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乳牛魔族ホルスタウロスの村・アムドウラ~幸福のおっぱいハーレム~

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その世界には数々のモンスター娘が生息している。そしてその数だけ「住処」も存在する。エルフの森、マーメイド海峡、ハーピーの山…。その場所に巣食う種族の名前を頭に置く場合もあれば、名のあるモンスター娘の名を冠する場合もある。いずれにせよ共通しているのは「そこは人間が足を踏み入れてはならない場所」だと言うことだ。モンスター娘は大きく分けて二種類存在する。それは人間と共存し価値観を共にする者達と、人間とは理解しあえない、いや最初から理解する気の無い自然を住処とする者達。人間の目線で言えば「隣人」か「野生」かだ。当然、「野生」の者達の領域に足を踏み入れた人間がどうなるか等言うまでもない。

彼女達は価値観を人間と共有していない。ナワバリを侵す者として判断されれば相応の報復が待っている。捕まり、家畜にされ、その精を搾られるだけの存在に成り果てたなら、それはむしろ幸せだろう。モンスター娘の中には、人間の精でなく、人間そのものを餌として見たり、最悪「命を奪う行為自体」を楽しむ種も存在する。そういった種に捕まれば、もはや命の保証、いや安らかな死すら保証は出来ない。だが、それでも彼女達の領域に足を踏み入れる人間が存在する。理由は簡単だ。モンスター娘は、人間にとってあらゆる道具や薬の素材となり得る生態をしているのだ。例えばアルラウネ。美しい花のモンスター娘である彼女達の分泌する蜜は濃厚かつ上品な甘味をもっており、最高級の菓子等に欠かせない材料となる。これは普通の植物からは採取出来る蜜とは異なる成分をしており、「アルラウネから」しか取れない物だ。

通常、それは人間と共存しているアルラウネから分けてもらう形で市場等にも出回るが、野生のアルラウネからしか採取出来ない蜜も存在する。植物はより過酷な環境で育つほど美しい花を咲かせるという。そしてその花の彩りや形、模様は人が持ち帰り育てる事では決して再現することは出来ない。気候、温度、栄養素……、特定の環境にあってこそ、その花は咲くのである。それと同じで「隣人」のアルラウネと「野生」のアルラウネからは採取できる蜜の味が異なる場合がある。そして、そう言った蜜は確かな価値を持ち、市場等でも高値で取引されることが多い。そしてそれは、アルラウネの蜜に限った話ではない。

採取家
ハーベスト
。モンスター娘の領域に足を踏み入れ、危険を犯してまで価値ある素材を手にする職業を人々はそう呼ぶ。富や名声を求める者、何らかの理由で、特定の素材を必要とする者等、採取家の中でも誇りや信念は様々だ。そして、「年齢」「性別」もまた、老若男女多岐に渡る。これは、そんな採取家の少年、「テリア」の最後の記録である。

「はあっ、はあ……」

ぬかるんだ地面に足を取られながら、テリアは日の届きにくい森の中を進んでいく。その手には重心を増やし負担を抑えるための杖と、地図が握りしめられている。

「よし、峠を越えた…。ここから西に3キロ歩けばハーピーの里のはず…。」

テリアの握る地図には事細かに周囲の地形が記されている。採取家にとって、自分が発見した採取場所は財産に等しく、それを書き記した地図を易々と人に渡すことはない。そんな地図を、テリアのような未熟な少年採取家が手にするのは人脈、資金などあらゆる面から見て本来あり得ない事だ。しかし今回の場合は少し事情が違った。というのも、テリアが目指すハーピーの里は採取家のランクアップ試験の課題、「ハーピーの抜け羽根」の在り処だからだ。そう、この地図は採取家ギルド本部が開催する試験。これに合格すれば晴れてテリアは見習い採取家から下位採取家にランクアップ出来る。試験内容は簡単だ。「ハーピーの抜け羽根を持ち帰ること」…。つまりは、里に落ちているハーピーの抜け羽根一本を拾って帰えれば良い。

しかし当然、失敗すれば相応のリスクがある。ハーピーにとって人間は家畜となり得る存在。もし見つかり、捕まれば「一生」ハーピーの里で飼い慣らされる事になる。ギルドは採取家達に「身の安全は保証しない」と盟約しており、助けが来る事もない。そして毎回、受験者のうち半分が姿を消すことになる。ハーピーに見つかり捕まったのだ。家畜となった人間は尊厳や誇りなど全て消え、只の飼い慣らされるだけの存在になる。下位採取家へのランクアップをしてそんな未来と隣り合わせのあまりに厳しい試験。しかしこの厳しい試験を乗り越えたエリートでなければ採取家は勤まらない。そしてテリアもまた、そんな採取家に憧れ危険を承知でこの試験を受験したのだ。

「時間はまだある…。一旦休憩しよう」

今の調子なら、ここで一旦休憩をとっても十分に間に合うとテリアは判断する。ハーピーの生活リズムは人間に似ている。中にはフクロウ等の遺伝子を強く受け継ぐ夜行性のハーピーも存在するが、そのほとんどは夜には寝静まる。ならばここで一旦休憩を取ることは、自分のパフォーマンスから見ても、ハーピーに見つからないよう忍び込む点から見ても都合がいい。テリアはそうして夜まで一旦体を休めることにした。

「………。」

木陰に身を潜め、体を木に傾ける。周囲は鬱蒼とした木々に囲まれ、空からは枝葉がカーテンとなり、身を潜めるには絶好の場所。しかし、想定外のトラブルがテリアを襲う。そのトラブルは、外的要因でなくテリア自身にあった。森の香りに包まれ、逞しい木々に背中を預ける。この事は、テリアに想像以上の落ち着きを与えてしまった。いくら周りを木々に囲まれているからと言え、あまりに無防備な状態を晒しながら、テリアはそのままうたた寝を始めてしまった。そして――

「――ん?」

「どうした?」

「いや、なんだか人間の匂いがしたような…。」

「人間の……?ふむ、たしかに…。」

「ん~……いた、あそこ!」

「ふふ、また我らの羽根を狙った人間か。丁度いい土産が出来たな」

「あーあ、すやすや寝ちゃってぇ…。夜になるのを待っててそのまま寝ちゃったのかな~?」

「未熟だな。尤も、我らの里は昼夜を分かたず見張りを立てている。夜に忍び込もうが同じこと。」

その姿は、この山や森を庭とするハーピー達には一度勘付きさえすれば容易に見つけられてしまう物だった。テリアは身を潜めた上で万全の警戒を払うべきだったのだ。しかし未熟とはいえそこは採取家の卵か、テリアはすんでのところで目を覚ます。

「ハ、ハーピー!?」

彼が目にしたのは偶然真上を通りすがったのではない、明確にこちらに視線を向ける二体のハーピーの姿。淫靡な目を向け、こちらを狙っている。

(し、しまった…。早く逃げないと…!)

「逃さないよ~!」

その場を急ぎ離れようとしたテリアに向かって、鉤爪を向けながら急降下するハーピー。あの爪に捕らわれればもう終わりだ。人の力では抜け出すことは不可能な程にガッチリと腕や足を掴まれ、抵抗しようものならズタズタに引き裂かれてしまう。人間の身体能力とモンスター娘、とりわけ鳥類や動物の遺伝子を持つハーピーやミノタウロス等の身体能力には天地の差がある。だが、その差を埋めるべく、採取家は様々な道具を駆使する。

「くっ!」

ゴーグルとマスクを装着し、その場にボールを打ち付けるテリア。するとぼわぁっと白い煙が立ち込め、持ち主であるテリアを中心に一帯を覆う。

「ひゃああ目が痒い~!」

「ナミダ草の花粉を使った煙玉か、小癪な…!」

ナミダ草は外敵に襲われるとアレルギー性の花粉を放出し、外敵の目を晦ませ退散させる。その痒みは高等なモンスター娘として名を馳せるドラゴン種であってもあまりの痒みに数秒とその場に居られなくなる強力な自衛手段だ。この森になれたハーピーであってもこればっかりは耐えられない。そのスキに、テリアはその場を離れようとする。が――

「あっ!?」

ガクン、となにかに躓くような感覚。いや、足だけでなく足場ごと崩れていたのだ。マスクにゴーグルと視野を狭め、必死でその場から逃げようとしたテリアは前方の注意を怠り、崖から転落してしまった。幸い、それが理由でハーピー達はテリアをすっかり見失ってしまった。

「痛っ…!?あ、足が…」

足場を踏み外したのも、崖というよりは自然の作った段差。すぐ下にあった地面のおかげでテリアは大怪我をせずに済んだが、その代わり足を負傷してしまった。骨までは行っていないと判断する。しかし今までのように素早く動くことはできない。

(ま、まずい…。この状況でモンスター娘に見つかったら…)

今別のモンスター娘に見つかれば、逃げ切ることは出来ない。そう思いながら負傷した足を引きずり、別の木陰へと隠れようとするテリア。しかし先程この静寂な森に広がった足場の崩れる音は、あまりに大きかった。

「あら、人間さん……?」

「!?」

音を聞きつけやってきたその声は落ち着きに満ちた優しい声。しかし今のテリアにとっては警戒心しか生まれない声だった。声の主の姿を確認することもなくぎゅっと目をつむり、恐怖に打ち勝とうとする。しかし続き聞こえた言葉は意外なものだった。

「あらあらまぁ…足を怪我なされているのですね……御可哀そうに…」

「えっ……」

それは自分を案じる言葉。呆気にとられたテリアは恐る恐る目を開け、声の主の姿を確認する。

(あ…)

そこにいたのは、警戒や恐怖と言ったマイナスの感情とは真反対の印象を与える優しげな女性の姿。美しく整えられたロングヘアに何者も拒まないような優しい顔つき。しかし牛のような角と耳、そして尻尾をはやしておりモンスター娘であることに違いはない。そして何より――

(あうう…お、大きい…。)

何より彼女がモンスター娘だと印象付けさせるのがその大きな胸だ。サイズにして100センチは優に超え、ぽよんぽよんとアピールするかのように淫靡に揺れる。その大きな胸を更に魅力的に見せているのはその服装だ。上半身は胸のみを隠しているような肩出しの物。首につけられたカウベルを中心とし、首元から胸全体を包むように形成されている。そんな派手な上半身と比べ、下半身は青い生地を用いたズボンを身に付け、どことなく牧場で働く女性をイメージさせる。その影響か露出の高い上半身もどこか品よく感じてしまう。大きすぎる胸も、決してアンバランスには思わないほど、体全体から落ち着いた雰囲気を醸し出している。

