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第58話 話し合い

「そうやって紆余曲折の末に今トーワ君とボクって付き合ってるんだよ? ずっと前から見守ってた人とついに結ばれたんだよ」

「リズ……それ昨日から何回目だ……?」

呆れた様子でアイリが口を挟む。
いや、これは何回話しても話足りないよ。
興奮と高揚で全く眠れなかったボクはその間ずっと皆とお喋りしていたのだった。

「というか見守ってたって物理的にですよね? ストーカーですよそれは……」

「何かあったら危ないじゃないか」

「傍から見たらお前がダントツで危険人物なんだが……」

ジト目でボクを見るアイリとシルヴィ。二人とも引いているようだけど、そんなにおかしいかな?
確かに少し怪しかった気はするけど、トーワ君に何かあってからじゃ遅いんだよ?

「あっ、待って! 勿論トイレや水浴びなんかは見てないよ?」

「当たり前だろ……シルヴィじゃあるまいし」

「え?」

「ちょおお!? じ、冗談ですよ!? アイリさんなりのジョークです! あはははは、いやですねぇアイリさんったら、そんなことするわけないじゃないですか」

「だ、だよね……よかった」

この手をシルヴィの血で汚さないでよかった。
隣でミーナは寝ちゃったけど、アイリとシルヴィは何だかんだで付き合いがよくずっとボクの自慢話のような会話に付き合ってくれていた。
ミーナもぎりぎりまで起きててくれてたんだけどね。
ちなみにだがトーワ君は隣のテントで眠っている。昨日は色々あったから熟睡していると思う。
多少騒いだくらいでは起きないかもしれない。

「……ん、まだ話してたの?」

ミーナが目をぐしぐしと擦りながら起きた。
身体を猫のように伸ばして凝りを解している。

「リズさん、ずっと同じ話してるんですよね……まあ気持ちは分かりますが」

「だってトーワ君と付き合えたんだよ?」

「それは分かった……でも、眠くないのか……? いやまあ、アタシも付き合えた日は似たようなテンションだったけどよ」

アイリも欠伸をしながら言ってきた。
確かに今日は徹夜という形になったし、流石に眠いだろう。
しかし「気持ちは分かる」と、言ってくれる仲間達には感謝したい。

「というか全員夜這いを期待して一睡もしてなかったような……」

シルヴィが苦笑い。そうだったんだ……その辺りはさすが皆歴戦の処女って感じだ。
そうだよね。期待しちゃうよね。分かる分かる。
うんうんと深く頷いた。

「ごめんね。でも無理に付き合わなくてもいいんだよ?」

しかし、ボクの方は眠れる気が全くしない。
不眠不休で何日も戦える気がする。
それもこれも最近の懸念が全部上手くいったからだろう。
アイリが「寝ようとしたらお前に起こされるんだが……」と、苦笑いを浮かべていた。

「眠れないならあれやります?」

「? あれ?」

ボクは首を傾げる。
アイリとミーナもあんまりピンと来ていないようで首を傾げていた。
そんなボク達を見てシルヴィが高らかに告げる。

「それではこれより銀翼会議を始めます!」

あーこれか。
このノリ懐かしいなぁ、銀翼会議。シルヴィが大事なことを話し合うなら大仰なくらいが丁度いいってことで名前をつけたんだよね。
今何回目くらい何だっけ?
そんなことを考えるボクの隣でミーナがスッと手を挙げる。

「……議題は?」

よくぞ聞いてくれた! とばかりにシルヴィがスッと立ち上がった。

「私が四番目という話ですが」

「本気。解散」

眠そうな顔で即答しこの場からそそくさと立ち上がるミーナ。
シルヴィが慌てて袖を掴んだ。

「服が伸びる、離してほしい」

「お願いします! なんで私にだけそんな冷たいんですか! 寂しいじゃないですかぁ……」

涙目で訴えるシルヴィに折れたのかため息をつきながら再び席に着くミーナ。
なんだかんだ優しいなぁ。

「けど順番に関しては確かに話したいことだね。そりゃボクだって一番になりたいけど、それじゃあ皆は納得しないだろう?」

「付き合った順番で言うならリズが最後だしな」

出会ったのはボクが最初だけどね。
しかし、そういうことならボクが四番目になるだろう。
それはそれで悔しいな。

「皆さんだって心配事とかあるんじゃないですか? この際そういうの話し合いましょうよ」

あ、復活してる。
けど心配事か……確かに多い。
ミーナやアイリも同じだろう。
折角だし自分の事を聞いてみようかな。
手を上げると「はい、リズさん!」とシルヴィに勢いよく指名された。

