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第43話 女王の依頼とアリスのお買い物

お風呂でのあれこれの後、部屋に運ばれた豪勢な夕食をみんなで食べ。旅の疲れもあるだろうからということですぐに眠った僕達。ちなみにベッドの数は人数分あったが、レナが頑なに僕と一緒がいいと主張したため、夜じゅう抱き枕みたいにされてしまった。気持よかったが少し寝不足だ。
そして朝。朝食を頂いた後、使いであるリンさんが訪れ、再び女王の私室に赴く事に。

「――では女王様。昨日のお話の続きをお聞かせ願いますか?」
「いいでしょう。貴方たちのパーティーをSSランクに推薦するため、私のお願いを聞いてもらいたいのです」

ソファに座るなり、そう問いかけるファナさんに女王は鷹揚と頷いて応えた。

「……願いとは?」
「――最初に頼みたいのはエルフの里の調査です」
「エルフの里?」
「はい。実はあちらでは現在、少し懸念が生じているのです――」

ファナさんとラミィール女王の問答が繰り返されていく。聞きなれない言葉もいくつかあったが、要約すると他種族と交流の少ないエルフは今、代替わりのための後継者選びを数百年ぶりにしているとのこと。
女王の懸念とはその後継者候補についてらしい。

「今の長は中立派で外部とは最小限の関わりしか持たないエルフなのですが、次代の長の座を争う二人の者は立場が違うのです」

エルフ族の二人の後継者候補――エドガーという名の男性と、シャーリィという女性。両人はまるで別方向の主義主張を持っているという。
エドガーは端的に言えばエルフ至上主義。エルフが最も尊く、それを守るためには武力を用いることすら厭わない急進派。
対するシャーリィは平穏な関係を望んでおり、状況に応じては他種族との交流もやぶさかではないという穏和派。
その二人のどちらが長になるかで人間国の対応も変わる。そんな重大な場所への調査なのだが……。

「そんな大事な役目を私たちに任せていーのか――とと、良いんですか?」

女王相手に無礼な言葉を言いそうになり言葉を言い直し問いかけたニーナ。しかしラミィール女王は気を悪くした風もなく、それにあけすけに答える。

「えぇ、残念ながら私は手飼いの冒険者などがいないものでして、他に頼める相手もおりませんしね。軍や騎士団を派遣したらエドガー派にいらぬ刺激を与えてしまいます。かといって力が無きものを送り込んでもいざという時の対応が出来ない」
「表向きは自由な存在である冒険者。しかも、ある程度の実力があり、女王様の命令に従える駒――それが私たちだと」
「ふふ、賢者らしからぬはっきりとした物言い。話しが早くて助かります。……あぁ、もちろん何の後ろ盾もなしに行かせても仕方ないので親書や金銭的な補助もいたしますよ。どうでしょうか?」

貴族や女王の事情に詳しい訳ではないが、頼れる冒険者が他にいないと言うのは些か疑問が残るが、ここでそれを問い詰めても仕方がないだろう。ファナさんもそれを分かってか別の疑問を口に出す。

「……一つ質問がありますがよろしいですか?」
「ええ、かまいませんよ」
「先程『最初に頼みたい』と仰りましたが、この件だけではSSランクに推薦できないという事でしょうか?」
「それは結果次第です。SSランクというのはそれほど重い物ですよ? 現に私が王位についてから十年、誰一人この国でその地位に推薦した者はおりませんしね」

背筋に寒気が走る。女王とファナさんのやり取りにはどこか互いの喉元に剣を突き付けあうような恐ろしさを感じてしまう。女王の威圧を褒め称えるべきか、王に対しても決して退かないファナさんの胆力を誇るべきか。

「――かしこまりました。ですが、こちらからも一つお伝えしておきましょう」
「はい、聞きましょう」

細められた彼女の青い瞳。そこには確かな決意が光っている。

「……従順な飼い犬も主人の度が過ぎれば手を噛みますよ。――ガブリと♪」
「ふふ、ふふふ――はい。しかと胸に留めておきましょう」

僕ですら分かる。今、ファナさんは女王――この国の象徴とも言える人物に対して約束を反故にしたら復讐すると宣言したのだ。

「賢者ファナ。貴方とは良い付き合いができそうですね」
「うふふ。ありがたき幸せでございます」
「後の説明はリンにさせましょう。手配が必要な物なども彼女に。それでは――下がりなさい」
「はい、失礼いたします」

