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プロローグ:衝撃は突然に

───アイドルなんて、興味なかった。
三次元なんてくだらない、俺の恋人は二次元にいるぜって思ってた。
けど、あの子は。
ステージで輝き、歌う、あの子は。
綺羅野
きらの
ラミナは、違ったんだ───

「ウェーイ! 今日はウチのライブ来てくれてありがとー! ラストはこれでいくよ! ”ウチといつでもパーリー!” アゲてけアゲてけーっ!」

“全世界のオタクくんをアゲアゲにしてパーリーしちゃう、オタクに優しいギャル系アイドル”こと、綺羅野ラミナちゃん。
俺と同い年ながら、学校もアイドル活動も元気にこなしている。
明るく元気なパリピで、全世界のオタクくんの味方。
アゲてない雰囲気を持ち前の明るさでパーリーな感じにしてしまい、それはライブでも遺憾なく発揮される。

「ねえオタクくん達 ウチと遊ぼ♪
そんなとこで 漫画読んでないで♪
あ でもその漫画面白そう 後で貸してね♪
あのアニメ見たよ 円盤貸してよ♪」

彼女はファンのことを、”オタクくん”と呼ぶ。
歌詞は全てラミナちゃんが自分で書き、オタクくんである聞き手、ファンに語りかけるような内容となっている。
そんなとこでうじうじしてんな、ウチが盛り上げてやんよ、と。まさにオタクに優しいギャルが、オタクくんを外に引っ張り出すかのように。
俺自身も、そんな彼女に引っ張り出されてしまった勢だ。

「ゲーム借りに 家寄ってもいい?♪
オケ行く? ゲーセン行く? フェスでもいいよ♪
心配しないで ウチが盛り上げる♪」

お陰様で二次元にしか興味の無かった俺、釣沢奏芽
つりざわかなめ
は、あっという間に彼女の虜。この有様だ。
CDの通常版と限定版同時買い、さらには歌のサブスクはもちろん、雑誌やグッズも買い漁る毎日だ。

「いいでしょ ほら行こ♪
絶対でしょ マジ楽しいって♪」

挙げ句の果てに、こうして遠くのライブにまで遠征するほどになってしまった。
学生のお小遣いではチケット代と旅費だけで血涙を流すレベルだが、彼女の歌と姿を間近で堪能出来るなら、こんなの安い安い。

「みんな一緒にブチ上がって アゲていこうぜ♪
ココロ繋がって 何だって楽しい♪
ウチがまとめて パーリーにしてやんよ♪」

今歌っている新曲、”ウチといつでもパーリー!”は、瞬く間にCDの販売数及び国内のサブスク視聴数ナンバーワンに輝いた。
ネット配信が主流になりつつある昨今ではあるが、勢いだけで言えば、ミリオンヒット級の盛り上がりなのだそうだ。
序盤のラップから、アップテンポの後半へと繋がるキャッチーな曲調は、子供にも大人気だという。

「よっしゃー! オタクくーん、アゲまくってパーリー出来たかー!?」
「うおおおおおおおおお!」
「ライブはこれで終わりだけど、また来てよね! じゃあオタクくん、またねー!」
「うおおおおおおおおおおー! ラミナちゃーんっ!」

野太い声援を送る俺。
感動と興奮の中、俺はひたすらペンラを振るのだった。

───そしてライブ後は、お楽しみの握手会。
対面ブースから会場のゲートを抜けて外にまで続く、長蛇の列。
事前の抽選によって選ばれるファン以外にも、ライブ中にスマホを使ってミニゲームを行い当日抽選を行ってくれるので、こんなにも大勢が参加出来てしまうというわけだ。
本当に彼女はファンサが手厚いんだ。
ライブ後で疲れているだろうに、たくさんのファンと触れ合うために、ここまでしてくれるだなんて。
これは推したくなってしまうのも仕方がない。

「はい、次の方」
「あ、あっ、ハイ」

スタッフの人に呼ばれて、一対一の対面ブースに向かう俺。
心臓がバクバクと鳴って口から飛び出そうだ、一気に汗が噴き出してびしょ濡れだ、足と手が変な動きをしている。
何もわからないまま中に入ると、机を挟んだ向こうに彼女はいた。

