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第27話 夜這い

トーワさんと恋人同士という関係になれたその日の夜。
魔素溜まりの状況と防衛要請についてはギルドへ情報も伝えられたそうです。
魔素の資源回収については村長と後で来る国の役人との話になるでしょう。
村人の人たちも大きな怪我一つなく一安心でした。
そうしてギールの村の宿屋にて。
私たちはそれぞれ一人に一部屋ずつで泊まっています。
いつもなら私たち銀翼のメンバーは宿に泊まる時は全員でまとめて一部屋だけを選ぶことが多いですが、部屋数に余裕もあったみたいなので今回は私の意見を通してもらいました。

「それではこれより第37回、銀翼会議を始めたいと思います」

トーワさんは今頃自室で寛いでいる頃ですかね。
アランさんはトーワさんによるとずっと酒場で飲んでいるはずだとのことです。
私の前にいるのはアイリさんとミーナさん。
集まってもらった理由はまだ伝えていません。

「んで? アタシ達はなんで集められたんだ?」

アイリさんが早速聞いてきました。
ようやく何の憂いもなく眠れると思ったんだが、と続けた。

「私は丁度良かったかもしれない。どうせ今日はしばらく眠れそうになかったから」

ミーナさんが嬉しそうにベッドの上でぽんぽんと跳ねている。
興奮冷めやらぬという様子だ。顔もニヤニヤとしている。
普段から表情が固めな彼女のこんな緩んだ顔は珍しいのかもしれません。
だけど今回ばかりは同意見ですね。
まさか私たちに恋人ができるとは……
アイリさんもニヤニヤしてたり、私も口の端が勝手に持ち上がるのを感じました。
二人とも仕方ないとは思いますけどソワソワしています。
私も人のことは言えませんけどね。今にも小躍りしそうなほど気持ちが高揚しているのを感じる。
まだ今の現実が信じられないというか……思えばよく成功しましたね。
今でも目を瞑れば鮮明にあの時のことを思い出せます。

『僕のお嫁さんになってください』

あ、駄目です。顔のニマニマが止まりません。
告白の成功がこんなに嬉しいことだとは……
あの時の言葉を思い出すだけで胸の音が聞こえそうなほどドキドキします。
そのまましばらく余韻に浸ってから、私は本題を思い出しました。
こほん、と咳ばらいをしてアイリさんとミーナさんの意識をこちらに向けてもらいます。

「集まってもらったのは他でもありません。後で揉めないためにも恨みっこなしという約束をしたいんです」

「?」

二人が首を傾げた。確かに今のは私の言葉が足りなかったですね。
もう一度補足を入れました。わざわざ口にするのも恥ずかしい気はしますが……

「寝床を共にすることも……も、もしかしたらですけど、あり得るんじゃないかなーと……」

動揺が広がった。
ミーナさんは目を見開かせ、アイリさんは「な……っ」と声を漏らしていました。

「婚前交渉ってお前……っていうか、一人一部屋ってそういうことかよ……」

「シルヴィは淫乱」

二人とも言いたい放題でした。
思わず怯みます……でもこれは私も物申したいですよ。

「で、でも、アイリさんもミーナさんも考えたことくらいあるはずですよ! 好きな人と愛を確かめ合う行為に憧れだって!」

「そういやシルヴィって顔に袋被らないセックスに憧れてたな」

そうです。夢が叶うかもしれないんです。
いつもの虚しい希望じゃなくて、手が届くようなところにそれはあるんですよ!

「私も……想像したことはある」

そうでしょう。
ミーナさんの同意を得て私も勢いづきます。

「……こういうのってどうやるんだ? マナーとかあんのか?」

しかし、アイリさんの言葉に考え込みました。
マナー……う、うーん。どうなんでしょう。全く知りません。
実は集まってもらったのは、そのことも知ってるなら教えてもらいたいなと。
詳しいことは分かりませんけど、いざという時に失敗したくもないですからね。
しかし、二人も詳しくはない様子。
私はとりあえず自分の意見を口にしました。

「最初はやっぱり優しく触れ合いたいですよね」

「同意。そこからは?」

「そうですね……えーと、私のエロエロな部分にトーワさんの指が触れるんですよ。それからお互いを求め合ったり」

あとはトーワさんのエロエロな部分に私の指が絡みついたりとか
そんな願望を言うとなぜか二人とも微妙な顔をしていました。
な、なぜ? 心なしか呆れられているような。

「駄目。下手」

「下手とか言わないでくださいよ……本番前に怖くなるじゃないですか……」

性行為での失敗ってどうなるんですかね。
今後気まずくなるかもと思うと怖いです……
その時を思い浮かべてゾッとした。トーワさんと気まずくなるなんて考えただけで胸が締め付けられます。

