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初めてのクリスマス

「なぁ、葉山」
「なに?」

放課後。通学カバンを持って教室を後にしようとする俺を、級友の綾部と相澤が引き止める。

「今度の日曜クリスマスじゃん? その日にB組のみんなでクリパしようぜ、って話出てんだけどさ。よかったら葉山も来る?」
「俺? ……あー、悪いな。パスで」

申し訳無さそうに断ると、二人揃ってニヤニヤと気色悪い笑みを浮かべた。

「だよね~!」
「なんたって葉山には“愛しの氷川”がいるもんな!」
「ねー? 葉山と麗奈ちゃんはB組きっての熱々カップルだもんね♪ クリスマスの予定なんて空いてるワケないよね~~~」
「お前ら……」

楽しそうに囃し立ててくる二人に、俺は呆れ気味にため息をつくのだった。

俺、葉山賢治と氷川麗奈は付き合っている。
俺たちの関係はこれまでクラスの皆に公言していなかったのだが、先日の『合コンディープキス事件』によってすっかり周知の仲となってしまった。こうして今みたいにクラスの連中のからかいに遭うという新たな憂鬱の種になったものの、皆の前で氷川と話していても変に取り繕う必要は無くなったし、中には純粋に俺たちの仲を応援してくれるヤツも居るので、存外悪い気はしなかった。むしろ、これまで氷川を悩ませていた、彼女への告白ラッシュが事件以降パッタリと止んだのは僥倖に他ならない。
そんな風に周囲を取り巻く環境が目まぐるしい変化を見せつつ、氷川との甘い日々を謳歌するなか、ついに恋人たちにとっての一大イベントである『クリスマス』が到来するのである。

「とにかく、俺はクリスマスは忙しいんで無理。それに今日もこれから用事があって先を急ぐから。それじゃ」
「あ、待ってよ! 夜は空いてないにしろ、放課後は空いてるんでしょ? そこだけ顔を出すとかできる? できれば麗奈ちゃんも一緒に……とか?」

帰ろうとする俺に、相澤はなおも粘りを見せる。
口ぶりから察するに、おそらく本命は氷川なのだろう。俺が参加すれば必然彼女も一緒に巻き込めるという腹積もりかもしれない。

「わりぃけど、放課後も無理だわ」
「え? なんで?」
「その日はバイト入れてんだよ」
「はぁ? クリスマスにバイト? つかお前、バイトなんてやってたのか?」
「クリスマス当日までの短期だけどな」
「なんで?」
「……ちょっと高めのヘッドホンが欲しくてさ。そんで割の良いの探してたら、その時期にシフトが入ったんだよ」
「ふーん?」

嘘である。
本当はクリスマスイブの夜に氷川家で開催する二人だけのクリパに向けた“ある目的”の為の軍資金稼ぎだ。このことは氷川にすら内緒のトップシークレットであり、ましてや彼らに話す道理など無いのである。
「ま、そういうことだから。スマン」
「しょうがねぇなぁ。こうなったら氷川を直接誘ってみる? 相澤」
「……やっぱそういうことかよ。アイツ、その日は放課後に撮影あるらしいぞ。誘っても無駄だよ」
「え~~~!? それ先に言ってよぉ!」
「まじかぁ……」

項垂れる綾部と相澤に別れを告げ、俺は今度こそ教室を後にするのだった。

「――氷川! おまたせ!」

いよいよ来るクリスマスイブの夜。バイト先のケーキ屋さんはその日が年内最大の書き入れ時とあって目が回るほど忙しく、あえなく残業となり、上がる時間が大幅に遅れてしまった。
それでも息を切らして走って氷川の住むマンションに向かい、どうにか集合時間ギリギリに間に合うことができた。

「はぁはぁ……」
「……」
「わ、わるいな……」
「別に。いいよ」

氷川は無愛想な態度をさらに無愛想にし、以前俺が用意してあげた丸テーブルの前に鎮座している。フワフワもこもこ生地の白いセーターにジーンズのボトムという着こなし姿は大変可愛らしく、運動後のとは別に心臓がドキドキする。

