第7話 【白き雷光】の日常
冒険者パーティー【白き雷光】
その名前を聞いた者たちは何を思い浮かべるのだろうか?
――ある者は、数々の難関クエストをクリアした偉大なるSランクパーティへ尊敬の眼差しを向けるだろう。
――またある者は、男を惑わせ、魅了するために生まれてきたかと思えるほどの美女が三人も集まった奇跡的なパーティーだと、熱い視線を向けて興奮を覚えるだろう。
「【白き雷光】の魔法剣士――シン」
路地の隅、建物の陰に身を隠しながらそう呟いた人影。
フードを被り表情が窺えないその人物は、【白き雷光】を鋭い眼差しで見つめていた。
まるで茂みから獲物に狙いを定める野生動物のように。
「……ん?」
男――魔法剣士のシンが気配を感じ振り向く。
「気の――せい……?」
しかし、そこにはもはや人影などはない。
「……シン、どうかしたの?」
気遣うようにローブ姿の大人しげな女性──魔術師のレナが声をかける。
「どした?」
軽い口調で声をかけたのは、レナとは正反対に露出的なショートパンツと胸布のみで僅かに体を隠すシーフ──ニーナだ。
「──怪しい気配を感じましたね」
慎重に絞り出すように声を発したのは、一際落ち着いた雰囲気を感じさせる女性──まるで体に張り付いているようにぴっちりとシスター服を着た賢者、ファナ。
男が一人、そして女──それも周囲から浮く程の美貌と官能的な肉体を持つ三人の美女。
道行く男達が例外なくシンへの嫉妬を向ける。彼等にとって他者からの注目は日常茶飯事だった。
しかし、
「ファナさんも気付きましたか。……何か違和感がありましたよね?」
「ええ、好奇心や嫉妬の視線でもなく、敵意に近いのに少し違う……不思議な気配でした」
二人はお互いの感覚を共有するように言葉を交わす。出会って一年も経っていないはずなのに、確かな絆を感じさせる所作だった。
そして、
むぎゅ♡
「──ちよっ! レナ、なにを!」
口を開かず、その豊満な体でもって二人の間に割り込んだのは魔術師のレナ。
「む~!」
シンの右腕を乳肉で包み、子供のように頬を膨らまし、言葉にせずとも明確な抗議を表明している。
ふにゅん♡
「ニ、ニーナも……!」
レナに続けとばかりに左腕にまとわりついてきたシーフのニーナ。
僅かな布で隠しただけの乳房は、レナと比べてより柔らかな感触と暖かさをシンの腕に伝える。
「にしし。二人だけで分かった風な空気出してるシンが悪いんだからな」
「む~! む~!」
からかうような左側と、幼児退行したように言語を話さない右側。
「ふ、二人とも……ちょ、やめ、道の真ん中、だから……!」
僅かなシンの抵抗も意に介さず、抱き着くだけではなく胸を擦りつけるように動く二人。先ほどまでの真剣な空気は消え失せて、男の象徴が少しづつ反応を示し始める。
「あ、あぅぅ。ほんと、だめぇ……」
腕から伝わるおっぱいの感触は快楽となって頭に流れ、下半身の奥にゾクゾクと気持ちよさを送り込む。
むぎゅぎゅ♡
「――もう、シンさん♡ 真面目な話の最中に興奮しちゃダメですよ♡」
空いている正面から、最後の一人である賢者のファナが抱き着いてくる。
「――ファ、ファナさんまでぇ……♡」
人目の多い大通りで美女三人に抱き着かれる男に、周囲にいた男たちの殺気が一斉に向けられる。
そんな嫉妬を燃料とするかのように三人は乳房を当て、つぶし、擦り、シンの性感を高めていく。
「おいおい、いいのかよ~? こんな真昼間からチンポ立たせて♡ 人も見てるんだぞ♡」
ニーナは煽るように囁き、露出された肌をくっつけるように密着する。
「そうですよ、シンさん♡ Sランクパーティーのメンバーがこんなところで興奮したら恥ずかしいですよ? おっぱいなんかに惑わされずに、ガ・マ・ン♡」
ファナは諫めながらも、男の胸板をなぞるように乳房を動かし続ける。
「む~! む~! むぅぅ~!」
言語を忘れたままのレナは、子犬が甘えるように頭を首筋に押し付け、離さないとばかりに抱き着き、腕の力を強める。
「さ、三人とも――本当にマズい、からぁ……♡」
三方向からのおっぱい押し付けにより、シンのペニスは完全に勃起し、頭が靄がかったようにふらつき、興奮を抑えられなくなる。
「ふふ、すっかり発情しちゃいましたね♡」
艶めかしい囁き。
「ま~た落ちたのかよ♡ 本当チョロ♡」
嘲るような呟き。
「む~! む~! ふんだ。……帰ったらイジメちゃうもんね♡」
可愛らしい嫉妬の声。
三者三様の美女たちの声にビクビクと体を反応させながら、シンは脳裏にこの後行われるであろうことを予想した。
(あぁ……♡ きっとまたアレされるぅ……♡)
「それじゃあシンさん♡ 帰ったらいつも通り――」
それは死刑宣告――もしくは天国への乗車券。
「「「――特訓♡」」」
「……ですよ♡」
「……だぞ♡」
「……しようね♡」
シンの体が言葉によって絶頂したかのように震えて、力が抜ける。
それを察した左右の二人が倒れ込まないように、力を込めて体を支えていた。
「は、はぁい……♡」
快感を覚えながら、朦朧とした頭で返答したシン。
そしてそのまま、抱き着いた二人に引きずられるようにしながら宿を目指して動き出した。
「今日は私がシンに特訓するからね! いいよね? ニーナ、ファナさん!」
「わぁーったよ、私たちはお手伝いだけにしとくからよ。ファナもいいだろ?」
「ふふっ、残念ですがレナの可愛らしい嫉妬が見れたのだし……今日はお譲りするわ」
和やかに話す三人は帰り道の間、ずっと帰宅後の可愛がり方――特訓方法を相談していた。
……その日、シンは数十回絶頂した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
Side・???
一方その頃、別の場所。
「ふん。ハーレム気取りってわけね」
薄暗い部屋の中、フードを被った人影が声を発していた。
「――様。計画通りでよろしいですか?」
それも、二人。
「えぇ、進めましょう。トドメは――私が刺すわ。ふふ……」
不穏な言葉を放ち、声の主は小さく笑った。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
他の漫画を見る