「じゃあミーナさんはどういう行為を考えてるんですか?」

ミーナさんの意見も聞きたいですね。
そこまで言うならと尋ねました。

「……尻尾や耳に触れてもらいたい」

なるほど?
尻尾や耳……?
獣人族特有の価値観みたいなものですかね。
上手く理解が出来ずにいるとアイリさんが、聞いたことがある。と説明してくれました。

「獣人族は心を許した相手でもない限り耳や尻尾を他人に触られるのを嫌がる、だっけか?」

言われてみれば私も聞いたことがある気がしました。
獣人族は耳や尻尾を普通は触らせない。
特に異性に触らせるのは婚姻でもしていない限りありえない。でしたっけ。
ミーナさんが以前に特別な行為だと言っていたのを思い出しました。

「そう。だからまずは頭を撫でて耳に触れてほしい……トーワのことだからきっと優しくしてくれると思う」

その光景を浮かべているのか、ミーナさんはとても幸せそうな表情でした。
恍惚の表情で上を見ている。
自分もあんな顔をしてしまっていたのだろうかと、少し表情を引き締めた。

「ミーナさんの耳って感覚的にはどうなんですか?」

この際なので聞いてみました。
妄想から現実に戻ってきたミーナさんが私の言葉に反応します。
銀翼は容姿から爪弾きにされてきた者の集まりだ。だからそういうことは聞きあぐねていました。

「感覚?」

「獣人族の方は位置や形が違うじゃないですか。触れられるとどういう感覚なのかなと」

ミーナさんの耳に視線を向けました。
駄目だとは分かっていても、少し気になってしまう。
そうして意識を向けていると、ミーナさんが睨んできます。

「……一応忠告しておく。私の耳に触れていいのはトーワだけ。できれば気を付けてほしい」

「す、すみません。ちょっとだけ気になって」

エルフ族の耳も同じように神聖な部位とされています。
さすがに不躾にミーナさんの耳を見過ぎてしまって触ろうとしていると思われたのかもしれない。
慌ててそんなつもりがないことを伝えます。誤解がないように謝りました。

「……感覚で言うならとても敏感。トーワに触られたらどうなるか……正直想像できない」

なるほど……
納得しているとミーナさんからも質問がやってきます。

「そういうシルヴィの耳は?」

耳が敏感なのは私も同じですね。
私も耳は弱いです。自分で触ってもぞわぞわしちゃう時がありますし。

「アイリは?」

そういえばアイリさんずっと黙ってますね。
顔を赤くしたまま会話に加わりません。

「アタシは……いや、そこは今いいだろ」

何やら照れていました。
アイリさんって何気に初心なところありますよね。
そのあたりの線引きはよく分かりませんが、猥談してるとたまに赤くなってるのを見ます。
それにしても、また待つことになりそうな……ん?
いや、でも、例えばですけど……

「夜這い、とか……」

「お、おい、マジでやめろ。せっかく上手くいったのに」

ふと、思ったことをそのまま口にしてしまうと、アイリさんが焦りながら私を止めました。
ま、また私は……っ、口に出しただけですからほんと!
慌てて訂正した。

「も、勿論私からなんてことはしませんけど、でもトーワさんから求められた場合は別じゃないですか?」

私達からなんて恐れ多すぎますし、怖すぎるのでできませんけど、トーワさんにその気があるなら話はまるで変わってきます。
アイリさんもミーナさんも考え込む。
婚前交渉を是とするか非とするかは人によって意見が分かれるところだと思います。

「……あり得る、のか?」

アイリさんがぽつりと口にしました。
少なくとも可能性が0じゃないことは理解してもらえたようでした。
そもそも初めての口づけと初めてを共にする権利はどうなるのか。
その辺りのことは私たちの間でも全然まとまってないです。
ずっとそういう関係になることばかりに気が向いて、その後こうなることについては話し合ってなかったので。
しばらく議論は白熱しました。ですが――

「……ないですよね。トーワさんは誠実で真面目な方ですし」

「だな」

「うん」

結局はこの結論に落ち着きました。
トーワさんとの付き合いはそこまで長くないですが、その人柄は理解しているつもりです。
私から言い出しておいてなんですが、期待通りの展開になる可能性は低いと思いました。

「今日はもう寝ますか。最近は寝つけてなかったので眠いです……」

「そうだな……」

アイリさんが背伸びをしました。
ミーナさんもふわっ、と眠そうに欠伸を零す。
あれこれ考えましたが、結局はその可能性はないということで二人はそれぞれ部屋に戻った。

「…………」

二人の姿が見えなくなると、私は思わず笑みを零した。甘いですよ二人とも。
今時婚前交渉なんて珍しくもないんですよ。と、どこかで聞いたことがあります。
男性はこういう時は狼になる方も珍しくない。はず。おそらく。
トーワさんだって男性ですからね。いくら真面目で誠実でも恋人になった初日の夜は特別なんですよ! たぶん!

