巨乳キャラあつめました 巨乳のキャラクターが登場する漫画や小説を集めたサイト

第1話 後からなんか言われても、もう遅い

「シン、お前はクビだ」
「……は?」

クエストから帰還したパーティー、僕たち「白き雷光」は、その日もいつもと変わらず、ギルド受付でクエスト完了報告をした後、併設されている食堂で食事をしていた。
そんな中、リーダーの剣士レイドが僕に向けてそんな言葉を突きつけてきた。
「クビって……レイド、冗談だろ?」
長い間、共に苦難を乗り越えてきた僕たち。パーティーランクもSランクに上がりそうで、名実共に一流冒険者の仲間入りに近づいた。そんな今になってクビだなんて、きっと何かの間違いのはずだ。
「現実を認めたくないのはわかるが、これは冗談ではない。シンお前はクビだ」
「な、なんでだよ!僕たちずっと上手くやって——」
「理由は簡単だ! シン、お前が弱いからだ! いいか——」
それから、レイドは僕に対する不満をぶちまけた。
曰く、魔法剣士のお前は剣技が俺よりも弱い。そして、魔術師のレナほど多くの魔法を使えない。クエストのランクが上がってから、お前の活躍の場は無くなり、剣士は自分一人だけいればいい、とのことだった。

「——っ! な、なぁ! レナ、ニーナ、二人は反対だよな!」
ギルドの規約で、パーティーを脱退する際は本人の申し出か、パーティーメンバーの多数決が必要となっており、違反した際にはギルド除名などの罰則もある。つまり、レイドだけがそう言っても僕をクビになどできないはずだ。
僕は椅子から立ち上がり、正面に座るレイドから視線を逸らし、藁に縋るような思いで左右の女性二人に目を向けた。
右に座る魔術師のレナ。多くの魔法を扱える天才的な才能を持ち、魔力量の少なさ以外は確かな実力を持つ女性だ。
ロングの黒髪とクールな目つきの赤い瞳が目を引き、一見近寄り難くも思える美貌の持ち主だが、困った人々に柔和な笑みを向けて魔法で助ける様は、多くの人から『聖女』様と称えられる心優しき女性で、僕にも何かと世話を焼こうとしてくれる。
そして男たちの目を一番に引くのは、ローブが大きく盛り上がるそのバストだ。体のラインを隠す白い清純なローブを押し上げて、少し動くだけでゆさゆさと揺れる卑猥な姿は、冒険者たちの目の保養で、夜な夜なオカズにされていると噂されていた。
「そ、その、ごめんなさい。リーダーの決定だから……」
「っ!」
レナが苦しそうに顔を逸らすのを見て、初めてクビという言葉が僕の心に重くのしかかって来た。

呆然としながらも、左に座るニーナに目を向けた。
シーフのニーナ。様々なスキルを保有しており、盗みやトラップ解除、鍵開けや情報収集などなど、戦闘以外の面でも活躍してくれる。戦闘では攻撃力に欠けるが、その速度で敵を翻弄するパーティーの支え役だ。
赤髪の短髪で、猫のような瞳をいつも細めて笑う元気なムードメーカー。男をからかうような挑発的な可愛さをもつ表情で、多くの冒険者たちから慕われている娘だ。
彼女もレナと同じく、胸部が大きく張り出していた。ただし、レナとは違って、ニーナの服装は太ももが完全に露出したショートパンツ、水着のような胸布を巻いただけの解放的な格好だ。そのため、胸の谷間はもちろん、おっぱいの半分以上が露出して男性にとってはかなり刺激的だ。本人は情報収集に便利だからと気にしていないが、男の視線には敏感で、そこに目を向けた者をからかったり、手玉に取ることも多々あるという。
「いっや〜!悪いとは思うけどさ。シン最近よく怪我するじゃん? リーダーもこう言ってるし、やっぱそっちのほうがいいかなってさ」
レナとは対称的な雰囲気だが、彼女もどうやら僕のクビには反対してないらしい。

