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乳母サキュバスの甘くて幸せなぱふぱふ授乳と母乳オナホールで、身も心もとろとろに蕩かされてしまうお話。

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身の程知らず、分相応、井の中の蛙。

「自分の力を過信し、身を滅ぼす」事を体現した言葉は数々存在する。特定のグループの中で優れた実力者であっても、格上のグループの中では最も低い力量に成り下がる…といったことも珍しくはないだろう。

運の良い者は、その時点で自分の実力を思い知り、身を引くか、はたまた泥の味を噛み締め、また一からやり直す。前者は安全を確保しつつ別の可能性を見出し、後者はより上の段階へと上り詰めていくことだろう。

――そう、運が良ければ。

中には、過信と共に身を滅ぼす者も少なくはない。自分は最強なのだと肉食動物に挑み、敗北した草食動物がそのまま逃げ切り生き残れる保証などあるはずもないのだ。

だが、自然界では何も強大な力を持つ捕食者だけが生き残る訳では無い。

「こんな相手に、自分が負けるわけなど…」そう思った相手に、手痛い反撃を受けることもまた、自然界では日常茶飯事だ。

─例えば、毒。

蛇、蜂、蠍、蛙、魚の持つ凶悪な武器。

強靭な獅子や、戦車のような象、鋭い歯を並べる鮫をも打ち倒す可能性を秘めた毒。

そんな毒には、体を蝕む攻撃的な毒もあれば、戦意を喪失させる搦め手のような毒も存在する。

その毒に敗れることもまた、「自分の力を過信し、身を滅ぼす」事に、他ならない──

───────

「へえ、誰もこいつは相手にしようとしないんだ。」

バウンティズ・バー。人々に害を成す魔物の討伐を請け負う酒場にて、一つの声がこだまする。酒の席と言うこともあってか、特定の個人の声などそう聞こえる筈もない程に喧騒飛び交うその場所で、誰もがその声を耳に出来たのは、その声色がこのような場所には不釣り合いなほど透き通った物だったからだ。

「マスター、こいつの手配書、ボクがもらって行ってもいいかな?」

「……くっ」

「「「ぎゃーっはっはっはっはっは!!!!!!」」」

それに対して、ドアが軋み音を鳴らす程の声量で、此処に本来見合う、野太く粗野な笑い声が響き渡る。その笑い声は明らかに今の透き通った声の主に向けられたものだ。

声の主が発したのは、依頼された魔物退治を請け負うという内容だった。

この酒場では、依頼を請け負うのに難しい手続きなどは必要ない。目を付けた手配書を店主に見せ、一枚の銅貨を渡す。そうすると店主が魔物の居場所を記した地図を渡し、賞金稼ぎは店を後にすることとなる。

その声の主も、通例に従い、その通りの手順を踏んでみせた。それなのに周囲の賞金稼ぎ達が声の主を笑い飛ばしたのは…、声の主が『少年』であること、そして少年が目を付けた手配書が、名のあるサキュバスのものであったからだ。

「おいおいガキ、そいつに手を出そうってんならやめときな?討伐に出た奴は誰一人帰ってこねえってんで、今じゃ当初の懸賞金の3倍の値が付けられる程の上玉だぜ?」

「ああそうだ、そこの危険度って欄を読んでみな。Aランクの魔物って書いてんだろ?Aランクってえのはなぁ、バカでけえ屋敷を構えてその辺り一帯の土地を納める程の力を持った、領主クラスなんて呼ばれる大物よ。」

「そんでもって、そいつはサキュバス─、Aランクのサキュバスにかかりゃあどんな男でも瞬殺にされちまう。邪念も性欲もねえ、お偉い聖騎士様や僧侶様でもねえと相手にできるもんじゃねえ。」

「あー…それともなにかい?体よく寝る前のお供でも手に入れようって算段かぁ?」

「ぎゃっはっは!そりゃあいい、とんだ知能犯じゃねえかボウズ!だがやめとけやめとけ!こんな男臭え酒場に長いこと貼られてた手配書だぜ?どんな汚れが付着してるかわかったもんじゃねえや!」

「ひゃははは!ちげえねえ!」

男達は、警告1割、嘲笑9割と言った品のない言葉を少年に浴びせかける。

「…ってぇ事だ。悪いことは言わねえ。まだ若いお前さんにとっちゃ結果を出すことは大事だろうが、命あっての物種だ。……まぁ、格はかなり落ちるが、Eランクの討伐依頼もいくつかある。待ってな、丁度いいのを見繕って…」

喧騒の中にあって、唯一知的な面影を見せる店主であっても答えは変わらない。

そして…その言葉にとうとう痺れを切らしたのか、あるいは嘲笑ではない真っ当な警告だからこそ初めてまともに聞き入れたのか、少年はその口を開く。

「慣れないもんだね、世間知らずにバカにされるってのはさ」

「あー?」

「おいガキ、今なんか言ったか?」

「いけねえなぁ…大人をバカにするとどんな痛い目に遭うか知らねえか?」

温和な声色ながらも、確かな怒りをもったその言葉に、周囲の男達も態度を一変させる。ガタッ…と椅子から立ち上がる男も何人か存在し、緊迫感に包まれていく。

「おいおい…此処じゃ揉め事はお断りだぜ」

「ああ、いいよ別に。すぐ黙らせるから」

──その言葉と共に、張り詰めた空気は一瞬で落ち着くことになる。

パチン…

指鳴り一つ。たったそれだけで立ち上がった男達のグラスが一瞬にして溶け落ち、中の飲み物は全て蒸発する。ガラスと、アルコールが溶け合ったような粘膜にこびり付くような独特な刺激臭が漂う。溶け落ちた「グラスだった物」には強い熱が加えられた形跡があり、それが炎の魔術によるものであることを一部の客は察する。

「お、おい…なんだ今のは…」

「ありえねえ…呪文の詠唱も無しにガラスを溶かしちまう程の炎を出したってのか…?」

「いや、問題はそこじゃねえ…グラスに残った熱で炎が原因だっつーことはわかるが…俺達の誰一人としてその『炎』を見てやしねえんだ…!」

詠唱無しの魔法。ガラスを一瞬で溶解するほどの熱量を持つ炎。それだけでも相当に高等な技術であるにも関わらず、その魔法は誰の目にも止まらない…神速の魔法でもあったのだ。

「これでわかったでしょ?僕がそのサキュバスを討伐するに相応しい人間だってことがね。」

その言葉に怒号や嘲笑を返す者は居ない。男達は、只遠くなる少年の背中と、バーのドアを開閉した際のベルの音を聞きながら、目の前の状況を理解するために時間を費やすしか無い。しかしその時、1人の客が開いたままの口を動かす。

「…!まさかお前…『緋炎』のリードか!熱と炎の魔術を扱うフレイディア家の御曹司…!既にAランクの討伐ライセンスも合格してるっつー天才児…!」

「…ふふん」

リードと呼ばれた少年は、その言葉を無言で肯定しながら、その姿を消していった─。

───────

「やれやれ、な~にが誰1人帰ってこない、だか。」

ひと悶着のあったその日から数日。馬車を駆り、数件の宿を跨ぎ…リードは、件のサキュバスの住まう城の直ぐ側へと近づいていた。

「あんなショボい城じゃあ、主のサキュバスの格も知れるってもんだよ。」

城を囲うように生い茂る森の、一層高い崖の上からリードは城を見下ろし呟く。その城は威風堂々とした佇まいであり、決して彼の言うようなスケールのものではない。だが、リードにとってはその城も『ショボい』と言い捨てる程度のものだった。

貴族の生まれであり、物心付くときから英才教育を施された生まれながらのエリートである彼の生まれ育った城は、目の前の城よりも遥かに立派であり、鍛え抜かれた魔法の才は既に師範役に当たった魔法使いのそれを越えていた。そして彼は、ここでもその魔法を遺憾なく発揮する。

「直接乗り込んでもいいけど…騒ぎになったら流石に面倒くさいもんね。さて…と…あの庭木の裏なんか丁度いいかな。」

崖の上からならば、城の全域を見渡し、目測する事はできる。だがその距離を実際に埋めようとなると並大抵の距離ではないだろう。しかしリードの魔法を持ってすれば――

「はい、侵入成功っと…」

リードの姿は崖の上から一瞬にして消え、瞬きする程度の時間で例の目測を立てた、サキュバス城の庭木の裏へとワープしていた。リードは炎を冠する異名を持つが、その魔法は全てが高水準に整っている。そんな彼の才能を持ってすれば、『目測地点への瞬間移動』すらも容易に可能だったのだ。

────

「ふわ…」

「おい、気が抜けているぞ」

「だって退屈で…どうせ警備なんかしていても、今更御主人様に近付こうなんて身の程知らずなんか居ないでしょ?」

「そう言うな。確かに主殿の力は誰もが知る処。だが、こうして常日頃から警戒心を解かずに警備にあたるというのも、一種の鍛錬の一つだ」

(はいはい、無駄な鍛錬、ご苦労さまっと…)

────

「ぐるるぅ…」

(ん…番犬か。あいつらはステルス魔法じゃ誤魔化せないな…それじゃあこっちっと。)

「…くおぉ…ん……がふぅ……」

(夢の中でせいぜい良い肉にでも食らいついてな)

────

その後は、何も苦労することはなかった。ステルス魔法で門番の警備を呆気なく突破し、鼻の効く番犬には睡眠魔法を使い無力化させる。ハイレベルのあらゆる魔法を駆使して、彼は誰にも気付かれることなく悠々と玉座の間に繋がるであろう大扉へと辿り着いた。

「失礼するよ」

ギイィィ…と重厚な扉を魔力の力でこじ開ける。

――しかしその扉は、玉座へとつながることはなかった。

「なんだ……この部屋…?」

扉が開き目に飛び込んできたのは、中央の暖炉が目立つ、落ち着いた形相の部屋だった。

「休憩室…?いや、たかが休憩室にあんな仰々しい作りの扉は構えない…」

ぱち……ぼう…ぅ……

暖炉の炎が絨毯やソファ、シャンデリア、ホールクロックをオレンジ色に仄かに照らす様子からは、穏やかな生活感を感じ取ることが出来、ここが魔王城の一角だと言うことを危うく忘れさせかける。