促され部屋を後にする僕ら。……多少ヒヤリと――いや首が晒されるような恐ろしい雰囲気の場面があったが、ともかく次なる目的は決まった。
後継者争いに揺れるエルフの里。僕らはそこを目指す。

「――エルフって見たことないけど。おとぎ話だと美形で細身の種族らしいし。変な事は起きないよね。うん、平気。きっと平気。シンはおっきいのが好きなんだから……」
「にひひ。そんな心配すんなって。まぁ、そうなったらなったで面白そうだけどな♪」
「あんたね……シンが何かしたら国際問題よ?」
「まぁまぁ、お嬢様。いざとなれば忍法でお止めいたしますので、ご安心を」

──だからなんでみんなの心配は僕が不埒な事をしないかについてなのだろうか? 甚だ心外だ。

エルフの里へと向かう。
しかし王都【ハルモニア】――というより人間領からかなりの距離があるそこに向かうため、色々と旅支度をすることになった。
各自が食料や備品の調達に向かう中、僕はアリスと一緒に街で買い物をすることに。
というのも、カグヤの勧め──というか指示があったのだ。

「──シン様。申し訳ないのですが、アリスお嬢様と下着を買いに行って頂けませんか?」
「し、下着⁉︎ えっと……僕が?」
唐突にも思えるお願いに困惑する僕をよそに、優秀なメイドである彼女はすらすらと理由を述べ出す。

「はい。お嬢様は一人でお買い物をしたことがなく、いささか不安でございますので是非お供いただきたいのです。残念ながら他の皆様方は私含めて旅支度で手が回らないのです」

確かに貴族のお嬢様ともなれば自分で買い物をする機会もなく、従者が気にするのも道理だろう。そして全員が旅支度に忙しいというのもその通りだ。

「けど、下着はあるからいいんじゃ──」

女性の下着事情に詳しくない僕の不用意な発言。それを聞いたカグヤが目の色を変える。

「なりません!」
「は、はひ⁉︎」

珍しく大きな声で主張する彼女。思わず変な返答が口から漏れる。

「こほん……失礼しました。良いですか? 女性の下着というのは適切なものを用意しないと体にいらぬ負荷がかかり、アリスお嬢様の可愛らしい肉体に悪影響でございます。そもそもお嬢様はまだまだ成長途中の子供です。しっかりと年齢に見合った良い下着を身につける必要がございます!」

一瞬冷めた熱が話すうちに再び高まり、口づけされるかと思うほどに顔を近づけて与えられる威圧感。やはり彼女にとってアリスの成長はそれほど大切な物なのだと思い知らされ、自分の浅はかな考えが恥ずかしくなる。

「はぁ、はぁ……で、ですので、シン様にご一緒にお選び頂きたいのです。お分かりいただけたでしょうか?」
「か、かしこまりました!」

息切れするほどに必死なメイドの心からの叫び。それに押されて僕は頷いてしまう。
――女の子の下着のことや選び方なんて何も分からないのに……!

そうして僕とアリスは王都【ハルモニア】で評判だと言う下着屋の前に来ていた。

看板は古めかしいが、外装は中々綺麗。どこか古きと新しきが混ざり合ったような印象を受けるその店は女性用下着専門店【人魚の鱗】というらしい。

「わぁ! シン、見てみなさいよ! とっても可愛い下着が一杯あるわ!」

ガラス張りで外からも窺える店内は、下着専門店らしく数多の下着が見えていた。色とりどりの布が釣り下げられていたり、人型に装着されていたりと綺麗に並べられている。
アリスは少女のように――いや年齢相応にその光景にはしゃいでいるが、僕のような男性にとっては入りにくい事この上ない。

「ほら行くわよ! 早く早く!」
「わ、わかったから――ちょ、ちょっと、引っ張らないでも行くから!」

鼻歌交じりで機嫌よさそうに進む少女に引き連れられて僕は店へと入っていく。故郷の村で子供達に遊んでとせがまれていた事を思い出してしまい、少しくすぐったい。

扉を開くと同時に金属質な鈴の音が響き、からからと僕らを出迎えた。外から見ていた以上に中は下着だらけ。しかし雑多な印象は持たず、丁寧に陳列されていることが素人目でも分かる。