(ま、間違いない…ホルスタウロスだ…。)

ホルスタウロス。別名乳牛魔族と呼ばれる種族であり、その名の通り大きな胸を誇るモンスター娘だ。種族単位で温厚であり、人間と共存する個体や一族も多い。その胸から採取出来るミルクは栄養満点であり、人間にとっては「隣人」として無くてはならない存在と言っても過言ではない。ただ、相手は「隣人」ではない「野生」のホルスタウロス。そんな彼女が人間にどういう対応を行うのか警戒するべきではあったが、その大きな胸にじっと見惚れてしまう。

「…ふふっ、おっぱいをじっと見る元気があるのでしたら、精神は安定していそうですね。」

「あ、い、いやこれは…!」

そして当然、彼女はテリアの邪な視線に気づいていた。その目は彼を軽蔑するわけでもなく、むしろ年相応に性欲を見せる彼を微笑ましいように見ている。

「でも…、その怪我だと満足に歩けないかな?この辺りは人間さんに友好的じゃないモンスター娘も多いのでそのままでは危険です。もしよかったら私達の村でその怪我を治していきませんか?」

「えっ…」

治療の申し出。それは今の自分にとっては何よりもありがたい言葉だ。しかしそれは「相手が信頼に足る」場合に限る。彼女は今『この辺りには人間に友好的ではないモンスター娘が多い』と言ったが、そもそも友好的であるなら『隣人』として人間と共存しているはず。となれば目の前のこの女性も何らかの理由で人間との共存を断った一族ということ。いくら穏やかだといえ警戒して然るべきだ。そう、本来は――…。

「い、いえ僕は…んむっ!?」

「ふふ…、私もモンスター娘なので警戒されるのは当たり前です。でも大丈夫ですよ…。お察しのとおり、私の種族はホルスタウロス。古来より人間さんと友好関係を結んできた古くからの友人。何も怖がる必要はありません…。」

(む、むむ……胸に顔が…!?)

テリアの顔を覆った胸の前に、本来モンスター娘に抱くべき警戒心は氷をシロップで溶かすかのように甘く溶かされていく。大きな胸で顔を包まれる。それは試験の疲労と無事合格出来るかどうかの不安などで肉体的にも、精神的にも消耗していたテリアを一瞬で脱力させてしまったのだ。しばらく無縁だった人肌の温もり。餅菓子に理想の弾力を加えたような柔らかな胸の感触。ミルク菓子のような心を落ち着かせる甘い匂い。そしてその胸に顔を包まれるという、この上ない安心感…。テリアは目をつむり只々その心地よさに身を任せてしまう。

「大丈夫…。私達は貴方の味方です…。何も怖くなんか有りません…。ね?」

「ふあ……はい……。」

胸に心を甘く溶かされたテリアは、ホルスタウロスの言葉を全て疑いなく受け入れてしまう。その目はピンク色に染まっており、冷静な判断とはとても言えないものだった。

「ふふ、良い子良い子…。私はホルスタウロスの『フレイヤ』と申します。貴方のお名前も教えていただけますか…?」

「は、はい…。テリアといいます…。」

「テリアさん、ですね。ふふ、素晴らしい名前です。では…よいしょっと♪」

「わわ!?」

「足を怪我されている方にご足労を頂くわけにもいきませんので♪」

剛力無双を誇るミノタウロス娘と同じ牛系のモンスター娘であるが故か、テリアを軽々と抱きかかえてしまうフレイヤ。お姫様抱っこのように顔を覗き込まれる形で抱かれ、その優しい笑顔で見守られているような感覚を得てしまう。どうしたことか先程の胸での抱擁よりも遥かに強い羞恥を感じ、思わず顔を背けてしまう。

「ふふ、では参りましょうか。ホルスタウロスの村、アムドウラへ……。」

テリアを抱き、両手が使えない状態であるにも関わらず人間では到底進もうという気にすらならない獣道を悠々と越えていくフレイヤ。人によってはモンスター娘の身体能力に改めて脅威を覚えるかも知れない。だが今のテリアはそれに頼もしさを感じ、惚けた表情でフレイヤの顔を見てしまう。

「…ふふ♪」

「う……」

それに答えるようににこっと微笑みかけるフレイヤ。気恥ずかしさとフレイヤの美しさに顔を赤く染めてしまい、更にフレイヤを頼もしく思ってしまう。そうして見惚れている内に、テリアは気付けば木製の巨大な門を目の前にすることとなった。

「すごい…こんな森の奥なのに…」

ホルスタウロスの村、アムドウラ。その文明の発達は、採取家として観察眼を鍛えたテリアには目の前の門だけでも十分に伝わっていた。木材本来の靭やかさと強靭さを保ったままの門の作りは嵐が来たとしても吹き飛ばされる心配はない。それほどに重厚な作りならば開閉だけでも多大な労力を要することになる。しかしそこはホルスタウロスの力がある。門には美しい装飾すらなされており、ただ木を切り組み上げただけではない。外敵や厄災に備えるだけでなく村のシンボルの一つとして村人達の活気にも繋げているのだろう。実用性の中にそういった精神的な支えも加える。自分達の長所を理解し、それを創造に活かすことの出来る証拠だ。

「おや、フレイヤ…。ん?そちらの少年は?」

「御疲れ様です、トールさん。こちらはテリアさん。どうやら足を怪我されたようで、他のモンスター娘に襲われる前に村で治療をと…。」

トールと呼ばれたホルスタウロスはフレイヤよりも体格に優れている。村の門番だろうか、変わらずその胸は大きく美しいが、体そのものが巨乳に合わせたように発達しており、美しい巨乳とのバランスがまるで芸術品のようだったフレイヤと比べると「美しい鉱石」をイメージさせるような肉体美だ。服装はショートパンツに胸元の大きく開いたベストを着用しており、髪の毛もショートに整えている。それらが健康的な美しさと共に力強い印象を更に底上げしているようだ。

「そうか、それは災難だったな。このアムドウラは来る者は拒まない。ゆっくりと怪我を治していくといい。」
一見して威圧感を与える見た目ながらやはりその根底はフレイヤと同じホルスタウロスなのだろう。瞳には優しさが込められており、心からテリアを案じているようだ。

「ふふ、それにしても……可愛い子だなぁ、君は……♪」

「んむぅ!?」

再び包容力の高い胸に包まれる。トールの凛々しい声が途端に甘い物にかわり、テリアを抱きしめてきたのだ。ただただ癒やしを与えたフレイヤの胸と比べるとトールの胸は弾力性に富んでおり、甘い匂いも優しいミルク菓子というよりは濃厚なコンデンスミルクをイメージさせる力強さがある。そのまま顔をうずめることに心地よさを感じるのではなく、力強い抱擁の息苦しさに顔を離し、再びその弾力に埋もれる感覚に心地よさを得てしまう感じだ。

「おっと、すまないすまない。君を見ていると思わずホルスタウロスの本能が出てしまってな。」

「ふふ、ごめんなさい。私達ホルスタウロスは自分より小さな体格の子に愛しさを感じてしまうんです。」

「そ、そうなん…ですか」

二度に渡る巨乳での抱擁に体の力がすっかり抜けてしまったテリア。その好意は嬉しいものだが、こう何度も抱擁されていては平常心が保てなくなる。

「ん、テリアさん、少し限界みたいですね♪」

「ふふ、初心なんだな。仕方ない、村の連中にはあまり抱き締めないように声をかけておくか。」

「た、助かります……。」

その事を悟ってくれたのか、フレイヤとトールが簡易なルールを敷いてくれる事となった。そうして一安心したテリアは、フレイヤに抱かれたままホルスタウロスの村、アムドウラに招待されたのだった。

「さぁテリアさん、ここが私達の村、アムドウラです。」

「あ、ありがとうございます…!?」

素直に礼を伝えようとした瞬間、テリアの目は目の前の状況に見開きしてしまう。胸、胸、胸――。大きく胸を露出したホルスタウロス達が村を行き来する様が目に飛び込んできたのだ。

(あ、ああうう……)

ここはホルスタウロスの村だ。であればこの光景は当たり前の日常。しかしまだ未熟なテリアにとって、その光景はあまりにも刺激が強すぎるものだった。オーバーオールを裸のまま着こなし、大きな胸の中央、乳首だけを隠しているような服装の者もいれば、胸にパッチをつけ乳房は丸出しといった最初から男を誘惑するのが目的と言った服装の者まで居る。

(だ、駄目だ…。大胆すぎるよ…。どこを見ても胸が目に飛び込んできて目のやりどころがない…)

「ごめんなさい、テリアさん。この服装が私達にとっては当たり前なの。私達の大きな胸はホルスタウロスの力の象徴。だからああやって服なんかで抑えつけるのを嫌って必要最低限の衣服だけで済ます子も少なくないんです。」

申し訳無さそうに謝罪するフレイヤ。あの格好は淫靡な目的などではなく本当に自然な理由、謂わば夏には軽装をし冬には厚手に着込むといった理由と似たようなものなのだろう。

(だ、だからって、これは……)

しかしそれがテリアの心の動揺を無くす事にはならない。既に平常心の限界を迎えつつあったテリアは「せっかく親切にしてもらっているのに邪な感情を得てはならない」とぎゅっと目をつむる。しかし目をつむり他の感覚が鋭敏になったことでもう一つの要素に平常心を更にかき乱されてしまう。

(ふああ、甘い匂い…。村全体からさっきフレイヤさんやトールさんに抱かれた時と同じ匂いがして変な気分になる…。)

村全体からふんわりと漂ってくる甘い香り。流石に直接抱かれた時よりは濃度は薄いが、それ故に抵抗なく嗅覚に入ってきてしまう。子供の頃、お腹が空いた時に漂ってきた焼き立てのパンの香りを嗅ぎ、食欲に身を任せた時のような…心をとろとろに溶かすのではなく心をじんわりとふやかすような匂いだ。

「ふふ、テリアさんには少し目に毒みたいですね。それに私達のミルクの香りも…。」

「ミ、ミルク…!?」

甘い香りの正体はミルクの香り。なんとなく察してはいたが改めて口で言われると自覚を深めてしまう。一般に人の手に渡るホルスタウロスのミルクは流通の過程で防腐や加熱の加工をされている。栄養価が多少損なわれる反面、モンスター娘が持つ「人を虜にする」作用もまた削減されている。だがここはホルスタウロスの村。搾りたての、生のままのミルクの香りが村中に漂い、それに包まれたまま、その目はまたもピンク色に蕩けてしまい、テリアの心はふわぁっと宙に浮かぶような解放感と甘い癒やし、そして確かな情欲を抱いてしまう。

