車が走るところ、走ってはいけないところ
小学二年生だった頃の話だ。
当時、八歳だった僕は、毎日のように幼馴染であるところの気位透華と遊んでいたわけだが、遊び場所は気位家になることが多かった。
理由は、気位家には僕たちと遊んでくれる、七歳年上のお姉さん――気位遠華がいたからだ。
透華は姉がいるという理由であの自動車学校を選ぶくらいなので、シスコンのきらいがあって、それは子供の頃から変わらない。
僕は小学生の頃、一人っ子だからか、兄弟姉妹への強い憧れがあった。
そんな二人の元に、思春期真っただ中だというのに、一回りも小さな僕たちと愛想よく遊んでくれる遠華さんがいたのだから、彼女がいる気位家で遊ぶことになるのは自然なことだった。
ただ、ある日、事件が起きた。
忘れもしない。今のような暑い時期、僕たちはかくれんぼで遊んでいた。
「透華みっけ」
「おねーちゃん、見つけるのはやいー! ちゃんと目、閉じてる!?」
「閉じてる閉じてる。ウリはちっちゃいから――ベッドの下かな?」
「うっ……」
「はい、みっけ。次、透華が鬼なー」
「うぅ……いーち、にー」
透華が鬼になって、僕と遠華さんが隠れることになった。
「ウリ、こっちこっち」
あのときの遠華さんの、悪戯っぽい笑みは今でも思い出せる。
彼女が提案した隠れ場所は、遠華さんの部屋のクローゼットの中だった。
確か、二段に別れていて、上には布団がぎゅうぎゅうに積まれていて、下にはシーツなどの薄い布が、余裕を持って置かれていた。
僕は遠華さんに押し込まれるように、下の段――シーツなどの隙間へと入った。
「く、暗い……」
「ほら……ちゃんといるから平気だよ」
クローゼットの予想外の暗さに不安を覚えていると、遠華さんが体を寄せてくれて、すごくほっとしたことを覚えている。
「はぁ、はぁ……」
ただ、室内とはいえ、真夏に二人、狭い空間で密着していたものだから、すぐに汗だくになってしまった。
「はは、さすがに暑いな。そろそろ、透華がいじける頃だし、音でも出してあげるか……んしょ」
「…………」
遠華さんが体勢を変えた瞬間、彼女の頬の汗が、胸元へと垂れるのが見えた――目が、暗さに慣れたのだ。
僕はその汗を目で追ってしまって、気づいてしまった――遠華さんが、胸の谷間が見えるくらいの薄着だったことに。
エロのエの字も知らない僕だったが、当時から股間に悪い大きさをしていた遠華さんの胸の谷間に、視線が釘付けになってしまった――さすがに透華の胸は成長前なので、僕が女性の胸を窃視しないと決意する前の話である。
「ん?」
心の奥底に沸き立つムラムラとした感情――今でも抑えられないのに、小学二年の僕が抑えられるわけがない。
僕は勃起してしまったのだ。
「ウリ、エッチなこと、考えてるだろ?」
「わ、わかんないけど……そのっ、ちんちんがむずむずして……」
「ふーん……どうしよっかなー、精子はさすがにまだ作ってないだろうし……じゃあ、ウリ、目、閉じろ」
「え? こ、こう?」
「ちゅ♡」
「んっ!?」
「じゅ、じゅじゅ♡ ほら、ウリも、ちゅーって吸って♡」
「??? ちゅ、ちゅ……」
「んっ、うまいぞ♡ 次は、れーってベロ出して」
「れー?」
今考えると、何でされるがままになっているんだと思うが、暑さと興奮、唇への快感でわけがわからなくなっていた。
……まぁ、年上の女性の言いなりになるのは、今もそんなに変わらないが。
むしろ、このときに性癖が模られたのだろう。
「れろれろ、こう、やって……んっ♡ ベロとベロをくちゅくちゅって」
「れろ、くちゅ……」
「うまいな、ウリ♡ こりゃあ、将来有望だな……」
「え、遠華ちゃん、なんで……チューして……んっ」
「自分たちから出ていくと、透華が『なんで出てきたのー!? 自分で見つけたかったのにー!』って怒るから、ここにいるって教えてあげてるんだよ……だから、ほら、もっとじゅぱじゅぱ、音立ててやるぞ♡ じゅ、じゅるる♡」
