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第46話 龍族の里

龍族の里への道は岩が剥き出しになった道とも言えないような悪路が続いた。
高低差が激しい地形が多く、時には揺れの激しい馬車に気持ち悪くなったり。
皆が平気そうなのはさすがだった。僕はきつかったので自分の力で回復させてもらった。
川が道を塞いでいたので、流れの途切れているところまで遠回りしたりと、とにかく険しいルートを通った。

「山の中に?」

「うん、もう少しだよ」

馬ってこんな高所も平気なのだろうか。
いくら僕が知ってるような馬よりも強い六脚馬とはいえこれはさすがに……
落ちたら死ぬだろうってくらいの断崖絶壁を見た時は背筋が寒くなった。
さすがに馬車は通れないんではと思ったけど、リズさん曰く抜け道があるらしい。
この辺りはもう地元と言えるそうで、龍族の里はもう目と鼻の先なのだとか。
そうして進むこと数時間。
岩場の多い道を進んでいくと徐々に白い外壁に覆われた巨大な門が開かれていた。
壮大さに驚いていると、白い外壁の正体が見えてくる。

「……頭骨ですかね、これ」

それは魔物の頭蓋骨らしきもので、よく見ると装飾が施されている。
大きさは比べ物にならないくらい大きいけど、形は爬虫類の骨によく似ていた。

「儀式や供物に、魔物を使うんだ。古いものは川に流して丁重に送り返している」

リズさんの言葉に「はー」とため息が零れる。
どこかの歴史か何かで聞いたことがある話だな。
確か食べた動物の骨に装飾を施して送り返すことによって再び訪れてもらう、だったかな?
その頭蓋の牙は僕の背丈よりも大きく、一目見ただけで圧倒される。
このサイズの魔物を討伐できるって、やっぱり龍族の人って凄いんだな。
他の種族よりも比較的長寿で生命力に溢れていて、老化による肉体の衰えは少ないらしい。
力も強いから種族としての人口は少なくても、他の種族からは一目置かれている存在なのだとか。

「着いたね。ここが龍族の里だよ」

もう一度周囲を見渡した。
イメージとしては僕の世界にあった世界遺産のマチュピチュが近いだろうか。
自然の地形を生かした天然の要塞にも思える。
門をくぐり、しばらく進むと広場に出た、そこには子供たちが遊んでいるのが目に入る。
僕たちに気づくと、遊ぶのをやめて興味深そうにこちらを見た来たけど声はかけられなかった。
あとは焚火をする老人が数人いたくらいだ。子供以外に若い人は今の所ほとんど見ていない。

「人は少ないんですね」

そんな僕の疑問にリズさんが答える。

「若い人は狩りにいってるのかもしれない。この時期なら門に飾るための魔物を狩猟したりとか」

リズさんの話を聞きながら歩みを進める。
空き家になっているところもあって、住居は岩をくり抜いたようなものが多かった。
商人の人も地形的に頻繁に来れないだろうし、他の文化との交流が少ないのだろうか。
それとも何か他の理由があったり?

「変わってるというか、低い家が多いな」

「ボクは初めて里以外の家を見た時の方が奇妙に見えたけど……閉鎖的なところで人が少ないから縦に伸びる必要がなかったんだったかな」

全体的に建物は背の低いものがほとんどで、高さのあるものは岩を積み重ねて作られた櫓のようなものだけだった。

「隙間風は粘土で塞いでるから、意外と中は温かいし快適だよ」

「なるほど……」

隣でミーナが深く頷いている。
「何か分かったの?」と、僕が声をかけたら、ミーナは小さく頷いた。

「こういうのは参考になる。そして家族が増えるならある程度の広さは必要だと感じた」

ま、またそっちの話か。
だけど将来的に三人も奥さんがいるなら今から考えるべきことだろうか。
僕に子供か……こうして実感すると感慨深かった。

「……そろそろだよ」

リズさんの声に前を向く。彼女が指を指しているのは他と変わらない背の低い住居。
清掃はされているようで入り口周りの落ち葉が少ない。

「そういやリズの母さんって巫女してるんだっけ?」

そういえば里に来る前に聞いたな。
確か、龍神様、とかいう神様の巫女なんだっけ。
それがリズさんの言っていたお母さんのお仕事なんだろうか。

「ああ、母は少しばかり目が特別でね……詳しいことは会ってから話そうか」

リズさんが「ただいま」と一言告げる。
仕切りがあり、それが退けられると、そこには二人の人物が座っていた。
リリーラ・ドラグニル。
それが道中で聞いていたリズさんのお母さんの名前だ。
灰色がかった肩までかかる髪、少し垂れ気味なまなじりをしている。
美人でリズさんとよく似ていて、姉と言われても信じられるほど若々しい。
その対面にはやや吊り上がった目をこちらに向ける初老の男性がいた。

「シグルドさん? すみません、母と話し中でしたか?」

「いや、むしろ丁度良かった。リズにも関係することだ」

シグルドという人物の声は力強く、一目見ただけで僕よりも大きいと分かる巨体だった。
取り込み中ということは察したけど、彼が言うには丁度いいとのことらしい。
僕たちはいてもいいんだろうか? なんて考えていたところでシグルドさんから目を向けられる。

「君たちは?」

その視線を受けてシルヴィさんが前に出る。
この辺りは経験があるのか、シルヴィさんは堂に入った動きで一礼した。

「申し遅れました。冒険者パーティー”銀翼”のリーダーを務めているシルヴィです。リズさんとは一緒に冒険者として活動をさせていただいています」

「なるほど、これはご丁寧にありがとう。そうか、そういえば冒険者をしてるんだったな。君たちはリズの友人ということか」

何度か頷いたシグルドさんは再びリズさんに視線を戻した。
だけど、向かい側のリリーラさんが声をあげた。

「……待ってください。私はまだ納得していません」

「リリーラさん、あなたがどう思っていようとこれは長老会の決定だ。里の人間としてこれには従ってもらわないと困るんだ」

「で、ですが」

二人で言い合っているけど、僕達には何のことなのか見当もつかない。
問題が起きているというのは分かるけど……

「なんにしてもリズの意思を聞かないことには……」

「まあ、そうだな」

そして、シグルドさんの意識がリズさんへと向けられる。
リズさんの名前を呼んだ。

「リズ、長老会の会合場所に来てほしい。大事な話がある」

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