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第49話 エルフとの交流

「ニーナお姉ちゃん、私とも遊ぼー!」「あーずるい! 僕も僕も!」
「よーし。いいぞ、みんなで遊ぶかー! ほれ、アリスも来いよ!」

手合わせが終わった後、何人ものエルフに囲まれて困っていた僕を見かねて助け舟を出してくれた三人。その結果、子供たちはニーナとアリスが一緒に遊ぶ事となった。
最初はどこか窺うように縮こまっていた子供達だが、ニーナの気さくな性格のおかげか、その明るい雰囲気のおかげか。早くも子供たちに群がられてお姉ちゃんと親しまれている。

「小っちゃいお姉ちゃんの髪の毛綺麗!」「そのお洋服も可愛いー!」「お姫様? お姉ちゃんはお姫様なの?」
「わ、私は姫じゃなくて貴族の――ち、小っちゃいは余計です!」

そんな彼女に引っ張られてアリスが輪の中に入ると、エルフの子――特に女の子がその美しい水色の髪や、気品のある服装に憧れ混じりの眼差しを向ける。

「わー怒った!」「小っちゃいお姉ちゃん怒った!」
「よーし。じゃあ、ちっちゃいお姉ちゃんから皆で逃げるぞー! にしし!」
「ちょ、ちょっとニーナ! ……もう! わかったわよ! ほら、捕まえるわよ!」

そして、二人は子供たちと仲良く追いかけっこに興じる。アリスは仕方ないと言わんばかりに苦笑しつつも、どこか楽しそうだ。

「――いたっ! あ……う、うえぇぇん!」

しばらく元気よく遊んでいる彼女達だが、一人の小さな男の子が追いかけっこの際に躓いてしまい、膝に擦り傷を作って泣き出してしまう。
そこに駆け寄っていったのが、黒髪を揺らし、ローブに身を包んだ優しい魔法使い。

「ボク、大丈夫? お姉ちゃんが今治してあげるからね。……回復魔法
ヒール

真っ赤な瞳を心配げに細め、しかし、不安を与えぬように笑みも忘れず。レナは魔法を唱え、男の子の膝に柔らかな光を当てる。

「ぐすっ……うぅぅ……ひっく……あ、れ? 痛くない?」

泣きじゃくって瞳を赤くしていた彼は、魔法によって傷も痛みも癒えた事に気付くと、不思議そうな顔でレナを見つめた。

「ふふ、もう大丈夫だよ。ほら、痛くないでしょ?」
「う、うん。――お、お姉ちゃん、ありがとう!」

傷だった部分を軽く擦り、宥めるように囁くレナ。男の子はちょっと恥ずかしがりながらも、きちんとお礼を言って立ち上がる。
もしも自分があの子供と同じくらいの年で、彼女のように美しく優しい女性に治療されたらと思うと、恥ずかしく――妙にドキドキしてしまうのは想像に難くない。

「どういたしまして。それじゃあ、遊んでおいで?」
「うん! 後でお姉ちゃんも遊ぼうね!」

そして、少年はレナに手を振って再び追いかけっこに加わるべく走り出していく。
手を振り返して見送るレナ。そんな彼女に数人の女性エルフが近づいてきて話しかける。

「あなたその若さなのにとても魔法の扱いが上手ね?」
「人間って、もう少し魔法が苦手な印象があったわ」
「あ、ありがとうございます! で、でも、その……私なんてまだまだです」

子供と一緒に遊ぶニーナとアリスと離れ、レナはそれを見守る親と話を弾ませていた。
元気に遊ぶ様を眺めながら、魔法に感心して話しかけるエルフらにレナは少し人見知りをしながらも和やかに応対していた。
「それにあなた──ううん、あなた達みんなエルフみたいに美人ね?」
「エルフの血が混じってたりしないの?」
「お肌もハリがあって……若いって良いわねぇ……」
「あぅぅ、い、いえ、そんな……」