「んぐっ……じゅ、じゅる、るる」
頭真っ白のまま、数分、遠華さんとキスを続けていると、
「何か音する……あっ、もしかして……!」
透華の声が聞こえた。
「来たな……でも、ははっ、ショタでも意外と満足できるもんだな」
「はぁ、はぁ……」
「続き、また今度な♡」
――これが、僕がファーストキスを奪われたときの話である。
それからも、隙を見ては遠華さんに唇を奪われ、次第に自分からも懇願するようになっていったわけだが、小学六年になる頃、高校卒業と共に遠華さんは実家を出たので、僕と彼女の関係はそこで途切れることとなった。
彼女が僕の性癖に残した爪痕というか、キスマークは大きく、僕は精通を夢精で迎えた人間なのだが、その際の夢は遠華さんとのキスシーンだったし、時たまするオナニーに使うオカズも、今考えてみるとキスをしながらのセックスだとか、そういうのが目に見えて多い。
ただ――あれは恋ではなかったと思う。
僕の初恋の相手は、透華だ。断言できる。
では、遠華さんは僕にとって、何だったのか――それはきっと、今日、知ることになる。
――――――――
「じゃあ、C教室ねー」
「はい」
「今日、彼女ちゃんはー?」
「登校日なので、午後から来るそうです――って、彼女じゃないですし、受付さんが予約を管理してるんですよね?」
「彼女いじりだよー、彼女いじりー。真面目だなー」
「…………」
「あれー? 今日は何だかいつも以上もむすーってしてるねー。おねーさんが久しぶりにヌいてあげよっかー?」
「っ……いえ、また今度――じゃなくて、遠慮しておきます」
「あははー、おねーさんはいつでも歓迎だよー――じゃー張り切ってねー、遠華ちゃんとの授業ー」
今日も素敵なにやけ笑いに送られて、クーラーの音がうるさいC教室へ――うるさいだけあって、クーラーの効きは確かなはずだが、どうしてか汗が止まらない。
予鈴、そして、
『道半場せんせー、1号車ー。荊妻せんせー、2号車ー。羽義尻先生3号車ー。蚊帳せんせー、学科ー。気位せんせー、C教室ー』
受付さんの声が響いた。
自分の心臓の音が、耳まで聞こえてくる。
遠華さんが来る前に、少しは落ち着いておきたいところだったが、早くも足音が聞こえてきた。
「よう、ウリ」
「……どうも」
遠華さんは、とても朗らかな笑顔で教室に入ってきた。
金髪の髪はさらさらと靡いていて、抜群のスタイルにノースリーブにホットパンツを合わせ――って、ホットパンツ!?
「はは、さすがのウリも見ちゃうか。ほれほれ、人妻のホットパンツ姿はエロかろう?」
思わず二度見してしまったが、すぐさま視線を顔に戻す。
「楓ちゃんが、サイズの小さいシャツ着てったら喜んでくれたって言ってたから、あたしもウリ専用に着てあげようと思って――どう?」
「どうっていうか……どうかと思います」
「あら、嫌いか。ホットパンツ」
「嫌いじゃないですけど……遠華さん」
「何だよ、改まって」
「……何でこんなことするんですか?」
「?」
「……いい旦那さんだって聞きました」
この田舎町の中ではトップレベルの収入、見た目もいい――お姉ちゃんにはもったいないと透華から聞いた話ではあるが、もしそうなら僕で性欲を満たす必要なんてないはずだ。
「馬鹿だなー、ウリ……」
遠華さんは、満面の笑みで言う。
「だからこそだろ?」
「――――」
「足りないところに、足したって満ちるだけなんだよ――満ちてるところから、さらに足さないと漏れないだろ? セックスなんて潮、漏らしてからが本番なのに」
――そうだった。
この人、頭の螺子が外れてるんだった。
「それにあたしが選んだ男だぜ? NTR報告プレイするくらいの気概はある――多分」
「いや、でも……!」
僕の抗議は、チャイムに遮られる。
「――観念しろよ。楓の授業を受けた時点で、お前にはもう選択肢はないの」
「…………」
「教科書用意しろー。48ページな」
言われるがまま、教科書を開く――確かに、僕に拒否権はない。
