乳魔の部屋
息が、出来ない。
正確には、吐くことは出来る。でも、吸うのはダメだ。これ以上、この部屋の空気を吸い込んじゃいけない。呼吸をしてはいけない。
無理難題だとは分かっているが、それでも僕はぎゅっと口を噤む。
「ねぇ、ねぇってばぁ」
「にゃはは♡ 縮こまっちゃって、可愛い……♡」
生温かい空気が、部屋全体に充満している。暑くもなく、寒くもない。人間にとっての適温。ここが地上にある宿屋の一室であったならば、きっと快適だったはずだ。
でも、違う。何しろ……ここはダンジョンの中なのだから。
「もしもーし? 聞こえまちゅかぁ?」
「何だっけ、こういうの……。寝耳に水?」
「壁に耳あり障子にメアリー」
「見ざる言わざる聞かざる」
「「「それだ!!」」」
数人……いや、数匹のかしましい声が鼓膜をくすぐる。どうにも緊張感のない会話だ。恐らく、僕の態度について言及しているのだろうが、いかにも魔物らしい低俗なやり取りだ。何の例えにもなっていないし、ことわざも間違えている。
だが、今がチャンスだ。彼女らが話に夢中になっている隙に、僕は最低限の酸素を取り込む。鼻からそっと、一呼吸。その瞬間、周りの景色がぐにゃりと歪んだ気がした。
どくどくと心臓の鼓動が早まる。同時に、視界に映る彼女らの姿が……ひどく魅力的に見えてきて……。
「くっ……!!」
ぶんぶんと、首を振る。まずい。もう相当、取り込んでしまったらしい。意識しちゃいけない。意識しちゃ……!
「……ね、お兄さん」
「っ……!?」
「まだ、我慢するつもり?」
ぞわりと、耳の先から甘く毒々しいものが入り込む。群がっている奴らとは反対側、僕から見て右の方向から、ぼそりと囁かれる。どうして、接近に気が付かなかったのか。それだけ、彼女らのフェロモンにあてられていたということなのか。
ひゅっと、僕は間髪入れずに抜刀する。腰から下げた短剣を振りかぶり、すぐそこにいる魔物に斬りかかる。
「ふっ!」
「わっ、とと……」
が、結果は不発。僕の傍まで近づいていたそいつは、後ろに飛び退くことで攻撃を回避した。
その最中、ぶるんっと……僕の視界の中で何かが大きく揺れ動く。
「っ……!!!」
「ふぅ、危ない危ない」
「まだちゃんと動けるんだねー」
「でも見て……ちょっと目、とろーんてしてきてない?」
はっと、気付く。たったコンマ数秒。それでも、見惚れてしまっていた。彼女らが動くことで、大袈裟なぐらいに揺れ動くそれ。大きくて、柔らかそうで、気持ちよさそうな……!
(ダメ、だ……っ!)
僕の周りにいる複数の魔物たちが、くすくすと楽しそうに笑う。そいつらは皆、人の形をしていた。魔物の中でも知性を持ち、人と同じ言語を操る。”魔族”と分類されるものたちだ。
魔族は、その全てが強敵というわけじゃない。でも、人の姿を模倣する以上、狡猾で厄介な奴が多い。
その中でも、今僕の目の前にいる奴らは……最低最悪と言っていいだろう。
「ね、お兄さ~ん♡ そんな物騒なものポイして、私たちと遊ぼうよ~♡」
「……戦う気なんて、きっと一生起こらなくなるよ?」
「いっぱい、気持ち良くしてあげるから、ね♡」
見た目は、人間の女性と全く大差はない。戦闘で魔力を行使する時のみ、普段隠している角や尻尾が顔を出す。が、能力値の低い彼女らは、基本的に戦闘はしない。冒険者と真っ向から戦えば、間違いなく負けるからだ。
ゆえに、彼女らは”待ち伏せ”という戦法を取る。ダンジョンの奥深く、自分たちにとって有利な場所にやってきた冒険者を捕らえ、じっくりといたぶる。
どうやって? 方法は、実に単純だ。彼女らには、単なる人間ではありえない、ある大きな特徴がある。正面から相対した時、確実に冒険者の視線を奪うもの。
その特徴を持つ魔族の総称、そして彼女らが待ち伏せている空間を指して、僕が今いる場所は冒険者の間でこう呼ばれている。
『乳魔の部屋』と――。
「いつまで耐えられるかにゃ~?」
「お兄さんの可愛い顔、早く見たい……♡」
ごくりと、僕は唾を飲みこむ。絶対、生きて地上に戻ってみせる。
彼女らに、乳魔なんかに……甘やかされてなるものか!
*
大陸の北端にあるダンジョンが、中級冒険者にとっての登竜門であることはよく知られていた。もし踏破することが出来れば、上級冒険者として認められる。ギルドや他パーティからも一目置かれるほどの、地位と栄誉を手にすることが出来るのだ。
僕――レントが所属するパーティもまた、そのダンジョンの攻略を目標にしていた。中級冒険者が受注できるクエストや報酬は、はっきり言って少ない。そもそも、冒険者という職業自体が薄給であるため、下級も中級もそれほど稼ぎは変わらない。
でも、上級冒険者は別だ。いくつかの高難易度の条件をクリアする必要があるが、その分の見返りは大きい。だからこそ、僕らは何度も目的のダンジョンへの侵攻を繰り返していた。
ダンジョンのマッピングも進み、出現する魔物の傾向も大分把握できていた。この調子なら、踏破も難しくない。僕らはそう結論付けていた。
要するに……油断していたのだ。
「レント!!」
「大丈夫! 後で落ち合おう!!」
「くっ……分かった!!」
ヘルハウンド。犬型の魔物で、一体一体の力はそれほど強くない。でも、僕らは運悪くそいつらの群れに遭遇してしまった。陣形は崩れ、パーティは無理やり分断させられた。
ダンジョンでの単独行動は、余りにも危険すぎる。仲間とはぐれてしまった僕は、魔物と遭遇しないように最大限の注意を払った。だからこそ、彼女らの……乳魔の罠にまんまとはまってしまったのだ。
(扉……?)
ダンジョンには、古代の建物や遺跡が至る所に散見される。また、そういった場所には、しばしば魔物除けの結界が施されていることがある。ゆえに、パーティではなくソロの冒険者は、それらの建物を上手く利用しながらダンジョンを攻略するという。
視界の端に映った古ぼけた扉を目にして、僕はついその知識に縋ってしまった。仲間と合流するまでの間は、屋内で身を隠そう。そう、考えてしまったのだ。
もちろん、中の様子には気を遣った。扉を少し開け、薄暗い部屋の中を覗き込み、魔物がいないことを確認した。念のため、魔物除けの匂い袋も放り込んだ。だから、大丈夫だと思った。なのに……。
「っ!?」
部屋に足を踏み入れ、扉を閉じると――床に大きな魔方陣が描かれた。さらに、その魔方陣から、紫色の不気味な光が溢れ出す。
(罠だ……!!)
恐らく、中に人が入り、扉を閉めることがトリガーになっていたのだろう。魔法の発動を認めた瞬間、僕はすぐさま扉に手をやった。しかし……。
(開かない……!?)
取っ手を捻っても、思い切り蹴飛ばしても、古ぼけて劣化していたはずの扉はびくともしなかった。僕は焦った。焦って、振り返って、目を疑った。
「おっ、やったー! 男の子だぁ!」
「しかも、結構可愛いタイプ♡」
「最近ずっと暇してたから、久しぶりに楽しめそうだね~♡」
そいつらは、部屋の中央にある魔方陣から、わらわらと湧き出てきた。どう見ても、ただの女の子にしか思えない。けれど、ただ一つの特徴が、彼女たちが魔物であることをはっきりと示していた。
たっぷん……♡
「ぁ……っ!」
それは、胸。
突如出現した彼女らは、皆揃いも揃って馬鹿でかいおっぱいの持ち主だった。1mは優に超え、なお余りあるボリューム感。服らしい服は着ておらず、下着と胸当てのみの格好をしているため、その分とにかく胸が強調されている。
肌の色は、白いものから褐色まで、それぞれ異なっている。だが共通して、みんなおっぱいが大きい。彼女らの姿を目にして、僕はすぐさまその正体に気付く。
「にゅ、乳魔……っ!」
「おっ、私たちのこと知ってるの?」
「だったら話は早いね♡」
見える範囲で、六体。にやにやと一様に笑みを浮かべる彼女らの前で、僕は短剣を手に取る。一方で、乳魔はハグを求めるように、大きく手を広げて見せた。
「さっさと私たちに堕ちちゃいなよ♡ 冒険者のお兄さん……♡」
「っ……!!?」
その瞬間、どくんっと胸の奥に奇妙な熱さを感じた。決して、痛みなどない。でも、何だかむず痒い。きゅぅっと、腰の奥が痺れるような感覚がする。
視界が、揺れる。乳魔たちが僕を囲むように並んで、じりじりと近付いてくる。すると、彼女らの大きすぎる胸がたぷたぷと揺れた。
普通はあれだけ大きければ、体型としてアンバランスに見えるはずだ。なのに乳魔は文字通り、人間離れした抜群のプロポーションを誇っていた。
女性らしい肉付きの良さは残しつつも、ほっそりとした腰回り。見るだけでハリと弾力が伝わる、むちむちとした太もも。そして、つんと上向いたこれまた大きな尻。どこもかしこも、男を誘惑するためだけに作られたような身体。
(う……っ!)
