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ギャル軍団③ 待月由真&揺木未結

スタンガンには大きく分けて二つ種類がある。一つは空中放電したスパークで相手を威嚇するための物で、見た目ほどに威力はない。もう一つは〝実用的〟な物で、槍太のスタンガンは小型ながらも、持ち主によって実用的なレベルに改造されていた。

一般的にスタンガンを当てられても気絶するようなことはないが、服の上からでも悶絶するくらいの痛みは受けるし、筋肉がしばらくは言うことを聞かなくなり立ち上がることもできなくなる。ほんの一瞬スタンガンを押し付けられるだけで、普通の人間は無力化されてしまうのだ。

槍太は待月由真に体ごとぶつかると、スイッチを入れたスタンガンを押し付けた。電撃が放たれた証に、ジジジと弾ける音が確かに鳴った。

しかし待月由真は、倒れ込みはしなかった。それどころか、平然と立って、槍太を相変わらずの冷たい目で見下ろした。

「私に電撃なんて──面白いことするね」

待月由真は腕を上げると、親指と中指でスタンガンを摘まんだ。バチバチと激しい音がして、スタンガンが弾け飛ぶ。床に転がったスタンガンは、外装のプラスチックが一部割れ溶け、基盤が焦げて小さく煙を吐いた。

槍太はその光景を見て、自分のとった行動がいかに無意味であったかを悟った。

〈こ、これが──待月由真の固有能力
インヘレンス
……〉

待月由真の能力は明らかに電気を操る系統のものだ。電撃使いにスタンガンなど通用しない。

しかも身体的な損傷は与えられなかったのに機嫌だけは損ねたらしく、待月由真はさっきまでの無表情のまま、わずかに目を見開いた。

「こんなオモチャじゃなくて、本当の電撃っていうのがどういうものか──教えてあげようか?」

待月由真は右手の指を大きく広げると、槍太の頭を鷲掴みにした。

逃げなければ──そう思うのに、槍太は動けない。それは恐怖のためだけではなかった。まるで体の自由を支配されてしまったかのように、指一本動かすことができない。

「あーっ! ユマちゃん、ずるーい! ミユが〝おしおき〟するってゆったのに~!」

頬を膨らませて抗議する揺木未結を見て、待月由真は呆れたように息をついた。

「──また公開処刑?」
「違うよ~。あれは相手がセンセーだったから面白かったの。いつもは立派な大人ぶって偉そうなこと言ってくるくせに、本当はド変態のクズだってバラされて、地位もなにもかも失っちゃうのが笑えるんじゃん」

揺木未結はあどけない顔を天真爛漫に花咲かせて、とんでもなく残酷なことを言っていた。
しかし槍太はそれを黙って聞いていることしかできない。

「じゃあ、こいつには何をする?」
「そうだね~。とりあえず、生徒手帳でも見てから決めよっか」

揺木未結は槍太のブレザーの胸元に手を差し込んできた。

内ポケットの中から槍太の生徒手帳を探り当てると、「みーっけ♪」と引き抜く。

天頂高校の生徒には、生徒手帳として一種の情報端末
コンパニオン・デバイス
が支給される。この機器を使って、学内の連絡事項から開発中の固有能力
インヘレンス
の状態
ステータス
まで、様々なものを閲覧できる。

「じゃ、ロック解除するから、ユマちゃんお願~い」
「はいはい」

待月由真が面倒くさそうに呟くと、槍太の腕がひとりでに持ち上がる。

〈────!? う、腕が勝手に〉

槍太が抑えようとしても、意志とは関係なく、槍太の腕が前に伸びていく。

腕だけではない。掌が勝手に広がり、人差し指が揺木未結の手にした生徒手帳へと触れる。

「……あれ? ロック解除できない。……あーっ、こいつ、生体認証オフにしてるなー!」

揺木未結の言う通りだった。槍太はもしものときのために、生徒手帳
コンパニオン・デバイス
の生体認証はオフにしていた。

生体認証の場合は今のように無理やりロックを解除させられる可能性があるが、暗証番号
パスワード
なら本人が口を割らない限り絶対にロックを解除されることはないからだ。

「でも、そんなことしたってムダだよ~。ユマちゃん、動かないようにしっかり抑えといてね。あっ、でもミユは感電させちゃだめだよ!」
「──でも、こいつさっきから結構暴れようとしてくるから、ちょっと出力上げたいかも」
「やだー、怖い~。ビリッてきたらこいつに百倍返ししてやろっと」

そんなことを口にしながら、揺木未結は槍太の首を手で掴んできた。

「はーい。じゃあ質問します。お前の生徒手帳
コンパニオン・デバイス
の暗証番号は何?」

誰が答えるか──槍太はそう思って口をつぐんでいた。
しかし──

「んー……〝45450721〟だって」

揺木未結はいとも容易く暗証番号を言い当てた。

「あはは。ちょっろ~。簡単にわかっちゃったー。『絶対教えてやらないぞ~』って顔でギュッて口閉じてたのに、ムダだったねー。残念でした~」

揺木未結はそうやってドヤ顔で笑いたてたが、待月由真は少し不快げに眉をひそめた。

「──ていうか、何? その番号」
「この番号がどうしたの?」
「……いや、わからないならその方がいい。純粋なままの未結でいて」
「むー。なにそれ、またミユのことお子様扱いしてー」
「それより、〝おしおき〟の内容、決めるんじゃなかったの?」
「そうだった! とりあえず、このパンツ泥棒がどこの誰なのか、チェックしないとね~」