「今日は車が走行する場所、走行しちゃダメな場所、そして、チンポを入れていい場所、駄目な場所――マンコの構造を勉強するから、気合入れてけよー。もちろん、構造を教えるだけで、入れさせてはやらないから、期待すんな」
「は、はぁ……」
荊妻さんはあくまで事務的だったので興奮できたが、ここまであっさりと淫語を言われると反応に困る。
「ほーら、早くチンポ出せ。どれだけデカくなったのかなぁー?」
目を輝かせて、遠華さんは僕の隣へ――期待の眼差しに応えて、ズボンを下ろす。
「わーお、でっか……っていうか、グダグダ言ってたくせに準備万端じゃーん。まぁ、昔からすぐ立ってたもんな――残念。手伝ってやろうと思ってたのに……」
僕のパンパンに膨らんだ棒を見て、遠華さんはすぐさま手を伸ばしてきた――指が、幹にそっと添えられる。
「はは、びくびく悦んでる……やっぱ嬉しいんじゃん」
「そ、そりゃあ、嬉しくないわけ、ないじゃないですか……」
幼馴染の姉、しかも人妻にチンポ握られる――男冥利に尽きると思えるほどの下種になったつもりはないが、嬉しくないと言えるほど萎えてはいない。
「ただ、ざんねーん。あたしは他の教官と違って、精子に飢えてないので、今日はあんまりぴゅっぴゅしませーん!」
「え?」
言って、手を離した遠華さん――チンポが名残惜しそうに、ぴくんと震える。
「二回くらいかな。早漏改善は他の二人に頑張ってもらって、あたしは勝手に楽しませてもらいまーす!」
「…………」
「空になるまでイキたかったか?」
「い、いえ……」
何だろう、50分で二回の射精――これが一般的でかつ、健全な射精回数ではないかと思うのだが、物足りなく感じてしまう自分がいる。
多分、賢者タイムになったら、こんな気は失せるんだろうが……もう楓さんと荊妻さんに調教されてしまったということなのかもしれない。
「安心しろ。満足はさせてやるからさ……じゃあ、始めるぞ」
遠華さんは隣から教科書を覗き込むようにして、解説を始める。
「当たり前だけど、車は歩道と車道が区別されていたら、車道を走らなきゃいけない――ちゅ♡」
「――――」
――頬を、軽く吸われる感覚。
「はは、なんつー顔してんのさ。だから引継ぎに、『射精を我慢しているときの顔が可愛い。イかせてあげたくなる』なんて書かれる……ってやば。弓ちゃんに怒られる。聞かなかったことにして」
荊妻さんが僕のことを可愛いと? それが本当なら、すごく嬉しい――い、いや、それどころではない。
なぜ、唐突にキスを……。
「楓の授業では、チンコに知識を刻み込んだらしいけど、あたしの授業では全身で覚えてもらうから――お前の大好きなちゅーで」
――――――――
「中央線は絶対、道路の中央にあるわけじゃない。片側は一車線、反対が二車線ある道路とかな――ここはよく出るとこだから、乳首にしとくか。じゅ♡」
「っ……」
「じゅる……ちゅぅう……♡ ビンビンだな♡ 女の子みたいだ……れろ♡」
授業開始から20分――僕の裸体はキスマークだらけになっていた。
「路側帯の種類も、ちゃんと覚えろよ? じゃあ、ほどよく割れた腹筋に。いやー、随分スケベな体になって……白の実線は路側帯、ちゅ……ぱっ♡ 車道側から実線、点線になっているのが駐停車禁止路側帯……おいおい、駐停車の『ちゅう』でおちんぽビクビクさせんなよ。スケベだなぁ……ちゅ、じゅるる♡ 二つの実線が、れろれろ……歩行者用路側帯……はむ♡ 車道外側線と、間違えるなよ……」
顔や首には唇を当てたり、舐めたりする程度にしてくれている辺り、ちゃんと気遣いできる大人なのだが……なんてプレイだ。本当に性癖が捻じれている。
「体中キスされただけで、我慢汁垂れ流しになってる奴に言われたくないな。ちゅる……♡」
「あ、あなたに曲げられたんですよ……くっ」
性感帯でも何でもないところに口づけされているだけなのに、溢れる性欲が止まらない。
遠華さんの唇が触れた細胞が、片っ端から発情させられているかのようだ。