僕の顔よりも大きな胸が、深い深い谷間を作り出している。シミ一つないもっちり艶やかな肌は、薄暗い屋内でもその上質さを伝える。もしあんな身体に抱きしめられたら、絶対に逃げられない。
逃げられない……逃げない。逃げたく……ない…………。
「はぁい、いい子……♡」
「……はっ!!?」
僕は、一体何秒止まっていた? 短剣を持った手は垂れ下がり、いつのまにかぼぅっと立ち尽くしていた。乳魔との距離は縮まり、彼女たちの手がもうそこまで伸びてきている。
咄嗟に、僕は跳躍した。ぶちぶちと、脳の回路を無理やり引きちぎるような感覚。とにかく、足に力を込めて、全力で部屋の隅へと飛ぶ。
「う、おおおおおぉぉ……!!」
「ありゃりゃ……?」
勢いよく飛んだせいで、一瞬身体が宙に浮かぶ。平衡感覚がなくなり、視界がぐるりと回る。土の舞う匂いがして、ぎしぎしと全身の筋肉が軋む。余りにも無茶な回避行動。
それでも、そこまでしないと……逃げられなかった。遠ざかった乳魔たちが、各々異なるリアクションを見せる。
「わ~、すっごいねぇ! やっぱり身体がちっちゃいから身軽なんだねぇ!」
「あとちょっとだったのに、惜しかった……」
「敏捷と、あと精神力のパラメータが高いのかにゃ~?」
彼女らの反応は、何とも呑気なものだった。まるで、道端で見つけた猫でも追いかけているような、そんな緊張感のなさ。でも、だからこそ、僕にとってこれほど恐ろしいことはない。
(今のは……っ!)
乳魔たちと対峙した瞬間、視線が彼女らの身体に縫い付けられた。戦う意志は急速に削がれ、全身の力が抜ける。一方で、体内の熱は際限なく上がっていって、乳魔たちがなぜか愛おしく思えた。
この現象は、上位魔族である淫魔が使う魅了の魔法に似ている。でも、このダンジョンにそんな強い魔物はいない。そう、乳魔は本来弱い魔物なのだ。
そうでなければ、待ち伏せなんてまどろっこしい方法を選んだりはしない。たとえ複数で挑んできても、ここが仮に屋外であったなら、僕は決して彼女らには負けないだろう。
でも、僕が踏み込んでしまったのは……『乳魔の部屋』。彼女らが獲物を捕らえるのに、もっとも適した空間なのだ。
「ん~、ていうかさっきから何か臭くない?」
「それでしょ? ほら、床に落ちてる匂い袋」
「うっわ~、最悪だねぇ。まっ、私たちのフェロモンの匂いの方が強いけど……♡」
乳魔の体臭には、男性の性本能を活性化させる力がある。抑えられた欲望を引き出し、彼女らの胸へと飛び込みたくなる衝動を促す。そうして、一度乳魔の胸を味わってしまえば……もう終わりだ。
人間の女性にはない、滑らかでぷるぷるの乳肌。触れればぴたりと吸い付き、骨の芯までとろかせるほどの快楽刺激が襲ってくる。もし、性器になど触れられたら、射精は免れない。
精魂果てるまで徹底的に搾り出され、コキ抜かれ、甘やかされる……。廃人となり、命が尽きるまで乳魔たちの玩具と化す。冒険者にとって、これ以上ない屈辱の最期だ。
彼女らのフェロモンが作用するのは、せいぜい5mといったところ。戦闘で激しく動いている最中なら、フェロモンの効果を受ける前に、一瞬で片をつけることが出来る。
でも、空気が密集する部屋の中ならば、話は大きく変わってくる。
「んっ、ふっ、ふぅ……ふっ……!」
複数の乳魔から漂うフェロモン。止まっていると、それらの混ざった匂いがいっそう鼻につく。舌の根が痺れるほどの、甘く毒々しい香り。ぞわりぞわりと、肌をやんわり撫でさすられているような、そんな錯覚を覚えてしまう。
「さ~てさて、どうしようかにゃぁ?」
「お兄さん、私たちよりも全然速いし、近付いてもまた逃げちゃうよね~」
「ま、でも、どうせ部屋からは出られないんだし……時間の問題でしょ♡」
部屋の隅にいる僕を、乳魔たちは遠巻きに眺めている。一度距離を取ってから、彼女らは全くこちらに近付いてこない。ぴったりとそれぞれ寄り添ったまま、動かない。
というより――動けないのだろう。
(くそっ……!)
彼女らの言う通り、もし一匹でも近付いて来たら、僕の斬撃で瞬く間に始末できる。各個撃破していけば、乳魔はそれほど脅威ではない。
でも、何匹かで固まっている場合、迂闊に手を出せない。一匹に攻撃した直後、他の乳魔に捕まってしまう恐れがあるからだ。
それが分かっているからこそ、僕もまた動けない。完全な膠着状態。でも、時間が長引けば長引くほど、不利になるのは僕の方だ。
「んふふ、息荒いね~♡ そんな小刻みの呼吸じゃ苦しいでしょ?」
「……大きく深呼吸すれば? そうすれば、楽になれるよ?」
「こんな風に、す~は~す~は~……って♡」
ぐっと胸を張りながら、一匹の乳魔が深呼吸の真似事をする。たったそれだけで、彼女の胸はふるふると悩ましく揺れる。どうにもあざとい挑発だった。そんなことをすれば、部屋に充満したフェロモンを一気に吸い込むことになってしまう。
(出口はあの扉以外になし……か)
他の部屋へと通じる扉もなければ、当然窓の類もない。かろうじて息が出来ているのは、ひび割れた岩壁の隙間から空気が入ってきているからだろう。
しかし、それでも脱出できるほどの隙間はなく、乳魔のフェロモンは着実に身体に溜まっていく。
「くっ……!!」
「にひひ、良い顔になってきたね……♡」
「お兄さん、甘えたかったらいつでも胸に飛び込んできていいからね~♡」
乳魔たちが笑う。ぎゅぅっと腕で胸を挟んで、谷間を強調させる。ひしめき合った柔肉がとろけて、みちりとこぼれる。堕落を絵に描いたような、おぞましい光景。
(考えろ……打開策を……っ)
部屋は魔法で塞がれている。恐らく、何かしらの条件を満たすことで扉が開く仕組みだ。こういうタイプはたいてい、外部からの干渉には弱い。
誰かが……それこそ、パーティの仲間が扉に気付いてくれれば、すぐに脱出できる。
(それまでは……!)
耐えるんだ。好機を探る。乳魔のフェロモンには、魅了ほどの強制力はない。己の精神力が高ければ、きっと耐えしのげるはず。
我慢だ。
そう、我慢。
絶対に。絶対に耐え……て……。
みせ、る――。
*
「お~い、お兄さ~ん♡ 大丈夫~?」
「……私たち、こんなに近付いちゃってるよ?」
「戦わなくていいのかにゃ~♡」
一体、あれからどれほど時間が経ったのだろう。
うっすらと霞がかった視界。ピンク色のふわふわしたものが、周囲に漂っているように見える。甘い匂いと共に、誰かが僕に囁いている。
「あぇ……?」
「あっはは♡ お口ぽかーんってしちゃって、可愛いなぁ♡」
「こわ~い乳魔のお姉さんたちに囲まれてるよ? いいのかな~?」
頭がぼぅっとして、上手く思考が働かない。声の聞こえる方に向かって、僕は反射的に顔を上げる。
視界に映るのは、町でも滅多にお目にかかれないような美貌の持ち主たち。しかも、とてもスタイルがいい。みんな、屈みこんだ状態で、僕をじっと観察してる。屈んでるせいで、おっぱいがむにゅんと潰れてる。
「触っちゃうよ?」
「抱きついちゃうよ?」
「……気持ちいいとこ、挟んじゃうよ?」
ぼそぼそぼそ。形のいい唇が歪んで、吐息と共に言葉をぶつけられる。背筋が、ぞくぞくする。とても心地いい声。囁かれるだけで身体がむず痒くなる。
むず、がゆ、く……?