俺と同じくらいの背丈、さらさらの流れるような金髪ロング。
ピースサインを作って口に当て、にへっと笑みを作っている。その瑞々しい唇には、薄いピンク色のリップが塗られていた。
その口には犬歯、牙が見える。可愛い。
耳には水色のピアスを着けていて、手も水色のグラデーションネイルが目立つ。
ステージ衣装は、それこそ学生の制服を模していて、白のブラウスに紺色のミニスカート、そしてカーディガンを腰に巻いている。
白ブラウスは腕まくりしていて、手首には水色のシュシュ。
赤色のネクタイを垂らしているが、胸元のボタンが外されて、ネクタイはもっちりたぷんっとした谷間の底に飲み込まれていた。

「なっっ……」

なっっが。なっがい長乳だ。
目の前で長い乳が、たゆんったぷんっと揺れている。長乳が作り出す谷間だって、凄くなっっがい。
ライブの時と違ってこうして間近で見ると、その大きさがよくわかる。
公式のサイズではバスト95のGカップということだったが、これ絶対そんな大きさじゃないだろってくらい長くて、柔らかそうに揺れていた。

「おーっすオタクくん! ウチのライブ、楽しんでくれた?」
「は、はいっ! めっっっちゃ楽しめましたっ!」

俺に満面の笑みで微笑みかけてくれる、綺羅野ラミナちゃん。
ああ、ああ、本物だ。
本物のラミナちゃんが、俺の目の前にいる。

「ほい、握手」
「アッヒ」

感動する俺の右手を取って、両手でぎゅうっと優しく握ってくれる。
細くてしなやかで、けれどもライブを終えたばかりで熱い彼女の手、そのぬくもりが、じわぁっと俺の手を通して伝わってきた。

「ぎゅっ、ぎゅっ、ぎゅ〜」
「あっあっあっ、ら、ラミナちゃんの手っ……! 手がっ……!」
「あははっ。せっかく握手会の抽選当たったんだからさ、いっぱい握手しなくちゃもったいないじゃん」
「オアア……っ、あ゛り゛がどう゛ござい゛ま゛ず!」
「声が野太い~。ウケるんだけど。……ねえねえ、今日どっから来たん?」
「え? あ、あの、H市から……」
「お、H市ってうちの事務所の近くだ。じゃあ今日は遠征? この会場まで? 結構遠いのに嬉しー! え、もしかして学生さん?」
「はいっ! ラミナちゃんと同い年ですっ!」
「マジ!? 同級生じゃーん! ほらほら、もっと握手しようよ! ぎゅぎゅ~」
「ふわわわわわわわ」

なんて心のこもったファンサだろうか。
本当に俺みたいなオタクにも、ラミナちゃんは優しいんだ。
伝説のオタクに優しいギャルは、実在したんだ。

そんなラミナちゃんの手は、少し汗ばんでいる。彼女の汗が俺の手に染み込むのを感じて、思わず身震いしてしまった。
それと同時に、彼女の香りが俺の鼻をくすぐった。
甘やかでいて爽やか、元気なラミナちゃんに似合う香り。そして少しだけ、火照った身体から漂う汗のにおい。
五感で感じるラミナちゃんに頭がクラクラして、今にも倒れてしまいそうだ。

「そんでオタクくんさあ、ウチのライブに来てちゃんとアゲアゲ出来たか~?」
「でっ、出来ました! 出来すぎました!」
「あははっ! 良し! ウチがこれからも、オタクくんを盛り上げてやっからな~!」
「あざます! 光栄です!」
「……ふーん」

その時、ふとラミナちゃんの目が俺の目を射貫く。
真っ直ぐで綺麗な瞳、直視することを躊躇ってしまうような視線を、俺は必死に、逸らさずに受け止めていた。

「すんすん……。オタクくん、いい感じの香水使ってる?」
「香水? い、いえ。そんなことは……別に」
「……そっかそっか!」
「え?」
「もうちょっと身嗜みに気を遣うと、”可愛いギャルとお付き合い”出来ちゃうかも?」
「えっっ」
「なんつってね! んじゃ、これからもよろしくぅ! また来てね!」

