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第30話 罠だと気づいても今更遅い……?

夜。皆を見送り、着替えもせずに僕が一人でベッドに腰かけていると、ふいにドアがコンコンとノックされる。

「あ、あの……シン様……よろしいでしょうか……?」

聞こえたのはここ数日で随分聞きなれた少女の声。しかし、なぜかそれは怯えているかのように震えていた。
ベッドからゆっくり立ち上がり、ドアまで移動してノブを捻り、扉の前に立ちすくむ彼女を見る。

「夜分にどうかされました――って、ど、どうしたんですか?」

彼女の姿は可愛らしい寝間着の真っ白なワンピース。しかし、その所々に乱暴をされてできたような破れが見えた。
目尻から涙を一筋溢す庇護欲をくすぐる表情で、女性は縋るように僕に抱きついてくる。
皆のように凹凸が激しい訳でもない体だが、それでも男の自分とは大きく異なる柔らかさが感じられ、さらに甘く芳しい匂いが鼻をつく。

「お父様が……少しご乱心で……みっともない姿ですいません……」

指先をカタカタと震わせる姿はまさしく悲劇のヒロイン。思わず抱きしめて慰めたくなる程だ。

「それは……大変でしたね……。どうぞこちらに」

その彼女の肩を支えると寒さに耐えるような痙攣が僕の指先に伝わってくる。
慎重な手つきで彼女を連れ、ベッドに案内して座らせ、僕はその正面、話を聞くべく立って向かい合った。

「ぐす……シン様……私……怖いのです」

座るやいなや、涙と共に溜め込んでいたかのように弱音を吐く少女。
乱れ、破れた服から真っ白な肌がチラチラと覗く。
形の良いお腹。陶器のように滑らかな足や腕。そして発達途上の胸元が奥深くまで見え、その先端部の色の濃い部分がチラリと視界に入って目を逸らす。

「お父様があんな風になって……私にまで乱暴を……まるで獣のように……わ、私、恐ろしくて……」

自分よりも大きく力の強い男に歪な感情を向けられたのか、その恐怖に肩を震わせるように彼女はその身を守るように抱く。
その弾みで腰の布が少しズレ、下着が僅かに顔を出した。

「お願いがあるのです……シン様、その……」

涙で潤んだ上目遣い、同情と庇護欲、そして性欲までもを同時に刺激する眼差し。男なら即座に手を差し伸べたくなる表情。

「貴方様に……慰めていただきたいのです……」

そう言って彼女は肩から服をはらりとズラす。あどけない姿と妖艶さが混ざり合った不思議な色気。清楚で愛らしいのに淫猥さを感じさせる男を誘う仕草。

「どうか……お願いします……抱いて……いただけませんか?」

窺うような視線のその瞳の奥にはどこか妖しい光が灯っており、それに誘われるように僕は一歩踏み出す。
可愛いなと素直に思った。

「……いらしてください」

両手を広げ迎え入れる体勢を取った女性。男ならこの状況ですることなど一つしか無いだろうという場面。
それに対して、僕は、

「──その前に、一ついいですか?」

腰から剣を抜いて、その切先を胸元へと向ける。

「シン様……? な、なにを……?」

突然の抜刀に混乱したのか剣と僕の顔を交互に見る少女。傍目に見ればか弱い女子を襲う強盗のようだ。

「貴方は――誰ですか?」

そんな相手の疑問や質問をあえて無視し、脅すような格好のまま、低い声で問いかける。

「何をおっしゃっているのかわかりません! ……わ、私は領主の娘、ミオ・レクイルでございますよ?」
「──領主様は若くして妻を失い……娘はいないそうですね」

端的な僕の言葉に跳ねる眉。そこにほんの僅かな焦りのようなものが見えた。

「そ、そんなデタラメ、一体どなたが?」
「領主様がクビにした元騎士団の痴女が教えてくれましたよ」

クリスとララの事だ。けれど名前を言うより先に思い浮かんでしまった呼び方がふとこぼれた。
真面目な場面で痴女という言葉を思わず口にしてしまった後悔がうっすら湧き上がるが、それを無視して話を続ける。

「それはきっかけ程度ですよ。貴方は最初から怪しかった……ですから」

これは僕の洞察ではなくファナさんの受け売りだ。人の言葉を借りたせいで言葉尻が少し詰まってしまった。

そもそも彼女の怪しさは出会った時から垣間見えていたらしい。
町に来たばかりの僕達の前に突然現れたこと。目的に近い人物が監視していたように姿を見せるなど、偶然としても出来すぎていると思ったそうだ。そして出会ったばかりの見ず知らずの冒険者をトントン拍子に屋敷へと踏み込ませるなども普通に考えてどうかしている。
さらに、彼女は名乗ってもいない【白き雷光】というパーティー名を知っていた。そこもファナさんの疑惑を深めた。

館を最初に訪れた際、激昂する父親を言葉一つで納得させた姿に違和感を覚えたというのはアリスの弁。その様がまるで上から命令を下すように見えたという。
少なくともアリスの父親はそんな聞き分けのいいような状態ではなかったらしい。

そんな細かな疑惑と調査を合わせて僕らがたどり着いた結論は一つ。

「──もういいでしょう? ミオさん──いや、レイア!」

突きつけた言葉が響いた直後に訪れた沈黙。
そして、渇いた笑いが聞こえた。

「ふふ……ふふふっ、あは……ははははっ!」

人が変わったかのような妖しさを漂わせる女。
「――ふぅ……ふふ。バレてしまいましたか」

幼さの残る声音にやけに尊大な雰囲気を纏わせた物言い。
その口ぶりに先ほど見せた焦りなどは無く、まるでこうなることをわかっていたと言わんばかりの態度だった。

「あぁ、残念。もっと楽しもうと思ったのに。まぁ……どうせこの町から遠からずお暇しようと思っていたのですから。少し早い旅立ちという所でしょうかね? うふふ♡」
「──逃すとでも?」