あれ?
あれあれあれ……?
(ちが、う……)
なんでこんな近くに。剣を、取らないと。まずい。剣は、どこ……?
僕の短剣。ダンジョン攻略でお金を貯めて、やっとの思いで購入した大切な相棒……。
「あ、ぅ、あ……!」
「あはは、おててぶらぶらさせてどうしたの~?」
「何か探し物?」
「もしかして、これ?」
お姉さんが……違う、乳魔が僕の手を取る。するっと、ごく自然に巻き付いてきた手は、怖気がするぐらいすべすべで、柔らかい。突然の刺激に、ひゅっと喉の奥が締まる。
でも、そんな手の感触なんてどうでも良くなるぐらいの衝撃が、次の瞬間襲ってきた。
む、にゅぅぅぅぅぅ~~~……♡♡♡
(え………………)
力なく開いた手に、突然何かが押し付けられた。それは、今まで触れたどんなものより、柔らかくて……ぷるぷるで。まるで手だけが違う空間に迷い込んだみたいで……。
「ふぇ…………?」
ぶわっと、手から腕へと鳥肌が立つ。指の一本一本が、幸せに喘ぎ、嬉しい悲鳴を上げている。柔らかすぎて、手から溢れる。溢れた肉が、隙間までみっちりと吸い付いてくる。
「お兄さんが欲しいのは……これでしょ♡」
「~~~~~~~~~っ♡♡♡」
傍にいる乳魔が、にぃっと歯を見せて笑う。その下、真っ白に艶めく爆乳が、僕の手の平でむにゅりと潰れてる。
いや、違う。僕の手が、おっぱいに包まれてる。まろやかな下乳がたわんで、腕にずっしりとした重みを伝える。肌はすべすべで弾力があるのに、少しでも揉みこむと、分厚い乳肉が吸い付いてきて離れない。
「あ……あっ、あっ……♡」
全身の血流が、活発化する。体温が一気に上がって、顔から火が出そうだ。やわっこい乳肉が、手の平ににゅりにゅりと擦りつけられる。じん……と、下半身に甘い痺れが走る。
腰が、がくがくと震えて……。ダメ、これ、だめ……!
「あ~あ~♡ すっごい反応♡ おっぱい触るの、もしかして初めてだったのかな?」
「おちんちん、ズボンの上から分かるぐらい張り詰めちゃってる……♡」
「……服、脱がせよっか」
はぁはぁと、息を荒げる。襲い来る快感に、身体が付いていかない。周りの乳魔が、僕の下半身を……勃起したペニスを見て、笑ってる。
あぁ、何で、こんなっ……! 恥ずかしい、見ないで、こんなところ……!
咄嗟に、僕は余った左手を股間に持っていく。膨らんだそこを抑えて、身体をぐっと丸める。
「にゃはは♡ 必死に勃起ちんちん隠してる♡」
「もう~、そんな体勢じゃ服脱ぎ脱ぎ出来ないでしょ~?」
「……仕方ない、じゃあ左手も」
「あっ……!?」
左の二の腕に、今度は別の乳魔が手を絡めてくる。やっぱり、その手はすべすべで、握りこまれると力が抜ける。引っ張られるがままに、僕の手は誘われていって……!
もっ、ちゅんっ……♡♡♡
「お˝っ……♡」
左手も、埋もれてしまう。ため息がつくぐらい濃厚で、揉み心地抜群のおっぱい肉。手の平でとろけて、にゅむにゅむと包み込む。両手が、幸せな空間に捕らえられる。
「……おててで揉み揉み♡ お姉さんたちの極上おっぱい、堪能して♡」
「ほらほら、気持ちいい♡ もうおてて、おっぱいから離したくないね♡ だって気持ちいいんだもん♡」
「うっ!? うっぅぅ♡ うっ♡ ふぅぅ……♡」
頭の中が、快楽でチカチカする。今まで味わったことない感触。女の子のおっぱい。こんな、嘘みたいに柔らかくて、ねちっこく吸い付くなんて。
知らない。こんな気持ちいいのは、知らない。
しかも、さっきからすごくいい匂いがして。涎が、だらだら口から溢れる。あぁ、やだ。助けて。気持ちいいのがいっぱいで、目の前の乳魔たちがエッチ過ぎて……!
「これで腕は動かせないし、さっさと脱がせよっか」
「そこに落ちてた短剣が使えそうだねー」
「んにゃ~、それじゃよいしょっと……」
正面の乳魔たちが、手分けして僕の服を切り刻んでいく。抵抗しなきゃ。こんな、寄ってたかって服脱がされるなんて、嫌だ。
僕の身体。動け。動けよ! て、手は、だって、やわら、かくて……!!
「おててぴくぴくさせてる……♡ そんなことしても、おっぱいの感触楽しんじゃうだけなのに♡」
「……顔真っ赤にして、可愛い♡ 暴れてるのに、口はにへ~っとして嬉しそう♡ 抵抗するフリ、上手だね?」
左右の乳魔が、くすくす笑ってる。胸に当てた手を擦りながら、僕のことを笑ってる。
やめろ、違う! 僕は本気で……! 抜け出したいのに……あぁっ。
「はーい♡ 上はこれですっぽんぽんだね」
「そんじゃ、次はズボンかな」
「その前にさ、やりたいことあるんだけど、いい?」
腰から上の肌が、晒される。半裸になった僕を、乳魔が舐めまわすように見つめている。中には、実際に舌なめずりをする奴もいた。長く真っ赤な舌が、ぷるりとした唇の隙間から顔を出す。ずきずきと、股間が勝手に張りつめてしまう。
「たぶん、今触ったらすぐ出しちゃうと思うんだよね~」
「童貞くんだもんね♡」
「今耐えられてるのも、相当無理してるだろうし……」
「だからさぁ……♡」
褐色肌の乳魔が、にやりと意地悪な笑みを浮かべる。彼女は周りに目配せすると、僕の下半身には触れないようにしながら、ゆっくりと倒れ込んできて……!
どたぷん……♡
「はっ!? はっ……♡」
「ね、お兄さん。今からさぁ、私のおっぱいでお顔、包んであげるね……♡」
目と鼻の先で、彼女のおっぱいが迫力満点に揺れる。Iの字の谷間から、むわりと蒸れた女性の香りが漂ってくる。それをひと嗅ぎするだけで、脳がぐらぐらと揺れる心地がした。
「ぱふぱふ、するの♡ お顔を谷間にむにゅ~って挟み込んで、たぷたぷ♡ ゆさゆさ♡ すりすりすり~って♡」
「お˝っ♡ ぉっ……♡」
「すっ……ごく、気持ちいいと思うけど、でも射精はしちゃダメだよ? 触ってもいないのに、ぱふぱふされただけでイクなんて、恥ずかしすぎるもんねぇ?」
「ひっ……ぃ……♡」
射精。今の今まで、それだけはしないように耐えていた。むちむちの乳魔に囲まれても、手におっぱい触らされても、勃起ペニス笑われても……射精だけはしちゃいけない。そう、自分に言い聞かせていた。
何でしちゃいけないのかは分からない。でも、乳魔の前で射精しちゃたら、もうダメな気がした。
僕の今までが壊れて、ぐちゃぐちゃに溶かされて、きっとどうでも良くなってしまう……。本能が、そう警鐘を鳴らしている。
だから、射精だけは……!
「あ~あ~、かわいそう♡ そんなこと言われたら、嫌でも意識しちゃうよねぇ♡」
「堕とし方陰湿すぎ♡ ま、私たちも大好物だけど……♡」
「分かった? 射精ダメだよ? 暴発お漏らしぴゅっぴゅ、ぴゅくぴゅく~ってしたら、すごく気持ち良くなっちゃうからね?」
「あ~~~♡ うぅ、あぁ……♡」
もう、何を言われてるのか分からない。ずっと、おっぱいがすぐそこにあって。頭が馬鹿になるようなフェロモンずっと嗅がされて。ペニスは、もう爆発しそうで……違う、爆発ダメで……!