「ああう……」

「ふふ、アウドムラではミルクも貴重な資源の一つですので、村人全員が専用の搾乳環境を持っているんです。――と、言っている場合では有りませんね。早く私の家に行きましょうか。家の中は多少なり香りが落ち着いておりますので。」

「は、はい……。」

そうして、テリアはフレイヤに連れられ彼女の家と思わしき宅内へと案内される。内装は門と同じく装飾や見た目など心の癒やしに繋がる部分には妥協なく、暖炉や木造りの椅子等は理想の「帰るべき場所」といった空気感を演出している。

「では、ここでお座りになってください。」

「あ、ありがとうございます…。」

「では、足の怪我の治癒に入りますね。靴を脱がせていただくので、痛むようでしたら仰ってください。」

「はい……、え、フレイヤさんが治療してくれるんですか…?」

「ふふ、そうですよ。先程の村いっぱいに香っていた私達ホルスタウロスのミルク……。人の心を癒やし、包み込む元気の源。それは怪我の治療なんかにも使えるんです。」

「民間療法という訳ですね…。…ふええ!?フ、フレイヤさん!?」

ミルクを加工した軟膏のような物があるのだろうか、そう思っていた矢先、フレイヤの行動に目を開いて驚愕するテリア。当然だ、何故ならフレイヤはおもむろに胸を露出させたのだから。そのまま患部らしき部分に目測を立てたフレイヤはその部分に乳首をあてがい――

「ふふ、ホルスタウロスのミルクはいかなる効力においても搾りたてが最も効き目があるんです。こうやって腫れている部分にミルクを垂らして……」

「う、はううっ……?」

フレイヤが自分の乳首の根本をすこしつねる。すると雄にアピールするかのようにぷっくりと膨らんだ乳首の先端から、とぷとぷとミルクが溢れ出る。ふわっと漏れ出た香りは先程村で嗅いだものよりもずっと濃厚で、かつ心地いい気分になる。小さい頃、誰もが想像したであろう蒸しパンやケーキ、焼き菓子のような、甘い香りの食べ物の中に入りたいという願望。その香りだけを再現したような優しく甘い香り。とろんと頭が蕩け、まどろみに落ちているような感覚に陥る。

「あっ、あ……」

その心地よさはペニスにも刺激を与える。しかし脱力しきったまま、テリアは「恥ずかしい」と思う事すらなくその微睡みに身を任せる。

「ふふ、テリアさん可愛い…。」

…ホルスタウロスは、自分より小さな相手に愛しさを抱く。その愛の中には他者を思いやり、癒やし、饗し、その身も心も万全な状態へと治癒する感情も含まれている。しかし同時に、犯し、蕩かし、その身も心も自分の物にしてしまいたいという、モンスター娘特有の支配欲、独占欲も含まれている…。まどろみに堕ちるテリアに、今のフレイヤの表情を見ることは出来なかった…。

「う、ううん……?」

どのくらい寝たのだろうか。いや、自分はなぜ寝ていたのだろうか?その理解が追いつかないまま、テリアは目を覚ます。虚ろな意識の中でまず一番始めに思い出すのは採取家試験の事だ。夜まで一旦休憩及び待機、草木も寝静まる時間にハーピーの里に忍び込み、合格条件である「ハーピーの抜け羽根」を持ち帰る。その言葉が最初に思い出され、自分の今の状況と見合わせ――

「そ、そうだ試験……!!」

「今は何時か」「そもそも時間の経過だけで済んでいるのだろうか」「もしかしたら何日もたっているのでは」そういった焦燥が眠気も微睡みも一気に覚まさせる。当然体は飛び起きるような形で体勢を変え、まだ治りきっていない足の怪我に僅かな痛みが走る。

「痛っ……?あ、あれ僕の足…、確か…」

足の痛みに目をやると、そこには真新しい包帯が丁寧に巻かれている。そしてそれをトリガーに眠りに落ちる直前のことも一歩遅れて思い出される。フレイヤと出会ったこと、トールと出会ったこと、ホルスタウロスの村、アムドウラで治療を受けたこと、そしてその治療の内容…。思い出すと同時に顔が赤くなり、足の痛みが和らぐと同時に、あの時の、ミルクを足に塗られた感触…そして香りで頭が一杯になる。

「……っ。だ、ダメだ変なこと考えちゃ…。あれは治療なんだから…」

テリアの頭を一杯にしていたのは感謝の気持ちと、確かな性欲。テリアはフレイヤの好意に泥を塗ってしまうと自分に言い聞かせ、なんとか性欲を抑えようとするが――

「治療……なのに…」

一度意識してしまうと、もう止まらない。思い出すミルクの香りと感触。村に入った時点で香った「空気と一体化している」ミルクの香り。テリアが寝かされているこの部屋も、村の一部である以上少なからずその香りが漂っている。それを嗅ぐと、記憶の中の香りがあの時のフレイヤの胸から溢れ出た搾りたてのミルクの香りに置き換わる。先程の焦燥感は既に消え、記憶の中の香りに蕩け、求めてしまう。

「あっ…あ…」

そして想像してしまう。あの胸で優しく自分が包まれる姿を。ここに連れてこられた際の挨拶程度の抱擁ではない、自分の性を搾り取る為の、性の抱擁。胸に抱かれ、ミルクを飲まされペニスに手を伸ばされる自分の姿。布団の上で仰向けにされ、その胸でペニスを包み込まれる自分の姿――。体は切なさでいっぱいになり、掛け布団を抱き締めペニスを押し付けてしまう…。到底射精には程遠いむず痒さを覚える程度の刺激。しかし妄想に捕らわれ、その刺激に身を任せるのが只心地良い。可能なら、この感覚にずっと身を任せていたかった。が――

コンコン……

「!!」

ノックをされる音に現実に戻される。今までに性欲に支配されていた少年が不意に鳴らされるノックに対し冷静で居られるわけもない。テリアはばっと布団を被り、寝ているフリをすることにした。

「失礼しますね…。」

キィ…と木製特有の音を鳴らし開かれるドア。隣の部屋からは光が、そしてとても良い香りが寝室へと入っていく。

(ふあ……なんだろ、この香り…。)

それは性欲を刺激するミルクの香りではなく、食欲を刺激する食事の香り。香ばしいパンの香り、甘みと塩気が理想のバランスで配合されたシチューの香り、爽やかな甘酸っぱさが嗅覚を癒やすサラダや果物の香り――。先の焦燥、性欲と全く違う脳への刺激でテリアの目を覚まさせる。

「テリアさん、起きてますか…?食事の準備をしましたので、もしよかったらご一緒にいかがでしょうか…?」

「は、はい…ありがとうございます…。いただきます…。」

枕元で声を掛けられ、さもそれが原因で目が覚めたかのように演技をしながら答える。同時に食事の準備という言葉からも、夕食時だと言うことがわかり、起きてすぐに抱いていた時間への焦燥も解決する。

「ふふ…、わかりました。ところで……、足の調子はいかがですか?」

「っ…!」

甘く、優しい声。その声がノックへの焦りと食欲により多少落ち着いた性欲を更に倍増させる。あのミルクの持ち主たるフレイヤの声が記憶の中の香りを更に確かなものにしていく。ズボンの中でペニスはぐぐっと膨らみ、今立ち上がれば上着の裾や体勢を変えても隠せないほどにまで主張してしまう。

「い、いえ大丈夫…です!も、もう少し……目を覚ませてから行きますから…」

「ふふ、ではテリアさんの分の食器も用意しておきますので、料理が冷めない内にいらっしゃってくださいね。」

「は、はい……。」

パタン…と閉められるドア。テリアはすぐにペニスを抑えようとする。手で叩いたり、なんとか頭を空っぽにしようとするが、すぐに邪念に阻まれ、上手く行かない。しかしいつまでもフレイヤを待たせるわけにも行かない。テリアは仕方なく、ペニスの位置を調整し、なんとか勃起していることを悟られないように出ていくことにした。

(手を洗わせてもらうのと一緒に、トイレも借りよう…。そこでなんとか…)

尿意などはこれといって無いが、「用を足せばペニスも元に戻るかも知れない」と淡い期待を込める。足の痛みも気にはならず、テリアはそのまま居間へと足を運ぶ。

「おはようございます、テリアさん。」

寝室のドアを閉めるのと同時に、フレイヤが声をかけてくれる。先程の声は枕元で聞いたばっかりに、思わず声に妖艶さを感じてしまったがこういった日常での声に関しては特に性欲を抱くこともなかった。バレないように、テリアは平静を装って挨拶を返す。

「おはようございますフレイヤさん……、その、お手洗いをお借りしてもいいですか…?」

「ごめんなさい、お手洗いは家の外にあるんです。とは言ってもほとんど家の敷地内ですので距離は問題ないのですが…その、テリアさんはこの村の香りにあまり慣れていないでしょうから、向かわれるのなら何か鼻を覆えるものをお貸しして――」

「い、いえ大丈夫です!その、言葉通り手を洗いたかっただけですから…。」

「ふふ、それなら清潔に保存してある水がありますからそれをお使いください。」

「あ、ありがとうございます……」

外にあるトイレなど使うことは出来ない。今あの香りを嗅いだら、おそらく勃起も、性欲もおさえることが出来なくなる。襲いかかるようなことはしないだろうが、目付きや仕草が、性欲を抱いている人間のそれになってしまうだろう。そうなれば恩人をそんな目で見ている事を知られてしまう。言ってしまえばそんな目など気にしなければ良い話だ。だが未熟故に清純かつ羞恥心あふれるテリアには、それは耐えきれるものではなかった。

(や、やっぱりダメだ…)

居間から離れた外への排水が可能な部屋で手を洗う。冷たさや熱さなど、体が今までとは違う感覚を得れば目が覚めるようにこの勃起したペニスももしかしたら…と思っても、やはり手を洗った程度では勃起は何も変化がない。もし、「勃起している」という前提で自分を見られたらそれは一目瞭然だ。ならなんとか気付かれないように椅子に座るしかない。椅子に座れれば、机で周りからは見えなくなる。

「み、水…ありがとうございます…」

「はい、どういたしまして♪すぐに食事をお出ししますから、どうぞ座って待っていてください。」

幸いフレイヤは背中を向けて食器などの準備をしていた。そんな彼女を手伝わないのは気が引けるが、なんとかその間に座れれば――

「ただいま」

「あらおかえりなさい、時間ピッタリね♪」

「え…?」

家の扉が開き、聞いたことのある声が耳に入る。どこか頼もしさを抱くような美しい女性の声だ。

「――と、おはよう少年。歩ける程度には治ったようだな。」

声の主はトール。アムドウラの門番として友好的に接してくれたホルスタウロスだ。快く迎え入れてくれ、そして、その豊満な胸で顔を包んだ女性――。

「あ……」

その事を思い出し、ペニスが更に反応する。いや反応させたのは抱擁の記憶だけではない。トールの姿を正面から見た際に真っ先に飛び込んできた胸。フレイヤは後ろを向いていたが故にその胸が目に映ることはなかったが、今こうして正面からホルスタウロスの胸を見てしまった。

(だ、ダメ…ダメ…大きくならないで…!)