「いらっしゃいませ!」
「……いらっしゃいませ」

店内には二人の従業員――僕よりほんの少し年上に見える優しそうな男性と、大人しそうなメイド服の少女がいた。
その少女は雰囲気は大人しそうではあったが、恰好は真逆に派手――というよりかは露出過多だった。まるでカグヤの恰好をそのまま縮小したようにも見えたが、見慣れた忍者メイドのそれと違い、やけにフリフリとした装飾が目を引く。
スカートは短く、肩や胸の上部に布が一切ないそれは、頭に付けたカチューシャが無ければメイドとは思えなかったかもしれない。
そんな大胆なに晒された胸元にあるのは、彼女自身の頭と同じくらいに大きな乳房。光の反射で輝いて見える美しい乳肌が蠱惑的だ。
アリスに匹敵する……いや、もしかしたらそれ以上かも――いや、考えるのはよそう。僕は下着選びの手伝いに来たのだ。

「すごい……あ、えっと、お邪魔するわ」

店内を見渡し感嘆を溢すアリスだったが、すぐにそれを引っ込めてお嬢様らしく店員に告げる。
……助かった。一瞬メイドさんを見ていたことはバレていないようだ。
変な風に思われ、あらぬ疑いを持たれないように視線を男性店員に向けると、彼は彼でアリスを見て顔を少し赤らめていた。

「――ご主人様」
「ひゃ、ひゃい! ど、どうぞご自由にご覧ください! 試着室は奥にございます! なにか御用がありましたらお声掛け下さいませ!」

下着屋の人だったらアリスみたいに可愛らしく素晴らしい体形の持ち主に慣れていると思ったが、どうやらそうでもないらしく、アリスに見惚れ、年下と見えるメイドさんにジト目で咎められている。なんか親近感が湧くなぁ……。

「ありがとう。では、見させてもらうわ。――あっ!ねぇねぇ、シンこれ見て⁉ 可愛いじゃない!」

優雅にドレスを摘まみお嬢様らしくお辞儀をした数秒後、アリスは別人に変貌したかのように僕の腕を引いて楽しそうに声をあげる。……む、胸を押し付けないでぇ。
そして僕は店員さん二人に会釈をして、アリスの下着選びへと挑むのだった。

「――うーん……。どれも素敵だけど迷うわね」

星を浮かばせているみたいに瞳を輝かせながらアリスはいくつもの下着を手に取っては広げて見比べている。分かっていた事だが、そのどれもがとても大きい。

「シンはどう思う? 意見を聞きたいわ!」

そして下着を両手に持ったままくるりと振り返り、僕へと視線を向けた。
真っ白で清楚、加えて細かな刺繍が施された大人びたものと、彼女の髪色と同じ水色で可憐なフリルがついた二つ。

「え、っと……うん、その、そうだね……」

まじまじと見ると気恥ずかしいし、そんな風に見せられるとそれを着けている目の前のアリスを妄想してしまい考えが回らず、口籠ることしかできない。

「はぁ……はっきりしないわね。いいわ、じゃあ着けてみる。──試着室お借りするわ」
「はい。どうぞごゆっくりご試着くださいませ」

煮え切らない僕に若干の呆れを見せ、彼女はメイドさんに声をかけて奥まった場所にある試着室に歩き出す。

「……ん? なにしてんの? あんたも来なさいよ?」
「えっ⁉︎ あ、う、うん……」

黙って見送ろうとしたところ彼女は僕について来るよう促す。まぁ、女性下着を男性が一人で見ていても変だしと思い、言われるがまま後に続いた。
店の奥、店員の目が届かない個室が並んだ場所。アリスは慣れたように部屋を遮る布を捲り、その一室に入っていく。そして、その前で直立している僕の耳に聞こえてきたのは衣擦れの音。
以前ファナさんが踊り子衣装に着替える時も感じたが、音だけしかわからないのにどうにも緊張するし、邪な想像が膨らんでしまう。
しゅる、かちゃ、しゅるる。そんな些細な響きだけで胸の鼓動が加速して、顔が熱くなってくる。

「ふぅん。噂通りとてもいい感じね」

ブラをつけ終わったのか、上機嫌に感想を漏らすアリス。どうやら気に入ったようで良かった。
そんな風に安堵していた時、

「──ねぇ、シンはどう思う⁉︎」

視界を遮る布をどかして、彼女が──上半身にブラをつけただけのアリスが突然姿を現した。
真っ白な布が透き通るような肌を遮る。その白と白の濃淡に、どこか神聖さを覚える。大きく膨らんだ胸を優しく、しかししっかりと固定するそれは天使の手で包まれているよう。……というか、おかしい。なんで見せてくるの⁉

「み、見せないで大丈夫だから⁉︎ は、早く閉めて!」
「何言ってんのよ……見なきゃ選べないでしょ? ほら、感想を聞かせなさい?」

揶揄うわけでも恥じらうわけでもなく、平然と──そして呆れた口調で彼女は僕に体を見せつける。これは僕が意識しすぎなのか? これが下着屋の普通なのか?