炎の熱気が、「熱さ」ではなく、優しい「暖かさ」となる場所にはロッキングチェアが配置されており、重心次第で木馬のように揺れるそれは、一人が座るにしては随分と大きく見える。

それほどの体躯の巨大な存在が居るのか……リードがそう思った矢先、別の家具が目に入ることで、その考えは否定される。

ロッキングチェアより更に暖炉から離れた場所に配置されているのは、一人分のベッド、そして……

「あれは…ベビーベッドか……」

そのベッドよりも遥かに小さい、布団の周りを柵で覆われた、安全性が考慮されたベビーベッド。

ロッキングチェアより更に穏やかな…眠るには最適の穏やかさを感じることの出来る絶妙な位置に配置されている。

「二つのベッド…ロッキングチェア…。なるほど……」

「ここはおそらく…乳母のような存在が、赤ん坊を世話して、眠らせるための部屋……育児室ってとこかな。この城の主の子供か…もしくは、主そのものが子供だった頃の部屋か…。」

巨大な体躯を有する魔物のものかと懸念した、穏やかな暖かさを感じる距離に配置されたロッキングチェア。

それが一回り大きいのは、赤ん坊を抱いた状態で、木馬のような揺れにて、赤ん坊をうとうとと、夢の世界に誘う為の、謂わば安眠誘導具。

コツ、コツと。規則的な音を鳴らす大きなルームクロックも、ふわりと仄かな灯りを灯すシャンデリアも。

全て、ベビーベッドに子供を寝かせるために用意された物だった。

「……母様」

裕福な家に生まれたリードは、この光景に見覚えがあった。いや、見覚えがあるというよりは、なんとなくだが記憶に残っていた。

リードの脳裏に過るのは、まだまだ、母親に甘えていた頃の記憶。

ロッキングチェアに揺られながら編み物をする母親の膝に身を委ね、暖炉の暖かさに包まれながら、母親の膝枕や、寝心地の良い絨毯の上で、気付けばすやすやと寝てしまい、ベッドまで運ばれる記憶。

うたた寝の中で、うっすらと蘇った意識の中…優しく抱かれ、運ばれて…穏やかな振動を全身で味わう。そんな、心地良い記憶と共に…ぼそりと懐かしき日々を声に出す。

「……………はっ」

そんな記憶を追いかけ、どこか物寂しいような干渉に浸っていた事にリードは気付く。

「危ない危ない…ここに来た理由を忘れちゃいけないね」

その記憶を振り切るのは名残惜しいが、当初の目的…サキュバスの討伐を果たそうと、その名残惜しさを振り切る。

部屋の先には、1つの扉が有り、そこから吹き込む隙間風も感じる。おそらくはあの先に玉座の間があるのだろうと、リードは軽い脚付きで先を急ごうとする。

──その時だった。

ガチャ……

「えっ…?」

背後。つまりはこの部屋の入り口をを開ける音と同時に、鳩が豆鉄砲を食ったような気の抜けた声がリードの耳に響き渡る。

(ちっ…見つかっちゃったか)

「え…あ……ど、どなたでしょう……」

背後から聞こえる声は穏やかな声色の一方で不安と恐怖心に満ちている。

当然だ、リードはここに来るまで一切痕跡を残してないのだから。

声の主にとって、リードは未知の侵入者だ。だが、声の主は大声をあげようとはしない。それは、「未知の侵入者が自分の眼の前にいる」という状況を瞬時に理解しきれていないからだ。「大声を上げて侵入者が居ることを仲間に伝える」。そんな、然るべき対応に出れないのも無理はないだろう。声の主は、今起きている状況を確かめようと、傍から見れば呑気にも見える言葉─、思考の外、なんとなくで出た言葉で、リードに話しかけることしか出来なかった。

─そして、リードもそれを理解している。声の主が状況を理解すれば、途端に大声で助けを求めるか、こちらに挑みかかってくるだろう。

(悪いけど…そうなる前に眠ってもらうよ…!)

命を奪うつもりはない。睡眠魔法で意識を奪うだけだ。と、リードは即座に振り向き、声の主を目で捉える。

「う……?」

だが、リードの体はすぐには動かなかった。

目の前でおどおどと慌てている声の主の顔つきは、目頭から目尻に描けてゆっくりと垂れ落ちているような垂れ目を中心として細かく整った、不安げでありながらも、本来の穏やかさがわかる顔つきだ。

リードを見つめるその姿は、一見するとサキュバスの城にはおおよそ似つかない人間の女性であるものの、ふわりとしたクリーム色のショートヘアから覗く耳は三角に尖っており、服の裾からは黒と紫の尻尾が顔を覗かせている。

頭には丸みを帯び、襞が優しく頭を覆う、真っ白なモブキャップを被っており、美しい髪色と、真っ白なモブキャップが作り出す調和は、その境界線を中心に顔つきをより魅力的に見せており、だからこそ尖った耳もまた、この上なく目立つ。

衣服は黒いロングワンピースにロングスカート、そしてそれらを覆う白のエプロンと、その出で立ちは「メイド」に近いものがある。

体つきはメイド服という厚手の物でありながらも、その奥に潜む、むちむちとしながらも、魅惑的な肉付きなグラマラスなスタイルを隠しきれてはいない。

特に胸はとても大きく…身に纏う衣服とエプロンは、その大きな胸に押し出されシワ一つ付いていない程に、ぱつ…と伸び切っている。

尖った耳、顔を覗かせる尻尾、メイド服、そして男を惑わす体つき──。

この城に使えるサキュバスメイドだと、リードは一瞬考える。しかし─

(な、なんだ……この、感覚……?)

そのサキュバスは、見ているだけでどこか心が安らぐような、安心感を抱くような不思議な雰囲気を醸し出していた。

魔王城の玉座の前で相対したサキュバス。本来であれば即座に動きを封じるべきなのに、なぜかリードは彼女に「敵」としての感情を抱くことが出来ない。

「あ、あの……」

「!」

リードが手を出せずに居た、僅かな時間。その間に、吐息と同時に漏れ出るようなおどおど声ではあるが、サキュバスにその口を開くことを許してしまう。

(くっ……な、なんでだ…?なんで……攻撃しようと思えないんだ……!?)

その声を聞いても、リードは手を出せない。目の前に現れたサキュバスに魅了されたわけではない。

リードの魔力であれば、フェロモンや魅惑の術による精神的な干渉など容易に打ち消せるはずだ。だが、リードは…手を出せない。むしろ、その透き通った優しい声を、聞いていたいと思ってしまう。

「お客様…では、ない…ですよね……?侵入者…でしょうか?」

「けど…私に対して、何も暴力は振るおうとしない…。貴方は、いったい……?」

「……ああ、僕は侵入者さ。この城の主を討ちに来た、名をリード=フレイディア。玉座に繋がるであろう部屋を見つけたけど、いざ扉を開くと何故かこんな部屋でね。少し立ち往生していた所だよ。」

「うぅ、ああ…。やはり…侵入者なのですね……それに、御主人様を……」

「……見た所、君は戦闘力は殆ど無いだろう?どうかな、誰にもこの事を言わずに立ち去るのなら…危害は加えないよ」

やはり─…何故かこのサキュバスには、手を出そうと思えない─。

リードは自分の中の違和感に逆らおうとはせず、会話の中で体よく目の前のサキュバスを追い払おうとする。

「そ…そうは行きません…!私はこの城で御主人様の乳母を務めたサキュバス…。名をソフィ…!謂わば御主人様は、口にするにも恐れ多いですが、私の娘のようなもの……!貴方をこの先に行かせるわけには…」

「この先…?へぇ。やっぱりそこの扉は玉座の間に繋がってるんだ」

「…あ…!」

狙ったわけではないが、ソフィと名乗るメイド改め、乳母サキュバスの言葉から、妖しいと睨んでいた件の扉が正真正銘、玉座の間へと繋がる事が判明する。

「い、今のは…貴方を騙すための…罠…かもしれませんよ……!」

「残念だけどもう遅いよ?君の顔はとてもじゃないけど嘘を付いてるソレと言うには無理があるしね」

「く……う……」

言い訳が通じず、しどろもどろとしながらも一切退こうとはしないソフィに、リードは思考を廻らせる。

(けど…メイドではなく、乳母か…。確かにあの服装は屋敷で見知ったメイド服とは微妙に違う…。近いもので言うなら…前に異国の文化の本で見た、『カッポウギ』とか言うのに近い。……なら、その乳母が玉座に繋がってるっていうこの部屋は、やっぱり、手配書のサキュバスが子供の頃に使っていた育児室…。)

(…………育児……)

(……あの、乳母サキュバスに…世話をされながら…)

(あのロッキングチェアで、乳母サキュバスに抱かれて…ベッドに運ばれて…眠ら…され……て……)

(…………)

「くっ!?」

その、思考の中で─…相手が乳母であるという事と、この部屋が育児室であるという事が脳裏で重なると同時に、リードは目の前の穏やかな乳母サキュバス・ソフィが、この部屋で子供の世話をする姿を思い浮かべてしまう。

─脳裏に過ったソフィは、子供をベビーベッドに寝かせると同時に、穏やかな顔つきで子守唄を歌いだしかけた。

それと同時に、リードはニ往復程度、頭を横に振りそのイメージを振り払う。

そのイメージは何も、リードが邪な心で妄想したと言うわけではない。

それは、単なる思考のパズル。茶葉と熱湯を見れば、自然と、なんとなく、カップに注がれる紅茶をイメージしてしまうのと同じ現象。

─の、はずなのだ。

(けどなんで……そんなイメージを……僕は魅了の術なんかに、かかっていないはずなのに……)

その思考のパズルに行き着いた事を、リードは警戒する。「なんとなく」とは言えども、イメージが脳裏に過るということは、脳が情報を組み合わせるほどに、その事象に興味を持っているということだ。

興味がなければそもそもそんなイメージは浮かばない。道行きに落ちた枯れ葉と樹木を見たからと言って、興味を抱かなければ、「なぜその枯れ葉はあの樹から落ちたのか?」などそもそもイメージすらしないし、脳裏に自然と浮かび上がることもないだろう。