「いくよ? ぱふぱふ来ちゃうよ? 気持ちいいの、くるよ?」
「……頑張れ、お兄さん♡」
「気持ちいいのに、負けちゃダメだよ?」
「もし負けたら……」
くる。乳魔が、近付いてくる。柔らかくて、ふわふわのが。両手に感じる幸せ感触が、頭まですっぽり包み込んでくる……!
乳魔たちが応援してる。もうすぐそこまでおっぱいが来ていて。触れる瞬間、みんながみんな声を揃えて囁く。
「「「死ぬまでおちんちんズリズリしちゃうからね……♡♡♡」」」
「んっ、ふぐっ~~~~~~~~~……♡」
ぱっふん……♡
包まれる。深い谷間に顔が飲み込まれて、ずりゅんと頬をおっぱいに舐められる。目の前が真っ暗になったかと思えば、何の余韻もなくそれは始まった。
「ぱふぱふぱふぱふ~~~……♡」
「っ~~~~~~~~~~~~♡♡♡」
首から上の筋肉が、全部溶けてなくなっていくような感覚。両側から吸い付くおっぱいが、あんまりにも柔らかくて。乳内から漂うフェロモンが強烈過ぎて。
目も、鼻も、耳も……何もかもが、おっぱいで埋め尽くされる。閉じ込められた快感が、居場所を求めて全身を駆け巡っていく。
「んんんんん~~~~~~~♡♡♡」
「あはは♡ 腰がくがく~♡ ズボン我慢汁でびちゃびちゃじゃん♡」
「頑張れ♡ 頑張れ♡ って、もう無理かなぁ♡」
心臓が、狂おしいほど暴れまわっている。それはまるで、下半身への血の巡りを必死に抑え込んでいるようで。それでも、顔全体を挟んだままぱふぱふされると、どうしようもなく腰が浮き上がる。
ズボンを破りそうな勢いで、ペニスが張り詰める。睾丸が縮み上がって、ぎゅんぎゅんと尿道を切ないものが走り抜けていって……!
「ぱふぱふ……イけイけ……暴発しろ♡ おっぱいでお顔すりすりされて、幸せ射精しろ♡」
「射精しちゃダメ♡ おちんぽどっぴゅん我慢♡」
「ぱふぱふびゅ~びゅ~ダメ♡ あは♡ 精液、もうせり上がっちゃってる……♡」
ダメ。無理。我慢。ちんちん気持ちいい。我慢。でも、あっ……っ。
あっあっあっあっあっ……。
「ぎゅ~~~~……♡♡♡」
「お˝っ~~~~~~~……♡」
最後のとどめ。両側から、思い切りおっぱいでプレスされる。乳圧で理性もプライドも、何もかもすり潰されて……!
(でるっ……!!!!)
僕は、絶対にしてはいけない射精を……してしまった。
びゅっ!!!!
「あっ」
「ありゃりゃ~♡」
びゅっ!! びゅるるっ、どびゅっ、びゅっ……!
「にゃは♡」
「……あ~あ♡」
どぷどぷどぷどぷどぷどぷ……!
「やっちゃったぁ♡」
「にひっ、暴発お漏らし成功~……♡」
生涯で味わったことないような、泥沼みたいな射精。快感が強すぎて、壊れた蛇口みたいに精液が意志とは関係なく漏れ出ていく。ガチガチに張り詰めた性器から、固形の精液をぶりゅっと吐き出す。その度に、発狂しそうなぐらいの危険な快楽に身悶える。
でも、肉厚おっぱいに包まれたままでは、声さえまともに発せられない。とろけた柔肉に口を塞がれて、涎だけがぼたぼたと首を滴り落ちていく。
出来るのは、ただびくびくと身体を震わせるだけ。爆乳の感触を堪能しながら、尿道の精液を一滴残らず吐き出すことだけ。
触られてもいないのに、長く長く射精は続いた。疲労で気を失ってもおかしくないぐらいの絶頂。なのに、僕の意識は決して途切れなかった。まるで、強制的に目覚めさせられているかのように。
「ん、もういいかな~」
ゆっくりと、ぱふぱふしていた褐色乳魔が下がっていく。開けていく視界。呼吸もまともに出来なかったため、僕は大きく息を吸った。すると、自分で出したすえた精液の匂いが、真っ先に鼻に飛び込んできた。
「あっ……ぁ……っ」
「あ~あ、射精しちゃダメって言ったのになぁ……♡」
「やっちゃったねぇ、お兄さん♡」
「……私たちの言うこと、聞こえてなかったのかな?」
精液でぐちょぐちょになったズボンを見て、乳魔たちがくすくすと笑う。約束を破ってしまった。彼女たちの言葉が、射精で空っぽになった頭の中にフラッシュバックする。
「死ぬまでズリズリ、決定~♡」
「どうやっても気持ちいい、快楽地獄行き……♡」
「あ、あ、あぁぁ……っ!!!」
ずるんと、両側にいる乳魔がズボンとパンツを下ろす。ねっとりと糸を引きながら、僕のペニスが晒される。ひくひくと頼りなく痙攣するそれは、まるで目の前の爆乳に怯えているようだった。
「あ、そうそう、もう気付いてるかもしれないけど」
「私たちの作ったこの空間は、内部から抜け出すのは難しいけど、外部からなら簡単に開けられちゃうの」
「中にいる人間が、心の底から出たい!って思えば、後は外にいる人間が扉を開くだけ……♡」
「逆に言うと、出たくないって思ったら、どれだけ開けようとしても無駄なんだけどね」
「……っ!?」
僕が最初に考えた通りだった。やはり、乳魔の部屋には弱点があった。仲間が気づいてさえくれれば、まだ脱出のチャンスはある。
射精もしてしまって、一瞬心が折れかけた。でももしかしたら、助かるかもしれない。僕が、正気を保ってさえいれば……。
「にゃは♡ さてさて、お兄さんはちゃんと脱出できるのかにゃ~♡」
「頑張ってね、お兄さん……♡」
六体の乳魔が、全裸になった僕の方へと近づいてくる。いよいよ、始まってしまう。乳魔の本気のパイズリ。性器だけでなく、腰まで全部包み込めてしまいそうは爆乳が、視界の中で揺れ動く。
(みんな……っ!)
僕は信じている。仲間のみんなが、きっと助けに来てくれることを。それまでは、何としてでも耐え抜くんだ。
絶対に……。
ぜったい、に――。
*
「くそっ! レントの奴、一体どこ行っちまいやがったんだ!」
「落ち着いて! 彼がそう簡単に死なないって、あなたが一番分かってるでしょ!」
「……ああ、分かってる。分かってるけどよぉ!!」
レントの所属するパーティ、そのリーダー格にあたるオウルはダンジョンの壁に拳を打ち付ける。仲間に諫められようとも、彼の苛立ちが収まることはない。パーティ内には、今や疲労と焦燥の色が漂い始めていた。
ヘルハウンドの群れに襲われ、パーティが分断されてから、およそ一時間ほど。時間にするとそれほどでもないように感じられるが、いかんせんここはダンジョンだ。数分後、自分が生きているかどうかも怪しい場所。そんな場所で、人間が一人で行動するには、一時間はあまりにも長すぎる。
「なぁ、オウル。魔力の消耗が激しい。これ以上この階層に留まるのは……」
「……難しい、か?」
「帰りの前衛の負担も考えると、正直……」
「じゃあ、レントをこのまま置いて帰るってか?」
「それは……」
仲間の一人が、さっと視線を逸らす。口をもごもごとさせたきり、彼はそれ以上言葉を発しなかった。ぎりっと、オウルは強く歯を食いしばる。
仲間の気持ちは、痛いほど分かる。レントの捜索をこれ以上続ければ、自分たちの身も危ない。そんなことは重々承知だ。それでも、彼を見捨てるなんて選択肢は、オウルにはなかった。
そもそも、このパーティを結成したのは、オウルとレントの二人だ。リーダーであるオウルを支える、パーティのナンバー2。それこそが、自他ともに認めるレントの役割。だが、当のオウルの見解は違っていた。
今は中級冒険者としてくすぶっているが、レントはもっと上にいける人間だ。ただただ馬鹿正直に、正面から敵と戦うようなオウルとは違って、彼は俯瞰的に戦況を分析することができる。レントの活躍があったからこそ、パーティはここまで大きく成長することが出来た。
このダンジョンを攻略することさえ出来れば、晴れて上級冒険者の仲間入りとなる。その達成の瞬間に、レントがいないなんてことは考えられない。
(そうだ……!)