気づけばレナは質問責めだ。ちょっと困った様子だが嫌がってる訳でもなく、あたふたして可愛らしい。

「おい、人間の兄ちゃん! 次は俺と手合わせしてくれよ!」「僕にも剣、教えてー!」「僕も僕もー!」

三人がエルフと交流しているのを横目に見ていた僕は僕で、戦士と見られるエルフの男性達や、元気一杯の男の子と剣を合わせていた。
その中には、最初の方は女の子に混じって追いかけっこをしていた子もいる。
どうしたんだろうかとニーナとアリスの方を見つめて理由がわかった。

「おねーちゃんもちっちゃいおねーちゃんもすごいおっぱい大っきいねー!」「髪の毛も綺麗だし!」「お顔もすごい可愛い!」

追いかけっこが終わり、エルフの女の子達の興味はニーナとアリスに向いて、その美貌や体になんでなんでと質問を繰り返し、たまに羨ましがるように胸などに触れている。

「んー? しっかり食べてりゃお前らもいつかこんくらいになるぞー」
「ひゃんっ! ちょ、ちょっとくすぐったいわよ」

不躾にアリスの胸を揉み、その手を叩かれるニーナ。そんな女の子の姦しいお話は男の子にとっては退屈──もしくは気まずくて僕の方に逃げてきたのだろう。

「わかりました! それじゃあ順番にお相手しますね」

こうして、僕は彼らが持ってきた木剣を手にして、試合形式で剣をぶつけあったり、

「お! やっぱり兄ちゃん強いじゃねーか。グレイスを倒したのはまぐれじゃねーな」
「はは、ありがとうございます」

子供達と剣技というより少しお遊びに近いチャンバラをしたり、

「やぁ!」「えい!」「とりゃ!」
「おっと、よっ、ほっ……はは、もっと踏み込んで大丈夫だよ」

当初の目的である交流をすることが出来た。

子供達がふらつきながら繰り出す剣を軽くいなしていると、村で剣を習った時のことを思い出して懐かしくなるなぁ。

ほんの少し壁が崩れた。そんな気はするものの、未だ遠くから面白くなさそうに睨みつけてきたり、警戒を露わにしているエルフの姿も見える。
やはり種族間の溝は一日程度で埋まるものではないか。
なにはともあれ、今日のところは多少の成果をあげられたと考えれば上出来だろう。多分本意じゃないだろうが、先陣を切って挑んできてくれたグレイスに感謝しなくては。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

シン達が子供達と交流している間。カグヤとファナはといえば。

「はい、そうでございます。そうやって野菜を切れば味が染み込みやすくなり、より美味しくお召し上がりになれるかと」
「へぇ、こんなやり方が……」「流石メイドさんね」「とても物知りで助かるわ~」

忍者としての諜報で培った懐に入り込む技術の為せる技か、カグヤはさも当然のようにエルフの女性達の輪に潜り込めていた。
包丁を手にエルフの夫人達に料理などを教えるカグヤ。食事の習慣や調理方法等が人間と大きく違う彼女たちにとって、人間がもたらす新たな知識は新鮮のようで、教えを聞いた女性達は皆嬉しそうに頬を緩めている。

「さらに、この植物。エルフの里付近でも採れるこちらは、食事に混ぜると力になり……夫婦仲の促進にもとても効果的でございます」
「まぁ……」「最近ウチの人も元気ないし」「今晩作ってみようかしら」
「……それでしたら、奥様方。私がメイド秘伝の男をその気にさせる料理と、夜の営みへの誘導方法をお教え致しましょうか?」
「「「ぜ、ぜひ!」」」
「くす。かしこまりました。では料理からですが、精のつく――」

