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第9話 ふたりの道は交じり合う

「や、やっと帰って来れた……」
「だねー! マジでお疲れ-!」

あれから俺とアイリーンは、なんとかエロトラップダンジョンからの脱出を果たしていた。

所詮はエロ妄想の産物たるダンジョンである。
痺れ薬や猛毒を用いてくるギミックこそあるものの、結局のところ、ネタダンジョンでしかない。
高位の冒険者たちの挑むダンジョンに比べれば、はるかに優しい難度だ。

異世界転生時に肉体強化スキルを得ている俺と、過去に冒険者パーティーでの活動実績のあるアイリーン。
そんなふたりが本気で挑めば、そうそう簡単にやられるようなものではなかったわけである。

エロトラップダンジョンを抜け、雑魚モンスターしかいない森を一応警戒しながら、始まりの街まで戻ってきた。
クエストに出かけた頃には高いところにあったはずの太陽もすっかり沈み、街並みは街灯の明かりに照らされている。

冒険者ギルドは、背の高い建物の少ない街の中では、ひときわ目立つ大きな建物だった。
石造りの6階建てであるが、冒険者は基本的に1階のクエスト受注窓口くらいにしか用事は無い。
冒険者稼業により成り立っている街であるためか、冒険者ギルドは遠心状に街路が延びる中心に、ドンと構えていた。

「じゃあ……名残惜しいけど、アイリーンとはここでお別れだな」
「んっ……そーだね! オタクくんとウチは、別のパーティーだもんね……!」

ギルドの入り口の前で、俺とアイリーンはそんな話をしていた。

そう。
今回のエロトラップダンジョンでは偶然の成り行きからいっしょに行動することになってしまったが、本来俺たちは同じパーティーの人間ではない。
アイリーンはあのパリピの陽キャパーティーに所属していて、俺はソロ探索者である。
つまり街まで戻ってきて安全を確保できた時点で、もうこれ以上わざわざいっしょに行動する必要は無いわけで。

「あ、あのさオタクくん!」
「なんだよ?」
「ウチらのパーティーさ! 冒険から帰ってきたら、朝まで打ち上げしよーぜって話してたんだよね!」
「嘘だろ。冒険から帰ってきたのに、朝まで打ち上げ? 明日も冒険に出なきゃいけないのに、一体いつ休んでるんだパリピたちは?」
「で、さ! もし良かったらオタクくんも、いっしょに打ち上げ参加しない?」
「ぜ、絶対に嫌だ!」
「ええーーっ!? なんでさあー! 打ち上げ楽しいよ!?」
「あ、アイリーンとだったらいい! でも、よく知らないノリの軽いパリピ達といっしょに朝までとか……ぜ、絶対に嫌だ! そんなのに付き合うくらいだったら、またエロトラップダンジョンに戻って一晩越す方がまだマシだ……!」
「あはは! オタクくん全力で拒否りすぎじゃん! チョーウケる!」
「ウケてる場合か!」

そういえばアイリーンの俺の呼び方も、いつの間にか「ハルるん」から「オタクくん」に戻ってしまっていた。
べ、別に、ハルるんって呼んでほしいわけじゃないけどな?

「ん! じゃあね、オタクくん! ウチはそろそろパーティーに戻んないとだから!」
「お、おう……そうだな……」
「正直マジメに冒険してくれてるのかアヤシいけど、それでも、こんなウチと組んでくれてるパーティーだからね! ちゃんと戻ってあげなきゃ、悪いっしょ!」
「……アイリーンは、良いやつだな。アイツら、アイリーンを放っておいて、エロトラップダンジョンからも逃げ出しちゃったヤツらなのに……」
「ま、まあまあまあ……ね! それも含めて、色々打ち上げで話すよ! ウェーイ! ってね!」
「話せてるか? それ?」
「ど、どうかな!? あの人達、基本的に自分の喋りたいことばっか喋ってて、ウチの言うことあんまり聞いてくれてない気がするけど……ま! ちゃんと話せばなんとかなるっしょ!」

アイリーンはそう言って、俺とは逆方向へと体を翻す。
恐らくそっちの方に、あのパリピたちのパーティーの拠点があるのだろう。

「じゃー、またね! オタクくん!」
「……おう」

アイリーンが大きく手を振って去って行くのを見送りながら、俺は体の前で軽く手を振り返す。
背中に背負っていた、薬草の満載されているリュックサックの重みが、急にズシリと感じられた。

「……これで、いいんだ。所詮俺は、ただの陰キャだし……な」

……ギルドにクエストクリアの報告をするのは、明日の朝でいいか。

俺はアイリーンとは別の方向へと向かって、とぼとぼと歩き出した。

ところが、

「ねえええええええええええええええ! オタクくん聞いてええええええええええええええええええ!!!!!!」
「えっ!? お前なんでまだいんの!?」

突然の大声に振り返ると、そこにはなんと……立ち去ったばかりのアイリーンの姿があった。

しかもその表情は憤懣やるかたなしとばかりに赤く染まり、「ぐぎー!」と歯を食いしばっている。

「えっ……!? アイリーンお前、陽キャパリピパーティーのトコに帰ったんじゃなかったのかよ!?」
「それがさー! なんかさー! あの人達さー! なんか今日のエロトラップダンジョンでエロ触手のギミックにやられたせいでビビっちゃったみたいでさー! なんかパーティー解散して、冒険者も辞めるって言っててさあーーーーーー!」

ええ……。

「もー! ウチこんなギャルいナリだから全然どこのパーティーにも入れてもらえなくって、せっかく苦労して組めたパーティーだったのにー! もう、マジで激萎えーーーーーー! オタクくん慰めてえーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
「あー……えーっと……」

アイリーンは俺の腕をとってブンブンと振り回しながら、ギャンギャンと喚いている。
しかしそんな様子が今の俺には、ひどく愛らしく見えてしまって……。

「ええと……じゃあ、さ。アイリーン」
「なあに!?」
「とりあえず、俺とでよければなんだけど……打ち上げ、行くか?」

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