あいつが、こんなところで無残にくたばるわけがない。リーダーとしてのオウルの勘が、そう叫んでいた。
――だからこそ、彼がその扉を発見したのは、恐らく必然だったのだろう。
「なぁ、おい。あの扉、怪しくないか?」
「え、怪しいって……何が?」
「見たところ、単なる廃墟の一室のようだが……」
「………………」
仲間たちは、一様に怪訝な反応を示す。当のオウルにさえ、明確な理由など存在しなかった。けれど、どうしても、視界の端に映った扉が気になった。単独で動くのは危険だと判断したレントは、屋内に身を隠したのではないか――なぜか、そう思えてならなかった。
「……調べてみよう」
「いつもの勘か」
「リーダーの判断なら、私たちは従うよ」
パーティの体力面を考えても、捜索範囲を屋内にまで広げるのは、はっきり言って下策だ。しかし、オウルの行動に、仲間たちは異論を唱えたりはしない。ここまで築いてきた信頼関係が、彼らパーティにとって一番の武器だった。
扉に向かって進むオウルの背後で、仲間たちは魔物の襲撃に備える。
そしてついに……オウルは『乳魔の部屋』へと通じる扉に手を掛けた――。
*
だぽっ♡ にゅぼっ♡ ぬぽっ♡ たぽんっ♡
「ぁ~~~♡ あ~~……♡」
肉と肉とがぶつかり合う音。ひどく間抜けで滑稽な音に混じって、呆けたような声が室内でこぼれる。言語とも呼べないその掠れた声は、今なお続く激しい乳魔たちの愛撫にかき消される。
「ねーぇ……♡ どう? 全身乳魔のおっぱいに包まれる感触♡ どこもかしこも気持ちよくて、もう脳みそとろけちゃいそうでしょ……♡」
「ほら、さっきからおっぱいでおちんちん、どちゅどちゅって揉みくちゃにされてるよー♡ 普通なら、干からびるくらい射精できてるはずなのにね……♡」
左右から身を寄せる乳魔たち。彼女らの胸の谷間に、レントの両腕は完全に包み込まれてしまっていた。みっちりと挟み込まれた腕に、にゅりにゅりと柔らかな乳肌が擦りつけられる。そのたびに、レントは身を震わせ、とろけるような幸福感に苛まれてしまう。
脳からとめどなく分泌される、快楽物質。許容量はとうに振り切れ、真っ赤に染まったレントの顔は卑しいアヘ顔へと変わっている。そんな状態にも関わらず、乳魔たちは耳元で卑猥な言葉責めを繰り返していく。
「ほら、胸にもお腹にも、おっぱいがむにゅ~って押し付けられて……♡ 乳首と乳首が擦れて、何回もイっちゃうね?」
「女の子みたいに、前立腺からぞぞぞ~って快感が湧き上がって……ば・く・は・つ♡ もう全身がイキっぱなしで、訳わかんないね?」
意識させられると、余計にレントの意識はその部分へと集中してしまう。腕を拘束する乳魔たちとは別に、胸や腹にべったりと寄り添った二匹の淫魔。胸当てを外した彼女たちは、これまた乳房のサイズに比例した大きな乳首を露出させて、コリコリとレントのものと擦り合わせていた。
ただ肌に触れただけでも、正気を失ってしまう乳魔のおっぱい。そんな極上の感触を、まったりねっとり全身に刻み込まれる。そのうえ、勃起した乳首同士をこねくり回されれば、女のように身をくねらせよがるほかない。
「あぁぁぁぁっ……かっ♡ はっ……♡」
「あ~、またイッちゃった♡」
「そんなに腰反らしてがくがくさせたら……ほら♡ また乳首いじめられちゃうよ~♡」
「ん゛っ~~~~~~♡♡♡」
乳首による絶頂で天を仰ぐレントに追い打ちをかけるように、乳魔たちがべ~っと長い舌を露出させる。そしてそのまま……れろれろと、イっている最中の乳首を舐めまわしてくる。
絶頂に、さらに絶頂を重ねるような残酷な快楽刺激。どれだけレントが暴れようが、彼女らの爆乳がみちりと押し付けられれば、簡単に動きを封じられる。そして、また愛撫が再開される。
ずりゅぅ……♡ ぐっぽ、ぐちゅぐちゅ……ぬっぽん……♡
「んんぁぁああああ!!!! 出したい!! 出させてっ♡ はや、くっ……♡」
「わ~、すご~い♡ これだけ乳魔に甘やかされて、まだ部屋から出たいって思えるんだねぇ……♡」
「ち、ちがっ……!! ちがうぅぅ……!!!!」
「あはは♡ 分かってるよ~♡ お兄さんが言ってるのはぁ、これのことでしょ?」
乳魔が、そっとレントの下半身を指し示す。本来、そこには彼の股間や、足が見えるはずだ。しかし、今やそこにはひしめき合う乳肉しかなかった。白くきめ細やかな美肌と、粘液に艶めく褐色肌がむっちゅりと合わさり、柔軟に形を変える。
二匹の乳魔によるダブルパイズリ。性器どころか、下半身を丸ごと包み込むほどの爆乳によって、レントは気が触れそうなほどの快楽を、延々と与え続けられていた。
「……ず~りず~り♡ 乳魔のパイズリ気持ちいいね? ずっと、こうされたかったんだよね?」
「ほらほら♡ おちんちんにたっぷり意識集中して♡ 気持ちいいところ全部すりすりして、乳圧で押しつぶしてあげるから……♡」
ジトっと、粘っこい視線でレントの反応を観察する色白乳魔。かたや、にやにやと意地悪く頬を緩ませる褐色乳魔。どちらも自身の爆乳を両手で抱え込みながら、中心にあるペニスを絶え間なく愛撫している。
たぱんっと、二匹の乳魔が勢いよく乳房を叩きつけると、深い谷間からわずかに亀頭がのぞく。本来であれば、乳魔の分厚いおっぱいをかき分けて、男性器が顔を出すことなど不可能だ。では、なぜこれほどレントのペニスは肥大化しているのか。
それもまた……乳魔たちの隠された特性のせいだった。
「私たちの母乳、すごいでしょ♡ おちんちんをオーク級の巨根に変えて、感度を限界まで引き上げる効果があるんだよ……♡」
「大きいおちんちんだと、おっぱいの感触隅から隅まで味わえちゃうから……ヤバいでしょ? 特に、カリとか裏筋ずりずりってされたらさぁ……♡」
乳魔の囁きに合わせて、ペニスを挟み込んだ二匹がみちっと互いに身を寄せ合う。すると、谷間が乳圧によって狭まり、一切の隙間がなくなってしまう。肌と肌がぴったりと吸い付きあうことで生まれる谷間ホール、その状態で乳魔たちが上下に体を揺らすと……。
ず、りゅぅぅぅ……♡ ずっちゅぅ……♡ にっちゅ、ぐっちゅぅ……♡
「っお゛~~~~~~~~♡♡♡」
およそパイズリではありえないほどの、執拗で粘着質な水音が奏でられる。周りを隙間なくおっぱいで閉じられた、いわば真空状態でのペニス扱き。ぴたっと密着した乳肉をかき分ける感触は、人同士のセックスとは比べ物にならないほどの快感をもたらす。
ぶびゅり、ぶびゅりと、先ほどからペニスの鈴口からは、我慢汁が精液のように溢れかえっている。レントの腰から下は、まるで尿を漏らしたかのように我慢汁の水たまりが出来てしまっていた。
しかし……肝心の精液は――どれだけ脳や乳首で絶頂を繰り返そうとも――ただの一滴も漏れ出ていない。
「あは♡ 乳魔の母乳にはこういう素敵な効果もあるんだけど、副作用もあるんだよね」
「お兄さんの中にある生命力を、全部精液に置き換えちゃう♡ でもその間は、絶対に射精は出来ない……ってやつ♡」
「うぅぅぅぅううう……♡」
乳魔たちに囲まれた直後、レントは無理やり母乳を飲まされてしまった。それがどのような効果をもたらすかも知らずに。結果として、レントは常に絶頂時の快感を与えられつつも、射精による解放感は決して得られない状況に身を置かれていた。
最初は、部屋から出る希望をどうにか胸に抱いていた。けれど、乳魔たちに這い寄られ、全身をおっぱい漬けにされたことで、今やレントの頭には一つのことしか浮かんでいない。
(射精したい……!!)