「よしっ、じゃあ問題出すぞ。正解したらご褒美、間違ったら、もう一周――もっとしたいからって、わざと間違えるなよ。この後はもっと楽しいことが待ってるからな」
「はぁ、はぁ……」
正直、何も頭に入ってこなかった。
完全に、楓さんのときと同じ轍を踏んでしまったが……こんな特殊プレイにすぐさま対応しろなんて、無理な話だ。
「第一問、『人がいないことが確認できたら、歩道や路側帯は徐行して通行していい』」
いきなりわからない。
普段、歩道を歩いているときのことを思い返してみる――みんな、そのまま入ったり、出ていく気がする。
「〇ですか?」
「ぶぶー。一時停止しなきゃなんだよなー、実は……じゅぱ♡」
「っ!」
「右肩甲骨に教えたよな? じゅぅ……ぱっ♡!」
「す、すみません……」
「まぁ、これは結構な人が守ってないな。面倒なのはわかるけど、ちゃんと守るんだぞ」
「は、はい」
「じゃあ、もう一周行くぞ。時間もないから、ぱぱっとな。ちゅ……♡」
――――――――
「最後はサービス問題。『中央線は道路の中央にある』」
右の乳首を舌で撫でられたような感覚。
「ば、×です」
「正解」
「ふぅ……」
何とか二周目でクリアできた……チンポリンク学習もそうだったが、意外と効果があるのが何とも言えない気分になる。
「よーし、おっけー。じゃあ、ご褒美な――何だと思う?」
ニコリと微笑む遠華さん。
「な、何でしょう?」
「わかってるくせに……」
遠華さんはペロリと舌なめずり――爽やかな笑みが、艶やかな笑みに変わる。
「久しぶりにやってあげるぞ」
「――っ」
遠華さんが、こちらの膝に跨ってきた。ホットパンツからむき出しになったムチムチの太ももと、僕の固い太ももが重なる――っていうか、こんなにいい太ももだったのか。
手足が長いからか、あまり太いという印象はなかったが……僕の太ももの上で、むにっと広がった太ももは大迫力、撫でまわしたい衝動に駆られる。
「ほら、目、瞑って」
が、それどころではない。
遠華さんは僕の背中に腕をゆっくりと回して、そのまま顔を近づけてくる。
……フラッシュバックする。
あの、唾液と卑猥な音に塗れた日々が。
「んー……」
「んっ……」
まず、唇を合わせる。
「ちゅ♡」
唇に走るくすぐったい快感――懐かしい。
遠華さんのぷにぷにの唇。
あまりにもこの感触が好きで、手で触らせてもらったこともある。
「ん、れー……♡」
舌が入ってきたので、力を抜いて受け入れる。
「れろ……れろれろ♡」
無抵抗の僕の舌を、遠華さんの舌が転がしていく。
左右上下、裏側まで丁寧に舐められていく――気持ちいい。背中から腰にかけて、ガクガクと緊張と弛緩を繰り返す。
子供の頃はわけもわからず気持ちよかった。
たが、歳を重ね、スケベに対する知識を高めた今は、理性的にこのキスがテクニカルで、心地いいことがわかる。
緩急自在の舌使いだったり、くちゅくちゅと唾液を送り込んできたり、背中に回した手で僕の些細な反応を感知、敏感な部分を責めたり、喉の奥から漏れている「んっ♡」や「はぁ♡」といった声は、きっとこちらを悦ばせるために出している。
こんなキスの上手い人と、毎日のようにキスしていたんだと考えると――子供の頃の自分が羨ましく思える。
「んっ……じゅぅ……♡」
今度は舌を吸われ、遠華さんの口の中に引っ張られる――昔からやっている、次は僕の番という合図だ。
「っ……」
こちらからも遠華さんの背中に手を回して、彼女の口の中を舐め回す――トロトロの唾液で満ちた、遠華さんの口腔内。
舌の上、裏側――人妻になってもあの頃のまま。
舐めているこちらが気持ちよくなってく、不思議な味――そして、微かに感じる、ミントの香り。
こういうところはやっぱり大人だなぁと感じる。
僕は、キスをすることになるかもと思っても、歯磨きをちょっと長くしてきただけだ。
「れろ……ちゅ、ちゅ……じゅるる」
「んっ……♡」
