身体をリングの中に通す様につま先から頭へ移動した。
ルーナは身体の中で何かが壊れる音が聞こえた。いや何かではない。呪いだ、呪いが砕けた音なのだと直感的に理解した。

そして、光が収まる。
術が終了したのだ。

「……身体が軽いわ」
何年もの間、ルーナの身体に纏わりついていた倦怠感が嘘のように消えていた。

あり得ない、そんな奇跡が起きたのだ。
ルーナとリナリアは、頭ではわかっていても、まだ実感しきれず、呆然としていた。

そんな二人に、アヤトは
「よし、成功です、もう大丈夫だと思いますが、念の為、しばらく様子見しましょう、明日も診察にきますね」
と告げて、リード家を後にした。

2人がもう大丈夫なのだと実感したのは、奇跡を起こしたにも関わらず、家にやってきた時と態度が一切変わらない彼を見送ってからだ。

「……ほんとに、ほんとに治ったんだよね?」
「ええ、ええ!、治ってるわ!治ってるの!」
母娘で抱き合い、わんわんと泣いた。

2人は泣きつかれて、落ち着いてくると、アヤトに対して、お礼一つ言っていないことに気がついて、うぁぁと頭を抱えた。

「明日、改めてちゃんとお礼をいいましょう」


因みに、アヤトが、聖属性最上級魔法を扱えたのには、理由がある。
転生者であった彼は、まだハイハイもできぬ頃から、魔力の鍛錬をしていた。そうして手に入れたのが、チートとも言えるほどの莫大な量の魔力だった。

そして、ハイハイが出来るようになってからは親に隠れて風属性や水属性の攻撃魔法の練習もしていたが、ある時を境に、聖属性魔法を必死に学ぶ様になった。
それは、父親の商才に気がついた時だ。
アヤトは父親の商才に気がついた時、自身の知識と組み合わされば莫大な利益を産めると確信した。単なる田舎の小商店が、王都の一等地に店を構えられる程度の大商会にはなれるだろうと。
そして、そこで、もっとも警戒したのが、暗殺だった。
出る杭は打たれる。
商会が成長していく中で他の商会や貴族からの妨害があることは簡単に予想がつく。
商慣習に基づいた真っ当な手段であれば良いが、真っ当でない手段の妨害もあるだろう。
例えば、暗殺とか。
刺客が送られてくる場合はまだましだ、金はいくらでも稼げるのだから、金に物を言わせ強い戦闘技能者を護衛として雇えば良い。
問題は、毒殺や呪殺だ。
こればかりは護衛を雇うだけでは防げない。
万全をきすならば、自身で対処できるようにならないといけない。
そう考えたアヤトは、回復魔法や解呪魔法が存在する聖属性魔法を必死に勉強した。だって命がかかっているのだ。
その必死さとチート魔力量が合わさり、最上級聖属性魔法まで修得してしまったのだ。

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