たゆん、たゆんと重力のままに揺れる胸。それを合図に自分のペニスが更に膨れ上がっていくのを感じる。しかし幸運にもトールはフレイヤの方へと目を向け、何かを報告するように近付いていく。おそらくは、自分の勃起は目に入っていない…。そう信じてテリアはなんとか椅子に座ることが出来た。

(はぁ、はぁ…あ……)

一安心し、息使いを整えるテリアの元へと料理が運ばれてくる。

「わ……」

それは性欲に支配されていたことなど忘れさせるほどの物だった。焼きたてのパンにふわっと香り立つほんのり黄色く色づいた白いシチュー。水洗いし、切りたての見るからに瑞々しいサラダ…。そしてそれらを優しく包み、後味ごと胃の中へと流してくれるようなミルク。決して豪華絢爛なわけではない。しかしそれは、彼が想像しうる中で最も「温かい」と思える料理。「もしこれを食べて、お腹が一杯になって、眠気のままに眠ることが出来たら、それはどんなに幸せなことだろう」と、心から思う、幸せの香りだった。

「ふふ、テリアさん目がきょとんとしてますよ?」

「え、あ……!」

あまりに美味しそうな料理に、思わずぼーっとしていたテリア。フレイヤの声を聞きハッとなり子恥ずかしそうに頬をかく。

「フレイヤの料理はアウドムラでも随一と評判なんだ。私も時間が合うようならこうやってフレイヤの家にお邪魔して同席させてもらってるんだよ。」

「くすっ……、トールさんは御料理は苦手ですからね。」

「て、適材適所だ、私の手は料理を作るのではなく村を護るためにあるんだ…。」

「……」

料理を挟み談笑する二人。自分に対しての丁寧なお姉さんのような態度ではない、少し悪戯っ気の混じったフレイヤとそのフレイヤに弄られ不機嫌そうにするトール。その「家庭の光景」にテリアはどこか安心する。実際、いかに心優しいとはいえここがモンスター娘の村である以上、警戒心が無いわけではなかった。しかしそんな警戒心も、この暖かさの前には、やんわりと消えていった。

「ふふ、では…いただきます♪」

「いただきます」

「い、いただきます……。」

テリアはまずシチューに口をつける。スプーンですくい取る感触もまた理想的なもの。スープにはない粘度を持ち、かといってドロドロとしたべたつくような感触でもない。自分の意思で味わっている限り、口の中にいつまでも残ってくれるような、そんな感触だ。そのまま食べては火傷をするために吐息で冷ますが、その際の湯気の香りもまた堪らない。

「…!」

そして、その味も確かなものだった。程よい塩気がまず口内を満たし、まろやかなミルクやチーズの優しい味わいが塩気ごと舌を包み、加熱された人参や玉ねぎの甘みと水分がシチューのトロみを喉の奥へと洗い流していく。塩気、まろやかさ、そして甘み。順番に喉を通り越していく感覚がこの上なく心地良い。

(凄い…こんな美味しいの食べたこと無い…!)

それでも口の中にはわずかにシチューの後味が残っている。そしてそれは「この後味を香ばしく柔らかいパンと一緒に食べれたら」という欲求を引き起こす。手に持った時点で温かいパン。それを齧り、口の中で皮のサクサクと生地のもちもちを、シチューの後味と共に堪能する。しかしパンとシチュー。これらの物を一気に摂取したことで口の中の水分は一気に奪われてしまう。となると、ミルクに手を付けずには居られなかった。こくこくとまろやかなミルクを飲み干す。

(あ……このミルクすごい……。甘くてまろやかで……もっと飲みたい…。)

「……♪」

そんなテリアを、二人のホルスタウロスは、慈しむような目で見ていた。何度もテリアを愛らしく思い、愛情を込めて料理を作ったフレイヤはもちろん、門番という立場から生来弱い者…つまりは自分より小さい存在への保護欲がホルスタウロスの中でも高いトールもまたテリアを見守る。

「はぁあ……。あ、あれ…?」

一息ついたテリアは自分が見つめられていることに気付く。ここに来てから一度も食事をとっていなかった彼は「がっつく」と言う言葉で形容されても否定できないほど目の前の料理に夢中になっていた。その姿を見られていた事に、羞恥で一杯になってしまう。

「ふふ、お口に合っていただいたようで嬉しいです。一生懸命ご飯を食べるテリアさん、とても可愛いらしかったですよ…♪」

「無理もない、君がここに来てからもう7時間は経過しているかな。そこにフレイヤの料理だ。ああやって夢中になっても仕方ないさ。」

「う、うう……」

その羞恥を悪意無く、優しく肯定されてしまうのが更に恥ずかしい。顔を真赤にしたまま、テリアは俯いてしまう。

「はは、少し意地悪が過ぎたかな、申し訳ない。…しかしフレイヤ、今日の料理は確かに一段と美味だな。よほど良い乳を使ったと見える。」

「当然ですよ、怪我をしたテリアさんに召し上がって頂く料理ですもの。新鮮な搾りたてのミルクで仕上げたんですから。」

「ふぅん、全くお前は料理の腕だけでなく乳の味も一級品だな。羨ましい限りだ」

(そうか…フレイヤさん、僕のためにこんな美味しい料理を…。搾りたての、ミルクで……搾りたての…?)

何かに気付いたのか、テリアの顔が今までとは比べ物にならない程にか~っと赤くなっていく。

「フ、フレイヤさん……そ、その……ミルクって……」

「はい、私のお乳ですよ♪」

「~~~~~!?」

一切包み隠さずに答えるフレイヤ。そう、目の前に並ぶ料理は全て目が覚めて以降、テリアを性欲で支配し続けていたあのフレイヤのミルクで作られたもの。シチューも、パンも、そして最後に飲み干したあのミルクも…。

「あ、あう……あうう……」

記憶の中でさえ性欲の虜にしていた乳首からミルクが溢れ出るあの光景と香り。目の前の生のままのフレイヤのミルクを味わった事を知った瞬間、テリアの中の性欲が蘇り、彼を覆い包んでいく。

「ふふ……、どうしたんですか、テリアさん…?そんなに切なそうな顔をされて……」

「足の怪我が熱でも持ったのかもしれないな……、どれ、見せてご覧…?」

「あ、い、いや…そ、その……ご、ごめんなさいっ!!」
今、足を見られたら性欲の象徴が見られてしまう――……。そう思ったテリアの羞恥は限界に達し、何も考えられないまま、何処かに逃げようと体は席を立っていた。頭はもう回らない。外に逃げるか、それとも寝室に閉じこもり鍵を閉めるか?そういった思考が一切纏まらないまま、とにかく「このまま」から脱出しようとする。しかし――

「痛っ……!?」

ビリッと電撃のように足に走る痛み。それは言うまでもない、ここに来る原因となった足の怪我だ。フレイヤのミルクと処置は完璧だった。現にテリアは普通に歩く分には全く問題ないほど回復していた。しかしいくらなんでも急に席を立ち、その足を主軸に走る事が出来るまでに回復はしていない。テリアの動きは足の痛みに静止させられ、席を立った状態――、自分の体を何も隠すものがない状態で……無防備なままに動きを止めてしまった。

「あ……駄目ですよテリアさん…!まだ足の怪我が治りきってないんです。無理をなされては……」

心からテリアを心配する声。その優しい声が更にテリアの羞恥を高めさせる。

「あ、ああ……」

「ほら……、動いちゃ駄目だ。フレイヤは紛れもない医者としての顔も持っている。怪我を治したいなら、そこはちゃんと言う事を聞かなくてはな……。」

これ以上暴れさせないためか、トールに背中を覆われる形で捕まってしまう。そのトールの声もまた心優しいものだ。性欲の象徴……、「勃起したペニス」を見られてしまうという羞恥ばかりがどんどん増幅されていく。そして遂に――

「ほら、足を見てください?………と……、あらあら…♪」

「ふふ……、どうしたフレイヤ?足の調子は大丈夫そうか?」

「ええ、腫れもありませんし、あと一日寝ていればジャンプだって出来るようになりますよ。熱を持っているなんて尚更ありえません。テリアさんがどこか切なそうにされていた原因は……ふふっ…ふぅ――……」

「ひああああ!?」

足を見るために下半身に近づけられたフレイヤの顔が、優しくも淫靡な……モンスター娘としての顔に変わっていく。フレイヤはそのまま勃起したペニスに唇を近付け、そよ風のような吐息を吹きかけてきた。くすぐったさと心地よさが混じった性的快楽が、テリアの口から喘ぎ声を漏らしてしまう。

「あ、ああう……ご、ごめんなさい……。」

勃起したペニスを見られ、あろうことかそこに吐息を吹きかけられ――、羞恥の限界に達したテリアは、泣きそうな顔で許しを請い始めた。性欲に負けた情けない自分、歓迎してくれたフレイヤやトールらの心遣いを、最終的に性欲として捉えてしまった自分……、行き過ぎた羞恥は自虐となり、テリアの心を蝕み始めたのだ。その時――

「んっ……?」

「大丈夫…、大丈夫ですよテリアさん…。テリアさんはちょっとびっくりしちゃっただけ…。このホルスタウロスの村に来て、沢山のおっぱいを見てしまって…、甘いミルクの匂いを嗅いでしまって……、足にとろとろのミルクをかけられてしまって…、そしてお姉さんのミルクで出来た御料理を食べてしまって…、そういった今までの人生で味わったことがない経験をたった一日で沢山経験してしまって……」

