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第19話 悪戯妖精の贈り物

『『──ルッポォ♪』』
「え、本当!?」

性奉仕から解放された僕は心地良くぐったりした体を真っ白な石の床に横たわらせ、頭をレナの太腿に乗せていた。
髪を梳かすように優しい手つきで撫で続ける彼女の指先に、快楽とはまるで違う幸福感を覚える。

「レナ……妖精さんはなんて?」
「あ、えっとね『愛を見せてくれたからここから出してあげる』って!」

ようやくか……ま、まぁ僕も気持ち良かったから文句は言えないけど、人間の性行為を見たいだなんて変わった妖精なのかな?

『ブルルゥ?』
『トップ! タップ!』
「だ、だってキスくらいじゃ、その……我慢できなかったんだもん……。うぅ、この話はおしまいだよ!」
『『シュプー……♪』』

僕の頭上で何やらレナが妖精と言葉を交わしているがよく分からない。キスがどうとか言ってたけど……まぁ、いいか。

やがて会話が終わるとふよふよと二人が僕の顔面に近づいてきた。

『マゾマゾォ♪』
『レゼンプ、ピッレス♪』

言葉とともに体を光らせる妖精。瞬きの間に消えたその光の後、二人が抱えていたのは人間サイズの……ネックレス?

「ごめんレナ。二人はなんて?」

どこかからかう時のニーナを思い起こさせるニヤけ顔で、僕を見つめる妖精の言葉をレナに問うと、

「──えっ、あ、そ、そのぉ……」

何故か彼女は口籠る。

『マッゾォ♪』
『ザァーコ♪』

あれ? なんか馬鹿にされてる?

「ちょっと、もう! えっとね。うーん……『可愛いシンの助けになる首飾りです。これをお役立てください』み、みたいな事言ってるよ……?」
「……本当?」
「う、うん! もちろん!」

若干の疑問は残るが、未だ表情を変えない妖精から首飾りを受け取る。
見慣れない銀色に輝く紐と、透明な宝石。

価値などはわからないが、まぁ、きっと悪いものではないのだろう。
受け取ったそれを首にかけ、服にしまった。

「ありがとう。大事にするよ」

『『ルププゥ♪』』

僕のお礼に嬉しそうに応えて両手をバタつかせる二人。
そして、すぐに離れると再びその体が光に包まれる。

『テルル♪』
『ラプリ♪』

先程よりも大きく、神聖さを感じさせるその眩しさ。

「元の場所に転移させてくれるみたい」

そのレナの言葉と同時に、体がフワリと浮遊させるような奇妙な感覚がまとわりつく。

「よ、妖精さん! ありがとうね!」
「うん、ありがとう!」

この後に起こるであろう事を予測して感謝を伝える僕達に、二人の小人は別れを惜しむような寂しげな顔で手を振る。

そして──目の前の光景が瞬時に変化した。

「うぉっ!?」
「レナ、シンさん……」
「シン様!」
「はぁ……よかったわ」

仲間達の重い思いの声が響くそこは真っ白な狭い部屋からゴーレムと戦っていた広間。
「戻ってこれた……」
「よかった……シンのおかげだね♪」

一安心して地面に座り込む僕とレナを囲んだ、みんなが安堵の表情とともに質問を矢継ぎ早に投げる。

「……ったく。心配かけやがって」
「まったくだわ」
「お二方、ご無事で何よりでございます」
「一体何があったのかしら?」

「あぁ、えっとね──」

地下の不思議な部屋に落ちたこと。
妖精と出会い連れ戻してもらったこと。
行為に及んだことだけをぼかしつつ説明してる間、僕は心配させた罪悪感を感じていた。ちょっと後ろめたい表情をしていたレナも同じ気持ちだろう。