和やかに。そして、男には少し聞かせられない内緒話を含んだお料理教室は続く。

そしてもう一人。ファナは何をしているのかと言うと、

「なるほど、シャーリーさんは魔法の研究や、魔道具の制作がお仕事なのですね」

次期長候補のシャーリーと連れ添って、里を歩いていた。

「はい。私の血筋はその……他のエルフより魔法の才があったので、こうやって皆が不便なことがないか。必要としているものはないかと見回ることが日課なのです」

神秘的な美貌の金髪のエルフ、シャーリーと、妖しく人間離れしたような美しさを持つ同じく金髪のファナ。見る者によっては姉妹にも見えてしまいそうな見目麗しい二人の組み合わせは、歩いているだけで里の注目を集めている。
人間に抵抗のないエルフだけならまだしも、抵抗があるエルフもファナの美貌と肉体には思わず目を向けてしまう。それは男であっても女であっても同じだ。

「……では、この里で使われている魔道具等はシャーリーさんが作られたのですね」

昨晩宿泊した家にあった灯の魔道具や、お風呂で水を生み出す魔道具、そして湯を沸かす魔道具。それらを思い浮かべてファナは感心したように彼女に声を向ける。

「ええ、厳密には私の一家が代々そういった仕事を行っていますね。その理由もあり私は次期長候補に選ばれたのです。ただ……」

濁したシャーリーの言葉に「ただ?」と疑問を加えて繰り返すファナ。エルフの顔には少しの焦りのような色が浮かんでいた。

「……人間の皆様の知識や技術には到底及ばないのです。私どもエルフは長命で古からの知識や伝統などは多くありますが、それゆえに新たな発展に積極的でない者も多く、なかなか難しいところではあるのです」
「なるほど……それは難しい問題ですね」

ぽつりと溢すシャーリーを慰めるように相槌をうつファナ。
民族の行く末の問題。どのように生きていくのかの根幹に関わる話に正解はなく、発展を選ぶも現状維持を選ぶもどちらかが間違いなどと単純に片づけられない。しかしファナはもう一歩。ほんの少し踏み込んだ問いかけを投げる。

「けれど、シャーリーさんは長になった暁には人間との交流を増やし、技術の発展、生活の向上を目指しているのでしょう?」
「ええ、それが私の思いです。そして、エドガーとは正反対の主張であり、だかららこそエルフが二分するような形になってしまっているのです」

歩きながら離す二人。この里――エルフの行く末の話はファナや人間達にとっても他人事ではない。

「よぉ、シャーリー様。人間なんかとお散歩かい?」

そうして話していると、一人のエルフが近づいてきた。美形ではあるものの、兵士のような荒々しさを感じさせるその男は、敬称をつけているもののどこかシャーリーを小馬鹿にした雰囲気で、人間への侮蔑を隠そうともしない。
悪意を持って絡んできていることは明白だが、ファナは気を悪くすることもなく、無言で笑顔を張り付けて向き合う。そんな彼女に横のシャーリーが「エルフの戦士――エドガーの部下です」と小さく囁いて教えてくれる。

「人間なんかを里に引き連れて何をしようってんだ? まさか、例の噂通り魔物を――」

二人を見下したままエドガー派の戦士は、挑発するように言葉を重ねるが、それをファナが遮った。

「――こんにちは♪ エルフの勇敢な戦士様。私、ラミィール女王の使者として訪れました賢者のファナと申します♡ 以後、お見知りおきを♡」

ファナの挨拶。しかし、それはただの挨拶では済まない威力を持っている。
種族問わず、男の脳に染み込むような甘い声。見つめられてしまえば思わずトクンと心臓を跳ねさせる上目遣い。そして、お辞儀をしたことによって両腕で強調され、重力によって地面に引っ張られながらたぷんと揺れる豊満すぎる乳房。
理性を狂わすためのような仕草を見てしまえば、いかに人間を見下しているエルフの戦士とはいえ「……あ、あぁ」と漏れるような呻きを出すことが精一杯で、それ以上の嫌味や暴言など、浮かんでこない。
そして、ファナの手練手管はこの程度では済まないのだ。

「あら? 戦士様……髪に埃が♡ ――ふぅぅ~♡」

自然な口ぶりで戦士に一歩身を寄せ、その体が触れるギリギリまで近づき、彼の耳の辺りに吐息を吹きかけるファナ。些細な日常動作のはずなのにどこか官能的なそれを受けた男は「んぅ……っ」と悶えを堪えるような吐息を溢す。