フレイヤはその胸でテリアを抱き包みながら頭を撫で始める。甘い香りに優しい感触に覆われ、心が穏やかになっていく。

「可愛いらしい貴方にとっておっぱいやミルクは『エッチなこと』としてしか認識したことがなかったはず…。だからこの村での出来事を全部エッチなこととして捉えてしまっても仕方ないんです。だからテリアさんは全然悪くないんですよ……。大丈夫、私達はそんなことでテリアさんを軽蔑なんかしません。むしろ、少し嬉しい気分はしますけどね♪」

「う、嬉しい……?」

「ふふ、そうですよ……。テリアさんのような可愛い子が自分のおっぱいやミルクで発情してしまっていた…。おっぱいとミルクはホルスタウロスにとっての個の象徴……。それに発情して貰えるのは、この上ない名誉な事なんですよ♪だからテリアさんも、そんな悲しそうな顔をしないでください。私達は、テリアさんの可愛い反応を見てとても幸せだったのですから……ね?」

「ふあ……フレイヤさん……」

肯定――。どこまでも優しく、甘い、海よりも深い穏やかな肯定…。自分の心を壊しかけていた自虐心すらも包み込み、フレイヤはテリアの全てを肯定した。勃起は恥ずかしいけれど悪いことじゃない、隠す必要も、ましてや慌てて逃げ去る必要もない。極端に言えば、おそらくはここでは丸裸で外を歩いても村人全員の胸を見る度に勃起しても許されるだろう。無論、恥ずかしがり屋なテリアはそんなことはしない。だがそれでも、フレイヤによって与えられた心の余裕はテリアの体にも影響を与えていた。必死で隠そうとしていた性欲の象徴はフレイヤの言葉によって抑制が切れ、更にムクムクと大きくなっていた。

「あう……」

それでもやはり、勃起したペニスを見られるのは恥ずかしい。だがその恥ずかしさも、ホルスタウロスの優しさが包み込んでくれるのだ。おそらくは、いや間違いなく『してくれる』。そのおっぱいで優しく、甘く、蕩かすようにペニスを気持ちよくしてくれる。持つべき羞恥心は全て、その期待に消えていった…

「あらあら…♪このままだと快適な眠りに支障をきたしてしまいますね……トールさん?」

「ん?」

「私はテリアさんのお顔を担当しますから……おちんちんさんの方はトールさんにお任せしても良いでしょうか?」

「ふふ、勿論……♪私も微力ながら、少年のために手伝わせてもらうかな…」

そうして、テリアは寝室へと運ばれた。添い寝する形でフレイヤの胸に顔をうずめたままベッドの上で横になり、下半身の直ぐ側にはトールが待機する。そしてフレイヤはテリアの顔を包み込んだまま…、トールはテリアの右足と左足の間に胸を寄せた状態で、衣服を脱ぎ始める。フレイヤの胸に抱かれているためにその姿は見えないが、だからこそ肌を擦る音やボタンを外す音がより鮮明に聞こえ、より強い興奮状態へとテリアを導いていく。

「ふふ、ぎゅ~……♪」

「ふわぁぁ……」

衣服を脱ぎ捨てたフレイヤによる顔抱き寄せ。それは今までの心地よさすらも比にならない程に気持ちの良いものだった。衣服による押さえつけが解けたことで、本来の大きさを、柔らかさを取り戻した胸。極上の絹のような肌触り、どこまでも沈み込んでいく程の柔らかさ、そして濃厚ながらも一切不快感を与えない甘い甘い香り――。衣服を脱いだことで乳首も解放され、それが足ではなく口に押し当てられる。

「ん……ふあ……」

乳首の感触を唇で味わうと同時に、テリアはフレイヤに誘われるでもなく、自分の欲に従うでもなく、無意識の内にその乳首を口に加える。フレイヤに抱かれた時点で、テリアの心はピンク色に染まりきっていた。言うならばそれは性欲の更に上の段階、恍惚――。思考全てが蕩け、脳が性欲を抱くまでもなく体が、心が快楽を享受し、求め続ける。むしろ打算的な性欲など邪魔でしか無い、生物として快楽を、甘さを、優しさを、心地よさを求めている。それ以外の事は何も考えない、眠りにつく直前の微睡みが睡眠を欲しているのではなくそれらの性的快楽を望んでいる…そんな状態だ。

「んっ……こく…こく……」

(はぁぁ……、テリアさん、とっても可愛い……♪もっと、もっと飲んで…?)

そしてフレイヤ、トールもまたテリアに話しかけることはない。恍惚状態のテリアを悪戯に覚醒状態に戻してしまうのも可哀想であるし、何より恍惚のままに胸を、ミルクを求めるテリアが可愛らしくて仕方がなかったのだ。フレイヤの乳首からは料理に使った物以上に濃厚なミルクが分泌されていた。ホルスタウロスは感情によりミルクの味が変わる。愛情が深まれば深まるほどミルクの味は濃厚かつ男を虜にする味へと変わっていく。中でも今のような性愛に基づく味は男を蕩けさせ、中毒にすらしてしまうほどに強力な物。そんなミルクを飲まれているという事実は、フレイヤの母性と性欲をこの上なく満たしていた。人間の男にとって精液を放出し、絶頂する事が性欲の終着点だとしたら、自分の胸の虜になる男をいつまでも見守り続けることがホルスタウロスにとってのそれに当たる。現に、フレイヤの股間部分は既に愛液で満ち溢れていた。

(ふふ、準備万端……と言った所か……♪)

一方で、ペニスを担当するトールもまた動き始める。フレイヤのミルクを飲み、限界にまで達したテリアのペニス。その「限界」を見計らい、トールはその双乳でゆっくりとテリアのペニスを挟み込む。

「……っ!」

ペニスへの快楽に、テリアの体はビクンッと跳ね上がる。しかし恍惚状態は解けること無く、跳ね上がった体の震えは徐々に体全体、下半身、腰回り、ペニスへと集中していく。激しいパイズリであるなら、おそらくは5秒も持たないほどに快楽に弱くなっているペニス。しかしトールのパイズリはこの上なく穏やかなものだった。より自分達の虜になってもらうべく、何より男にとってはこの上ない幸せである恍惚状態を少しでも長く楽しんでもらう為だ。トールはまず乳首からミルクをとろとろと垂らし、ペニス全体をミルクでコーティングしていく。未熟な歳柄か、まだテリアのペニスは完全には剥けきっておらず、ミルクは剥けている部分だけではなく、皮と本体の間にもとろりと侵入していく。生暖かな液体で包まれるぞわぞわとした、我慢しきっていた尿を放出する際のような快楽を感じるテリア。もじもじと腰を動かす様を、フレイヤとトールは穏やかに見守る。ミルクによるコーティングは快楽を与えるだけでなく、刺激の強すぎる快楽からペニスを保護する役割を兼ねている。

「……ふふ…♪」

トールはそのままコーティングされたペニスの皮を胸で挟んだままゆっくりと下に降ろしていく。ミルクによって滑りが強くなった包茎ペニスは、驚くほどスムーズに剥けてしまったのだ。強すぎる刺激は緩和され、皮剥きの快楽はより恍惚の深みへとテリアを沈めていく理想の快楽となっていた。足がピクピクと震えるも、その震えごとトールは包み込む。やがて震えが消えると、本格的にトールによる甘いパイズリが開始された。両手で胸を激しく押し当てるのではなく、たぷたぷと胸を揺らし、自然のままの心地よさを与えるタイプのパイズリだ。

(さて、どこまで耐えてくれるかな……)

トールの胸はどこまでも沈み込んでいくフレイヤの胸と比べると柔らかさでは劣るが弾力に富んでいる。ペニスを挟み込んだ双乳は、密着すると同時に弾き返すような…、出来の良いゼリーのような心地よさとなっていた。確かに感じる柔らかな心地よさ、右の胸に沈み込んだかと思えばたぷっと弾かれ、左の胸に沈み込んでいく。そしてすぐに右の胸へと弾かれ……、すぐにでも射精してしまうほどの快楽ではないが、右に左と弾力のままに弄ばれるペニスにはじわじわと快楽が蓄積されていった。

「ふあ……あう……」

たぷたぷの弾力に包まれ、ペニスごと揺すられ……、いくら優しい快楽とは言え、振動と快楽によって徐々に我慢の限界に近付いていく。しかしトールは、より恍惚を楽しんでもらう為に、ここで快楽を緩める。たぷたぷとした揺らしは徐々に速度を緩め、もはや挟み込んでいるだけになっている。しかしそれでもトールの双乳の心地よさは消えず、気持ちいいのに射精できない切なさにテリアは襲われてしまう。そしてその切なさをカバーするようにフレイヤのミルクを求め、舌と口の動きを強めていく。

「あんっ……♪」

無論、そのがっつくような授乳をフレイヤは優しく受け入れ、よりリラックスさせるべく背中を擦りながら頭を撫でる。ここで、二人のホルスタウロスは目配せをした。恍惚状態は自然のままに快楽を受け入れる状態。必要以上に性への欲求を与えてしまえば恍惚状態は解除され、只の性的欲求に支配された状態になってしまう。これ以上焦らし、恍惚状態が消えてしまえば絶頂の快楽もグレードダウンしてしまう。そう判断したフレイヤとトールは快楽を楽しんでもらうのではない、絶頂へ導くための準備を始めた。フレイヤはミルクの温度を少し高める。人肌ほどの温度のミルクは、体のリラックス状態を高め、朝目覚めた際の布団の温もりのような心地よさをテリアに与える。これによってテリアは恍惚状態の最も深い所まで堕ちていく。そしてトールはパイズリを再開する。今までのたぷたぷと揺らすだけのパイズリではない、その大きな双乳ごとペニスを抱き締め、スローモーに上下させる、弾力と柔らかさ、胸そのものの心地よさを味わってもらうためのパイズリ。摩擦による快楽など一切ない、どこまでも胸そのものに堕としていく圧迫パイズリ。胸の感触、そして体温がペニスへとじんわりと伝わっていく。

(ふああ……なんだろう……、体、ぽかぽかして……、アソコも、溶けてくみたいに気持ちいい……。このまま、射精したら……きっとすごく……気持ちいいんだろうな……)

恍惚のままに、ぽわ~っとした表情でおねだりするように顔をより強く埋めるテリア。甘えられる事によりフレイヤの母性は更に高調し、甘い香りもより強くなっていく。そして射精欲求はペニスにもピクピクとした震えで伝わり、トールの母性も又、増幅していく……。