ぺちんとラミナちゃんに肩を叩かれて、俺はスタッフの人に連れ出された。
短いようで、けれども永遠のような、夢のような時間だった。
しっとり柔らかな手の感触はもちろん、その体温までも俺の手に残っている。

「おっ? 次は女の子じゃーん! やっほオタクちゃん、ライブ楽しめた? なーに、緊張してちゃもったいないって。一緒にギャルピースやろ、ほら。ウェーイ!」

後ろから、まだラミナちゃんの声が聞こえてくる。
ああ、彼女はいつも元気一杯だ。俺が雑誌やテレビで見る彼女そのままに、綺羅野ラミナは綺羅野ラミナなんだ。

ていうかそんなことよりちょっと待って待ってさっきのラミナちゃんの可愛いギャルとお付き合いって何何何何何なんなのなんなの。
えっ、身嗜みに気を遣っちゃうと、えっ、可愛いギャルと?
そしてまた来てね?
えっえっ。俺にまた抽選当てて会いに来て欲しいってこと?
えっえっえっ、ラミナちゃんとお付き合い出来ちゃうかもってこと?
そんな、待ってくれよ、こんな、こんなの、ガチ恋しちゃうじゃないかよ。俺、頭がおかしくなっちまうよ。

もしかしたら俺は、ラミナちゃんに顔を覚えてもらえたのかもしれない。
じっと顔見つめられたし。また来てねって言われたし。
営業? 社交辞令? ただのファンサ?
知ったことか!

「うおおおぉ……! ガチ恋勢、今までキモいって言って悪かった……! 俺は、俺はお前達の仲間だっ……! 今後ともよろしくっ……!」

───俺はそんなことをブツブツ呟き、途中警官から職務質問などを受けながら、帰宅の途についた。
自室に戻ると、俺はベッドに大の字に寝転がる。
そして何をするでもなく、ラミナちゃんと握ったその手を、飽きもせずにじっと眺めていた。

「この手に……ラミナちゃんが触れたんだ……」

ラミナちゃんの手の感触は、未だに残っている。
細くて、でも力強くて、柔らかい彼女の手。

「……手、洗えねー……」

洗いたくない。洗えない。
洗えないけど、そういうわけにもいかない。
昨今、危ないウィルスやら細菌も蔓延っているし、右手は利き腕だから学校でペンだって持てない。
いつかは洗わなければならない運命ならば、俺のすることは一つしかない。

「ラミナちゃんの残り香が、汗が、この手に残っているうちに! 彼女への想いと共に、抜くしかないだろうがっっ!」

服を脱ぎ、堂々と全裸になる俺。
そして机の奥から、厳重に封印した”綺羅野ラミナ写真集・ラミナはここにいるし(書店購入特典特別ブロマイド付き)”を取り出した。
最近発売され、空前の大ヒットを記録したラミナちゃんの1st写真集だ。
街中のギャルな姿や水着姿はもちろん、ブラウスを彼シャツのように羽織った姿や、さらにはレザーを着込んだ小悪魔姿でお腹に淫紋を浮かべたものまであった。
その見事なスタイル、主に長乳に、枯れ果てるまで抜く男が続出。
後にこの写真集の発売日を、ファンは”搾り取られ記念日”などと定めている。
俺もご多分に漏れず、ラミナちゃんの腋肉から長乳にかけてのラインを見ながら、枯れ果てるまで抜きまくった。
翌日、ゴミ箱を片付ける時の母親の顔が忘れられない。すまない母上。

「うおおおおおお! ラミナちゃんのにおいっ! 汗っ! はすはすはすはすはす!」

俺はラミナちゃんのにおいと写真集を使い、妄想を膨らませながら、何度も何度も射精した。
後悔の無いように、もしかしたら二度と訪れない握手会抽選当選という奇跡の余韻があるうちに、ありったけの精液を放出した。
ラミナちゃんを彼女にして、イチャラブセックスをしてしまう妄想をして。
ラミナちゃんをお嫁さんにしちゃって、子作りしちゃう妄想もしたりして。