「ほら、こことかとっても可愛くない? 気品があって私にぴったりだわ」

そう自己評価を下しながら、彼女が胸の刺繍を指さす。アリスに他意はないのだろうが、そうされるとまるでおっぱいを見てと誘導されてるみたいでいやらしい気持ちが浮かんでしまう。

「変なの。何回も裸まで見てるんだからそんな赤くならなくてもいいのに。ま、どうでもいいから早く感想言いなさいよ」

体をくねらせ見せつけるように姿勢を変えるアリス。揺れるおっぱいにばかり目が行って、可愛いとか綺麗と言う以前の問題だ。
しかし、何か言わなければこの時間は終わりそうにない。ならば、羞恥に耐えて言葉を放つしかない!

「──お、大きさもピッタリでいいんじゃない?」
「はぁ……それだけ?」

マズイ。足りなかったみたいだ。ええと、ええとそれじゃあ──

「──ア、アリスの綺麗な肌を引き立たせる白がとても似合ってると思うよ⁉︎ あと、刺繍も品があってお嬢様みたいで魅力的だと思うな⁉︎ そ、それと谷間がしっかり持ち上げられて大人の色気を放ってて素敵だよ⁉︎」
「き、急に饒舌ね……? ま、まぁ私みたいな美しい大人な女性にはピッタリよね。……これ、買おうかしら。参考になったわ、ありがとう」

満足げな顔を浮かべて少女は仕切りの布を閉じ、ようやく姿を隠す。なんとか乗り切った。何を言ったのかもはや覚えていないが、納得してくれたのなら良かった。
そして、聞こえる衣擦れ。これで役目も終わり。そうこうしているとすぐに布が開かれる。
そう、僕は知らなかったのだ──

「じゃあ次はこれね♪ これは可愛らしさが強くてちょっと子供っぽいかも知れないけどどう?」

女性の買い物が果てしなく長く続くと言うことを。

「──ありがとうございました!」

店員さんに見送られ、下着屋を後にした。
結局あれから数十着を試着したアリスはその多くを購入し、見せられた僕は疲労とドキドキでぐったりしながら、下着が詰まった紙袋を執事のように両手に持って歩き出す。

「ふふん♪ 沢山買えてよかったわ! それに荷物持ちもいてとっても楽だわ♪」
「それは……良かったね……」

上機嫌のアリスは足取りも軽く王都を跳ねるように進んでいく。一方の僕は疲れと僅かに残ったムラつきでへっぴり腰。
そこそこの値段がする下着達だったが、女王から今回のサキュバス騒ぎを収めた件で多くの報奨金を貰っているため、大した負担にならない。それに、

「ふふ♪ 帰ったらレナとニーナに自慢しちゃお! ……なに? 私の顔になにかついてる?」

嬉しそうに顔を綻ばせるアリスについつい視線が向いてしまう。この笑顔が見られたら多少の疲れや出費なんてまったく気にもならなくなってしまう。まったく、とんだ魔性なお嬢様だ。

「……なんでもないよ。それより、あんまりレナ達に……へ、変なこと言わないでね」
「分かっているわよ。私だって大人なんだから弁えてるわ♪」

僕達は笑いながら皆の元へと帰る。ちなみに――

「――ずるい! アリスばっかりシンとデートしてズルい! 私も一緒に下着屋に行って選んでもらいたいよぉ! ねぇ、ファナ、お願い! 一日だけいいでしょ⁉」

自慢げに一日の事を楽しそうに話したアリス。しかも僕に見せつけただとか、僕があたふたして可笑しかったなど隠すこともなく無邪気に語り、それに対抗心を燃やしたレナが嫉妬してファナさんに休みをねだっていた。
そしてファナさんは「出発まで時間がないから却下ね」とあっさり切り捨てて、レナが嘆いていたがそれはまた別の話。
その夜、僕が眠るベッドにレナが入り、朝まで抱きしめて離さなかったのは言うまでもない。

それから目まぐるしい早さで旅支度を終えた僕達は、すぐに旅立ちの日を迎えた。

「――それでは、こちらは親書です。これがあれば追い返されることもないでしょう。どうかくれぐれもよろしくお願い致します」

女王との謁見を終わらせ、僕達【白き雷光】は馬車に乗って、旅立つ。
目指すは――エルフの里!

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