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第2話 今更戻れと言われても、もう遅い

僕は一人で隣町のギルドにいた。
宿を出てすぐに町を発ち、大した距離ではないが隣町まで移動した。レイド達に会うのも嫌だしな。
馴染みのない受付に、A級の冒険者カードを見せ、ソロでクエストを受けたいと伝えたところ、Bランクのクエストを渡される。内容は……オークの群れの討伐か。
(さて、一人でどこまでやれるかな。)
期待と不安を抱き、僕はクエストに向かった。

今、僕の手には、数ヶ月は遊んで暮らせそうな程の金貨が入った袋が握られている。
力試しにと思いオークの群れを討伐しに行ったが、まるでFランククエストかと思えるほど手ごたえがなく、負傷や被害も受けずに楽々と達成してしまった。
今までサポートに使用していた魔法を全て自身に付与して、仲間との連携を気にせず技を使いまくった。魔法剣士の特性上、剣を振り同時に魔法で広範囲にダメージを与える技が多いのだが、横から飛び出す仲間がいないため何も考えず全力を出せた。
結果、クエストで指定された地域のオーク討伐は30分で完了し、予想以上の手応えを胸にギルドまで帰る。
受付に戻ると、信じられない速さで帰ってきた僕に受付嬢は動揺し、すぐ後にギルドのお偉いさんに呼び出され、今後の活躍を期待するなどと褒められた。
(一人でも何とかなりそうだ。……もう、あいつらに関わる必要はないだろう。)
僕は今後の不安を捨て去り、宿で少し高めの食事を注文して、満足しながら一日を終えた。

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Side・ファナ
パーティーに加入してはじめてのクエスト。Aランククエストで、多少は手こずるかと思った予想は大きく外れた。
悪い意味で。
あれだけ自信満々だったレイドの剣技は、まるでモンスターに通用せず、私の魔法の補佐が無ければ、あわや大怪我をする所だった。
レナはレナで、魔法の不発や魔力切れなどでミスを繰り返して、敵を食い止められず。ニーナに関してはまるで動けず、撹乱の役割を果たしていなかった。
自らの不甲斐なさを目の当たりにして落ち込む女性陣二人に反して、レイドの方はひたすら言い訳を繰り返すだけでリーダーとしても、冒険者としても見苦しく思えた。
クエストは失敗に終わった。殆ど会話もなくギルドに戻って、各々が部屋に帰る姿を見送り、私は悪い予想が的中してしまったことを痛感した。

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Side・レナ
パーティーを結成してから、ここまで不甲斐ない結果に終わったのは初めてだった。
魔法の発動に失敗したり、魔力切れを起こすなんて事は今までなかったのに。
シンの補助魔法が無くても、そこまで大きな変化は無いと侮っていたが、それは大きな間違いだった。
私達は彼の力が無いと何も出来なかった。
レイドはともかく、ニーナも自らの非力さを痛感したのか、酷く暗い顔色で部屋に戻っていった。
私達、いや私ははどうすれば良いんだろう?

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

それから数日間、僕は自由気ままに高難易度クエストをこなし続けた。
ドラゴンの討伐や、貴重なアイテムの探索など、目についた面白そうなものに飛び付き、たいした苦労もせずに達成し報酬を受け取る、その繰り返し。
その間、僕の噂を聞きつけた複数のパーティから勧誘されたが、いずれも丁重に断った。
もう、誰かに振り回されたり裏切られるのは嫌なんだ。

「あの〜、魔法剣士のシンさんですか?」
「……そうですが、君は?」
ギルドの食堂で食事をしていた所、若い女性に声をかけられた。
目をやると、そこには年若い魔術師が立っていた。
「あの〜、私「竜の息吹」ってパーティーの者なんですけど、シンさんの噂を聞きつけまして、是非うちに加入いただけないかなとお誘いに来たんです。」
「は、はあ……そういうお話ですか。」
どことなく、レナに似てるように思えるのは似たようなローブを着ているからだろうか?
「いかがでしょうか? 検討していただけるとありがたいんですが……」
レナと似たローブだが、一点大きく違うところがあった。
レナのローブは全身をしっかり隠した物だが、目の前の彼女は機動性を重視したのか、やけに丈が短く、眩しく白い太ももが露わになっている。そして、上半身も胸元が大きくはだけて、レナやニーナ程ではないが、大きく柔らかい胸の谷間が見えていた。
僕の沈黙を加入について考えてると推測したのか、彼女はパーティーのアピールを始めてきた。
「う、うちのパーティーなんですけど、かなり強くて、Aランククエストでしたら、なんとかクリア出来るんです! シンさんに加入して頂けたら、Sランククエストだってきっとクリアできると思うんです!」
元気よく声を出すたび、ローブから見える谷間がふるふると揺れる。
「……あとですね! ん、シンさんどうかされましたか?」
「あっ、い、いや、なんでもないですよ! お誘いは嬉しいのですが、しばらくはソロでクエストをこなそうと思うので、申し訳ないですがお断りします。」
「そ、そうですか……気が変わったらいつでも声をかけてくださいね! シンさんでしたらいつでも歓迎ですから!」
そう言い残して、少ししょんぼりしながら彼女は僕から離れていった。
(ふぅ、危なかった。谷間に見惚れていたなんてバレたら、変な噂が立ってしまうところだった。)
レナやニーナとずっと一緒にいたからか、パーティーに入ってからの僕は、いつの間にか大きな乳房に視線が引き寄せられることが多くなっていた。
レイドは相手の事など気にせずに、不躾な視線をよく二人に送っていたが、僕はそんな図太くいられないため、出来る限り見ないように心掛けていた。
それでもふとした瞬間にそれが目に入ると、視線と本能が乳房を求めるのを抑えるのに苦労したものだった。これも、今後直していかなくてはいけないな。