いいんだ。そんな罪なことを考えたっていいんだ。
俺は今日から、ラミナちゃんのガチ恋勢なんだ。
ラミナちゃんと結ばれることを夢見る、純情ガチ恋オタクくんになるんだ。

「ほんのちょっと毛の先端くらいの可能性は感じたってバチは当たらないだろ! うおおおおおおおおお可能性! 可能性! 生涯推すぞおおおおお!」

賢者タイムは、サブスクのマイリストを聞いて過ごそう。
ああ、なんて幸せな、推し活ライフ───

───休日も明けた、月曜日。
ライブの余韻冷めやらぬ中、梅雨もまだだというのに茹だるような暑さにジリジリと焼かれながら、学校へと登校する俺。
だが今日の俺は、いつもと少し違う。
ラミナちゃんの言いつけ通りに、身嗜みに気を付けてみたのだ。
コンビニでブラシと櫛を買って髪を整え、香りはとりあえず制汗剤から始めてみることにした。香水はさすがにやり過ぎだし、何を付けたらいいのかさっぱりなので。
なんというか、たったそれだけで、自分の中の何かが変わったような気がした。
大らかで、性格が明るくなったような気がしたんだ。
おはよう太陽、どうしてお前はそんな全人類を焼き殺そうなんて勢いで地面を照らすんだ? でも俺は許そう。
おはよう学年主任、ラミナちゃんアクスタを没収したお前は絶対に許さない。

「おっす釣沢。お前、この前ラミナちゃんのライブ行ったんだろ? どうだった?」
「ああ、矢澤
やざわ
。おはよ」

───教室に入って席に着くと、友人の矢澤が話しかけてきた。
俺とほぼ同時期にアイドルオタクの沼に浸かってしまった、昔からの友人である。
矢澤はラミナちゃんとは違う、別のアイドルを追いかけている。

「最っっっっっ高だった……。生ラミナちゃんめっちゃ可愛くて、握手会もファンサ凄くてヤバかったぜ……」
「そうだろうそうだろう。推しを目の前にするってのは、感動の一言だろ」
「お陰様でガチ恋勢の仲間入りだ……。この俺が、まさかそんなことになるなんて……」
「俺はわかってたぜ釣沢。お前はそういう奴だってな」
「ふ……。矢澤、お前にはお見通しだったってわけか……」

そういう奴だってな、という言葉はやや引っ掛かるが、反論は出来ない。
なってしまった以上、それを受け入れてしまった以上は、何も言えないのだ。

「矢澤が推してるアイドルも、いつだったかライブあったんだろ? ラミナちゃんと人気を二分すると言われてるあの子」
「ああ、ちょっと前にな。俺の方も最高だった。握手会は無かったが、その代わり、帰りにゲートのとこで見送りに来てくれてさ」
「なんか、ダウナーな感じなんだっけ?」
「そう! 見送りなのに一瞥もされずに、ガム噛みながら膨らませてんの! 最高!」
「うわぁ……。それダウナーっていうか、ただの塩だな……」
「なんだけど、そんな中にチラリと見せる、僅かなオタクくんへ向けたデレがたまんねーんだよ! 一瞬、ほんの一瞬、ちょっとだけ微笑んで、ぱたぱた手を振ってくれたんだよ! 俺だけにっっ!」
「矢澤にだけじゃないと思うけど……、まあ良かったな」
「俺を見てくれたんだ俺を! もう結婚まで行くしかないだろ! うおおおおおおおおおおおっ!」

ガチ恋勢怖っ。過激派かよ。
終始こんな調子だから、これだからガチ恋勢は……って言われるんだよな。
恐ろしいから近寄らないでおこう。

───その時、不意に教室の入口が開いた。
まだホームルームには早い時間だったのだが、担任が時間でも間違えて、早くやって来てしまったのだろうか。
そう思って入口に目を向けると、俺は目を見開き、視界に入った存在を疑った。
クラスの中、そのあちこちから、ざわついた声が上がった。
誰もが驚き、机や椅子をガタつかせた。
ざわつきは、しかし、すぐに静寂へと変わった。