つまりは、今…リードの心理は、目の前のソフィに、興味を抱いているということになる。

─サキュバスへの興味。それは他ならない「魅了状態」に近付き、陥りかけているという事だ。

「……あ…あの…」

「!?」

再びソフィが口を開く。

リードが手を出さないという状況を把握したのか、その声色は勇気を振り絞り口を開いた、というよりは、今の状況に対し僅かに落ち着きを抱いたものだ。

「…あ、貴方が…何もせずにここを立ち去るというのなら、私はこの事実を報告はしません。ですので…如何でしょう…。私たちは、お互いに…何も見ることはなかった。そう、致しませんか?」

「……呆れたね。戦闘力のない乳母とは言え主の付き人がそんな提案をするなんて」

極めて平和的で、それでいて愚かな提案。先のリードの「立ち去るのなら危害は加えない」という提案と似ているようで違う、一方的な譲歩ではなく、互いに剣を収め合おうとするその発言にリードは心から呆れ果て、ため息を漏らす。

なぜ、こんな相手に自分は仕掛けることが出来ないのかと、自分の未熟さにすら憤りを感じるほどに。

「わ、私は何も……誰彼構わずこのような解決策を提案するわけではありません。貴方だから、提案しているんです。だって……」

ソフィは少し思う処があるように視線と顔を背ける。

それは、相手と相対した時─、自分の考えが本当に合っているのか。それを考え直し、再度答えを出す際によく見られる仕草だ。

そしてソフィは、再度リードを見つめ直し、ゆっくりと口を開く。

「貴方はとても……優しそうな子だから…。」

「なっ……!?」

優しい子。その言葉に、リードはなぜか心が高鳴ってしまう。

「わ…私を見ても…一切暴力に訴えかけず…退けば何もしないと約束する…。そしてその服装にも一切の返り血や汚れはなく…。おそらく、ここまで辿り着くまでの門番や巡回の衛兵であるサキュバスさん達も、何らかの暴力に訴えない手段でやりすごしてきたん…ですよね…?」

一旦息を置いた後のソフィの声。実際に言葉を紡ぐ事で、自分の考えが正しいと感じているのだろう。それは今までと同じ敬語でありながらも、不安に満ち、他人行儀だった敬語と比べると、丁寧ながらも、どこか子供を見守るような…彼女の予測どおり、「優しい少年」に対しての、おっとりとした落ち着いたものへと変わっていく。

「わ、笑わせないでよ…。それは相手にするだけ無駄だっただけの話で…」

「…ううん…きっと、ち、違うと思いますよ…。」

「な、何がさ…?」

「あまり、こんな事を考えたくはないけれど…単に無力化するだけなら、もっと確実なものも在るはず…。そ…それこそ、本当に「二度と口を開けなく」するような…。」

ソフィは口にするのも恐ろしいと言った表情で、脳裏によぎった「無力化させる手段」を引き合いにする。

「で、でも…貴方は極力、相手を傷付けない方法を選んだ…。それは、優しさがあるからこそ…。」

「その…憎まれ口も…。きっと、自分の優しさを自覚するのが恥ずかしくて、自分にも隠し通したいから、憎まれっ子を演じてるだけ…。」

「言葉や行動で、少し強気に出ても……、決して相手に直接的な危害は加えない…。だから…きっと貴方は、本当はとても、優しい子なんだと思うの。」

「う……」

またも、優しいと「褒められる」。リードの心は再び高鳴り…その言葉に嬉しさや幸福感を感じていることに気付く。

「その証拠に…私今…貴方とこうして話していて、あんまり、怖くない…ううん、安心感にも近いものを抱いているもの……」

「────っっっ…………」

先の、子供を見守るような優しい声色。

「貴方は優しい」という自己を肯定するような言葉が、

瞼が緩み、自然と口角が上がった、優しい微笑みと共に送られる。

そしてリードの心は、その言葉に暖められるように、どくん…と高鳴ってしまう。

(な、なんでだ……魅了なんか、受けていないのに…。『優しい』って言われるだけで……体が、熱くなる…)

「…あの…どうかしましたか?息が、荒くなっているような……。」

「べ、別に何も…」

「それに、顔つきも…さっきまでの険しい顔じゃなくて、なんだかとろんって…ふんわりしたみたい…。」

「だ、だから別に何もないって言ってるだろ…!!」

頭ごなしに否定するような荒い言葉。それは、今までのリードの相手を小馬鹿にしたような口調からは本来出るはずの無いものだった。

それは、怒りに任せた…というよりは、羞恥で余裕がなくなったように見て取れる。

「……ふふ…♡」

そんなリードに対し、ソフィは臆することなど無く、何かに気付いたような…意地を張る子供を優しく見守るような微笑みを浮かべる。

年相応の子供っぽい反応を示すリードに対し、ソフィの態度は、今までの機嫌を伺うようなものではなく、優しく宥めるような、それでいて、誂うような言葉遣いに変わっていく─

「ひょっとして…優しい子って言われて…嬉しくなっちゃった……?」

「そ、そんな事ない…!お、お前なんかに魅了されてなんか……」

「……ふふ…♡私は「魅了されている」だなんて…一言も言ってないのに…♡」

「く……」

この先の部屋のことをつい漏らしてしまった、先程の意趣返しのような問答。

ソフィは口元を曲げた人差し指で隠しながら、くすくすと、「一本取ってやった」、とでも言いたげな柔らかな微笑みを見せる。

まるで、素直になれない子供の本音を理解しているかのように……。

そして、その上品に微笑む仕草に、リードの心臓は再びドクンと高鳴ってしまう。

(な、なんだか…変だ……。ドキドキして…体が熱い……。「魅了」……?そんなはずない…!この僕が、由緒正しきフレイディア家の血を引くこの僕が…こんな下級の…戦闘力もまともになさそうなサキュバスなんかに……)

リードの顔が赤くなっていき、はぁはぁと呼吸も荒くなっていく。それを感じた瞬間、ソフィの瞳には優しさと穏やかさの中に妖艶さが灯り、少し悪戯げにリードをからかって見せる。

(そ、そんな…はず……ないのに……)

「………くす♡」

「あっ……う……」

まるで、「キミからも否定してくれ」と、縋るように。

リードは敵であるはずのソフィの顔を見る。しかしソフィは、再び優しい微笑みを送り、リードもまた、再びその顔に心臓を高鳴らせてしまうだけだった。

(ち、違う……そんな、そんなはず……)

リードは気付いていない。いや、認めたくないのだろう。

だが…もはや疑う余地もなく、リードはソフィに魅了されていた。

彼女は、確かに男を魅了するには十分な魅力を兼ね備えている。しかしリードは、彼女のそのグラマラスな体にだけ心を奪われたのではない。

─「点滴石を穿つ」と言う言葉がある。今回の場合も、それに近い事例…。一種の積み重ねのようなものだった。

二人が今相対している…育児室という、穏やかな雰囲気の部屋。

暖炉、ロッキングチェア、絨毯、ベビーベッド…。それらが醸し出す『癒やし』の雰囲気は、リードに、まだまだ甘えたがりだった頃の、少し昔の、穏やかな記憶を甦らせた。

暖炉の暖かさでうとうととした微睡みに堕ち、母に抱かれ、ベッドに運ばれる─……。そんな穏やかな記憶に包まれたリードの前に現れたのが、乳母サキュバスのソフィだった。

穏やかな記憶に包まれた状態で現れた、母性と包容力の象徴のような豊かな胸を揺らしながら、全身を暖かさ、穏やかさ、優しさの象徴のような服装で包んだ、ふんわりとした雰囲気のサキュバス。

何も、そのサキュバスに、母親の面影を抱いたわけではない。

しかし、穏やかな記憶に包まれていたリードは、その乳母サキュバスを見た瞬間、こう感じ取ってしまったのだ。

「彼女は、この記憶に寄り添ってくれる存在かもしれない」…と。

─彼女は、記憶の中のように、ロッキングチェアや絨毯で、眠気に陥る自分を抱きかかえてくれるかもしれない。

─彼女は、微睡みに堕ちた自分を、優しくベッドまで運んでくれるかもしれない。

─そして彼女は…眠り行く自分を…子守唄を歌いながら優しく見守ってくれるかもしれない。

そう。

類まれなる才能があろうとも、英才教育を受けようとも。彼はまだ『少年』だ。

誰かに甘えても良いと言われたのなら。……そんな、雰囲気を感じ取ったのなら。その心は、容易に甘い誘惑に毒されてしまう。

…詰まるところ─。

リードは、彼女に「甘えたく」なってしまっていた。

だから、彼女に褒められた時、この上なく嬉しくなった。この上なく、幸福感を感じた。

育児室という優しく、穏やかな部屋が…リードの心を、甘く蕩かしていたことに、彼は最後まで気付く事が出来なかった。

「──ふふ…♡」

「っっっ………♡」

─とても。

とても穏やかな微笑み。

ズクン…と。心臓だけでなく、下腹部までもが熱くなるような感覚が、リードを包み込む。

「なんだか貴方を見ていると…まだ幼かった頃の御主人様を思い出します…♡」

ソフィの口調は…乳児や子供に向けた言葉づかいでこそ無いが、その口調は、優しさで、甘さで、ふにゃふにゃに心を癒やし、そして蕩かすような……─リードを、明確に「甘やかす対象」として見たような口調となっていた。

「な、何を世迷言を…僕がサキュバスなんかと似てるわけ…」

「勿論、顔や雰囲気の話ではないですよ?似てるのは、そう…。その、意地っ張りで…本当は、甘えん坊なところ…♡」

「だ、誰が……!」

「あら…♡誰って……ここには、私と貴方しかいませんよ…?♡」

「は、はんっ…僕が、甘えん坊だって……?あ、ありえるわけないだろ、そんなこと……!バカバカしい…!」

甘えん坊という言葉を聞いて、リードは即座に反論しようとする。

しかしその言葉には今までの皮肉めいた語彙など無く、ただ考えなしに必死に否定しようとしているだけだ。

「ふふ…♡今の反応も…やっぱり似てます…♡御主人様も、そうやって…顔をぷいっ♡って背けながら、強がられておりました…♪例えば…そうですね…♡」

(あ……)