とんとんと、遠華さんが胸を叩いてきた。一回離せという合図だ。
「ぷはぁ……っと、じゅるじゅる♡」
互いに口を離すが、舌についた唾液が糸を張った。
重力に引かれ千切れる瞬間、遠華さんは啜って回収、呆然としていた僕の頬には短い糸が残った。
「んっ……下手になってるな、ウリ。舌の動きが硬いぞ」
「す、すみません……」
「せっかく仕込んだんだから、使えばよかったのに」
「そ、そんなこと言われたって……」
「透華にしたら、一発で落ちたなー、多分。あーあ、もったいないなー」
「…………」
キスをする度胸があったら、先に告白している。
「大丈夫。卒業までにはキスだけで女をイかせられるくらいにしてやるから――じゃあ、一回イっとくか」
「……え?」
「ここにはまだ、キスしてなかったよな?」
「っ……」
そう言って、遠華さんは腰の位置を前に――ホットパンツがすでにぐちょぐちょになっているペニスに当たる。
「よ、汚れちゃいます……」
「いいの……んっ♡ お前のために穿いてきたんだから♡ あっ♡」
「んぐ……」
くねくねと、我慢汁をホットパンツに擦りつける遠華さん――上下の刺激は少ないので、何とか堪えられるが、また舌を入れられる。
「まだ、出すなよ……んちゅ♡ ちゅ♡ ちゅ……ぱっ♡」
口を吸われる度、どくん、どくんとチンポが鼓動する――駄目だ。射精させてくれるとわかった途端、口の快楽が股間に流れていく。
陰嚢を稼働させ、前立腺を刺激し、チンポを悦ばせる……!
「限界だな……」
遠華さんは僕の上から降りて、脚の間に屈みこんだ。
美顔を、青筋を立てた肉棒のすぐ目の前に――そして、煽るような上目遣いで、息を切らすこちらを見つめてくる。
「はぁ……はぁ……!」
「行くぞ? んー……」
すぼめた唇が、カウパーに輝く亀頭へと向かう。
遠華さんの唇が――ずっと僕にとって、性の象徴だったものが、僕の股間に……。
「ちゅ……♡」
「んっ……!」
亀頭を柔らかい唇で軽く挟まれ、キス――小さく、鋭い快感に身を捩る。
……そうだ。僕にとっての遠華さんは……。
「んー……じゅっ♡」
また、亀頭へのキス――先ほどより、強く、ねっとりとした吸い。
口を離しても、亀頭についていた我慢汁が、遠華さんの唇と僕のペニスを繋いでいる。
……透華が初めて恋をさせてくれた人なら、遠華さんは初めて性の悦びをくれた人なんだ。
「ちゅぅう……♡」
「っ」
亀頭が、くにぃと歪んでしまうほどの吸いつき――あくまで、亀頭しか責めないつもりか……。
「……ぱっ♡」
「んっ……」
喘ぎが抑えられない――ペニスで一番敏感な亀頭、そこへの集中攻撃。しかもキス……抑えられるわけがない。
「じゅるる……ぱっ♡!」
口が離れた後も、じんじんと亀頭が疼く。
「んっ……ぼっ♡!」
吸って、解放されるごとに、疼きは甘く、強くなっていく。
「ちゅぅ……ぐぱっ♡!」
遠華さんのバキュームが強まって、疼きはペニス全体に広がる。
「ぶじゅるぅうぅうううう……♡!」
「っ……」
亀頭を丸ごと咥え込んで、口の中で圧縮される。
快感はペニスだけにとどまらず、その奥まで広がって――触れられるはずのない、前立腺を直接、吸われているような錯覚に陥る。
「ぶちゅるう、じゅるううう……♡!」
前立腺が震え、つられるように足腰がガクガクと痙攣しだす。
「ぐぱぁ……♡!」
「はぅ……!」
下品な音と共に、解放――亀頭が元の形を取り戻すが、
「じゅっ……ぱっ!♡」
遠華さんは矢継ぎ早にキスを仕掛けてくる。
「ぐじゅ……ぶばっ♡!」
「っ、え、遠華さん……」
蕩けるほどに気持ちいい。だが、射精には至らない――やはり、射精を最も促す刺激は、上下運動だ。
「んふっ……ぽっ……♡!」
この亀頭責めは、ただシコシコするより遥かに気持ちいいのに、全く終わりが来ない。
普通ならもう、絶頂している快感を股間も、脳みそも覚えているというのに、すぐそこまでザーメンが登ってきてるのに……。
快感が弾けずに、溜まり続ける……!