「……♪」

「……♡」

もはやテリアだけでなく、二人も我慢の限界となっていた。早くテリアの絶頂する顔がみたい。この少年は、一体どんな顔をしてくれるのか……、そういった性欲に支配された二人が、胸の快楽を緩めることはもう無かった。フレイヤは母性のままに授乳を続け、トールは圧迫パイズリを一切緩めること無く続けていく。そしてその時は、遂にやってきた。ペニスの脈動は更に早くなり、もはや途中で止めることなど出来ない。出来ることは、脈動が終わるまでに更に快楽を蓄積し、精液を更に送り込み絶頂時の快楽を底上げするだけだ。フレイヤ、トール共にトドメと言わんばかりに、顔とペニスへの胸の圧迫を更に強める。ふにゅううっ……とどこまでも沈み込んでいくフレイヤの胸、弾力のままにペニスをぎゅうううっと締め付けるトールの胸。二つの相反する感触を受けたテリアは一瞬、フッと眠りに堕ちるかのように意識を失った。それと同時に――

びゅううううううっ………!!びゅるるるる……どくっ…どくん…どくん……

「ふあああああああ………」

「んっ……あんっ…♪」

「んぷっ……、ふふ…♪」

勢いよく迸る精液。それはパイズリをしていたトールは勿論、フレイヤにまで飛び散った。青臭い香りが辺りに充満するが、それを浴びた二人は一切嫌悪すること無く、むしろテリアと同じく恍惚とした表情で飛び散ったそれを舐め取る。

「ん……ふふ、とても初々しくて、可愛らしい味…♪」

「初心な顔付きに似合う、飲みやすくて爽やかな味だな……♪」

うっとりとテリアの精液をテイスティングする二人。それに対し、テリアはフレイヤの胸に顔をうずめたまま、穏やかな寝息を立てていた。恍惚状態は微睡みに近い物。快楽から解放されれば、後は穏やかに寝付くだけなのだ。

「ん……本当に可愛い子……♪明日、御見送りするのが勿体な……いいえ、名残惜しいですね…」

「ふふ、良く言う。離すつもりなど無いんだろう?」

「もう、人聞きが悪いですよトールさん。私はこの子をちゃんと御見送りしますよ?でも、もしこの子がこの村から離れたくないのなら……、その時は、ちゃんとお世話をしてあげるだけ…♪ずっと、ず~っと……♪」

穏やかに眠るテリアを、幸せな夢に導くために頭を撫でるフレイヤ。しかしその優しい声色は、淫靡な物に染まりきっていた……。

(ふあ……)

テリアが次に意識を取り戻した時、彼は夢の中に居た。真っ暗の海、体の感覚は無く、ごぽごぽと気泡を鳴らしながら沈んでいく。腕の疲れも足の疲れもなにもない感じない空間で耳に響く気泡の音が只々落ち着く。暗闇の中で底も無く沈んでいくことに不安は感じない。どこまでも、どこまでも堕ちていく中でテリアはとある事に気付く。それは水の感触――。何も感じない筈だった肌が、湯船に浸かっているときの様な水の感触を感じ始める。そしてその水は只の水ではなかった。とろとろ、ぬるぬるとしたとても心地の良い感触。体に貼り付き、表面をとろけた感覚が愛撫し、疲れを抜き取って離れていく。そしてまた新たなとろとろのぬるぬるがまとわり付き……、何度も何度もそれが繰り返される。

「あ……」

そしてその粘液に覆われるのは腕や足だけではない。ペニスにもとろり、とろりと絡みつき、皮の中に潜り込んでくる。亀頭、カリ、竿、陰嚢までぬちゅぬちゅと先の心地いい感触で支配される。気持ちいい。強欲にその快楽を求めるのでなく、蕩ける感触にうっとりと身を任したくなる。そして何よりも「その感触」を求めいてたのは口。テリアは知っていた。この粘液が「とても美味しい」物だと。

(飲みたい……)

飲みたい。うっとりとした微睡みの中で、ただそう思う。このぬるぬるとろとろの心地よさのままに、あの甘くて濃厚な「ミルク」を飲んだら、それはどれほど心地いいのだろう。粘液の感触が口に広がる。そして口で呼吸するようにゆっくりと粘液を吸い込む……、その既の所で、テリアの意識は覚醒する――

「………」

チュンチュンという鳥の鳴き声、木によって穏やかに調整された木漏れ日、そして優しい甘い匂い……。この上なく穏やかに五感を刺激され、テリアは目を覚ます。

「顔……」

まだぼやける視界のまま、洗顔できる場所を求め部屋を出る。

ふわっ……

「あ……」

部屋を出ると同時により鮮明に嗅覚を包み込む甘い匂い。ホルスタウロスの…、フレイヤのミルクの匂い。その匂いの主はすぐ近くに居た。キッチンといえる場所で、背中をこちらに向けながら朝食を作っている。もうひとりのホルスタウロス、トールは早朝にでも仕事に戻ったのだろうか、姿はない。

「ん……いい味…きゃ?」

テリアはその姿を見るなり、何の疑いもなく、何の羞恥もなくフレイヤの足に抱きついていた。大柄なホルスタウロスと、まだ未熟なテリアでは体格にかなりの差があり、相手が体勢を調整しない限り、こうして下半身にしがみつく形になってしまう。胸とはまた違う、柔らかな太ももの感触に立ったまま二度寝してしまいそうな程の心地よさを感じる。

「もう、びっくりしたじゃないですかテリアさん…♪」

ことことと、シチューの残りを煮込んでいた火を止め、しゃがんだ上でテリアの頭を優しく撫でるフレイヤ。しゃがまずに頭を撫でれば、体格の差により上から頭を押さえつけるような体勢になっていたのをテリアが怖がらないように調整したのだ。そんな温かい優しさに、テリアは子犬のように目を瞑りその撫でを堪能する。

「ん…ふ……」

その気持ちよさに思わずため息を漏らしてしまう。この人は優しい人…、抱き締め、撫で、包み込んで……、自分を癒やし、護ってくれる人。微睡みのままのテリアの精神はまるで刷り込まれた雛のようにそのことを反復し、甘えたがりの欲求を作り出す。

「ふふ、テリアさん、ぽ~っとしちゃってますよ?お顔を洗って、シャキっとしましょうね…♪」

「ふあ……」

背中と足を持たれ、そのままふわっ……とお姫様抱っこをされるテリア。体格差、つまりはホルスタウロス由来の力があってこそなせる物だが、持たれた背中と足には一切負担がかからず、むしろハンモックに揺られたような感覚を受け、気付けばフレイヤに抱かれていたという感じだ。体勢上、テリアの顔はフレイヤの胸により近くなり、甘いミルクの匂いに包まれてしまう。

「あうう……」

ミルク、匂い、気持ちいい……。ベルの音を聞いただけで飼い犬が餌だと判断するように、ミルクはとても気持ちいいものだと条件付けされたテリアのペニスは、その匂いだけでむくむくと大きくなってしまう。何も隠すことのできないこの状況で、フレイヤもまたその勃起に気付かないはずはなく、くすっと優しく微笑む。

「まずは目を覚ましましょうか♪」

洗面所についたフレイヤは、人肌ほどの温度のぬるま湯にタオルを浸し、よく絞った上でテリアの顔にふんわりとそれをかぶせる。冷たすぎず熱すぎない水気と温度で顔を包まれ、徐々にテリアの意識も鮮明になっていく。

「う、ううん……」

「おはよう御座います、テリアさん……♪」

「へ…?フレイヤさ……」

ここでようやく、テリアは昨晩の事を思い出す。彼女のミルクから作られた料理を、そして搾りたてのミルクを飲み、食べたこと。性欲に支配されてしまったこと、そしてそれを解消する為に顔をフレイヤに、ペニスをトールに包まれ、甘く、優しく包み込まれてしまったこと、そして何度も射精してしまったこと……。

「~~~~~~っ!?」

羞恥に襲われ、思わず飛び退いてしまいそうになる。しかし体はそうは行かなかった。起きたてで強張っている体は思うように動かず、何よりも体はもう、そのペニスが示すように、彼女たちの虜になってしまっているのだから。

「フ、フレイヤさん降ろしてください…!これじゃまるで赤ちゃんみたいで……」

体格で勝るフレイヤとはいえ、テリアからすれば女性にお姫様抱っこをされているのはこの上なく恥ずかしいこと。必死でフレイヤを説得しようとするが――……

「嫌ですか?」

「え……」

「テリアさんは、赤ちゃんみたいにされるの……、嫌ですか?」

とろり…と耳に塗り込まれるような淫声。ホルスタウロスは自分よりも小さな存在に母性を抱く。母性の行き着く最終値は「母親と赤子」の関係…。フレイヤは返し言葉とは言え、こう言ってきたのだ。「自分の赤子にならないか」と。それを理解した瞬間、テリアの脳裏に様々な光景が描かれる。このお姫様抱っこの体勢で、それこそ赤子の授乳のようにフレイヤのミルクを飲まされる自分、ベビーベッドに寝かされ、あやされる自分。添い寝され、子守唄を歌われる自分……。そして――

「くす……、なんて、冗談ですよ♪よい…しょっと……」

フラッシュバックのように抱き続ける途中でフレイヤに降ろされたことでテリアはハッと正気に戻る。冗談。彼女はそう言った。しかしあの声、そして微笑み――。テリアはそれを冗談だとは感じ取れなかった。もしもあの時、少しでもその言葉を肯定していたら、今頃自分は……。

「っ……!!」

その「可能性」は、恐怖に近い感情としてテリアに浸透する。赤子として迎え入れられかけた事実、そしてもしもあれ以上フレイヤに魅惑の言葉をかけられ続けていたら、自分は抵抗していなかったであろう事実。……ホルスタウロスは、巷で人を襲った噂などが絶えないような他のモンスター娘とは違う。このフレイヤの甘い優しさも、決して油断させるための策などではなく心からテリアを思いやり、愛しがるからこその物だろう。しかし、もしもその「愛」が本格的に向けられたら…?この村で終生を過ごし、子孫を残していくよう、誘われたら…?テリアには、採取家になるという夢がある。本格的に誘われたら、その夢をかなぐり捨ててでも、この村の住人になってしまうかもしれない。それが恐怖の正体。自分の夢が甘い誘惑に蕩けて堕ちていく、自分が自分で無くなっていくような感覚を、彼は恐れた。