ソフィは、くすくすと微笑みながら、リードの真横を素通りする。

すれ違いざまに香る甘い香りにうっとりとしている間に、ソフィはゆっくりとロッキングチェアに腰を下ろす。

「御主人様は、意地っ張りな子でしたので…少し機嫌が悪くなってしまった時…♡こちらから話しかけてもそっぽを向いてしまわれた時も何度もありました…♡」

「そんな時…私は無理に追わず、こうやって椅子に座って…編み物や読書をするんです。勿論、安全であることは保証の上で、ですよ?…それで…20分くらいでしょうか…しばらくすると寂しそうに、一緒に居たそうに…物陰からチラチラとこちらを見られていらっしゃるんです…♡」

「本当は、甘えたいのに…目が合うと、ハッとなって顔を背けて…♡また、こちらに目を寄せて…♡」

「自分からは決して、「甘えたい」なんて仰っしゃられないんです♡だから、待たれてるんですね…♡私が─」

「甘えても、良いんですよ♡」

「………っっっっ…♡」

「って…言うのを…♡」

「それが確認できれば…御主人様が顔をぶつけたり、躓いたりしてお怪我をされないように、編み道具や本をしまって…」

「こうやって…両手を広げて、『大丈夫、怒ってないですよ…♡』『ほら…いらっしゃい…♡』ってしたら…♡」

「あっ……あ…♡」

「ふふ…♡顔を真っ赤にしながら、最後までそっぽを向いたふりをして……お胸の中に…がばっ…♡って、来てくれるんですよ…♡」

聖母のように両手を広げ、抱きしめるジェスチャーをするソフィ。

その光景に、リードの心はまた一段階強く、ズクン…♡と高鳴ってしまう。

ロッキングチェアに座り、甘え子を誘うソフィの仕草は、この上なく穏やかで魅力的なものだった。もしも、自分が。あんな風に抱き締められてしまったら─…。

そんな妄想に、リードは囚われてしまう。

そんな、更に息を荒げ、ソフィを見つめるリードを見て、彼女の表情もまた、一段と優しく、そして淫靡な物へと変わっていく。

「くす…♡その時には、私の体温は暖炉の温もりで…ぬくぬく、ぽかぽかとなっていて…♡サキュバスの持つ甘い香り…フェロモンも、この育児服にすっかり染み込んでいて…♡」

「抱かれちゃった御主人様は…♡その温もりと…甘い香りと…♡この……ん…♡」

たぷっ…♡ぱつぅん……♡

「……………♡」

ソフィは、わざとらしく衣服越しに、その大きな胸を艶めかしく撫であげる。

「にゅむにゅむ沈み込んで…むにゅっ…ぱいんっ…♡って押し返す…柔らかくて、弾力いっぱいのおっぱいの感触で…すっかり素直な甘えん坊になられてしまうんです…♡」

(あぅ……あぁ……♡)

ぴく…♡ぴく…♡

─その一連の魅惑のパフォーマンスに、リードのペニスは、既に膨張しきっていた。

リードの持つ魅了術やフェロモンへの耐性は、高い魔術スキルもさることながら、自分の強さを疑わず、他者を見下す強いプライドが成す精神力が基盤となっていた。

フレイディア家の子としての恵まれた才能を持ち、それを枯らすこと無く、厳しい英才教育に耐えてきた自分。

そんな自分が、他の有象無象に遅れをとるなど…。あまつさえ心を支配するなどあり得るはずがない。という、傲慢に近い絶対的な自信が、屈強な精神力を構成する。

だが、乳母サキュバス・ソフィの母性と包容力に満ちた甘い誘惑により、その傲慢なプライドは根底から蕩けきってしまっていた。

「私のお胸…おっぱいの香りは…癒やしの効果も持っているんです…♡身も心も、ふんわりリラックスする、あま~い香り…。その香りを嗅いで…一度素直になられてしまったら…後はもう、心ゆくまで甘えられて…♡お胸の谷間に、お顔を埋められて……可愛らしい寝息を立てられてしまうんですよ…♡」

(あ、あの…大きな胸の、中で……♡)

胸を魅せつけられたことで。

─この人の前なら、弱さを見せても良いと。

─強気に身構え、傲慢である必要も無いと。

サキュバスの城という敵地で、玉座を目の前にして…

敵である存在に…「甘えてもいい」という「毒」がじわじわと広がっていく。

(香りを…嗅ぎ…ながら……眠っ……て……♡)

ソフィの持つ、圧倒的な、母性と包容力を前に…リードは完全に、年相応の甘えたがりにされてしまっているのだ。

「……ふふ♡おっぱいの香り…気になりますか…?良いですよ…♡侵入者さん…ううん、リード様にも…おすそ分けして差し上げます…♡」

ソフィの誘惑は終わらない。

むにぃ…♡と、撫で上げられた乳肉が、たぷん…♡と音を鳴らしながら、元の形へと戻っていく。

衣服越しに、にゅむん…♡と指が埋もれた部分には当然シワが付くが、大きな胸は、そのシワを即座にぱつん…♡と圧迫し、伸ばしきってしまう。

指が埋まるくらい柔らかいのに、一瞬でパツンと戻る強靭な弾力も備える胸。

ソフィ自ら自慢する通りの、柔らかさと弾力に満ちた胸に、リードは無防備にも、見惚れたままになってしまう─

「はい…どうぞ……♡」

「あ………」

ソフィはまるで頬を洗顔するような穏やかな手付きで胸からフェロモンを掬い取り、それを漂わせるように、リードに手のひらを向ける。

──同時に、彼の元に、甘い香りが漂い始める。

ふわっ…………

ぽわあぁん…………♡

熟した桃と、蜂蜜を合わせて練り上げ…ケーキ生地に織り交ぜてパンケーキにしたような…甘ったるくも、どこかスゥ…と透き通るような、幸福感を感じさせる甘い香り。

牛乳を煮詰めたような、濃厚な乳臭も混ざったそれは、甘い幸福感を与えると同時に、リードの股間…ペニスに、むず痒さと甘い痺れをもたらしていく。

「っっっっっ………!?」

瞬間──、リードの力が、抜けていく。

(うああ…♡なんだ、これ……♡訓練で嗅いだのと……ぜんぜん違うぅ……♡)

─リードは訓練の一環として、サキュバスのフェロモンを抽出したものを接種し、抗体のようなものも付けているはずだった。

通常、サキュバスのフェロモンと言うのは喩えるなら気化したアルコールに近い。

甘ったるさと、石鹸のような匂いを混ぜ合わせた、大人の香水のような匂い─。その香りを嗅いでしまうと、ビリッとした衝撃をこめかみに受け、頭がふわふわとし、意識が不安定になってしまうものだ。

しかしソフィの甘い香りは、それとはまるで違う幸福感を与えるものだった。

パンケーキのような甘く、優しい香りは、リードの脳を強制的に揺さぶる事はせず、その優しい甘さで、「この匂いをもっと嗅いでいたい」という安心感と陶酔感を与え、とろん…と蕩けさせる。

ペニスもまた、強制的にガチガチに固められるのではなく…ペニスの中の海綿体に、とろみのある粘液を優しく塗りたくられているような、甘いむず痒さがじんわりと浸透していくような快楽に浸される。

(だ、駄目だ……♡こんなの……立って…られない……♡)

股間を押さえ、膝から崩れ落ちるリード。

「ふあっ……あ…♡くふう……♡」

「あらあら……♡うふふっ♡」

そんな姿を見たソフィは、愛らしい幼子を見守るような穏やかな目つきに、獲物に狙いを定める、妖艶なサキュバスの眼差しを混ぜ込んだ表情で、甘い香りに悶えるリードの反応を見守る……。