「……えっと、転校生の綺羅野ラミナです。オタクくんもパリピくんも、これからよろ~」

目を疑った。疑ったが、本物だった。
つい先日、この目で、間近で、その姿を見たのだから。
担任の爺さん教師に「転校生を紹介します」と連れられてきたのは、紛うことなき綺羅野ラミナちゃんその人だった。
顔も、笑顔も、アクセも、ネイルも、何もかもが本物の彼女だった。

静寂の後、クラス全員が息を吸った。
次に吐き出される、歓喜と絶叫のための前段階。
だが次の瞬間、吸われた空気は吐き出されることもなく、ごくんと飲み込まれた。

生えたからだ。
バサァっと、耳障りな、ノイズのような音を響かせて。
ラミナちゃんの制服を突き破り、黒く巨大なコウモリのような翼と、しなる鞭のような黒い尻尾が。
飲み込まれた空気は、再び静寂を作る。
その静寂を割るように、ラミナちゃんの声が響いた。

「”魅了走査
チャームスキャン
“」

ラミナちゃんのギャルピースと共に唱えられた、何かの言葉。
途端、握手会の会場で嗅いだラミナちゃんの甘やかな香りが、まるで突風のように、教室はおろか学校全体を覆い尽くさんばかりに吹き抜ける。
同時に、ギギギギギ……っと、ねじ巻きのおもちゃが動力を失う時のように、クラスメイト全員の動きが鈍くなり、やがて止まった。
そして、ぴくりとも動かなくなってしまったのだ。
だが、全員ではなかった。
俺とラミナちゃん、二人だけが、まるで時が止まったかのようなこの空間の中で、自由に動いていた。

「え……、えっ? お、おい矢澤? おい、みんな? どうした、おい。なんだこれ。何が……!」
「チャームスキャン、っていってね」

言葉を紡ぎながら、牙を見せるように笑い、俺に向かって歩き出す、悪魔のような姿のラミナちゃん。
何故かその瞳は、ピンク色に輝いているように見えた。

「薄い”魅了
チャーム
の魔法”を広範囲に撒き散らす”魔法”なんだ。抵抗力が無い普通の人間は、オスもメスも関係無く、こんな風に動きを止めちゃうの。……逆に、それに抵抗出来た人間は、一定の”精力”を持っているということになるってわけ」

コツコツと、ラミナちゃんは上履きの音を響かせて近づいてくる。
俺は声を出すことも出来ず、ただ彼女を見つめていた。

「ライブ会場でね、”なるたけ多くの人と握手会をして目星を付ける”の。美味しそうな精力を持ってる人間のオスくんは、においでわかるんだ。でも会場はすっごい範囲が広いし、人も多くて漏れが出やすいから、チャームスキャンは使えない。だから、目星を付けた人間のオスくんは、面倒だけど後で探してから”搾り取ってる”んだよね。……そしたらこの前ね、すっっごい”いいにおいのオスくん”を見つけたんだ。美味しそうな、ぐつぐつ煮詰まった濃い精力のにおい……」
「あ、あ、あ……っ」
「H市の学生さんって言ってたから、どこの学校かなってとりま適当に探しに来てみたの。……んで、いきなり見つけた。その時目星を付けたオタクくんを。だから魅了の魔法でちょっと先生達を”操作”して、転校してみたってわけ。そんで魅了走査
チャームスキャン
を使ったら、大当たり、ビンゴ! スキャン発動中の範囲内で動いてるのは、キミ、オタクくんだけ! しかも少しも動きが鈍くならないなんて!」

俺の目の前に立つ、ラミナちゃん。
けれど今の俺は、異様な寒さを感じて歯も手も足もガクガクと震えていた。
いつも見ていたあの可愛い笑顔も、長乳も、今はただ、恐怖でしかない。

「ウチのアドバイス、守ってくれたのかな? 身嗜み、気を付けてる感じじゃん。これだと、いい”お付き合い”が出来そうだね〜」
「あ、あ、あのっ、お、お付き合いって、そのっ……!」
「ねえ、オタクくんさあ」
「ひ、ひっ……!」
「精力、搾らせてよ」

れろぉ……っと、舌なめずりするラミナちゃん。
その顔に浮かんでいたのは、元気なパリピアイドルの表情ではなく、淫魔、サキュバスのそれだった───

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