「──何もなかったのかしら?」
「う、うん! 何も……な、なかったよ!?」

察しのいいファナさんが悪戯っぽく見つめてきたため動揺を隠せず返答したが、他のメンバーのじっとりとした視線が少し痛い。

「さ、さて! ゴーレムのミスリルを回収しよっか! いや〜これだけあれば結構な金額になるね!」

取り繕ったような明るい僕の言葉にレナを含め全員が苦笑し動き出す。

何はともあれ、これでクエストは完了。
後は帰るだけ。うん。

「帰ったら詳しく聞かせてくださいね♡」

ファナさんの甘い声音の囁きは聞こえないフリをした。

「──ミ、ミスリルをこんなに沢山!? マ、マスター! マスター!?」

そして夕方。ギルドに戻り、机に乗り切らない程のミスリルの買取を依頼すると受付嬢さんが慌てて引っ込んでいく。
これだけの量のミスリルは運搬するだけでも一苦労だったが、

「ふふん。私のアイテムボックスのおかげね? 感謝していいのよ?」

アリスが所持していた魔道具のおかげで楽々運べた。
アイテムボックスは物質を異空間に収め、いつでも取り出せる便利な品。個体差で収容量の違いはあるが、アリスの所持しているこれは馬車数台分と上質な物で、恐らく値段もきっとかなりするだろう。
彼女は家にいた時からそれを所持しており、継母に見つからないようにずっと隠し通していたらしい。

「うん。アリスのおかげだね。ありがとう」

誇らしげに年齢不相応な胸を張る可愛らしい少女。その頭を子供にするように撫でると、

「あ、うぅ……わ、わかれば……いいのよ」

顔を赤くして恥ずかしがってしまった。

「にしし。わがままお嬢さんもシンには敵わねえな」
「う、うるさいわよ! ニーナ!」

じゃれつく子犬のようにやりあう二人を眺め、残った僕らは微笑ましいものを見つめるように目を細める。

「──お、お待たせしました」
「う、うむ。シンくん達がこれを……全く君には驚かされてばかりだな……」

息を切らして戻った受付嬢とギルドマスター。やっぱりこの量は驚くよね。

「それで、おいくらになるのかしら? ギルドマスターさん♡」

ファナさんが少し前屈みになり、やけに胸を強調する格好で問いかける。
したたかな色仕掛け。わかっていても男なら目が緩み釘付けになるその膨らみにギルドマスターもチラチラ目をやるが、

「──マスター?」
「は、はい!」

冷え切った声音と張り付けたような笑みを浮かべる受付嬢さんに釘を刺されて、慌てて目線を上げる。
ギルドマスターに同情するとともになにか変な……胸がチクリとするような気持ちが湧き上がった。

(──なんだろう?)

「ご、ごほん! ……す、少し鑑定に時間を頂きたい。申し訳ないが少し時間を置いてまた来てもらえるかな?」
「あら、残念♡ わかりました。ではそのように♡」

僕だったらすぐに屈してしまいそうな流し目を送り、さして残念がるわけでもなくファナさんが了承した。
この人は色んな意味で恐ろしい。仲間で良かったな。

「それじゃあどうしましょうか? 私は一応ここに残ろうと思うけど……」

メンバーを見回して告げた言葉に真っ先に反応したのはレナだった。

「あ、じゃあ私も残るよ。少しクエストで疲れちゃったし」
「私も残ろうかしら」
「アリスお嬢様が残るのでしたら私もお供いたします」

それに続いてアリスとカグヤもここに残ることに決めたらしい。
さて、僕はどうしようか──

むにゅん♡

「へ?」
「んじゃ、シンは借りてくな! くふふ」

考えてる間に突然腕に柔らかな感触が押しつけられる。

「ちょ、ニ、ニーナ……」

困惑する僕をよそに小柄な女性とは思えない力で出口に引っ張られていく。

「にしし。いーからいーから。悪いようにはしねえからさ♡ ほら、行くぞ」
「あー! ニーナずる──」

不満を叫ぶレナの声を置き去りにして、僕達二人は一気にギルドから飛び出ていた。

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