「ふふ…♡いかがですか、リード様…♡私のおっぱいから漂う、甘いフェロモンの浴び心地は……♡」

「む、胸の……フェロ……モン……」

「はい、そうです…♡今リード様を包み込んでいるのは、私の……ふふ♡乳母のお姉さんの、おっぱいから…ふわん…もわん…♡と漂っているものなんですよ…♡」

ソフィの胸の周りに、ピンク色の靄が…目に見えるほど濃厚なフェロモンが漂う。

先の、胸を撫で上げる仕草─。それにより生じた、胸の揺れと乳肉の浮き沈み。

そして、指によりもたらされた、衣服の陥没と、弾力により引き伸ばし─。

沈み、浮き上がり。その度にキノコがぽふっ…♡と胞子を飛ばし、撒き散らすように…ソフィの胸から、甘い香りのフェロモン粒子が飛び散り、部屋全体に漂い始めていたのだ。

「はぅ…ふあぁ……」

心に、ふわりとそよぐ甘い香り。

喘ぎ声のような、力のない溜め息がリードの口から漏れ出る。

その吐息と同時に、力も漏れ出るように─…リードはきゅっ…と蹲る。

その姿はまるで、暖炉の前で丸まる猫のような、甘い幸せに包み込まれているような体勢だ。

「あらあら…♡リード様ったら…すっかりとろんとろんになってしまって♡」

「……ふふ♡とっても可愛い…♡お姉さんの香り…♡お気に召していただいたようですね…♡」

「……嬉しい♡」

穏やかな瞳で微笑み続けるソフィは、そんなリードに語りかける──

「う、ううっ……く、くそぉ……こんな、こんな程度……♡」

それでも、リードはなんとか立ち上がろうとする、しかし、そんな行動も──

「あらあら…無理をしなくても良いんですよ…?リード様はまだまだ小さいのですから…子供らしく、幸せな心地よさに…身も、心も…委ねてしまって良いんです…♡」

「でも…もっと…御自分の心に素直になってくれたら…♡」

「お姉さん…嬉しいな…♡」

「………っっっっ♡♡♡」

明確な、幼子を甘やかすような言葉に、ふにゃふにゃとふやかされてしまう。

そして─

「………ほぉら…♡」

「あっ……」

ソフィは、ロッキングチェアに座ったまま、先の話にもあった、「抱きしめるためのジェスチャー」をしてみせる。

両手をリードに向かって、ハの字のように広げ、その中央にたゆゆん…♡と実る胸を、「ここにおいで♡」と言わんばかりに、魅せつけ……口を開く──

「いらっしゃい……♡リードくん…♡」

「あ…あ……あ……」

「……ふあ…♡」

「様」から「くん」へと、呼び方が変わる。

そんな、甘い口調に合わせた、抱きしめるためのジェスチャーに、目を見開き、ズクン、ズクンとした心臓の高鳴りがピークに達する。

その瞬間…ぷつっ…と。一瞬だけ意識が途切れたような感覚に陥った後…リードの目は、ピンク色に染まり、表情も、完全に蕩けきってしまう。

そう。ソフィの香りに、笑顔に、優しさに……。全てを合わせた魅力に……リードは、完全に魅了されてしまったのだ。

「ふふ…♡ゆっくりで大丈夫ですよ…♡お姉さんはどこにも行きませんから♡」

ふら、ふらと…リードは一歩一歩、ソフィの元に引き寄せられていく。

じわじわ、じりじりと…遠目に置いた磁石に吸い寄せられる砂鉄のように。

もわもわと、甘い香りを撒き散らし、獲物を捕らえる食虫植物に誘引される虫のように─

「あんよがじょーず…♡あんよがじょーず…♡」

体の表面に感じる暖炉の熱が、ぽわぽわと暖かさを増し…甘い香りも、濃度を増していく。

ソフィの体の専用が視界から見切れ、その大きな胸だけが視界に収まる。

…胸は、徐々に視界の全てを埋め尽くしていき…ソフィの白い衣服は、リードの顔の影で染まる。

それと、同時に──

「は~い……♡おっぱいに、とうちゃく……です♡」

ぱふっ…♡ふにゅううん……♡

「~~~~~~~~っっっっっっ………♡♡♡♡♡」

「ふふ♡良い子良い子…♡よく出来ました♡ちゃんとおっぱいに甘えん坊さんになれて、えらいえらい…♡」

ぱふん…♡と、胸に顔が包み込まれる。

胸の感触が、伝わり切る前に、リードの後頭部が、ふわりと柔らかい掌の感触で包み込まれる。

腰にも手を回され、全身に今までにない安定感を感じたことで、リードは抱き締められたという実感を得る。

添えられた手は、ゆっくり、優しく…後頭部を撫で下ろしながら、顔の体重を、胸に委ねさせるように誘導する。

リードの顔の筋肉は、幸福感に蕩け、弛緩し、おでこも、頬も、鼻も、口も、顎も…全てが、乳肉に埋もれていく。

(ふあ……ぁ……♡)

(…あった……かい……♡)

リードが最初に感じたのは、ソフィの温もり…体温だった。

暖炉の熱で僅かに熱が籠もり、普段より少しだけ上がった体温。

39℃程度の、ぬるま湯に浸かった時のような、安心感と、眠気にも似た脱力感が、リードの顔を、優しく包み込む。

肌には、衣服のすべすべとした、高級シルクのような感触を感じ…そして少し遅れて…

ソフィの、大きな『胸』の感触を、感じ取る──

ふにゅん…♡むにゅりゅん……♡

(──────……♡♡♡♡♡)

『それ』を感じ取った瞬間、リードは只々、その感触に、柔らかさに夢中になった。

脳は蕩けきり、実際に言葉で『柔らかい』と言った感想を抱くことはない。

衣服越しに伝わるのは、それほどに、何もかもを蕩かす、優しい感触──。

むにゅうん……♡と…預けられる体重の全てを受け止め、沈み込ませ。

ぽよん…♡と…首の負担にならないように、程よい弾力で頬を押し返し…一番心地沈み具合で、顔を包み込む。

そんな、天国のような委ね心地に…頭が働くはずもなかった。

顔を、脳を…。

優しく犯す幸福感に陶酔し、安心しきり。幼子のように、身も心も、没頭させる。

「ふふ…♡よし…よし……♡」

それはまるで、絵物語で夢見た、雲の如き心地よさ。

─主人公は、魔法の力で、白や黄色に色づいた、メルヘンチックな雲に降り立って、ふわふわ、もこもことした雲のベッドに身を委ね、穏やかな寝息をたてる─

子供の頃に、母親に読み聞かされながら、枕元で夢見た極上の心地よさ。

「凄いな」、「羨ましいな」と夢の世界で思い描いた憧れへの、答え合わせのような…

名家の御曹司たるリードを持ってしても、今まで体験したことのない…どんな高級ベッドであっても足元にも及ばない、人を幸せで包み込む、甘い胸布団。

そんな、夢の心地よさに乗って、優しい温もりがじんわりと肌に伝わる。

「はふ……………♡」

胸布団と、体温。

冬の朝、微睡み状態で目が覚め、少し蹴ってしまっていた、体温で温まった布団を被り直した時のような幸福感。それを何倍にもしたような、「優しいぬくもり」に、身も心も委ねきる──。

「すぅ…ふぅ…」

けれども、そんな状態にあっても、呼吸は必要だ。リードは、全くの無防備に、鼻から新鮮な空気を吸い込み、口から穏やかに息を吹き出す。

(……あ……♡)

鼻に入ってきた空気もまた…幸せを底上げするような香りだった。

それは、まるで果物をゆっくりと煮詰め、ジャムにするかのように脳をぽわん…ぽわん…♡と温め。

それは、まるでケーキの表面に、ふんわりとクリームを塗るかのように、嗅覚を優しく撫で包む。

そう。それは、ソフィの胸の香り。

先程嗅がされた─

熟した桃と、蜂蜜を合わせて練り上げ…ケーキ生地に織り交ぜてパンケーキにしたような…甘ったるくも、どこかスゥ…と透き通るような、幸福感を感じさせる甘い香り。

それを、もっと濃密にしたような香り。

なのに。

それでいて…とても優しい香り。

零距離にも近い、こんな間近で嗅いでいるのに、その嗅ぎ心地は、ふわりと漂う金木犀の香りのように優しく、安らかなもの。

そんな、幸せの香りが、この上なく穏やかに…甘く、優しく…嗅覚に浸透していく。

「ふあ……すぅ…ぅ……♡」

甘い脱力感に包み込まれているリードは、その香りを更に欲する。とは言え、イノシシのように鼻を鳴らすのではなく、呼吸を少しでも長引かせようとする程度のものだ。

極端な鼻の筋肉の伸縮、荒い呼吸音などの雑音で、この幸福感を台無しにしたくない。

幸福感に包み込まれたままで居られる上での、少し欲張った呼吸に切り替わる─。

「あん……♡…うふふ…♡もう…くすぐったいです……♡」

そんな、欲張りな呼吸を、ソフィは変わらず優しく見守り続ける。それと、同時に─

じゅわ…♡

「んっ……………!?」

リードの体に、変化が訪れる。

それは、甘く、優しい香りの中にあった、牛乳を煮詰めたような、濃厚な乳臭を感じた時だった。

決して不快ではないけれど、加糖ヨーグルトのような、甘みと、独特の乳臭のする酸味の混ざったような香り。

甘く優しい香りの、一部分。

それを感じ取った瞬間に、リードのペニスに、甘い痺れと、抗い難いむず痒さが走り出す。

「あらあら……♡うふふ♡」

ソフィの香りを嗅がされたときの、ペニスの中の海綿体が、じわじわと煮立ち、くすぐられているような、甘いむず痒さ。

呼吸をする度に、リードの体は、嗅がされた胸の香りで悶ていた時のように、ふるふると震えだす。

そう、それは─

男を甘く誑かし、蕩かす…ソフィのもう一つの一面、乳母「サキュバス」としての香り。

射精へと誘導する、いやらしい匂いが固まった、欲情の香り。

決して、幸福感が薄まったわけではない。安心感が揺らいだわけでもない。

しかし、リードのペニスは、もはや数秒すらも我慢することは困難な甘い痺れとむず痒さに包み込まれていく。

「う………あうぅ……」

リードの心が、不安で満ちていく。

それは、「サキュバスに負ける訳にはいかない」等の、とっくに蕩けて消え落ちた信念によるものではない。

それは、ただ、ペニスの先から精液を出してしまうという事への不安だった。

リードは、これが初めての精通というわけではない。だが、今。ソフィに優しく抱かれたことで、リードの価値観や理性は、とても幼いものへと戻っていた。

そんな幼い価値観が抱くのは、射精への不安。

せっかく…折角、こんなにも心地良い幸福感に包み込まれているのに、そんな真似をしたら、なにかが変わってしまう気がする。

それがリードは、不安でたまらなかった。

「………っっっ」

不安と恥ずかしさがピークに達しかける。涙すらも流れそうになった、その時──

ぎゅう……♡

「あ……」

「大丈夫…♡大丈夫ですよ…♡」

ソフィの手が、リードを優しく抱きしめた。

「ふふ…♡おちんちんの先っぽ…ムズムズするの、怖いんですね…♡お漏らししちゃうみたいで、恥ずかしいんですよね…♡」

不安から解放するように、ソフィはリードの後頭部を優しく撫でる。

「でも、大丈夫ですよ…♡それは、とっても気持ちのいいことだから…♡」

「お射精って言うのは……ぴゅっ♡ぴゅっ♡って出しちゃうたびに、体の力、ふにゃ~♡ってぬけちゃって……♡もっとお姉さんに、甘えられるようになる、魔法の儀式なんです…♡」

「つまりは……リードくんが…お姉さんのこと、もっと大好きになってくれた証なんですよ…♡」

(……っっっっっ…♡♡♡♡♡)