部屋から出ることではなく、精液を出すことしか考えられない。それこそが、乳魔たちの狙いに他ならなかった。
「にゃはは♡ もうお顔もおちんちんもとろっとろ♡ ここから脱出しようなんて、一ミリも考えられにゃ~いってお顔♡」
「でも……いいよね? 全身おっぱいに包まれて、幸せだもんね?」
「生命力が全部精液に溶けきるまでは、ずっと射精できなくて辛いけど……」
「それさえ終われば、死ぬほど気持ちいい射精が待ってるから、頑張ろうね……♡」
「……まっ、比喩でもなんでもなく、ほんとに死んじゃうんだけどね♡」
乳魔たちが口々に喋り、くすくすと楽しそうに笑う。彼女たちの話す内容も、もはやレントにはぼんやりとしか理解できない。都合のいい部分だけを脳が拾い上げ、その瞬間のみをただただ待ち焦がれる。
(死ぬほど、気持ちいい、射精……♡)
大量の乳魔のフェロモンは、完全にレントを狂わせていた。彼女たちが囁くたび、体を擦り寄せるたび、甘く濃厚な快感に打ち震える。
ぱんぱんに膨らんだ水風船に、少しずつ液体が注がれていく。いつ破裂するか、周りの乳魔たちは楽しげにそれを観察している。つついたり、押しつぶしてみたり……まるで幼い子供のように笑う。
乳魔にとって、部屋に迷い込んだレントは、ただの玩具でしかなかった。玩具が壊れるまで、彼女たちの遊びは終わらない。
が、しばしばそういった遊びには、ハプニングが伴うもので――。
「ん……?」
「あれれ? 誰か、外にいるねぇ?」
「もしかして、お兄さんの仲間かなぁ?」
「ぁっ……ぇ?」
それは例えるなら、”奇跡”と呼んでもいい可能性。
広大なダンジョンの中で、はぐれた仲間のために『乳魔の部屋』に辿り着くことができる人間など、ごくわずかだ。レントの儚い願いが通じたのか、それともパーティとの絆の力か。
どちらにせよ、『乳魔の部屋』から出る条件は揃った。理性を失ったレントにも、誰かがここにやってきたということだけは分かる。
後は、レントが心の底から出たいと願えば、ただそれだけで扉は開く。
ただ、それだけで――。
「「ふぅぅぅぅ~……♡♡♡」」
「っ~~~~~~~~~!?!!?」
耳元で囁いていた乳魔たちが、唐突にレントの耳に息を吹きかける。尖らせた唇が耳に触れそうなほどの距離。性感帯への優しくも甘い刺激に、ぞわぞわとレントの肌が粟立つ。
それは、あまりにも露骨な妨害。レントの意識を無理やり耳へと向かせたうえで、乳魔はこれ以上ないほどの媚びた声音で囁く。
「ふふふ、良かったね? みんなお兄さんのこと、迎えにきたみたいだよ~♡ これで私たちから解放されるねぇ♡」
「もう、こうして体におっぱい擦りつけられることもないよ~? 柔らかくて、甘ったる~いおっぱいの感触……味わわなくていいの♡」
「うっ……あっ……♡」
左右の乳魔が、レントの腕にわざとらしく胸を押し付ける。感触を覚えこませるように、指の一本一本までを自身の乳肉に埋もれさせる。一度味わってしまったら、決して忘れられない極上の肌触り。淫らに、しつこく肌を合わせながら、乳魔たちは囁き続ける。
「でも、こんなに気持ちいい体験しちゃったら……もう普通のセックスなんかじゃ満足できないかもね?」
「外に出ても、ずっと私たちのおっぱいのことが頭に残って、その記憶だけをオカズに何度もオナニーしちゃう♡ でも、本当に欲しい快楽は一生取り上げられたまま……♡」
「本当に、お兄さんはそれでいいの……?」
「私たちとこのまま一緒にいれば、天国みたいな射精……堪能できるのになぁ♡」
「んふ~~~~♡ ぐっ、ふぅぅぅう……♡」
ちゅっ、ちゅっと、乳魔たちがとうとう頬や耳に口づけを始める。ついばむように唇を何度も押し当てたかと思えば、じっくりと食むように耳を甘噛みする。射精を煽る淫語を合間に挟みながら、レントの思考をとろとろに溶かしていく。
「おっぱいもみもみしながら、ぴゅっぴゅ……♡」
「みっともない射精顔観察されながら、どぴゅ~……♡」
「「すっ……ごく気持ちいいお漏らし射精、したいよね♡」」
「んんぅぅぅぅぅ……♡♡♡」
いくらレントが拒否しようとも、勝手に頭が想像してしまう。彼女らに促されるままに、その瞬間を……精液をまき散らす様を、思い描いてしまう。
度重なる射精誘惑によって、レントの腰が勝手に持ち上がり、反り返ったペニスが激しく痙攣する。しかし、今は乳魔の胸に挟み込まれた状態。ゆえに、ペニスは無情にも自ら谷間ホールに突っ込むことになってしまう。
「おっと♡」
「んっ……♡」
ぐちゅん♡ にゅるぅ、ぬっちゅうぅぅ……♡
「いっ~~~~~かはっ~~~~♡♡♡」
ずろぉっと、感度を高められたペニスが乳魔たちの胸に舐めまわされる。とめどなく溢れる我慢汁を潤滑剤にして、肥大化したカリ首がぷりぷりと爆乳に引っかかっては、レントの射精欲を煽り立てる。
一方で、暴れるペニスを押さえつけるように、乳魔たちは結託して胸を寄せ上げる。びちびちと竿が蠢くたびに、乳肉が絡みつき、いつまでも快感が止まらなくなってしまう。
「あ~あ~、射精の瞬間想像しちゃった? でも、残念ながらまだ精液は練りあがってないんだよね……♡」
「……辛いね♡ あともう少し私たちと一緒にいれば、出来るんだけどね? 死ぬほど気持ちいい射精……♡」
「んっ、ひぃいぃぃ~~~~……♡」
バタバタと、レントは襲い来る快楽に悶える。たった一度。たった一瞬でも、レントが出たいと強く願えば、扉は開く。けれど、乳魔たちの暴力的な誘惑が、その一瞬を阻む。
「……ばっきばきになっちゃったオークちんぽから、ゼリーみたいなぷりぷりの精液びゅ~びゅ~って♡」
「尿道に詰まっちゃうぐらい濃~い精液♡ ちょっとやそっとじゃ終わらない、長~い絶頂♡」
「「乳魔のおっぱいに包まれながらの、乳内射精……味わいたいよね?」」
「~~~~~~~~~~っ♡♡♡」
みちぃっと、隙間なくペニスを挟み込みながら、乳魔たちが甘く囁く。動かさなくとも、ただその大ボリュームに包まれるだけで、性器は快楽に身もだえる。そのたびに、もちゅもちゅと柔肉が絡みつき、我慢汁が絶え間なく漏れ出ていく。
解放感のない、切なさだけが増幅する情けないお漏らし。終わらない快楽の連続に、レントの頭がすべて射精欲求に支配される。
(射精したい……っ!)
射精したい射精したい射精したい……!!