「そ、そんな……」
思わずテーブルの横で膝をつき、そんな僕の頭上からレイドの声が聞こえてくる。
「分かったか。シン、お前はもうクビなんだ。それに、新メンバーも決まっている! ……おーいファナ、こっちにきてくれ!」
レイドが勝ち誇るように名前を呼ぶと、横のテーブルから女性が歩いてきた。
「紹介する、賢者のファナだ。これからはシンの代わりに魔法で活躍してくれる。……もっとも会うことはもうないだろうがな」
「え? え……?」
顔を上げると、白と黒のシスター服に身を包んだ女性が申し訳なさそうに佇んでいた。
腰まで伸びる金髪と優しげな青い瞳、母性あふれる美しい女性だった。
そして、彼女もまた豊満な胸の持ち主だった。
体にピッタリと張り付くようなシスター服に浮かび上がる巨乳は、清廉潔白なイメージの賢者からはほど遠く、サキュバスと言われた方が納得できるような男を惑わす体つきだった。
「わかったら、さっさと出ていってくれないか? これから再始動のため打ち合わせをするんだ」

静かに立ち上がり、ニヤつくレイド、俯いたレナ、気まずそうな笑みのニーナ、そしてパチパチと瞬きをして混乱したようなファナさん、メンバーを順に見回してから、僕は自分の荷物を手にした。
「……わかった、世話になった」
そして、振り返らずにギルドから出ていく。
背後からは話し声がいくつか聞こえてきたが——
「えっ! あの……レ、レイドさん、シンさんは補助魔法とやらを使えるというお話では——」
「あ〜、ファナちゃん、あいつのことはもういいから。それより今後の事を話そうよ、明日はさ……」
——もう、どうでも良かった。

宿を取り、明日からの事を考えようとベッドに入ったが、悔しさや情けなさで、思考が働かなかった。
最低ランクだった時から、ずっと一緒にやってきた三人に追い出されるなんて。
僕は確かに、剣も魔法もレイドとレナには敵わないと思って、ずっと三人に剣術向上、魔力補正、魔術サポート、俊敏上昇等のいくつもの補助魔法をかけ続けてきた。
戦闘中だってサポートの魔法を使い、みんなを助けてきたというのに……こんな結末になるなんて情けなくて笑えてくる。

「もう、仲間は作らずに一人でやっていこう……」

僕は目を閉じて、今までかけ続けていた全ての補助魔法を解除してから、静かに眠りが訪れるのを待っていた。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

Side・ファナ

【白き雷光】に入った夜、私はベッドの中で震えていた。
武者振るいや期待などではない。それは、何か誤った選択肢を選んでしまったのではないかという恐怖。
私は冒険者となり、Sランクパーティー……そしてその上の高みへとたどり着くために、旅をし、修行やクエストをこなし、血の滲むような思いで昇りつめた賢者という職業。
そして、先日出会ったレイドさんのパーティーはSランク目前で、ギルドの戦績情報や冒険者たちの評判も良かったため、誘われたことをきっかけに加入を承諾したのだが、まさか魔法剣士のシンさんを追い出すとは寝耳に水。

多くのパーティーを渡り歩き、様々な人達とクエストをこなし、一般的な剣士や魔法使い以外にもビーストテイマー、闘士、盾使い、黒魔術師などなど。多くの職業を見て、そのスキルを学んだ。
そんな私にも馴染みのない補助魔法という存在。
レイドさんが言うには、ちょっとしたサポート程度とのことだったが、他人の力を底上げする魔法がちょっとした程度の話で済むのだろうか?
もし、私の悪い予測が当たっていたとしたら、このパーティーはとんでもない人物を追い出したことになる。
私は目を固く瞑り、震えながら眠りを待った。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

Side・レナ
シンを追放してしまった。
本当は一緒にもっと冒険したかったのに。
けど、これも私に力がないせいだ。
レイドがシンを疎ましく思っていることは知っていたけれど、ここまでするとは思っていなかった。
最初はシンの追放に反対したが、賛成しないと次のクエストで彼を殺すかもしれないと暗に脅された。
シンと一緒にパーティーを抜けることも考えたが、レイドにお前が抜けたら、シンに責任を取らせると言われ、私にはどうすることも出来なかった。
「シン、ごめんなさい」

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

Side・ニーナ
シンには悪いことしたなー。
でも、最近シンの怪我かなり増えてきたし、これから高ランクのクエストを受ける時に、もしものことがあったら後悔してもしきれないしなー。
レイドはシンのこと嫌いだから追い出したみたいだけど、正直、私は剣術だけはレイドのほうが強いからこっちを選んだだけで、人間的には嫌な視線を送ってくるレイドよりもシンの方が全然いい。
あー、やっぱ後ろ髪引かれるなー。
ちょっとほとぼりが冷めたら、しっかり事情を説明して謝ろう。最悪友達には戻りたいもんな。
「はぁー、シンなにしてんだろ?」

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

他の漫画を見る