「どうかしましたか?テリアさん?」

「え、いや……大丈夫です…!」

テリアのその反応に気づいているのか、気づいていないのか。フレイヤは変わらず優しく語りかける。

「では…、朝食を用意していますので…御一緒にいかがですか…?」

「…!」

フレイヤの料理…、即ち、ミルクをたっぷり使った特製料理。今までに食べたことがないくらい美味しく、何より温かい料理。すぐにでも食卓につき、その料理を堪能したい。しかし――

「ご、ごめんなさい……、僕、その……朝は食べれないんです……胃が弱くて…」

「あら、そうなんですか……?じゃあ…」

頬に手を当て、残念そうな顔をするフレイヤ。しかし間を置かず、彼女はテリアの耳元で囁く。

「今朝搾りたての新鮮ミルクも……飲まない方が良いでしょうか…?」

「はうっ……?」

搾りたてのミルク。その言葉を聞いただけであの夜の授乳の記憶が思い出される。ふわふわのどこまでも沈み込んでいく胸に顔を埋め、優しく頭を撫でられながらぷっくりとした乳首から垂れるとろとろミルクをお腹いっぱいに飲んだ記憶。甘い味、蕩ける舌触り、どこまでも堕ちていくような心地よさ。思い出すだけでも頭がふわふわとして足元が覚束なくなる。

「あ、ああう……」

食べたい。飲みたい。フレイヤに見守られながら、お腹いっぱいに彼女の料理を、ミルクを堪能したい。でもそうしたら、間違いなく堕ちてしまう。この村で幸せに過ごす事以外、何も考えられなくなってしまう。そんな葛藤と闘うテリアを、フレイヤは愛らしいものを見る目で見ていた。テリアにその視線は気付かれていない。モンスター娘が、雄を虜にする時の目。自らの胸で、ミルクで、目の前の愛しい存在を蕩けさせ、自分の物にしたい……。

フレイヤもまた、耐えていた。力尽くで襲えば体格で勝る自分がテリアを押し倒すことなど造作も無いこと。しかしそれではテリアは女性に恐怖心を抱いてしまうかも知れない。フレイヤのこの優しい性格はテリアの見立て通り生粋の物だ。

…だからこそ、テリアは自分の中の欲と闘うしか無かった。邪悪な術でも、狡猾な罠でもない。「悪いモンスター娘め!僕がそんな誘惑に屈するか!」と誇りや意地を元に、強引に誘惑を払いのけられればどれほど楽か。嬉しさ、温もり、有り難さすら感じる、フレイヤの心からの優しさだからこそ、自分の中の欲に打ち勝つことしか出来ないのだ。

「ごめん…なさい…」

「…そう、ですか。」

そして、テリアはその欲に打ち勝つことが出来た。二人の間には、別れの空気が生まれていた。荷物を纏め、御礼を言い、また夜が来るまで待機し、ハーピーの抜け羽根を手に入れ、人里へ帰る。それでいい。物哀しいフレイヤの返事に罪悪感を感じながらも、テリアはグッと爪が食い込む程に手を握りしめ、それに耐える。全ては順調だった。そう、見えた。

ふわぁっ……

「……っ」

家の外に出ると同時に香る濃厚な甘い匂い。淡い桃色の白――。その匂いを色で例えるならばその表現が相応しい。数多のホルスタウロスたちの甘い匂い。その分、側にいるフレイヤの匂いをより鮮明に意識してしまう。この匂いもまた、邪悪な術でも狡猾な罠でもない。只々優しく、心を満たしていく。

……そうして。ようやくテリアはフレイヤの案内の元、正門の前までたどり着く。門にはトールが既に控えており、村を出る決心をしたテリアをフレイヤと同じく、どこか物哀しげな顔で見つめている。テリアの存在を知っていた他のホルスタウロスたちも、見送りに来てくれているようだ。

(ごめんなさい…トールさん……)

心の中でトールに別れを済ませたテリアは、フレイヤの方へと振り返り、深々と頭を下げる。

「…ありがとうございました!足を怪我した僕をこの村に迎え入れてくれて……。あのままだと僕は間違いなくハーピーを始めとしたモンスター娘に捕まっていました……。怪我を治してもらったどころじゃない、命を助けてくれた……この恩は忘れません…!」

「……もし、また縁があれば、いつでもこの村を訪ねてくださいね」

テリアの感謝の言葉に、少し俯いたフレイヤは、満面の微笑みでそう返す。その笑顔に心の底からドキッと心臓を震わせる。別れ。フレイヤとの、トールとの、アウドムラとの別れ。

もう二度と会えないかもしれない。

もうあの優しい笑顔を、心の温まる料理を、甘いミルクを、堕ちていく快楽を、もう、二度と――

「あ、あれ……?」

テリアの目からは、涙がこぼれていた。彼の意思と相反する涙。一度その涙を確認すると、彼自信も何故か悲しくなってくる。ここから離れたくない。ここに居たい。封印したはずの依存心がふつふつと心を支配し始める。

「……テリアさん?」

「…!」

声が聞こえる。あの優しい声が。

「どうしたんです?旅に…自分の夢に、戻られないのですか?」

ここに居たいのなら、ずっと居ても良い。そんな口調で。

「ひょっとして……、まだ足が治っていないのでしょうか?」

「あ……」

フレイヤから、逃げ道を用意される。そう、これは夢を諦めて定住するのではない、まだ足が治っていないから、もうしばらくだけ、お世話になるだけだと。

「それなら……今度はこの村の皆で……」

フレイヤの、トールの、他のホルスタウロスたちの顔付きに、淫靡な表情が加わる。優しくも淫靡で、甘い毒で心を溶かす、モンスター娘・ホルスタウロスの眼。

「治療……、してあげますね……♪」

「な……ふああああ……!?」

フレイヤに後ろから抱きつかれ、その柔らかな胸を押し付けられる。背中いっぱいに走る、蕩ける快楽。テリアの力は一瞬で抜け、フレイヤに背中を任せてしまう。

…テリアは、逃げ道に逃げた。甘い誘惑に身を堕とした。フレイヤによって堕落の逃げ道を提案された時、強い精神力でそれでも自分の夢を追いかけたのなら、フレイヤも、トールも、他のホルスタウロスたちも彼の旅路を心から応援しただろう。しかし、テリアはここを選んだ。それならばもう遠慮する必要など無い。フレイヤの、トールの心からはタガが外れ、目の前の愛しい存在を、自分の、自分達の物にするだけだ。

「ミルクミスト、用意…♪」

トールの合図で、周りのホルスタウロス達が豊満な胸をさらけ出す。ぷっくりと隆起した乳首からはそれぞれのミルクが垂れ落ちる。そして――

ぷしゅううう――………

「ふあ……なに、これぇ……」

ホルスタウロス達の胸からは、ミルクが霧状になった吹き出された。一体ならばともかく、村の殆どのホルスタウロス達が一斉に霧状ミルクを散布すると、それはあっという間にテリアを中心に、辺り一面を薄桃色の白い霧に染め上げてしまったのだ。

「あっ、あ……ああ……」

甘い匂い。今までとは比べ物にならない濃厚な匂い。それでいて全く嫌な感じはしない。匂いに酔ったり、頭痛を引き起こすことなど無い、いつまでも、いつまでも嗅いでいたい、恍惚を越えた、陶酔の匂い。

「ふあ……うわ!?」

背中を抱いていたフレイヤが、自分ごと地面に倒れ込む。フレイヤをベッドにしたような形で、テリアは無防備に寝かされてしまったのだ。周りを囲んでいただけのホルスタウロス達は、それを合図にテリアとフレイヤの元へと近寄ってくる。

「ふふ……、テリアさん……、貴方は大切な客人…。今からアムドウラに伝わる、歓迎の儀を正式に行わせていただきますね……♪」

「歓迎の……儀……?」

「ふふ、そうだ。村のホルスタウロスのミルクで、胸で……、君の体も、心も染め上げる。アウドムラの住人として、君を迎え入れるんだ。」

「だ、駄目です……!僕は、僕は……!」

口では言っても、体は抵抗していない。それをとっくに知っているホルスタウロス達は穏やかな微笑みのまま完全にテリアを囲い込む。甘い匂いは更に濃度を増し、体中の力が抜けていく。

「ふふ……♪」

トールと、その部下と思われる門番達がテリアのズボンを脱がしていく。嫌悪感など全く与えない、丁寧な手さばきで、テリアの下半身はあっという間に丸裸にされてしまう。

「ああ……」

ピンッと、未熟ながらに勃起しきったペニス。誰もそのペニスを嘲笑うことはせず、優しく見つめている。

「ではトールさん、昨日と同じように、おちんちんをお願いしますね……♪」

「ふふ、了解した……♪」

昨日の夜を思い出させる二人の会話。しかし昨日とはまるで状況が違う。フレイヤとトール以外に、何人ものホルスタウロスがテリアを囲んでいるのだから。

「うふふっ……♪」

「可愛い子……♪」

テリアの両足とも、足裏、足先、足、足首、ふくらはぎ、太もも、付け根までが、数人のホルスタウロスの胸で包まれる。ふにゅふにゅ、むにゅむにゅとした胸の感触に、足がとろとろに溶けていくような心地よさを感じる。ホルスタウロス達の胸の柔らかさは多種多様。フレイヤのようなどこまでも沈み込んでいく胸、トールのような弾力に優れた胸、スライムのように液体にすら近いと感じるほどにとろとろの胸、トール以上に弾力を求めたような、ゴムボールのような胸……。そんな数々のホルスタウロスの胸に下半身を飲み込まれ、テリアの口からは悦楽のよだれが垂れてしまう。

「ふふ……、天国だな少年……♪だがまだまだ……」

「ここは天国の入り口……、テリアさんをお連れするのは、その最奥……♪」

足に負担をかけないよう調整し、開かれた足の間、内ももとペニス。昨晩を再現するように、そこにはトールが鎮座する。とろり……と水飴のように粘度をもったミルクを、ぽたっ…ぽたっ…と包茎ペニスの皮の中に垂らしていく。そして、ぺろりと誘うように舌なめずりをしたトールは、垂らすだけでなく、今度は包茎の皮の口に乳首を差し込み、とぷとぷ、とろとろとミルクで敏感な中身を直接コーティングしていく。

とろっ……とぷ……とぷ……

ぬるっ……ぬちゅっ……ぬぷぷ……

「ほぁ………ふああああ…」

温かいとろとろミルクを直接敏感な中身にかけられ、テリアは背中をビンっと真っ直ぐにし、ゾクンゾクンと反応してしまう。トールのコーティングを合図にしたように、下半身を包む全ての胸からミルクが垂らされ、下半身を一切隙間なく真っ白に包み込む。