優しく撫でられ、甘い言葉をかけられ…リードの不安は、優しい吐息で吹き飛ばされるように、消えていく…

「こうやって、抱き締められたまましちゃうお射精…きっと、すごく気持ちいいですよ…♡」

「お姉さんが、ずっと見守っててあげます……♡」

「──……だから♡」

「ぴゅっぴゅ…♡しちゃいましょうね…♡」

「ふあ……♡」

───リードは、我慢をやめた。

そこにもはや不安や恐怖はなく、今まで通りに甘えながら、幸福感に身を委ねる…

むず…♡むず……♡

「あっ…あ……♡」

「よしよし…♡こわくな~いこわくな~い…♡」

甘い喘ぎ声を漏らす度に、ソフィに抱き締められ、撫でられ、甘やかされ…安心感のままに、甘い痺れとむず痒さに…「快楽」に、身を委ねる。

そして──

ぶるっ…♡

「あ……」

びくっ…と跳ねた背中。そしてそれを撫でる優しい手付き。

それらを合図にするように─

「はぁい……♡ぴゅっ……♡」

「……っっっっ……♡」

「ぴゅっ…♡ぴゅっ…♡」

「……ぴゅ~~~~~~♡♡♡♡♡」

「ふあああああああ………♡♡♡♡♡」

どっ……ぴゅうううううううう………♡♡♡♡♡

ズボンの中で、ペニスが跳ね上がる。

自信家で、傲慢で、そして、心優しかった少年は……

乳母サキュバス・ソフィに抱かれたまま…

「胸の感触」…

「胸の温もり」…

「胸の香り」…

それに包まれ直接触られることもないまま………射精を迎えてしまったのだ。

「ふふ…♡おっぱいの感触と…温度…♡香りだけで……♡お漏らし…しちゃいましたね…♡」

「…………いけない子……♡」

「~~~~~~~……♡」

甘く、優しく。

そして、まるで──…熱し、煮立たせ…トロみの付いた蜂蜜のような…聞くものをとろとろに蕩かすかのような、ねっとりとした声色が、耳に溶け込む。

ソフィもまた、リードの射精を見届け、発情してしまっているのか…

仮に今、射精をしていなければ。その、言葉だけで射精を迎えてしまうのではないかと確信させるような、ねっとり、甘ったるい声色で、ソフィは優しく頭を撫でながら…リードを甘く叱りつける。

そして、リードの体も、その言葉を聞かされるだけで、ビクビクと再度痙攣する。

射精後の、ほんの、ほんの僅かに理性を取り戻した状態で。甘く叱られることで、自分が今、何をしたのか。「ソフィの胸で甘やかされながら、ペニスに触れられることもなく、射精してしまった」という事実を、改めて再認識させられる。

しかし、そんな…男として何よりも情けない射精を迎えて尚、ソフィは優しく自分を抱き締めたまま、甘い声で、叱ってくれるだけ…。

その叱り方も、リードをどこまでも甘やかすような、ほんの僅かな、悪戯心が混ざっただけの甘やかし言葉であり、リードの羞恥心を刺激する程度のもの。

だからこそ、リードは、男として何よりも情けない姿を見せて尚…どこまでも甘やかしてくれるこの状況に、身も心も委ねてしまう。受け入れてしまう…。

幸福感に心を支配され、明確に何が起こったのかもわからずに居た先程までと違い…

心の底から、「ずっとここに居たい」「ずっとこうしていたい」と──…願ってしまう。

もし、あのまま幸福感に支配されていただけなら、目が覚めれば、またリードは以前の自分を取り戻すことが出来たのかもしれない。

心はずっと、ソフィに甘えたい欲に侵されているとしても。遅かれ早かれ、再びソフィに魅了されていたとしても。

何らかの奇跡が起これば、本来の目的を達成できたかもしれない。

だが、しかし。今。

リードは─…魅了され、蕩かされた精神とは言え、自らの意思で、ソフィに甘やかされ続けることを願った。これこそが、自分にとって最も幸せなことなのだと理解した。

もうリードは、目を覚ましても今の一連の記憶を明確に思い出し、またソフィを求めてしまうだろう。ふらふらと、ソフィが居ないことに不安感を覚えながら、ソフィが視界に入るだけで、その温もりを求めて、しがみついてしまうだろう。

リードは……ソフィの虜になってしまったのだ。

「んあ…♡んんん……♡」

「あらあら…♡」

蕩けた精神のままに、リードはまるで子猫が母猫にグルーミングを求めるように、ソフィの楽園のような感触に、顔を擦り付ける。

「もう…リードくんったら…そんなにお顔を擦り付けてしまうと、またお漏らししちゃいますよ…♡」

「あ……♡」

ソフィの言葉通り、その感触と香り、温もりの影響で、リードのペニスには甘いむず痒さが再燃しつつあった。射精の直後というだけあって、直ぐに果てることはないだろうが、明確に、着実に…射精の準備を整え始める。

「ふふ…♡仕方有りませんね…♡少し…お漏らしを我慢するお勉強をしましょうか…♡」

そう言うとソフィは、リードの顔を、胸の谷間から、つつぅ…♡とスライドさせ、片方の乳房まで移動させる。

とても大きなソフィの胸は、片方だけでもリードの顔を包み込める程度のサイズは容易に有していた。

「じゃあ、少し…♡おっぱいから、お顔を離して…♡」

「………あ…………うぁう…」

「……♡♡♡…ああん……♡もぉ…♡…」

「はあぁ……♡ふふ♡大丈夫ですよ…♡すぐにまた、おっぱいで抱っこしてあげますから…♡」

顔が乳房から離されるのと同時に、胸の温もりが無くなり、不安に包まれるリード。今すぐにでも泣き出してしまいそうなリードの反応に、ソフィはこの上なく愛くるしそうな表情を浮かべる。

「大丈夫、大丈夫ですよ……♡」

「ほら…元気が出るおまじないです…♡」

「ん……ちゅ…♡」

「ふあ…♡」

ぷちゅ…♡とリードのおでこに、ソフィの柔らかな唇が触れる。とても柔らかな、水気と柔らかさを持った感触に、リードは催眠術にかかったように、とろん…とした表情を浮かべる。

「これは、約束のおまじない…♡これをしたら、お姉さんは絶対お約束を守るから…リードくんも、お姉さんを信じて、心を委ねてくださいねっていう……指切りげんまんのキス♡」

「今回のお約束は…ぜ~ったいに…またおっぱいで抱きしめてあげるコト……♡だから、お姉さんを信じて……?」

「──ね?」

「………」

キスによる甘い浮遊感と、ソフィの優しい言葉に、リードはこくりとうなずく。

「ふふ…♡とっても良い子…♡」

「じゃあ、リードくん…♡ほら…お姉さんのおっぱい…じっと見て…?」

「右のおっぱい…♡乳房のさきっぽ…♡」

「………?」

リードは言われたとおりに、じっと見つめる。

ソフィの、メイド服と割烹着の折衷形を思わせるエプロン。胸部分の、その先端…。その下に、乳首が隠れているであろう、その部分からは──

ひら……♡

「あ………♡」

ぷく…ぅ…♡

「ふふ♡はぁい…乳首さんが、こんにちは……♡♡♡」

ピンク色の、乳首が姿を現していた。

ソフィの衣服の胸部分には、目を凝らさなければわからないほどの薄い切れ込みが入っており、エプロンを脱がずとも、ボタンを外さずとも、その切れ込みから、乳首が顔を見せていた。

そしてその乳首は、酒瓶の王冠程の大きさまでに膨れ上がっており、針で突けば風船のように破裂してしまうのではないかと思うくらいに、パンパンに…ぷっくりと張り詰めていた。

「ふふ♡びっくりしちゃいましたね…♡これ、授乳スリットって言って…服を脱がずに……赤ちゃんに、ミルクを飲ませるための工夫なんですよ♡」

「ミ……ル………♡」

「……はい♡」

「私は、乳母に選ばれた身…♡自らが赤ちゃんを孕まずとも……」

「蕩けるように……甘ぁい…♡♡♡」

「─────っっっっっっ……♡♡♡」

「ミルク……♡♡♡つまり、母乳を出すことの出来る体質なんですよ…♡」

「ほおら……こんな風に…♡」

じわぁ…♡とろっ…♡とろとろ…♡

「あっ…♡あ……あ……♡♡♡」

ソフィのぷっくりと膨れた乳首の先から、ショートケーキの生地をそのまま液体にしたような、僅かに黄色がかった、白い液体…ソフィの母乳が滴り……途方もない程に、甘く、優しい香りが、辺り一面に漂い始める──

「ふふ♡御主人様も、私のミルクで御育てさせていただいたんですよ♡」

「……私のミルクは…とっても栄養満点…♡あらゆる栄養素がふんだんに含まれていて…幼い子供は、これだけですくすく育てることが出来る魔法の母乳なんです…♡」

「……その分♡男の子がこれを飲んでしまうと…少々、元気になりすぎてしまうかもしれませんが…♡」

「でも、だからこそ♡お漏らしのお勉強には最適かと思うんです♡今からリードくんには、これを…」

「飲んで…♡♡♡」

「あうぅ……♡♡♡♡♡」

「いただきながら…♡」

「この、尻尾で…♡」

ソフィの尻尾が、しゅるしゅると動き、鎌首をもたげる。

その尻尾は、むにゅむにゅと変形し、まるで哺乳瓶のような形状へと変わっていく─

「この尻尾にも、たっぷりと母乳を注いで……魔力でぷるぷるに固めて…♡母乳のオナホールへと変えて…♡」

「うふふっ♡リードくんに、母乳を飲んでもらいながらの、母乳オナホール責めです♡」

「ぬぷぬぷ…♡っておちんちんをマッサージしなhがら……♡とっても気持ちいい…蕩けるような…お漏らしのお勉強……しちゃいましょうね……♡」

「…………♡♡♡♡♡」

リードは、その誘いに、こくりと首を、傾ける──。

(本当は、お手々の方が、調整や加減の関係上、お勉強にピッタリな快楽を与えられますけど…♡)

(リードくんみたいな可愛い子を……両手でぎゅ~~~♡って抱き締められないのは、勿体ないですからね…♡)

(お口も、おちんちんも、私の母乳で包み込んで…♡)

(ずっと…私から…)

(離れられなく、してあげますからね……♡♡♡)

(とっても優しくて…意地っ張りで、素直で…甘えん坊なリードくん…♡こんな可愛い子、ぜ~ったいに……♡私以外の人になんて、渡しません……♡♡♡♡♡)

(………可愛く…依存…♡♡♡させちゃいます……♡♡♡♡♡)

「ふふ♡…ほぉら、リードくん…見てください…♡」

ぱくっ…♡

「あ……」

哺乳瓶のような尻尾の先、授乳口の部分がゴムで作られた漏斗のように、乳首をぱっくりと咥えられる程に広がり、授乳器のように、空いた側の乳首を咥え込む。

そしてリードはまだ首の据わっていない乳児のように、首を優しく支えられたまま、その光景を魅せつけられる……

「んっ……♡ああ…ん……♡」

ぷしゅっ…♡ぷしゃあああ……♡

「……………っっっっっ…………♡」

尻尾は、きゅうう…と強めに吸い付き、まるでシャワーのように母乳が尻尾に注がれていく。さっきは切り口の付いた木から、樹液が垂れ落ちるように、穏やかに、…ぽた、ぽた、じわ、じわと滴っていた母乳が、勢いよく噴き出す光景に、リードは得も知れない興奮を覚えてしまう。