さっきの女の子、悪い子ではなさそうだったけど、あんな事があったんだし、今は一人でいたい。
コップの水を飲み干しながら、僕は再度そう誓った。

それからさらに数日後、ギルドから宿に帰る僕の前に、レイドら四人が待っていた。
なんでこの町にいるのかという疑問よりも、彼らのその姿に意識を持っていかれる。
(ボロボロの格好だな。余程強いモンスターとでも戦ってきたのかな?)
いつも肌を見せないレナのローブは大きく裂けて、そこからムチムチとした太ももや、溢れそうな乳房がちらちらと視界に入る。
ニーナのホットパンツも破れており、下着が覗いて、胸布も今にも落ちてしまいそうな程ボロボロになっている。
いい景色、いや、目に毒な景色から視線を逸らして、その後ろに控えるファナさんを見ると、彼女だけは特に服の乱れや傷なども見られなかった。改めて見ても、二人に劣らない巨大な乳房がドンと張り出している。
(……っ! い、いかん。また視線が。)
慌てて、さして興味もないレイドに向き直る。
「シ、シン! 気が変わった! お前をパーティーに戻してやる!」
レイドは腕を組んで、偉そうに僕にそう告げてきた。
(こいつは……一体何言ってんだ?)
「レイド! 何を言ってるの!」
「そうだぞー! お前何カッコつけてんだよ!」
「う、うるせぇ! シンなんかに頭を下げられるか!」
何やら言い争いをしているが、僕の心は冷め切ってしまっていた。関わるのはもう時間の無駄だろう。
「悪いが、僕はソロでやっていく。Sランククエストだって一人でこなせることが分かったんだ。今更お前と組む気はない。……じゃあな。」
そう吐き捨てた僕は、四人に背を向けて宿に歩み出した。
「シン! 話を——」
引き止めるレナの声が聞こえ、少し迷ってしまったが僕は振り向かず宿へと入っていた。

その日、宿の部屋に入るなりベッドに倒れた僕は、今後のソロクエストに無理矢理意識を向けて眠りについた。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

Side・ファナ
このパーティーに加入したのは失敗だった。
シンさんを追放したことでの能力低下も問題だが、なによりリーダーがダメだった。
初日の失敗の後もランクを落として何度かクエストに挑んだが、いずれも成功せず。毎回レイドはただ言い訳を並べ立てるだけだった。
調子が悪い、連携が上手く言ってない、レナの魔法の補助が足りない、などなど自分の事を棚に上げ、ボロボロの姿で責任転嫁ばかりしていた。
そして、シンさんに謝罪してパーティーに復帰してもらうべきと提案してところ、あんな態度をとって相手にもされなかった。
この男は、自分と相手の力量差すらわからないのかと呆れてしまった。
しかも、シンさんにすげなく断られた夜、酒場で彼が冒険者仲間としている会話を通りがかりに聞いてしまったが、酷いものだった。
「無能のシンがパーティーに戻りたいって言ってきたが、追い返してやったぜ!」
「さすがレイドさんだ、やっぱ未来のSランクは違うな!」
「Sランク候補でしかもメンバーは爆乳の美人揃いだろ? 羨ましいぜ!」
「だろう? シンみたいな冴えない男が俺の女達に色目を使うのは虫唾が走ってたんだ。これで正真正銘のハーレムパーティーになったってわけよ!」
汚い笑い声が混じる会話を耳にして、私の中で様々な言葉が浮かんでは消えていった。
この後に及んで、くだらない見栄を張る情けない男。
追放したとはいえ、メンバーだった人にそんな侮辱的な言葉を向けるなんて、底が浅すぎる。
それに、レナやニーナはあんたの女じゃないでしょう。
挙句知り合ったばかりの私にまでそんな目を向けているのか。
怒り、侮蔑、呆れ、失望。感情が矢継ぎ早に入れ替わり、私は静かに決断した。
こいつと一緒にいてはダメだ。
踵を返して、レナとニーナのいる宿へと私は歩き出した。