「昨日少し話したよね? それでさ、その時からトーワ君と妙に視線が合ったんだけどさ……こ、これってお誘いなのかな? 恋人同士のマナーっていうの? 分からなくてさ」

子供の頃は里に引き籠ってたボクは世間のそういった事情に疎い。
もしかしたらこれはトーワ君からの何かしらの誘いだったり……な、なんて。
と、皆に尋ねるけど、それぞれが微妙な顔をしていた。

「……まさかリズも拗らせていたとは」

「うん?」

言われた言葉の意味が分からない。
ボクが首を傾げるとミーナがやれやれと溜息を吐いた。
え、なに?
ボクだけが分かってないという疎外感を感じながら説明を求めるようにミーナを見る。

「恋人になってすぐに距離が縮まるというわけではない」

「……そうなの?」

「付き合い始めだとお互い緊張したり恥ずかしかったりで上手くいかないことも多い。視線が合うのは意識し合ってるからだと思う。私も最初はそうだった」

「なるほど……」

ミーナに諭されて今更ながら客観的に自分を見れた気がする。
分かる気がする。ボクもトーワ君の顔を見るとドキドキするし、前より自分が駄目になってるという感じがした。
言われてみればって感じだけど、今まで処女仲間だった年下のミーナに人生の先輩のように言われると何とも言えない違和感があった。
ミーナが先輩か……ふと二人の進展はどうなのか気になってくる。
道中でも相談されたけど、里に来てからはどうなんだろう?

「ミーナはその……トーワ君とどこまで進んでるの?」

自分で聞いておいてなんだけれど、いざ口に出すとなると結構照れる。
顔が熱くなるのを感じるけれど、それを無視して尋ねた。
するとミーナは目を逸らしながら俯きボソッと答えた。

「耳掃除」

「他には?」

と、尋ねたところミーナは耳をへにょっとさせて「……まだ」と答えた。
落ち込むミーナだったけど、それをアイリが「気にすんなよ」と慰めていた。

「トーワさんは優しいですけどその分奥手な方ですからね」

「いやいや、シルヴィは何も分かってないよ。そこがいいんじゃないか」

ストー、いや違う違う。普段見守ってた頃からトーワ君には手をかけさせられていた。
いつからかそれが僕の日々の活力になっていた気がする。

「大好きな人を支えるのが女の喜びだよ。また見守りたいなぁ……」

「……リズはトーワをストーキングしていたの?」

ミーナが引いている。
いやいや、ミーナには言われたくないよ。
聞けばトーワ君に貢いでるらしいじゃないか。
無理やり押し付けるのはよくない。

「……ふむ、しかし仮にそうだとしても、リズの行動の正当性を証明するものではない。ストーキングはよくないこと。私でも分かる」

「ミーナこそ、男の人に貢ぐなんて不健全だ」

「羨ましいくせに」

「羨ましいよ!!」

あ、羨ましいんだ……みたいな目をシルヴィとアイリが向けてきた。
そりゃそうだよ。ボクだってトーワ君にプレゼントしたい。
尽くしてる感じがなんか良い。

「ま、いいんじゃねーか? のんびりアタシらのペースで進んでいこうぜ」

そう言って朗らかに笑うアイリだった。
なんだろう。そのアイリの態度には不思議と余裕が見える。優越感さえ感じ取れるほどだ。
まさか二人の間で何かボク達にはない進展が……?
そう考えた時思い当たることがあった。
アイリの余裕の理由は……恐らくはボクの目撃したあの時のことだろう。

「アタシはトーワとキスしたぜ?」

「なっ!?」「み゛っ!?」

ピシャッと皆の後ろに心の衝撃を具現化した雷が落ちた幻影が見えた。
シルヴィが横で「ま、まさか無理やりですか!?」と失礼極まりないことを言っている。それを聞いたアイリがシルヴィの脇腹に手刀を入れていた。
ミーナが悲痛な顔で動揺を隠しきれず震える声でアイリに問う。