その母乳は、瞬く間に尻尾の中に溜まっていく。

たぷたぷ……。

ちゃぷちゃぷ……。

少し滴っただけで、蕩けるような甘い匂いを発した黄色がかった白い母乳が、音を鳴らしながら波打ち、どんどん溜まっていく。

哺乳瓶を模した尻尾には、メーターらしき紋様も書かれており、100ミリリットル、200ミリリットルと…どんどんメーターが更新されていく。

漏れ出るソフィの甘い喘ぎ声もあいまい、リードの視線と意識は、その光景に釘付けになってしまう。

「ん……ふぅ…♡」

そして、ようやく母乳の抽出が終わる。シャワーのように噴き出ていた母乳の雨は止み、先端から最後の一滴が、尻尾の中に垂れ落ちる。

ねと……♡とろぉ…ぽちゃん……♡

「あ………う………♡♡♡」

蜂蜜のように、ねっとりと糸を引きながら、雫が母乳の海に垂れ落ちる光景。それを受け止めた母乳の海も、波紋はおろか水しぶきすらも上げることはない。

──それほどの粘度を持った、甘く蕩ける液体を。今からリードは味わわされる。

──それほどの粘度を持った、甘く蕩ける液体で。今からリードは包み込まれる。

「ふふ……♡」

ちゃぷ、ちゃぷと。音を鳴らす哺乳瓶尻尾に、淡い光が込められる。ソフィの魔力により母乳はぷるぷるとした弾力と吸着性を持った半固形物質に固まり…その中央には、ぐぱぁ…と穴が広がり始める。

「ふふ♡こうやって…おちんちんを迎え入れて、甘やかすための『おちんちん撫で撫で穴』を広げれば……母乳オナホールの完成です♡」

「おな……ほーる………♡♡♡」

むく…むく……♡

「あらあら…♡」

その光景を見ただけで、リードのペニスは完全な再勃起とは行かずとも、再び鎌首をもたげかけていた。

「オナホールを見ただけで、もう元気になっちゃいそうですね…♡」

「……♡…じゃあ…リードくん…♡そのおちんちん…もっと元気に、しちゃいましょうか……♡」

「ふあ……♡」

首を支え、背中を支えたまま、ソフィはリードの顔を、母乳の滴る、もう片方の胸へと近づける。

既に乳輪や乳首は、黄色がかった白い母乳で濡れそぼっており、それに伴い、胸から漂っていた、あの蕩けるような甘い香りが…より濃く、より甘く、より優しくなっていく……

「あっ…♡あ……♡ふぁ…あぁ…♡♡♡」

その香りは、リードのペニスを再び甘いむず痒さで包み込む。

あの。海綿体を蕩かされているような、ソフィの胸の香りから与えられるむず痒さ。全身がとろとろの快楽の海に沈み、溺れ、溶け込んでいくような心地よさに、リードはその香りだけで甘い喘ぎ声をあげてしまう。

「ふふ……♡お目々、とろんとろん…♡体も、気持ち良さそうに…なんだかおしっこを我慢するみたいにもじもじしてて、本当に可愛い……♡」

リードへの愛しさに弛んだ微笑みのままに、ソフィはその乳首と乳輪を、口元に近づけ──……

「さぁ……リードくん♡」

「身も心も、ぜんぶ、ぜ~~んぶ……♡お姉さんのおっぱいで包み込んであげましょうね…♡」

「乳母のお姉さんのとろとろ母乳で……もう一度……甘えるだけで幸せになれる子に……可愛い赤ちゃんに、戻してあげます……♡」

「おっぱいに、おかえりなさい…♡です…♡♡♡」

だらしなく開いたままのリードの口の中に…優しく挿入した──………

とろ……♡

(あ………………♡)

リードの口内に、甘い母乳が滴り落ちる。

そして、何度もリードを虜とした、あの──

『熟した桃と、蜂蜜を合わせて練り上げ…ケーキ生地に織り交ぜてパンケーキにしたような…甘ったるくも、どこかスゥ…と透き通るような、幸福感を感じさせる甘い香り。それを、もっと濃密にしたような香り』。

『牛乳を煮詰めたような、決して不快ではないけれど、加糖ヨーグルトのような、甘みと、独特の乳臭のする酸味の混ざったような香り』。

『零距離にも近い間近で嗅いでいるのに、その嗅ぎ心地は、ふわりと漂う金木犀の香りのように優しく、安らかな香り』。

それらを全て合わせた、『ソフィの胸の香り』が、口内いっぱいに漂い、鼻からも抜けていく。

乳首、乳輪、胸の感触が、母乳が、口内に広がると同時に、その香りに満たされることで、リードは「本当に、今母乳を飲まされているのだ」と自覚し、そして再び虜となる。

胸の香りを、そのままシロップにしたような味のそれは、蜂蜜やキャンディのような強い甘味を舌に与えた後、牛乳や豆乳等が持つ、舌を優しくコーティングするような舌触りで、口内を撫で下ろすように満ち溢れていく。

(ふぇ…あ……♡♡♡)

外からの香り。内側からの香り。甘ったるく、乳っぽく、濃厚なのに、どこまでも穏やかで優しい香りが、リードの心をサンドイッチするように、挟み込み、包み込んでいく。

(ふあ……これ…すき……♡)

(あまいのにつつまれて……ふわふわする……♡♡♡)

その香りの齎す幸福感は、それまでの比ではなかった。

もはやリードは、自分が今どこに居るのかすらもわからない。腕が、足が、五体そのものが……どこについているのかすらも、実感できないほどに頭がふやけ、ソフィの胸の虜となる。

脳の処理能力は、他の要素による認識全てを後回しにし、只々、目の前の胸から与えられる心地よさ、幸福感だけを捉える。それは、ある感覚に似ていた。

それはまるで──『うたた寝』。

リードがこの部屋に魅了され、ソフィの手に堕ちる原因となった、記憶の中で感じた物にそっくりだった。

ロッキングチェアに揺られながら編み物をする母親の膝に身を委ね、暖炉の暖かさに包まれながら、母親の膝枕や、寝心地の良い絨毯の上で、気付けばすやすやと寝てしまい、ベッドまで運ばれ、うたた寝の中で、うっすらと蘇った意識の中…優しく抱かれ、運ばれて…穏やかな振動を全身で味わう。

それに近い幸福感が、いや、似ていても、比べ物にならない程の幸福感が、甘い快楽となって。

恍惚とした桃色の幸福となって、今リードを包み込んでいる。

「乳母サキュバスに…ソフィに抱かれ、身も心も蕩かされ、母乳を飲まされる」─。

新たな幸福の記憶は、リードの心に、記憶に…砂場を浸す水のように溶け込み、侵していく…………

圧倒的な甘い心地良さが、幸福感が、リードの「甘えていた頃の記憶」を、新たな「甘える幸福」によって、上書きしていく──。

(もっと…もっと…ほしい……♡)

ちゅうううう……♡

「ん……やぁん……♡」

微睡みの中で、幸福感と心地よさだけを求める─。リードは、そんな湧き上がる幸福感のままに、ソフィの乳首に吸い付き、母乳を吸い上げる。

「ふふっ…♡もう…欲しがりさんですね……♡」

ぴゅっ…ぴゅっ…と…口内粘膜や舌に飛び散り、浸透し、味を、香りを伝えるソフィの母乳。甘い匂いが、味が、その度に意識を支配する。

「そんな素直で可愛い子は……えいっ♡」

「んむぅ……♡」

「もっともっと、甘えさせちゃいます…♡」

そして、後頭部、背中を支え、撫で上げる両手が、胸に顔を深く抱き寄せ、柔らかな感触、温もりを再度感じさせられ、それが味と、香りと合わさる。

「な~でな~で…♡」

さわ…♡さわ…♡

「ぬ~くぬ~く♡」

ぽか…♡ぽか…♡

「ぽわ~ん…ぽわ~ん…♡」

ふわぁん……♡

「とろ~り…とろ~り…♡」

とろっ…♡ちゅううう……♡

「あぁぁ………♡♡♡」

体中を余す所なく甘い感覚が包み込む。

そして、その快楽はペニスへと流れこみ──

「~~~~~~~~っっっっっ……♡♡♡」

むく……♡びっくん……♡♡♡

「……♡はぁい…♡おっき……上手に出来ましたね…♡」

大量の精子を吐き出したのにも関わらず──甘い興奮が、ペニスを再びそそり勃たさせる。

乳母サキュバスであるソフィの母乳に含まれた栄養分は、失った精子を緊急製造させ、再び搾精の準備を完了させた。

「ふふ…それじゃあ…♡おちんちんさんにも………母乳……♡あげましょうね…♡」

「………………っっっっっっ…………♡♡♡」

ぷるぷるの半固形物質となった母乳を収めた哺乳瓶のような尻尾が、リードのペニスに接近する。

先程、ソフィの乳首に吸い付いたように…ゴム製の授乳口のような先端がぐぱぁ……と開き──

ちゅううううっ……♡

「あ……♡ああ……♡♡♡」

リードのペニスに、吸い付く。

まず、ピンク色の腫れ上がった亀頭がぱっくりと咥えられ…もぐもぐと、授乳口が唇のようにペニスを吸い上げていく。

ぎゅちゅう…♡べと…ねっとぉ……♡

授乳口はその弾力こそゴムのようにたくましい弾力に満ちあふれているが、その内側はねっとりとした粘膜の層で覆われていた。それこそ、口内を思わせるような温かさとぬめりだ。

そして、その粘膜には吸い取った母乳がねっとりと付着していた。ペニスに吸い付き、亀頭を迎え入れた瞬間─、亀頭の先端、尿道口周りには、その粘膜から滴る温めたローションのような粘液と、更にねっとりとした粘度を持つ母乳がとろりと滴り、付着し、塗り拡げられていく─