「そのセーターかわいいな」
「……」
「撮影どうだった?」
「特に」
「……そ、そうか。つか、ここんとこ放課後はバイトばっかで悪かったな」
「本当だよ」
「でも今日で終わりだから……」
「……」

ここ数日、氷川の機嫌はすこぶる悪かった。
理由は明白。俺が放課後のバイトで忙しいせいで、五日間も彼女の相手をしてあげられず、欲求不満になっているからだ。事情を話せば理解を示してくれたかもしれないが、どうしても“その瞬間”までのサプライズにしておきたかったのだ。
「腹減ったよな? すぐ用意するからな」
「……」

予め買い込んでいたフライドチキンや冷凍のグラタンパイをレンチンしたりして、二人っきりのささやかなクリスマスパーティの用意に勤しむ。その間、氷川は仏頂面のまま足を組んでスマホを弄っていた。

(本当は食後にしようかと思ったけど。やっぱ先に渡した方がいいか)

このまま重い空気が続いたら、せっかくのクリスマスパーティが台無しである。冷えたチキンが芯まで温まるまでの待ち時間、俺はカバンから“例のアレ”を持ち出す。

「――なぁ、氷川」
「なに?」
「お前にさ、その、なんつうか……、クリスマスプレゼント? があるんだよ」
「えっ?」

俺がそう言った瞬間。ここしばらくずっと目を合わせてくれなかった氷川の視線がようやく交わった。そして、俺が手に持っている小さな箱に関心を向ける。

「――はい! どうぞ!」
「それは?」
「まぁ、開けてみてよ」
「……わかった」

氷川はおそるおそる包装リボンの結び目を解く。蓋を開けて中身を見た彼女は、切れ長の双眸を大きく開かせた。
「これって……!」

中には雪の結晶を象ったシルバーネックレスが入っていた。結晶の中心には小さなダイヤモンドがはめ込まれており、ペンダントトップのなかで眩い輝きを放っている。

「氷川に送るクリスマスプレゼントって何がいいかな? って考えたとき、思い出したんだ。この前一緒に買物行ったときにジュエリーショップで見かけたソレ、すごい気にしてたなって」
「あのときの……憶えてくれてたんだ……」
「後日、同じ場所見たら無くなってたじゃん? そんですごい残念そうだったからさ。なんとか探して、見つけたんだ」
「でもこれ、結構高いやつじゃ。……まさか。これを買うために?」
「……おう」
「そうなんだ……」

氷川はそれから黙り込んで、ネックレスをじっと見つめていた。一見して表情は変わらないように見えるが、やはりどことなく嬉しそうにしている。
「黙ってて悪かった。サプライズ……したくてさ。五日間も相手してあげられなかったし、それにこんな機嫌取りみたいな渡し方になって……」
「ううん。いいよ」
「……そっか」
「ありがとう。大事にする」
「そっか」

そう言って氷川は、愛おしそうにネックレスを手にする。

「付けてみていい?」
「いいね。見せて」

氷川は早速シルバーネックレスを首にかけてみせた。白いモコモコセーターの豊かな胸元の上に載って煌めくその流麗な様は、彼女のクールな魅力をさらに引き立てるようだ。

「……どう?」
「うん。似合ってる」
「ありがと……」

それから見つめ合ったまま、心地よい沈黙が流れた。
このまま永遠にこうしていたい。そんな気分にさせる幸せな時間だった。
そして、彼女が目を瞑って“合図”を見せた瞬間、レンジの加熱終了を報せる電子音が静寂を破る。

「……ご馳走食べよっか」
「……だな」
「腹が減っては戦はできぬ、って言うし」
「うん。……うん?」
「食べ終わったら……分かってるよね?」

現在、夜の八時過ぎ。
俺たちの『性の6時間』は、まもなく始まる――

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