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病気の母親の薬代を稼ぐ苦学生クラスメイト⑥

リーセリアは、王都の喧騒の中、帰路につく。
考えているのは、母と妹から告げられたアヤトのこと。
(確かめないと)
気がついたら走り出していた。

あの日から何度も通った、アヤトの部屋にたどり着いた。
ノックもせずにドアノブを回した。ガチャガチャと鍵かかかっている。
ドンドンドン、と強くノックした。

「はいはい、どちら様で?」
眠気まなこの間抜け面がでてきた。
リーセリアは、「どういうことですかッ!?」とアヤトに掴みかかった。
彼女もいっぱいいっぱいで、感情がぐちゃぐちゃだったのだ。

「どういうことって何のことですか?それに約束の時間にはまだ早くないですか?」

「私の母のことよッ」
「ああ、ルーナさんがどうかしました?」
(名前を知っている、本当に私の家に行ったの?)
「だ、だから、母からきいたの!ち、治療」
「そうそう、解呪しときましたよ、あと1ヶ月もすれば、歩けるようになるんじゃないかな?良かったですね」
リーセリアの頭の中で、母が治ったということを信じたい気持ちと、アヤトへの反発する気持ちがぐるぐるして、口をついて出た言葉は、「信じられませんッ!!!」であった。

アヤトは、さして気にした様子もなく、
「ま、信じられないならそれでも別に構いませんよ、それより今日はどうするんですか?」
と言った。

「……勝手に使えばいいでしょう」
リーセリアは服を脱ぎ捨て、ベットに横になった。


それから1週間、リーセリアは、義務的に抱かれ続けた。
そして、週末になった。
リーセリアは再び実家に帰った。
すると、ルーナがリビングで出迎えてくれた。

「おかえりなさい」
信じられなかった。ベットから動けなくなっていた母が、リビングにいるのだ。
「1日でもはやく、歩けるようになるために、リハビリ頑張っているのよ?リナリアの補助ありだけど、リビングまでは歩いてこれるようになったわ」
そう言って微笑む母を見て、涙が溢れた。
この涙は1週間前とは違い、嬉しい時にでる涙だ。

「良かった、良がっだよゔ〜」
やっと、実感が湧いたのだ。母の呪いは解呪されていると。

泣き崩れた娘を母はどこまでも優しく撫でていた。

しばらくして、リーセリアは涙をぬぐった。
アヤトは嘘をついていなかった、本当に母を治療してくれた。
しかもなんの見返りも求めずにだ。
身体を差し出した対価は金銭で貰っている。
治療については、本当になにも要求されていない。

(謝らなきゃ、そしてお礼をいわないと)

「お母さん、ごめん、用事があったから、もう帰るね」
「うん、わかったわ、いってらっしゃい」
「うん、いってきます!」

リーセリアは走り出していた。

そして、アヤトの部屋にたどり着くと、トントンと勢い良くノックした。
1秒でも早くあって、お礼を伝えたかった。

「はいはーい」
アヤトがでてきた。

アヤトの顔をみた瞬間、リーセリアは溢れ出る感情のままに、伝えた。
それはきっと、支離滅裂で、嗚咽まじりになってしまっていて、聞き取りづらかっただろうけど、アヤトは、ちゃんと聞いてくれていた。

リーセリアが落ち着くと、アヤトが紅茶を淹れてくれた。
喋り疲れた喉に染みて、ほうと息をつく。

一気に、カップいっぱい分の紅茶を飲み干したリーセリアをみて、アヤトが2杯目をそそいでくれた。

リーセリアは、一息ついたら、とたんに、どうして良いかわからなくなってしまった。
よくよく考えたら、アヤトとこんなに長く喋った事なんてなかったのだ。まぁ、喋ったといってもリーセリアが一方的に謝意を伝えていただけではあるが。
手元のカップには、なみなみとそそがれた紅茶がある。
せっかく淹れてくれたのに、飲まずに退席するのも変だろう。
(……話題がない)
そうだ、幾度と肌を重ねはしたが、リーセリアはアヤトのことを何一つとして知らなかったのだ。
罪悪感がわいてきた。