塗りつぶされる。育んできた仲間との絆も、冒険者の矜持も、何もかもが乳白色に溶けてなくなっていく。
「あはは♡ せっかく仲間がすぐそばまで来てくれたのに、ちょっとおっぱいすりすりされたら何も考えられなくなっちゃうんだねぇ♡」
「いいのかにゃ~? ひょっとしたらまだ間に合うかも……♡」
葛藤するレントを見るのが面白くて仕方がないというように、乳魔たちは最後の最後まで仲間の存在をほのめかす。両側から乳首をカリカリと愛撫しながら、あえて挑発的な言葉を投げかける。
「ほら、どうするの? 冒険者として仲間と一緒に生きる?」
「それともぉ、私たちに甘やかされながら、気持ちよ~く死んじゃう?」
「「ほらほら♡ どうする? ねぇ、どうするの♡」」
「う、うあぁあぁぁぁあ……♡」
心地よい乳圧にとろかされながら、究極の選択肢を突き付けられる。絶えずフェロモンを嗅がされる体が、疼いて疼いてたまらない。
(ぼ、ぼくは♡ ぼくはぁ……♡)
走馬灯のように、レントの頭に今までの思い出が駆け巡っていく。オウルとパーティを結成し、冒険者として生きてきた記憶が、急速に蘇ってくる。
そして、その結果。
レントが選んだ答えは――。
*
「くそっ!! なんでだ? なんで開かない!?」
「オウル……」
扉が壊れそうなほど、オウルはがちゃがちゃと何度も取っ手を捻る。それでも、扉はまるで接着されているかのようにびくともしない。
「鍵がかかっている……わけじゃないんだよね」
「だとしてもだ。あれほどボロボロの扉が、そこまで頑丈なもんか?」
パーティの仲間たちが、互いに意見を交わす。実際、その扉は年月による劣化が激しく、そこまで強固な施錠がされているとは考えにくかった。それに加え、オウルが蹴破ろうとしても、まるで壁を蹴っているように手ごたえがない。
「しかも、こっちの攻撃魔法も効かない。物理的なものじゃなく、きっと魔法で塞がれてるんだ」
「それは間違いない。でも、だとしたら……」
「おい、どういうことなんだ。なんで、この扉は開かないんだ!」
予感じみたものを感じたオウルとしては、一刻も早く扉を開きたかったが、魔法に長けた仲間たちは揃って難しい顔をする。
「ここまで強固な魔法結界を、レントが作ったとは考えにくい。となると、この扉に魔法をかけているのは魔物ということになる」
「だったら、なんだ?」
「人と魔物では、魔法の体系がそもそも大きく異なる。我々は自身の精神力を媒体にして魔法を使うが、魔物は違うんだ」
「……?」
魔法を得意としないオウルにとっては、その違いが何を示すのかわからない。なるべく言葉を選ぶようにして、仲間たちは簡潔に説明を行う。
「奴らは、契約を用いて魔法を使う。条件、と言い換えてもいい。その条件が破られない限り、魔法の効力は半永久的に続く」
「条件? 何だよそれ……そんなの、反則じゃねぇか!」
「逆に言えば、条件さえクリアすれば奴らの魔法はあっけなく崩せる。リターンが大きい代わりに、リスクも大きいんだ。でも……」
「その条件が、分からないってことか……?」
仲間たちは、重々しく頷く。そもそも、この建物の内部の状況も判然としない。つまり、苦労して扉を開くことが出来ても、そこに本当にレントがいるとは断定できないわけだ。
「はっきりとした理由がないのなら、この建物に固執し続けるのは……」
「そんな……っ!」
それ以上先の言葉を、仲間たちは発しなかった。パーティ内に、諦めにも似た空気が流れる。それでも、オウルは自分の直感が間違っているとは思えなかった。その場に項垂れるリーダーに、仲間たちが声を掛ける。
「……なぁ、もしレントが中にいるんだとしたら、これだけ扉を蹴っているのに全く反応がないのはおかしいんじゃないか?」
「仮に魔物に襲われているとしたら、なおさら外にいる私たちに気づいてもらえるように動くはずよ」
「そうだ、レントはきっと他の場所にいるんだよ!」
「みんな……」
オウルを気遣うように、みなお互いに声を掛け合う。状況は依然として好転していない。これ以上レントの捜索に時間をかけても、徒労に終わるだけかもしれない。仲間たちの頭にも、きっとその思いはあるだろう。
けれど、そんな絶望的な状況でも、希望を捨てず可能性を模索する彼らの姿が、オウルには眩しく見えた。
正直に言って後ろ髪を引かれる気持ちもある。もしかすると、レントはこの扉の先で助けを求めているんじゃないか――そんな嫌な予感をどうしても抱いてしまう。
でも、リーダーである自分がうだうだとしていては、パーティはまとまらない。きっと今のオウルを見れば、レントは背中を思い切り蹴り上げるだろう。
『僕たちは、上級冒険者になるんだ!』
互いに誓い合った約束を果たすまでは、止まるわけにはいかない。扉と向き合っていたオウルは、すっと踵を返す。そして、仲間たちに声を掛ける。
「すまん、みんな! あのレントが、おとなしく部屋に引き籠ってるわけがないよな?」
リーダーの言葉に、仲間たちは一様に力強く頷く。きっと、彼はしぶとく生きている。
そうだ。そうに違いない。
まるで自分自身に暗示を掛けるように、オウルたちは何度も互いに声を掛け合った。
そして、パーティは再びダンジョン内の探索へと戻った。
それが、レントとの最後の別れになるとも知らずに――。
*
ふっと、扉の外の気配が途切れる。それをいち早く察知した乳魔たちは、くすくすと一斉に笑い始めた。
「あ~あ……やっちゃったぁ♡」
「せっかくみんなが迎えに来てくれたのに、最後のチャンス無駄にしちゃったね?」
「大事な仲間たちのこと、おっぱいで射精したいってだけで裏切っちゃった……♡」
「うっ……ぁ……あぁ……っ♡」
全身に絡みつく彼女らのいやらしい笑みを前に、レントも理解してしまった。自分が、やってはいけないことをしたということを。
けれど、今さら後悔してもすべてが遅すぎる。目を細めた乳魔たちは、ここぞとばかりにレントを口々に責め立てる。
「今まで一緒に冒険してきた仲間たちを裏切るのって、どんな気持ち~?」
「……こんなおっぱいが大きいだけの弱っちい魔物に負けちゃうなんて、悔しいね? 情けないね?」
「でも、気持ちいいんだもんね? 甘酸っぱいフェロモンまき散らす乳魔の爆乳気持ちよすぎて、出たくないって思っちゃったんだもんねぇ♡」
「「「この……おっぱいマゾ♡」」」
「~~~~~~~~っ♡♡♡」
もはや欠片ほどしかないレントのプライド。そんな欠片をさらに踏みにじり、粉々に砕くような容赦のない言葉責め。一方で、彼女たちはすりすりとレントに擦りより、媚びるように全身を撫でまわしてくる。
仲間を裏切ったご褒美だとでもいうように、小柄なレントの体を包み込んで、たっぷりと甘やかす。いっそ暴力的ともいえる快楽に、レントは声にもならない嬌声を上げた。
「良かったねぇ♡ お兄さんが残ってくれたおかげで、いよいよ精液が練り上がってきたよ~♡」
「完全に生命力が溶けきっちゃうまで、あとちょっと……♡」
「仲間を裏切って、魂ごと吐き出しちゃう乳内射精……♡」
「いったい、どれぐらい気持ちいいのかにゃ~♡」
「はっ♡ はっ♡ はぁぁぁ……♡」
自身の生命力が精液に溶けていく感覚。さすがに、レントにも分かってしまう。股間の奥へと凝縮された、どっぷりと濃い精液。体の力が抜けていく代わりに、そこが大きく膨らんでいく。
心臓の鼓動に合わせて、どくどくと溜まっていく。自分の命が、収束する。ペニスの根元が、段々と熱くなっていって……。
(これ、出したら……っ!)
間違いなく、死んでしまう。徐々に近づく終わりへのカウントダウンに、身体が勝手に震える。自業自得とはいえ、生き物としての本能が生を渇望する。
(やだっ、やだっ……!!)
歯をかちかちと鳴らしながら、レントはせめてもの抵抗としてぎゅっと身体に力を入れる。自分の命を守るために、咄嗟にとった防衛策。当然、そんな彼の行動は密着した乳魔にも筒抜けだった。
感度を最大限まで高められ、もはや我慢など出来るはずのない状況。それなのに、必死に生にしがみつこうとする哀れな獲物。
レントのそんな姿を見て乳魔たちは……にやぁっと、これ以上ないほど悪辣な笑みを浮かべた。
「あっははははは!! さっきまで「射精させて~」とか言ってたのに、いざ死んじゃうって分かったら必死に我慢して……っぷふ! お兄さん、最高~♡」
「これだから人間の男の子で遊ぶの、やめられないんだよね~♡」
「ほら、頑張れ頑張れ~♡ オークちんぽずりずりされても、精液押しとどめろ♡」
「気持ちいいの我慢♡ 我慢だよ~……♡」
「っ!!!!?」
むわっと、レントを中心とした空間が濃いフェロモンに包み込まれる。嗜虐心を刺激されて興奮した乳魔たち。彼女たちの体から発せられる匂いが、限界寸前のレントを襲う。
息を吸うだけで、びりびりと脳が痺れる。とめどなく口から溢れる涎が、顎を伝って垂れ落ちる。それに加え、より湿度と滑りを増した乳魔の肌が絡みつく。
ぬっちゃ♡ ぐちゃっ♡ にゅるぅ……だぽん♡ にゅぶ、ぐちゅぅ……♡
「お゛っ♡ んぉぉぉ……く、ひっ……♡」
「ん~♡ もう無理だよね? だってこんな気持ちいいの、耐えられるわけないよ♡ おとなしくびゅ~びゅ~しちゃお♡」
「あっ♡ ダメダメ♡ ちゃんと力入れなきゃ♡ もうほんとにいつ漏れてもおかしくないんだよ?」
片方が射精を促せば、もう片方は我慢するように強いる。あべこべなことを言いながらも、実際はどちらも楽しんでいるだけに過ぎない。もっちりと乳肌を吸い付かせながら、絶頂へと昇りつめる様を観察する。
「我慢♡ 射精しちゃダメ♡ 気持ちよすぎて死んじゃう♡ 乳魔に見つめられながらびゅ~びゅ~射精♡」
「今までの快感なんて目じゃないくらいの、ヤバ~い絶頂♡ イってる間も、ずっとおっぱいですりすりしてあげるからね♡」
「だ・か・らぁ……イっちゃお♡ イけ♡ イけイけ♡」
「……イくな♡ 射精ダメ♡ イったらちんぽめちゃくちゃにするから♡」
「ふ~~~~っ♡ ふ~~~~~~~~っ……♡」
淫語を囁かれ、ペニスをコキ抜かれる。絶えず我慢汁を垂れ流していた性器の根元に、ぞくんっと、むず痒い感覚が走る。
(あっ…………っ!!?)