そう言いながら、揺木未結は槍太の生徒手帳
コンパニオン・デバイス
を操作する。

「えーっと、なになに……雑崎
さいざき
槍太
そうた
、普通科二年……Zランク!?」
「Z……? そんなのあるんだ」
「高等部って、確か落ちこぼれの劣等生がFランクでしょ? Zランクってそれより下ってこと?」
「さぁ……おい、Zランクって何だよ」

槍太の頭を鷲掴みにしたまま、待月由真がスネを蹴ってきた。

槍太が何も言わないでいると、

「ふーん。そういう態度」

待月由真は顎を上げて目を細くした。

途端に、バリバリと電撃が弾け、激しい痛みが槍太を襲う。
槍太は思わず叫び声を上げた。

「わかった! い、言う! 言うから、止めてくれ!」
「言い方。 なに? 『言うから止めてくれ』って」
「言います! 言いますから! 電撃はやめてください!」

待月由真が電撃を止めると、槍太は荒々しい呼吸を繰り返した。
逆らおうという気など木っ端みじんにされるような、凄まじい電撃だった。

「──で。Zランクって何?」
「ぜ、Zランクっていうのは……無能力者っていうことです……」
「無能力? 固有能力
インヘレンス
を持ってないってこと?」
「はい……」
「……なんでそんなやつがこの学校に」
「入学してから今までの間、固有能力
インヘレンス
が発現しなかったんです」
「入学試験をパスしたってことは、先験者
コンセプテッド
の適正はあったってことでしょ? それなのにファータライザを使っても固有能力
インヘレンス
が発現しなかったってこと──?」

槍太が肯定すると、待月由真はつまらないガラクタでも見るような視線を槍太に向けた。

「まさか固有能力
インヘレンス
保持者のための学校に、固有能力
インヘレンス
未所持の生徒がいるなんて──どうしようか。こんな元からド底辺の劣等ゴミクズ、晒し物にしたってつまんないでしょ」
「うーん。そうだね~」

揺木未結は人差し指を頬に当てて首を傾げた。

「何の能力もないんじゃ下僕にしたって使い道もないしぃ……貢ぎ奴隷にでもするのがいいんじゃない?」
「貢ぎ奴隷? こいつ金なんて持ってそうには見えないけど」
「そんなことないよ~。だってこいつ、レイナちゃんのパンツ盗もうとしてたでしょ。多分それって、オークションで売るつもりだったんだよ」
「は? オークション?」
「知らないんならその方がいいよ。穢れのないユマちゃんのままでいて」

さっきのお返しができたと、揺木未結は満足げに微笑んだ。
待月由真は不満げに口を尖らせる。

「つまり、パンツを売って小遣い稼ぎしてるってこと?」
「そうそう。こいつ、きっと常習犯だよ」
「なるほど──そういえば、玲奈のロッカー開ける前に、別のパンツも盗んでた──」

瀬川立花のパンツは転売目的ではないので誤解だったが、槍太に口答えをする気力はない。

「だからさぁ、とりあえず弱みを握って、それで脅してやるのがいいと思うんだよね」
「でも脅すっていっても、元から無能力じゃサスペンド権限奪ったって意味ないし──」
「うん。だからフツーに一般人向けの脅し方をしよう」
「未結って本当に怖いよね──こんな話をそんなに楽しそうにするなんて」
「ユマちゃんは楽しくない?」
「全然──っていうか、どっちかっていうとうんざり」
「えー! ユマちゃんが手伝ってくれないと困る~。手伝ってくれるよねー?」
「──いいけど。手伝いくらいはする」

待月由真は溜息をつくと、再び冷たい目を槍太に向けた。

「おい変態。お前さぁ、女子のパンツ売って荒稼ぎしてるんだろ。それ、私らが没収するから──」
「悪いことして手に入れたお金なんだから、全部取り上げられちゃってもしかたないよね~」
「今日のところは帰してやるけど、逃げないように、今から〝弱み〟握るから」
「よ、弱み……?」

恐る恐る尋ねる槍太に、揺木未結が「うんうん」と明るい声で言った。

「もしミユたちとの約束を守らなかったら、その〝弱み〟が学校中に晒されて、学校になんて来れなくなっちゃうから♪」
「それどころか、まともに外を出歩けなくなるかも──」
「そうそう。どんな鈍感なやつでも恥ずかしくって人前に出られないようになっちゃうの確定だから、それがイヤならちゃんとミユたちの言うことを聞いて、従順な貢ぎ奴隷になってね~♡」

二人の残酷なセリフを聞いて、槍太は背筋が凍るようだった。

揺木未結が中等部の教師にやった仕打ちを考えると、ちょっとやそっとのことで済まされるとはとても思えなかった。

──こいつら一体、何をする気なんだ。

そんな槍太の疑問に答えるように、待月由真は宣言した。

「お前は今から──女子更衣室で自慰
オナニー
をする」

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