二人を私の部屋に呼び出して、話をすることにした。
「レナ、ニーナ、二人に確認したいことがあるの。……レイドとシンさん、どちらを取る?」
私は酒場で聞いたレイドの言葉をそのまま伝えた後、そう問いかけた。
聞いている最中、二人はシンの扱いや、自分の女扱いされたことに対して怒りを燃やしていた。
その話の中で二人が彼のクビに賛成した理由も分かった。レナはレイドに脅されて追放に賛成させられた。ニーナは最近のシンさんが怪我が多くなったことから不安になって賛成したらしい。二人ともが、シンさんの実力を近くにいたせいでまったく理解してなかったようだが、シンさんが憎いとかいう理由で追放した訳ではないとわかり、とりあえずは安心した。
「私だってシンと冒険したい……」
「そりゃ私も……シンのほうが楽しいし、いい奴じゃん。レイドがあんなにダメなら、そりゃシンとパーティーでいたいよ。」
レナは涙まじりに、ニーナは悔しげにこぼす。
「でも、私たちあんなひどいことしちゃった。シンだってもう私たちのこと嫌いになってる……」
「確かになー……今日追い返されたのも結構ショックだわ。」
確かに、観察した限りシンさんは、私たちを拒絶している。これから、また仲良くパーティーをしましょうと言っても難しいだろう。
しかし、今日のシンさんを見て、私は秘策を思いついていた。
正攻法ではないし、卑怯な手段だ。けれど、今思いつくのはこれくらいしかない。それに、私の前職での得意分野でもある。
「それに関しては私に秘策があるわ。……二人はシンさんを選ぶってことでいいのね?」
「……うん。」
「だな。」
どうやら決心は固まったようだ。
「そのためなら、私の指示に従える?」
真剣に見つめる私に、緊張しながらも二人は頷いてくれる。
「それじゃあ、まず明日の朝、レイドを呼びだすことから始めましょう。そして……」
その後、私たちは夜更けまで今後の作戦をすり合わせた。

翌朝。
集まった私たち三人は、レイドに厳しい視線を向けていた。
「お、おはよう? さ、三人ともどうしたんだ朝からそんな……?」
私たちの雰囲気に違和感を感じたのか、レイドは困惑した表情で目を泳がせていた。
「レイド、あなたに話があるの。……いいかしら?」
「お、おう」
私の冷え切った声に動揺しているのか、声を震わせ彼は小さな返事をした。
「——レイド、あなたをこのパーティーから追放します。」
「……っ、は、はぁ!? な、何言ってんだよ!?」
驚きからか、声を裏返らせて焦るレイド。すかさず私の左右から追撃が入る。
「賛成です。」
「私もー」
「レナ! ニーナ! お前らまで何言ってんだよ! お、俺はリーダーだぞ!」
あそこまで不甲斐ない姿を晒して、まだリーダー気取りとは、本当に底が浅い男だ。
「関係ありません。多数決で決定したのであなたは追放します。」
顔を真っ青にしてその場に崩れるレイド、仮に自棄になって暴力に訴えても、あの程度の剣術なら攻撃が届く前に返り討ちにできる。
「レナ、ニーナ……最後に何か言いたいことは?」
二人は小さく一歩踏み出すと、見下すような表情でレイドを睨みつけた。
「あ、あなたがシンに言ったこと、許さない。もし、シンに何かしようとしたら、わ、私が必ずあなたに報いを受けさせるから。」
少し震えた声だが、しっかりと言いたい事を言えたのか、レナは少し肩の力が抜けている。
「レイド、私達あんたの女じゃないからな? ハーレムプレイがしたいんなら娼館にでも行ってな、このスケベ野郎!」
ニーナは、レイドに自分の女扱いされていたことが相当頭にきてるらしかった。
そして、最後に私が口を開く。
「あなたに誘われてパーティーに入って、目標に近づいたかと思いましたが、ここまで下衆で無能で弱いリーダーとは思いませんでした。目障りですので、冒険者を辞め、一生酒場に引きこもり、取り巻き達に妄想の話でも吹き込みながら、お山の大将に転職することをお勧めします。」
ちっぽけな尊厳を傷つける罵倒に、レイドは涙目になりながら背を向けて、ゆらゆらと立ち去っていった。
「……さて、これで一つ目の問題は解決しました。」
「んじゃー」
「次はシンだね。」
二人の期待の視線を受けて、私は応えるように胸を張った。
「はい。まずは私に任せてください!」

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