「お゛……お゛……♡」

「あらまぁ…♡下品な喘ぎ声になってしまって……♡」

「でも、ふふっ♡……そんなリードくんも可愛いです…♡」

喉の奥から空気を送り、再び喉で大きく息を吸い込むような、うめき声のような喘ぎ。あまりの快楽に体が震え、その震えが喉に伝わることで生まれた下品な喘ぎだ。

甘い吸引により、亀頭は粘膜と密着する。ねっとり、べたりと亀頭に蕩け込んだ粘液と母乳は、亀頭に塗り拡げられるだけでなく、亀頭を坂として、余り気味の皮とペニスの間に流れ込んでいく。

敏感な皮の内側は、ぬめぬめとしたぬめり気と、ねっとりとした粘度を持つ粘液と母乳により、浸されていき……心地良さと不快感が両立したような得も知れない快楽をリードのペニスへと伝える。

そして…その状態で、ソフィの尻尾は、更にペニスを吸い上げる。

ちゅううう……♡じゅる…♡くちゅぅ…♡

口の中で、唾液を咀嚼するような上品とはいえない音を鳴らしながらペニスを吸い上げる最中。

リードのペニスを覆っていた余り気味の皮は、尻尾の咀嚼によって奥に進む度に引っ張られ、剥かれ、捲られていく。

通常なら痛みを伴うはずの皮剥き。それは、既にぬめぬめ、ねっとりと浸しきっていた粘液により、驚くほどスムーズに進んだ。

それだけではない。粘液と母乳で浸されていた敏感な皮の中が、力強く、それでいて丁寧に吸われていく度に、粘液と母乳はポンプのようにじゅるじゅると流動し、皮の中のペニスに抗いがたい脱力性の快楽を生み出していく。

それが、リードの下品な喘ぎ声を生み出していた。

しかしそれは、あくまでもこれ以上のない脱力へと陥れる為の快楽。射精に導く快楽とはまた違うものであり……リードのペニスは、

「バキバキに固まっている」

にもかかわらず、

「腰回りの「我慢するため」の力はすべて抜けきっている」

という相反する状態で、授乳口を潜り抜ける……

「お疲れ様でした、リードくん…♡さぁ……いよいよ…」

「母乳オナホールの入り口に、到達しましたよ……♡」

「あ──」

授乳口を潜り抜けた先。そこに待っていたものこそが、半固形状にぷるぷると固まった、母乳。

─中央に搾精孔のぱっくりとひらいた、魔性の母乳オナホール。

「とっても優しくて……ねっとり…とろ~りってした……あま~い搾精で……♡たっくさん……♡」

「しーしー……しちゃいまちょうね……♡」

「────────…………♡♡♡♡♡♡♡♡♡」

脳の髄まで浸透しそうなほどに甘ったるい赤ちゃん言葉を浴びせられ…びくっ…と…ペニスが脈動する。そして母乳オナホールの孔が……授乳口を潜り抜け、限界にまで膨張しきったリードのペニスを──

むっっっ……ちゅうぅ……♡

咥え込み───

「あ………」

ぷる…♡とぷっ…♡べちょ……♡

内部の、固形になりきっていない母乳のままの部分の粘り気と

しっかりと頼もしく固形化した部分の弾力とでマッサージしながら……奥へ、奥へと押し進ませる──

「あ……あ………あああぁ……」

むじゅうう…♡ぎゅっ…♡ぎゅううう…♡ぱつんっ……♡どっぷぅん…♡

進む度に…亀頭を、カリ首を、竿部分を…ぷるぷるの粒粒と、襞が受け止めるように出迎え、そして、また奥へと去りゆく際には弾力で背中を支えるように弾き…液体のままの母乳がその抽出をぬるぬると手助けするように…はたまた阻害するようにねっとりと纏わりつく──

「──はふぅああああぁぁぁ……♡♡♡♡♡♡♡♡」

ねっとろぉ……♡どむん……♡きゅううううう……♡♡♡

そうして……液体のままのような柔らかさと…ゴムのような弾力を共存させた、最奥部分で、ペニスを包み込む──

「あ゛……あ゛あ゛……♡」

リードから漏れ出すのは、もはや喉を動かすことすら億劫なのだと感じさせる力ない喘ぎ声。

脳の髄、精神の隅々まで蕩け堕ちるような、途方もない心地良い快楽を、たった一度、「奥まで咥え込む」だけで与えられたのだ。

「母乳の」ぬめりとぷるぷるの弾力でペニス全体をマッサージされる快楽は、正に天にも昇るような心地良さだった。

「まだ、終わらないですよ、リードくん…♡これはオナホールですから…何度も、何度も……上下に、上下に…ぬぽぬぽ♡ってしないと…♡」

「な、なんど……も……♡」

「はい♡我慢する力なんて、ぜ~んぶとろんとろんに溶け落ちちゃったリードくんのペニスが、もう一度お射精するまで…♡こうやって…ぎゅ~っ♡て…抱き締めながら……♡」

「んっ……ぐ……♡」

「母乳オナホール……上下…♡しちゃいまちゅね……♡」

ぐっちゅう……♡

母乳オナホールが、上に上がり始める。

再度の、母乳オナホールによる咀嚼が始まる。一度咥えこまれただけで脳の髄まで蕩け堕ちるような魔性の快楽を、何度も…何度も……。あまつさえ、母乳すら飲まされながら繰り返される。

しかしリードは、それに対し一切の恐怖を感じない。なぜならそれは、心を壊す恐怖の快楽ではなく、心をどこまでも駄目にする幸福の快楽だからだ。

リードはそれを、何度も、何度も…ソフィの優しい甘やかしで教え込まれたのだ。

ずるるるぅ……♡

「~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」

母乳オナホールが上昇し……先ほどとは違う、「引き抜こうとする」感触がペニスを撫であげ……

じゅっぷん……♡

「はふぅぅぅぅぅ…………♡♡♡♡♡」

そして再び…ずぶぅ…♡と奥にまで「飲み込む」感触がペニスを包み込む。

「引き抜き」と「飲み込み」。ペニスにかかる母乳や粒粒、襞の感触が異なる脱力、快楽を何度も、何度も往復させていく。

「よし……よし……♡」

ずっちゅ…♡ずっちゅ……♡ぬっぷぅ……♡♡♡

とぷっ…♡とぷとぷ……♡

ソフィが微笑む度に。体を撫でられる度に。

母乳が、口いっぱいに広がり…甘い味と香りで精神がとろんと微睡む。

同時に、母乳オナホールの快楽により、脳髄が蕩け堕ちる。

ずっちゅ、ずっちゅ。

とろり、とろりと。

繰り返される、どこまでも甘く優しい二重の快楽により、リードは更なる幸福の中に堕ちていく。

────────……

────────────……♡♡♡

───────────────────そして。

それが何度か続いた時だった。

ずっちゅ……とろぉん……♡♡♡

「あ…………………」

不意に。オナホールと母乳の動きが。

母乳の味と、香り。そして、ペニスを包む感触が。

全くの同タイミングで体に伝わった。

びくっ……と。今までにない快楽の震えが、体を包み込む。

そして、我慢のきかないリードのペニスは──

「あ……♡あ……ああ……♡♡♡」

「んあああああああああああああああああああああああああ~~~~~~~♡♡♡♡♡♡♡♡♡」

ぶっっっっ……ぴゅうううううううううううううう~~~~~~~~♡♡♡♡♡♡♡

前触れもなく、呆気なく崩壊した。

「ああん………♡尻尾の中に…元気な精子がぴゅっぴゅって……♡」

尻尾で精子を受け止めたソフィの甘い声に続くように、オナホール部分が脈動する。

もぐ、もぐと…リードの精子を咀嚼するように、母乳の壁がペニスを優しく圧迫する。

「─────………♡♡♡」

飴玉を舐めるような、甘ったるい咀嚼。甘い快楽は、ペニスに残った精液を搾り取っていく。

「あっ……あ……んむ…ちゅうぅ……♡」

甘い咀嚼に合わせるように。母乳を求め、顔を埋めて乳首に吸い付く。

「うふふ……♡よしよし……♡」

────そして、再度の射精で全てを放出しきり、甘い母乳を二度三度飲み込んだリードは、射精に伴う疲労感と、体を温める母乳のリラックス成分により、徐々にその瞼を、うとうと重くし始める……。

「あらあら……♡リードくん……もう、ねむねむですか……?」

「うふふ♡たっくさん…お射精しちゃいましたものね……♡♡♡」

「それじゃあ……よいしょっと……♡」

そんな状態を察したソフィもまた…優しく、眠りに誘うように頭を撫で始め……

そして、そっとリードをお姫様抱っこのように抱え上げる。

(あ………これ………この…かんかく………)

それは、リードがかつて味わった感覚だった。

そう、それは。

暖炉の暖かさでうとうととした微睡みに堕ち、母に抱かれ、ベッドに運ばれる、あの記憶。あの感覚。

「~~~……♫」

そして、耳には、ソフィの優しい子守唄が蕩けこんでいく……。

(………………あぁ……)

(ずっと……こうしていたい………)

リードは、その感覚に身を任せ、心を委ねていく…そしてそのまま……すやすやと、眠りの世界に堕ちていった。

「……♡おやすみなさい……♡」

「私の……可愛いリードくん……♡」

二人は悠々と眠れるような、大きな大人用ベッドに寝かされ、布団を掛けられる。

その感触を堪能しながら、リードは穏やかに、寝息を立て始めた。

「約束通り……また、おっぱいで抱いていてあげますから……♡幸せな夢に……いってらっしゃい…♡」

隣には、ソフィが付き添う。

胸の谷間に顔を包み込まれ、やわらかな感触と、甘い香りと、温もりを感じながら……深い眠りへとついていく──。

「……ふふ♡かわいい寝顔……♡」

「目が覚めたら…また、お姉さんにたくさん甘えましょうね……♡」

「リードくんはもう、お姉さんのもの…♡ずっと…♡ずっとずっと……私に甘えているだけで、良いですからね……♡♡♡」

─フレイディア家の御曹司、リード=フレイディア。

その日以降、彼の姿を見た者は居ない。

彼が今何をしているのか、何をされているのか…全ては謎の彼方へと消えた。

たった一人の…乳母サキュバスを除いて──

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