それに加えて、先週は怒って、今は泣いて、お礼をいって。
(私、情緒不安定すぎる……)
恥ずかしくなった。

そして、色んな感情がぐるぐるになってしまって……
とどのつまり、リーセリアは逃げたのだ。
もうすっかり慣れてしまったその行動に。

「えっと、その、まだ、明るいけど……その、今日のぶん」
とボタンに手をかけた。

「もう、大丈夫なんじゃない?それ」
「え?」
「だって、ほら、リーセリアはさ、死神病を解呪できる術者とのコネをつくる可能性を残すために学園に残りたかったんでしょ?お母さんはもう治ったのだから無理して学費を稼ぐ理由はなくないかな?」
そうだ、その通りだ。もう抱かれる理由はない。
それなのに、リーセリアは何故かショックをうけて、黙りこんでしまった。

「あ、でも学園に友達もいるだろうし、残りたい理由はお母さんだけじゃなかったのかな?今日まででそれなりの額は貯まったんじゃない?もう薬も買う必要もないし、残りはダンジョンで稼げるんじゃないかな?」

(確かに、あとはダンジョンでの稼ぎでどうにかなりそう、だけど……)

「だから、俺たちの関係も終わりだね」

(おわり、終わり?)
……胸がズキリとした。

リーセリアは気づいてしまった。
アヤトにとって、今までのことは純粋な善意によるものだったのであると。
だって、処女を買ってほしいと頼んだのはリーセリアからだ。
彼はリーセリアのお願いを聞いて、相場よりも高い額で買ってくれた。
途中、意地悪だってされたけど、それだって、もとを正せばリーセリアが悪い。
リーセリアは、口調こそ丁寧だったが、内心ではアヤトを見下していた。
苦労知らずのボンボン、親の金で女遊びしてる等、嫌悪感を抱いていた。きっとそんな態度が、滲んでしまっていたのだろう。ちょっとくらいやり返されても仕方がない。

それに、今ならわかる。
アヤトの悪い噂なんて全部嘘だ。
苦労してない訳がない、最上級聖属性魔法を扱えるのだ。
いったいどれ程厳しい修行を積んできたのだろう。
そして、その努力の成果を惜しみなく分け与えてくれた。
親の金で女遊びをしてるのだって、リーセリアと同じ様に、お金に困った女の子が自身を買ってくれと頼んだのだろう。
お金もきっとアヤト自身の稼ぎによるものだろう。

(……なんて不器用で優しい人なのだろう)
リーセリアの中では、アヤトはそういう事になっていた。

感情というものは、不思議だ。
強い感情は、それがプラスの感情であれ、マイナスの感情であれ、決して消えやしない。
だけれど、その方向が変わることはある。
もし、もしもだ、大嫌いという強い感情が反転したとしたらどうなるだろうか?

リーセリアは必死で考えた、終わりにしなくて良い理由を。
そうして、思いついたのだ。

「そ、その、代金!母の治療代金を払わせてください!!」
「ん?、いいよ、いいよ、俺が勝手にやったことだし」
「払いたいんです!本当に嬉しかったから、ちゃんとお礼したいんです」
「そっか、そこまで言ってくれるのなら、受け取ろうかな、でも無理はしなくていいからね?」
「ありがとうございます!……えっと、それでですね、いま、そのお金がなくて、ですね、それでその代わりに、身体でなんて、ダメ、ですか?」

もし、断られてしまったらどうしよう。
不安になり、つっかえつっかえになりながらも、言った、言ってしまった。
返事を待つ時間が永遠にも感じられた。

「いいよ」
受け入れてもらえた。
リーセリアの顔がパァと華やいだ。
その笑みが妖艶なものであったことは、アヤトだけが知っている。

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