(ふあ……足が……ふわふわ浮いてる……)

力の抜けきった下半身に与えられる温かいミルク。それが芯まで下半身を温め、力の一切入らない脱力状態でありながら、そこに下半身の存在は感じるという、不思議な――まるで水に浮いているかのような脱力感を与えていく。

「はぁ~い……」

「失礼しま~す♪」

トールのミルクによってすっかりぬめぬめになったペニスに、村一番と二番の口技の名手が舌を伸ばす。皮と中身の間に舌を入れ、器用に剥いてしまったのだ。中に溜まったトールのミルクが、とろぉ~っと付け根や陰嚢に垂れ落ちていく。

「おっ……お……」

皮と中身。両方に感じる舌の感触にビクビクと快楽に震えるテリア。

「さぁ……、ここからが本番だぞ、少年……♪私の本気のパイズリを……楽しんでいくと良い…♪」

むにゅうっ……つぷぷ……ずっぷ……

トールはなんと、その巨乳でテリアのペニスをすっぽりと全て包み込んでしまった。亀頭も、カリも、陰嚢も、全てはトールの胸の中。いかにテリアがまだ未熟とは言え、その全てを胸の中に包み込むのは規格外の巨乳を持つホルスタウロスだからこそ出来ること。そして自慢のミルクもたっぷりと絡ませ、塗りつけてある。包み込みぬるぬるとろとろパイズリ。弾力に富んだ胸をぎゅううっと抱きしめることで、胸をペニス全体を甘い柔らかさ、弾力で締め上げる。いや、この極上のパイズリに、そんな暴力的な言葉は似合わない。甘噛、という言葉があるように、甘締めとでも言うべきか。それは極上の快楽を伴い、ビクンビクンと跳ねさせるのではなく、ふにゃ~っとその快楽に蕩けさせていく。

「ふにゃああ……トールさぁん……」

だらしない声で快楽の主に甘えるように名を呼ぶ。トールは笑顔でそれに答え、フレイヤにも言葉を回す。

「さぁフレイヤ、下半身は準備完了……、今度は上半身だぞ。」

しかしトールはここでは本格的な動きは見せない。あくまでも事前準備というように、フレイヤにも準備を促す。

「ふふ、わかりました。」

ぷしゅっ……さぁぁぁぁ……

背中から、後頭部を抱擁するように位置を調整したフレイヤが、そのまま乳首からミルクの霧を吹き上げる。真上に向かって吹き出された霧は、ミルクの霧雨となってテリアの火照った肌を包むように散布される。

「ああ……フレイヤさん……」

後頭部から至近距離で漂うフレイヤのミルクの匂い。降り注ぐ霧雨。あの味を求め、テリアは目の前には何もないというのに、ぱくぱくと口を開いては閉じている。

「ふふ……駄目ですよテリアさん……。ミルクはまだお預け…♪」

トールのときと同じように、フレイヤの言葉を合図にホルスタウロス達がテリアにしなだれかかる。

「えへへ、右手も~らった♪」

「じゃあ私左手……」

「お腹はアタシだよ」

「では右胸は私が……」

「オッケー左胸は僕だね」

そうして、上半身もまた無数の胸により万遍なく包み込まれる。掌には蕩けるような感触が、胸には弾力に富んだマッサージのような感触が、お腹にはミルクまみれで冷えないよう考慮してか、取り分け体温の高い胸があてがわれる。

「あっ、あ……」

上半身担当のホルスタウロス達もまた、とぷとぷ……とろとろとミルクを垂らしていく。指の隙間や脇腹、脇の下までミルクでコーティングされ――、上半身の力が抜けると同時に、フレイヤの匂いが、トールのパイズリが更に心地よく感じるようになる。

「……♪もっと…もっと力を抜いてくださいテリアさん。目を瞑って……脱力に身を任せて……体のぽかぽかを感じて……もっと、ミルクの海に、溺れて?」

「ふあ……あ……」

催眠術のように優しく囁かれ、この「水に浮いているかのような感覚」に身を任せる。目を瞑ったことでより感覚が鋭敏になり、より深い所まで沈み込んでいくように感じる。テリアは、その感覚に覚えがあった。そう、あの夢。今日目が覚める直前に見ていた、淫靡な、でもどこか穏やかな、とろとろの粘液に身を沈めていくあの夢の感覚。粘液はミルク。海の正体はこの全身ミルク抱擁…。あの夢の再現。いやこれは現実。より鮮明に、より淫靡に感じる。

(気持ちいい……)

ホルスタウロス達の胸に抱かれ、全身をミルクで包まれ、完全に心を許した二人のホルスタウロスにペニスと顔を抱かれている。その幸福を、改めて感じる。それは恍惚を越えた、陶酔の感覚。意識を全て預け、現実と夢の境界線で微睡み続ける感覚。

(……)

ペニスに意識を向けてみる。ぴくん、ぴくんとペニスが震え、トールが優しく胸で揉み込んでくれる。優しく、どこまでも優しく――。強引に射精させようとしない、自然のままの成り行きに任せるように。

(ふああ……溶けてく……)

全身を包むミルクと胸の温度と感触を意識すると、全身がはちみつのようにとろとろに溶けたような錯覚を覚える。

(でも……足りない……)

この感覚は幸せだ。でも、彼が最も欲している物がたりない。一番欲しいもの。一番優しくて一番愛おしい、フレイヤのミルク…。

「フレイヤさん……フレイヤさぁん……」

もじもじと体を動かしながら、目を瞑ったまま魘されているように彼女の名を呼ぶ。

「ふふ……♪欲しいですか?テリアさん……。でも、これを飲んじゃうと…、もう私達のミルクがないと生きていけないようになっちゃいますよ?朝目を覚ました時も、お昼にお腹が空いた時も、夜寝る時も……、甘~い匂いと味と……温かさで幸せにならないと駄目な子になっちゃうんですよ…?それでも、良いんですか?

「……もし。それを望むのなら……良いですよ♪私の特濃ミルク……、お腹いっぱいに召し上がってください♪」

ホルスタウロスのミルクは、相手を愛おしいと思えば思うほど濃度と味、癒やしの性能を増す。その癒やしはもはや「人を駄目にする」成分と言っても差し支えない。それは、テリアもわかっている。今までもミルクを飲むたび、嗅ぐたび、そんな感覚に陥っていった。今自分を包み込むこのぬるぬるの海は、それの最高潮とも言える、その一歩手前の感覚なのだろう。今、フレイヤのミルクを飲めば、もう戻ってこれない。自我を失ったり、精神が崩壊することはないだろう。しかし、その首には永遠に外せない枷をかけられてしまう。「甘えん坊」という名の枷を。

「フレイヤ……さん……」

でも、それでも。テリアは、それを求めた。

「欲しい…欲しいです…!飲みたいです……!このまま、このまま……フレイヤさんに、堕ちていきたい……!」

それは愛の告白と言っても差し支えないもの。彼の心はもう、フレイヤの優しさと、ミルクと、胸の心地よさに抗うことなど出来なかった。

「……♡ はぁい、いいですよ……♪ん~しょっと♪」

「ふああ……?」

言葉遣いが今までよりずっと甘くなったフレイヤが、後頭部をむにゅむにゅと枕にしていた胸をくぱぁっと左右に寄せ、開く。するとテリアの頭はその深い、深い胸の谷間へと沈み込んでいく。

「あ――」

後頭部、側頭部…顔の前面以外全てを胸で包み込まれる。甘い匂いは更に濃度を増し、「人を駄目にする匂い」として更に強化されていく……。

「それでは…召し上がれ……♡」

つぷん……

「んんん!?」

ぷにぷにの乳首を口の中に優しく捩じ込まれる。表面の味だけでも蕩ける程に舌を満足させる。

「ふふ……♪」

ぱちゅっ……ぱちゅっ……

口の中の味を感じ、ぶるっ…と体を震わせるとともにトールもパイズリを再開させる。胸をオナホールにするように、まるごと包んだまま上下させ、たまに横にふるん、ふるんと震わせる。少しの苦痛も与えない癒やしのパイズリ。乳首の味で深くに、パイズリの心地よさで更に深くへ――。全身で胸を堪能する用意が最終段階に整った、その時――

とぷっ……ぷしゅ……ぴゅうううううう~~~っ♪

「ふあ……ふあああああああああ……♡」

とろりとしていて、喉を通るときはとても心地が良い。そんな愛の証が口の中に、喉の奥にたっぷりと流し込まれる。

(ふあ……美味しい……)
美味しい。甘くて、心が落ち着く。飲めば飲むほどに、深い所に沈んでいく。

沈んだ先に、柔らかい温かさが待っている。体を全て抱きしめて、とろとろに溶かしてくれる優しい感触。ホルスタウロス達はフレイヤの授乳が始まるとともに全身にミルクをとぷとぷと流していた。体の外も中も温かさで覆われる。まるで全身を巨大な胸で包み込まれているような感覚。

「あ…あ、あ…あああああ――」

耐えきれるはずもない快楽が体中を襲う。いや、最初から耐えきるつもりなど無い。快楽を受け入れ、どこまでも、どこまでも溶けていく。そして――

「ではこれで……♡」

「トドメ…だ♪」

とぷとぷ……ぴゅうううううう~~~っ……♪

むにゅっ……たぱん、たぱん……ぱっふぅぅ~~……♪

(幸……せぇ…♡)

びゅううううううううう~~~~っ!!どくっ……どくん、どくん……

心からの幸せと共に精液を放出する。体のすべてが精液に変わり、体外に放出される。それは何よりも心地よく、そして気持ちいい。ビクッ…ビクッと体を震わせ、その震えを全て胸に吸収され、たぷたぷ、むにゅむにゅの快楽で受け止めてくれる。海に沈んでいくのではなく、海と同化していくような感覚。微睡みのままに、恍惚のままに、そして陶酔のままに、テリアは今までの全てを投げ出した――

「ふあああ……フレイヤさん……」

「ふふ、気持ちよかったですか?テリアさん……♡」

「うん……」

蕩けたテリアを覗き込フレイヤ。その顔は新たな家族に対する、慈愛と愛情に満ちていた……。

ホルスタウロスの村、アウドムラ。そこは、人間に最高の至福を与える場所――……。甘い匂いに包まれ、今日も村からは、優しい声が木霊する……。

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