「ふふ、取れましたわ。それでは戦士様? 私たちはこれで、失礼いたしますね」

ファナは戦士に向けて花が綻ぶような笑みを見せ、片目を閉じて小さく愛らしいウインクを送る。それを受けて呆けた男をその場に置き去りにし、シャーリーの手を引いて堂々と歩き出した。

「……ファ、ファナ様、その、なんというか、すごい……ですね?」
「うふふ、ありがとうございます。ああいった男性の扱いには慣れておりますから」

肌を見せつける訳でも、淫らな行為をした訳でもない。ただ自然な動作をしただけで自身に悪感情を向ける男の牙を抜くように大人しくさせた手腕に、困惑しながらも驚くシャーリー。

「シャーリーさん。もしよろしければ私が――お手伝いを致しましょうか?」

再び歩き始めて、ファナがそんな主語を省いた言葉を呟く。なにを言わんとしているのか朧気に理解するシャーリーが口を開く前に、彼女は声を継ぐ。

「私どもが手を貸せば、人間に反発しているエルフの男性も多少は好意的になると思われますよ。いかがですか? 悪い話ではないと思いますが」

ファナ達――いや、その後ろにいるラミィール女王としても人間との交流に前向きな自分が長となったほうが都合が良いことは、至極当然だとシャーリ自身も分かっている。
目の前のこの美しすぎるサキュバスのような女性の魅力。恐らく彼女にかかれば男性の扱いなど容易く、好きなように誘導することなど赤子の手を捻るように簡単だろう。
この賢者の手を掴めば、自分の求める未来に一歩近づく。そう思ったシャーリーだが、

「――その申し出はご遠慮します」

首を横に振るシャーリー。そうしてはっきりと言い切る様に僅かに驚いたのか、ファナが少し目を見開き「へぇ……」と吐息混じりに呟きを漏らした。

「長を決めるのはエルフの民であり、未来を決めるのもまた同じ。そこに人間の皆様の手助けや介入は不要です。これは私達の種族の厳正なる後継者選びです。皆様方のお望みの結末に向かわないかもしれませんが、どうぞ手を貸さず、見守り下さい」

その言葉を受け、ファナは自らの思い違いを省みた。目の前のエルフは年はわからないものの、初心そうで、優しく、エドガーよりも少し弱腰なのではないかと考えていたが、それは大きな間違いだと。
このシャーリーという女性は理想を掲げ、そのために正々堂々と戦う意志を持つ立派な女性だ。
正直、男を篭絡する手伝いをするという言葉は本心ではなかった。そんな小細工で長になろうと思っていたらその時点で彼女は人々を束ねる器ではない。そんな様子見で告げたが、思わぬ反撃を受けてしまった。

「これは差し出がましい言葉を失礼いたしました。……シャーリーさん、貴方はお強いですね」

そしてファナはホッとしたように笑う。目の前の人物についてわからないことの方が多く油断などは出来ない現状だが、少なくとも悪い風には転ばないだろうと。

「……ではお言葉通り、見守らせて頂きます。……ところで私共のパーティーの者がエルフの方達と交流していますが、そこはお許し頂けますか?」
「えぇ、エルフの者たちに人間の皆様と交流を持っていただくのは私としても望む所です。そこで人間とエルフの違い、交流していくことができるのかどうかを計ってもらいたいと思っています」

強かね。脳裏に浮かんだそんな単語を口に出さずに胸にしまい、ファナは笑った。

「それでは、行きましょうか。里を回ったら私の仕事場もご案内しますよ」

シャーリーも柔らかな笑みを浮かべてファナに応える。

(……そういえば、レナが言っていた隠しごとがあるかもという話……そんな素振りは今のところないわね……まぁ、引き続き色々と調べてみましょう)

そうして二人は里を再び歩き出す。互いの思いを抱えて。

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