切先を向けられているとはとても思えない余裕の態度。その笑みはまるで崩れることはない。

「えぇ、逃げられるわよ? だって──貴方は男だもの♡」

目の前の寝間着の少女の姿がその瞬間、夜空のような漆黒に包まれた。
僕ですら感じられる膨大な魔力の奔流。それに身震いするような危機を覚え、胸元だった場所を貫くように剣を突き刺す。
しかし掌に感じたのは肉を裂く感触ではなく、鉄がぶつかるような硬質な反発。
直後、剣が弾き飛ばされ、闇が晴れるように銀色が舞う。それは美しい長髪の輝きだった。

「――改めまして、ごきげんよう♡ 私はレイア……サキュバスのレイアよ♡ うふふ♡」

人外の美しさを見せる魔性の女がそこにいた。
幻想的な銀髪が宙を舞い、血が通っていないのかと思えるような真っ白な肌。妖艶と美しさを具現化したような見事な顔は敵だと分かっていてもつい目を惹きつけられる。
少女のものだった身長は大きくなり、僕の頭の上まで伸びており、純白の寝間着は漆黒のドレスへと姿を変えた。
短い裾、反対に長く手首まで伸びた袖。指先には真紅の爪が宝石のように輝いていた。
そしてそのドレスの胸元は首筋からお臍まで綺麗に分割されており、
たっぷん♡ ぷるん♡

ファナさん以上の爆乳がこれ見よがしに揺れていた。

「くっ! お前が領主を……そしてアリスの家をめちゃくちゃにした魔物か!」

たぷん♡ たぷん♡

「くす。全く素直なものね♡ どこを見ながら言っているのかしら♡」

揺れる胸から視線を何とか外そうと顔を捻り言葉を投げると、その様を見下したようなレイアの声が返って来る。悔しいがその点に関しては全く反論できない。

「でもいいわ……素直な子は好きよ♡ アナタ達の言う通り私がこの家も、あの小娘の家も……搾り取ってあげたの♡」

どこか官能的な物言いに心臓がビクリと跳ねた。

「男も沢山味わえたし、人間の町を乱す事もできた……お金や宝物は、まぁオマケみたいなものね♡ でも、とっても楽しめたわ♡ 特にあの小娘――アリスの絶望した顔は傑作だったわね♡」

ペラペラと非道な行いを楽しそうに語るサキュバス。なにより、大切な仲間――アリスを悲しませた事を嘲笑うように話すその声音は、性欲を掻き消すような怒りを僕に与えてくる。
「もういい、わかった。お前が全ての元凶なら容赦しない! ……みんな入ってきて!」
「なっ! ……まさかあなただけ残るというのは嘘……!?」

そう、皆が町を出回っているというのは彼女に対する罠だ。
男を一人置いて餌にしてヤツを誘い出す。そして、頃合いを見て皆は屋敷に戻り部屋の外で待機して、レイアが尻尾を出したら突入するという手筈になっていた。

「六対一ならお前に勝ち目はない。覚悟しろ!」
「そ、そんな……」

星屑のような銀髪を垂れる。顔を俯かせてそれを震わせるレイア。

「ふふふ……ふふっ……♡」

……そこから洩れる心底楽しそうな笑い声。

「な、何がおかしい!」

その時。僕の中では言いようのない不安が渦巻いていた。
正体の掴めないそれは暗闇の中、道を歩くような恐怖にも似ている。

「あははっ! ねぇ、アナタ――ううん、アナタたちって本当に可愛くてお馬鹿さんなのね♡」

恍惚とした顔。それは快楽に高まったような淫らな笑み。

「ねぇ? お仲間はいつになったら入ってくるのかしらね?」
あれ、そうだ。なんで? みんなは――来ないんだ?

「気づいてる? 私はただのサキュバスじゃないの上級
エルダー
サキュバスなの♡ 魔法妨害、認識阻害──お手のものよ?」

腕を組み、豊満な乳房を持ち上げながら勝ち誇るようにレイアは告げる。
まるで虫けらを見下し、愛玩動物を見つめるよう。

「人間の浅い考えなんて最初から分かっていたわ。……アナタを餌に私を誘い込めば簡単に騙されると思ったのかしら? あのファナって女も策士ぶったすまし顔で随分と陳腐な作戦を考えるじゃない♡」
「そんな……みんな! 聞こえないの!?」
艶めかしく乳を揺らしコチラを揶揄うように告げる。
罠に嵌めていたと思った自分がまんまと檻に閉じ込められた。そんな状況を信じられず声を張り上げるも誰も応える者はいない。いや……一人だけいた。

「ふふっ。むだ♡ もう貴方の仲間はこの部屋に入ることができない──入ろうと思えなくなっているのよ。今頃外で待ちくたびれているんじゃないかしら?」
「レナ! ニーナ! アリス! ファナさん! そんな馬鹿な……?」

無駄と分かっている叫びに、外から返事はない。ただの扉と壁。それがまるで決して崩れぬ砦のように感じる。
「私が魔法を解かない限り、この部屋には誰も入れないし誰も出れない。ふふっ……密室に男女二人きりなんて童貞君はイケナイ妄想しちゃうかしら? くす」
「くそっ! 《補助魔法》――身体強化!」
「そう――勇敢なのね♡ だったら……たっぷり遊んであげましょうか♡」

立ちふさがるエルダーサキュバスのレイア。
僕は彼女に向けて剣を振るうべく掌を握りしめた。

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