「い、いつ!?」

ここまで激しく動揺したミーナをボクは初めて見たかもしれない。
それだけ彼女の中で重要なことだったのだろうけど、アイリは容赦なくミーナに答える。

「里に来てからだな。トーワから誘ってくれたんだ」

ふふん、と自慢気に腕を組むアイリ。
その巨乳が挑発するように腕に乗せられている。
くっ、ボク達の中で一番大きいサイズのくせに……もぎ取ってやろうかその淫らな脂肪の塊……

「ま、アタシがリードってところだな。 精々ミーナが耳掃除止まりくらいだろ? トーワの一番はこりゃあアタシか?」

アイリが珍しくこちらを挑発してくる。
それだけトーワ君のことは譲れないという意思表示だろうか。
だけどそれならボクだって……

「分からないよ? トーワ君は、”ボクの”ファンらしいし」

思わず強調してしまった。
ムッとした表情のアイリが対抗してくる。

「それを言ったらアタシだってあいつの好みだろ……? ったく、”アタシみたいな”顔が好きってほんと頭おかしいよな」

しん……っ、と静寂が降りてきた。
数秒ほどの間の後、目が合い火花が散った。

「え、なに?」

「なんだよ?」

「喧嘩売ってる? 買うよ?」

こきっ、と拳を鳴らした。
しかし、アイリも負けじと「売ったのはお前からだろ?」と、その瞳を鋭く光らせる。
ボクも睨み返した。

「勝てるとでも思ってるの?」

「トーワは暴力を振るう女ってどう思うんだろうな?」

ミーナが「トーワの一番は私」と空気を読まずに参戦してきたことでもうてんやわんやだ。
控えめにシルヴィも「私も……」と恐る恐る手を挙げている。
その手をボクが叩き落したことで悶絶していた。

「そもそも顔の造形はボクが一番おかしくないかな?」

「それを言うならアタシだって似たようなもんだろ」

「しいて言うならだよ。否定はできないだろう?」

バチバチと火花を散らしているとミーナが不意に「そもそも」と言ってくる。

「美醜の価値観は主観的なもの。リズが満点の不細工だとしてそれがトーワにとっての満点である保証はない。もしかしたら90点くらいの不細工が好きかもしれない」

「……そりゃないだろ。トーワは不細工な方が好きだろうしな」

「それを決めるのはトーワ」

アイリが考え込む。
確かにボク達にトーワ君の価値観を知る術はない。

「一旦自分に都合のいい考えは捨てようぜ。まず顔は誰が一番ブスだと思う?」

客観的な意見が欲しいということか。しばらく皆で考え込む。
判断し辛いな。しかし、ここはやっぱり――と思っているとミーナが面白くなさそうに口を開いた。

「悔しいけど……恐らくはリズ」

「甲乙つけ難くないですか? 確かにリズさんの顔はちょっとした兵器レベルですけど」

いや、そこはボクも否定はしない。
有象無象の評価なんかよりトーワ君に好かれることが第一だから喜ばしいことだった。
むしろ誇らしい。

「胸は?」

「一番小さいのは私」

「小ささは関係ないだろ。大きいのはアタシだ」

「前にトーワさん形重視って言ってませんでした?」

形か……そこの詳細はボクは聞いていないな。
それに胸に関してはボクも含め皆の情報が少ない気がする。

「トーワが一番心を許しているのは私な気がする」

「馬鹿言うなよ。それこそ都合がいい考えだ」

もう収拾がつかない。
埒が明かないと思ったのかシルヴィが発言した。

「じゃあ、トーワさんに判断を委ねるのはどうかなって……トーワさんが一番好きな人は誰なのかっていう……」

確かにそれは良い案かもしれない。
トーワ君の意見を聞くのは大切だと思う。
だけど、もし仮にそれでボクが選ばれなかったらと思うと怖い。

「ありだな……」

と呟いたアイリ。
ぱんっ、と彼女が膝を叩いて立ち上がった。

「よし! トーワにアタシ達の中で誰が一番好きなのか選んでもらう……ってことでいいな?」

アイリの言葉に皆が首肯する。

「でもどうやって決めてもらうの?」

と尋ねた。
アイリは「直接聞くしかねーだろ?」と答える。

「もし選んでもらえたら初体験はその人ってことでいいんですかね?」

「……いい、恨みっこなし」

ミーナに続いてこちらも頷きを返した。何でもない風を装ったけど……大丈夫だろうか。
ボクはまだ付き合ったばかりだからちょっと自信がない。
だけど、自惚れかもしれないけど、自分が一番彼を想ってると思ってる。
その直感を信じよう。

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