これまでの人生の中で、何度も味わってきた感覚。切なく、もどかしい快楽の塊。それが、急速に這い上がってくる。
(あっ……あっあっあっ……♡)
まずい。いけない。そう考えながらも、着実にそれはやってくる。射精の予兆。自分の命さえ殺めてしまうほどの危険な快楽が、もうすぐそこまできている。
「おっ……んんぅっ♡ くっ、ぐっ……ぅ♡」
「あっ、この顔は……♡」
「ふふふ、きちゃったね♡ 待望のお射精ターイム♡」
「にゃは♡ 最後なんだし、派手にぶちかますにゃ~♡」
「……いいよ、ほらお兄さん♡」
ぱっちゅ♡ ぱっちゅ♡ ぱっちゅ♡ ぱっちゅん……♡
ぎゅっと爆乳を両側から圧迫したまま、持ち上げて落とす。びきびきと血管を浮かせたペニスを、上下に何度も扱く。一切小細工のない、純粋でシンプルな刺激。だからこそ、射精前のレントにとってその動きは最も酷だった。
「あっ♡ んぁ♡ うぁっ……♡」
だぽっと、股間に向かって打ち下ろされる下乳。スライムのように波打ち、ぷるぷると震えながらも、柔らかく吸い付いてくる。かと思えば、ずるりと竿を舐め上げながら先端まで包み込む。
そしてまた……下へ。出っ張ったカリをぞりぞりと乳肉に引っ掛けながら、しつこく裏筋を擦りまわす。ペニスの皮もズリ剥かれ、露出したカリ裏までたっぷりと愛撫される。
一回一回のピストンが、とてつもなく濃い。しかもそれが、両側から二人同時に行われるのだから、たまったものではない。
「あ゛っ……だっ♡ でっ、るっぅぅ……♡♡♡」
「んっ……♡ イくね? 出しちゃうね?」
「射精の瞬間、みんなで見守ってあげるから……安心してびゅ~ってして♡」
「は~い♡ カウントダウン……♡」
「さん……にぃ……いち……♡」
くる。きてしまう。溜め込まれ、ぐつぐつと煮だった精液。レントの命の詰まったそれが、尿道を走り抜けていく。爆乳にズリたてられるままに、鈴口へと向かっていく。
瞳をぎらつかせ、満面の笑みを浮かべる乳魔たち。人生最後の、淫らで退廃的な光景を目に焼き付けながら……レントは、盛大に果てた。
「「「ぜろ……♡♡♡」」」
どぷっ……。
びゅっ!! びゅぼっ……!! どぷっ!! ぶっびゅっ……どくどくどくどく!!!
「お゛ぐっぉぉぉおぉおぉおお~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡」
咆哮。それこそ、オークの断末魔にも似た声が、部屋中に響き渡る。人がその身に受けるには、余りにも深すぎる快楽。射精、などという生易しいものでは決してない。鈴口から噴き出る精液は、液体というよりはむしろ固体に近かった。
太く濃厚な固形の精液が、尿道をこじあけながら勢いよく飛び出す。その途方もない解放感に、レントは打ち震える。ぶびゅり、ぶびゅりと音を立てながら、少しずつ塊になった精液を吐き出していく。
それでも……全身を駆け巡る快感はちっとも収まってくれない。
「んんぁひゃぁあああぁぁぁぁ~~~~~~~♡♡♡」
「は~い♡ びゅ~~~♡ どっぴゅ~~~……♡」
「あは、きたぁ♡ 熱くてドロッドロの濃い精液、オークちんぽから必死にぴゅっぴゅ♡」
「……全部空になるまで、しっかりお世話してあげるからね♡」
本来なら、ペニスの脈動とともに断続的に訪れるはずの快楽。けれど、一本のロープのように精液が凝り固まっているせいで、一向に快感が途切れてくれない。
少しずつ、ゆっくりと、気が触れそうなほどの快感を長く長く味わわされる。しかも、射精中のペニスを、乳魔は絶えずズリ立ててくる。ぬっちょぬっちょと、しつこく粘りつく甘々極楽パイズリ。涙や涎でぐちょぐちょになったレントの顔が、恍惚に彩られる。
ぬちゅぬちゅぬちゅぬちゅぬちゅぬちゅ……♡
「ひょあぁあぁあぁあぁ~~~~~~~~~~♡♡♡」
普通なら10秒も掛からず終えるはずの、強く濃い快感。それが延々と繰り返される。度を超えた快楽が脳を犯し、全身の筋肉が悲鳴を上げる。けれど、レントが自分の意志でどうこうできる段階はとうに超えてしまった。
今の彼は、ただ精液をひり出すだけの玩具でしかない。全てを放出し、体が干からびるまで続く快楽地獄。彼の出した濃厚精液は、たちまち乳魔たちの顔や胸に張り付き、べったりとこびりついていく。
まるでご馳走とばかりに、乳魔たちは精液を舌の上で転がすと、うっとりと目を細めてみせた。
「ん、これこれ♡ 冒険者の命を凝縮した精液……たまんない♡」
「……美味しい♡ お兄さん、そうとう経験積んでたんだね」
「このまま頑張れば、上級冒険者にだってなれたはずなのに……♡」
「残念だけどぉ、お兄さんの冒険はここでお・わ・り♡」
濁った精液を口にして、乳魔たちの肌はより一層艶めく。レントが積み上げてきた経験値もまた、精液と共に搾り取られていく。
愉悦に顔を歪めた乳魔たちの、熱のこもった視線。それがまた、レントの絶頂をより強いものへと押し上げる。白濁液にまみれたおっぱいが、ペニスにぬるぬると絡みつき、さらに精液を催促する。
「んあぁあぁあああぁぁ~~~~~♡♡♡」
体をよじらせ、射精すればするほど、より気持ちよさが増す。左右の乳魔の胸を鷲掴みにしながら、射精。乳首を舌で舐めまわされながら、射精。ペニスで乳内をかき分けながら、射精。
どびゅっ!! びゅるるる! ぶびゅっ!! どっぷ……!
「あっ♡ はぁ♡ はへへはぇあぁ……♡」
終わらない。レントの命が尽きるまで、彼女らの遊びは終わらない。けれど、もう彼の中に後悔はなかった。むしろ、幸せとさえ感じてしまう。
死ぬ瞬間まで、彼女らに見守ってもらえる。ずっと気持ちいいままでいられる――。
たとえそれが偽りの愛情でも、玩具に対する興味でしかないとしても、射精に溺れるレントには判断できない。夢見心地のまま、ただ与えられる快感を享受していく。
もはやそこに、かつての中級冒険者であるレントの姿はなかった。
「あはは♡ お顔ぐっちゃぐちゃ♡ おっぱいに甘えっぱなしの赤ん坊になっちゃった♡」
「……どろどろ精液垂れ流すの、気持ちいいでちゅねぇ♡」
「乳魔のおっぱいオムツ代わりにして、たくさんしーしーしようねぇ♡」
「あうぅ……ぉ……おぉ♡」
母性の象徴である胸を豊かに実らせた乳魔たちは、自身の本能に従ってひたすらに甘やかしていく。これからたっぷり数時間、レントの命が終わるまで、延々と。
彼の放出した精液は、部屋の床までを侵食していき、自身が装備していた短剣にまで辿り着く。
目の前に群がる魔物に取り上げられ、活躍の場を失った相棒。レントの生きてきた証である短剣もまた、白濁液に覆われていき……やがて完全に見えなくなる。
そうして誰にも気づかれないまま、『乳魔の部屋』に囚われた哀れな犠牲者は、ひっそりとその命を絶ったのだった――。
Twitter