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女教師①

「それでは、明日から春季休暇になるが、羽目を外しすぎないようよに……それから、リィセルク、生徒指導室に来なさい」
休暇前最後のホームルームの後、アヤトは担任のナタリア=フォン=グライハムに生徒指導室に呼び出された。

この学園は日本の大学と同じ様に、単位制で、各自好きな講義を履修できるが、クラスもあり、クラスごとで受ける必修科目も存在していた。
そして、全体連絡なども、クラスごとのホームルームを通して伝達される。

「アヤト、貴方、何をやらかしたのよ?いつも言っているでしょう、目立たず教室の隅で大人しくしてなさいって、貴方が目立つと私が迷惑するの!その点わかってるわけ?」
そう声をかけてきたのは、エレオノーラ=フォン=スターリィ子爵令嬢。
何を隠そう、アヤトの婚約者だ。

「エレオノーラ、ごめん、気をつけるよ」
エレオノーラのあたりが強いのは、いつものことだと、アヤトは気にすることなく謝った。
「ふんッ、そんなことより週末のこと、忘れてないわよね?」
「ああ、もちろんだよ、ちゃんと準備しておく」
アヤトとエレオノーラは月に一度、婚約者として親睦を深めるべくお茶をしている。
「この私の貴重な時間を使ってあげるの感謝してもてなしなさいよ」
といってエレオノーラが立ち去ると、その様子を見ていたリーセリアが寄ってきて、
「アヤト様に失礼すぎます、仮にも自分の婚約者でしょう、今すぐ別れるべきです!」と憤っていた。
その婚約は、経済的に困窮したスターリィ子爵が支援の見返りにリィセルク男爵家へ娘を差し出したものと学園内では噂されており、皆、エレオノーラに同情的であった。
リーセリアもつい先日まではその同情的に思う一人であった。
しかし今は違う。
本当の意味でアヤトを知ったリーセリアは、スターリィ子爵家が人の良いアヤト、ひいてはリィセルク男爵家を利用しているようにしか思えなかったのである。
それ故の怒りである。まあ、アヤトの婚約者への嫉妬もたぶんに含まれていたのであるが。

「いいんだよ、エレオノーラはあのままで、でも俺の為に、怒ってくれてありがとう」
アヤトは、エレオノーラがどんな態度であってもエレオノーラを不快になんて思うはずがない。
だって、エレオノーラは子供の頃、アヤトがたった一度だけ、可愛いねと褒めたツインテールをいまでもずっと結び続けているのだから。

(アヤト様は優しすぎます、やっぱり私が支えないと)
そんなアヤトの心の中なんて、知りようもないリーセリアは、そんなことを思う。

「それにしても、ナタリア教授の呼び出しってなんの用件なんでしょうか?教授は生活指導員でもあられますから、普通だったら注意とかなんでしょうけど、品行方正なアヤト様に限ってあり得ないことてますし……」
リーセリアは本心からそう思っている。

「はは、なんだろうね」
しかし、アヤトには心当たりがあった。
なにせ、アヤトにはアヤトを妬んだ者が流した悪い噂が沢山あるのだ。

ナタリアは、生徒指導室のソファーに腰掛け、呼び出した生徒のことを考えていた。
「……アヤト=フォン=リィセルク、授業態度はいたって真面目で成績優秀、人当たりも良いが、何故か悪い噂が絶えない」
ナタリア自身はアヤトの悪い噂を全部信じてる訳では無い。
しかし、火のないところに煙は立たない。
ナタリアの勘がその噂のいくつかは真実であると告げていた。

そのうちの一つ、信憑性がもっとも高かったのが、金に物を言わせて、女生徒を購入していると言うものだった。
真実ならば許せるはずもない。ナタリアは調査を開始した。

調査は簡単だった。
例年、春季休暇前のこの時期は、来年度の学費を工面するために、駆けずり回っている生徒が多く見られる。
とりわけ下級貴族家の者に多く見られた。
貴族といってもピンキリで、下の方になると、ちょっと裕福な平民程度の財力になる。
それでも貴族というだけで、平民に比べ借金がしやすく、多少の無理をしてでも1年分の学費を用意してくるのだ。
学園を卒業できれば箔がつくし、学園に通えば力ある貴族とコネをつくれるかもしれないと。
優秀な者であれば、多方面から声がかかり、そうでなくても力ある貴族に上手く取り入り支援を獲得できる者もいる。
そしてそのどちらでもない者がこの時期、来年度の学費を工面するため、ダンジョンへ潜ったり、金貸しをまわったりしているのだ。
ナタリアは、教員として生徒の情報はある程度簡単に手に入る。
そして、貴族家の領地の規模や産業から税収を予測することも容易い。
ナタリアは、学費を用意するのも苦心していそうな貴族家の令嬢をピックアップし、何人かにヒアリングをおこなった。

流石に全員とまではいかなかったが、数名から証言を得られた。
彼女らは、アヤトに身体を売ったのだと、ナタリアに謝罪したのだ。

この国では娼館はすべて認可制である。
つまり、許可なき売春は違法だ。
しかし今回の場合、売った方はともかく買った方を処罰するのは難しいだろう。
貴族の中でも使用人に手を出し、示談金を払うなんてことは
多々ある。それらすべてを裁いていたら貴族制を維持できなくなる。よほど悪質な場合や、被害者からの強い訴えがない場合、お咎めなしになる。
今回のケースもそうだ、支払った金は示談金だったとされればそれ以上の追及はできないだろう。
下手に追及して女子生徒の方が処罰されてしまう危険もある。

ナタリアとしては、女子生徒の方から無理やりされたなどの証言を引き出したかったが、彼女らは皆、自分から頼んだと言う。
デリケートな問題故に大事にしたくないのかもしれない、辛い思いをして思い出したくもないのかもしれない、ナタリアはこれ以上根掘り葉掘り聞くのもはばかれた為、アヤトの方を叩くことにしたのだ。

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