「さて……」

水浴びしてきますかね。
仮にトーワさんが好みと言ってくれた容姿でも、やはり私は醜いエルフ。
油断は禁物です。せめて汚い女だと思われたくはありません。
体の隅々まで念入りに洗い流しました。汗の溜まりやすい箇所は更に念入りに。

布団の中で横になる。
告白成功の高揚もあり眠気は全く来ません。
それどころか夜を共にすることを想像してお腹の奥が火照ってきます。
ドキドキします。今日私は処女を散らすことが出来るのかもと思うと……

「……っ」

た、ただ横になってるだけだとどうなんですかね!?
ちょっとお布団をはだけさせたり、い、いやこれは全開すぎる……!?
背中向いていたほうが?
寝間着も少し、でも見せられるような……いやトーワさんは、でも……!

「~~~~っ!!」

体中が熱いです。
お待ちしています。
だから――

いつでも来てください。トーワさん。

朝の日差しが眩しいです……
結局一睡もできませんでした。
のそのそと緩慢な動きで起き上がる。
寝間着から普段の服に着替え、身だしなみを整えました。
鏡に映る自分の顔、いつもより少しだけ疲労の見える表情を確認してから、宿屋で泊まった部屋の扉を開けました。
丁度タイミングよく隣の部屋からトーワさんが顔を出します。

「あ、シルヴィさん。おはようございます。いい朝ですね」

「で、ですね……」

ほ、本当に来て頂けないとは……
予想通りにならなかった残念な気持ちと、好きな人の姿を見れた嬉しさで胸の内がぐるぐるします。
それでも結局はトーワさんが挨拶をしてくれたことで、あっさりと天秤は喜びに傾きました。
どれだけチョロいのでしょうか私は……
だけど朝までずっと悶々としていたので、なんだかふらふらします。
同じようにアイリさんとミーナさんが部屋から出てきました。
アイリさんとミーナさんの二人も目の下に隈が浮かんでいます。
トーワさんも私たちの様子を心配してくれたようでした。

「……皆眠そうですね?」

その言葉を受けてから他の二人と視線が交わる。口にはしませんが、何となく皆の表情で察しました。
全員寝不足の様子。しかし、思い描いた夜のあれこれの結果ではないことは顔を見るに明らかです。

「な、なんでもないです……枕が変わると眠れないんですよ」

皆を代表してそんな言い訳を口にしました。
まさかあなたからの夜這いを待っていました。なんて言えるはずもありません。
絶対引かれると思うので。
顔は部屋に備え付けられた水の魔石と桶で簡単に洗いましたが、もう一度目を覚ますために洗ってきた方がいいんでしょうか……

「ああ、なるほど」

トーワさんは寝不足の私たちを前にして「分かる気がします」と、そう言って柔和に笑っていた。
そういえばアイリさんとミーナさんには後で言いたいことがありました。
トーワさんがなかなか来てくれなくて、夜が更けていけばいくほど来てくれるかどうかが不安でついつい何度か部屋を出て隣の部屋を窺ったんですよね。
その時にやけにアイリさんとミーナさんの二人と遭遇しました。
わざわざ指摘はしませんでしたけど、絶対同じこと考えてましたよね。そんなにエッチしたいんですか。
アイリさんもミーナさんも私のこと馬鹿にできないじゃないですか。
まあ……二人も私と同じで不安なんだと思うと少し気は紛れましたけど。彼女たちも同じ気持ちだったんでしょうか。その時のことを思い出して少しおかしくなりました。

「あー、それでですね……」

なぜか顔を赤くするトーワさん。
様子がおかしいことにも疑問を持たずに私は彼を見る。

「折角なので皆で村の観光でもしませんか?」

トーワさんは私たちに観光のお誘いをしてくれました。
働かない頭で頷きます。
いくら恋人になれたと言ってもすぐに変化を求めたのは贅沢過ぎたんでしょうか。
トーワさんと恋人らしいことをするにはどうしたらいいんですかね……

「ん……え!?」

けど、頷いた後で気づきました。これ……で、デートなのでは?
一気に眠気が飛びました。

「と、トーワ。それって、デート?」

ミーナさんが確かめるように彼を見ます。

「……はい」

トーワさんが肯定した瞬間、アイリさんもいきなり元気を出して彼の隣に寄りました。

「いっ、いこう! 今すぐ!」

それを見てミーナさんも慌てていました。私もですけど。
さっきまでベッドの上の事しか考えてませんでしたが……これはこれで恋人らしいですよね。
いや、というより普通なら最初はそっちですよね。
いよいよもって私は自分が本当に”ムッツリ”なのではという疑問を否定できない気がしてきました。
ですが、それがどうでもいいと思えるほどに……私は人生初のデートに緊張するのでした。

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