「こんだけ耐えられるんだったら、超早漏から早漏にレベルアップだな……ぐっ……ぱっ♡!」
遠華さんが何か言っているが、よくわからない――頭の中はほとんどイっている。快感の渦で思考回路がぐちゃぐちゃになっている。
だが、射精という頂上がないから、終わらない。
ずっと、気持ちいい。
「じゃあ、イかせるな……じゅっぱっ♡! じゅぱっ♡! じゅぱ♡! ぐっぱ♡! ぐっぽ♡!」
――ストロークが早まった。
亀頭への高速連続キス。
これだけ速まれば、上下運動が少なくとも――じんじんと疼いていた快感が、ついに射精のギアを入れる。
「んっぼっ♡! ふっぼっ♡! んんっ……じゅっぽ♡! じゅぱっじゅぼぐっぽぶっぱじゅぼんっぼ……じゅるうぅうぅう♡!」
股間に溜まった快感が弾ける瞬間を見計らったかのように、遠華さんは思い切り亀頭を吸引――こちらの目を一瞥した。
壊れかけの思考回路でも、その意図は察することができた。
「じゅうぅううううう……ぽっ♡!」
「うっ……!」
ぶぴゅりゅるううう!
「んっ……♡」
遠華さんが口を離した瞬間、ザーメンが迸る。
「すごっ……♡」
顔にかかるのもお構いなしに、遠華さんは手を伸ばして、ぴゅるるる、どぴゅどぴゅと射精中のチンポを扱いてくれる。
「いっぱい出せ♡ ほーら、もっと汚せ♡」
「っ」
つんざくような絶頂の中、曖昧になっていた股間の在処を、温かい手が教えてくれた。
体を反らせながら、きゅうと股間に力を込めると、びゅるる! とプリプリの精液が尿道を駆けて行った。
「はぁんっ……♡ んはぁ……はぁ……ほんと、聞いた通り……んっ。濃い精子だなっ……れろ」
「はぁ……はぁ……んっ」
絶頂の余韻が止まない。時々、体がビクンと跳ねてしまう。
それでも何とか遠華さんを見つめる。
「ぷりっぷりだし、すんすん、くっさ……♡ こんなの中出しされたら、一発で妊娠するな……♡ んっ、ははっ、全然取れんし……」
「――――」
嬉しそうに笑う遠華さんの顔は、固形ザーメンに侵されていて、特に右目――卵子だと子種が誤認してしまったのか、瞼が開けられないほどの白濁が集まっている。
「どうだ、ウリ。あたしに顔射した気分は?」
腕で精子を拭いながら、にこりと笑う遠華さん――これだけ楽しそうだと、こちらも嬉しくなってくる。
人妻とか関係なしに、いいことをしている気分になってしまう。
「――う、嬉しいです」
「そっか。じゃあ、もっとしような♡?」
――これがきっと、浮気に加担してしまう人の気持ちなんだろうなと、童貞ながら思った。
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