双子の金髪ハーフ美少女との射精我慢トレーニング
――どうして、こんなことになったのだろう。
「ふぅ、ふぅ……」
僕の頭にあるのは、ただそれだけだった。現状に対する疑問。目の前にある現実が信じられなくて、ただただ思考が空回りする。口から漏れ出す吐息は、じっとりと熱を孕んでいる。
息を吸うと、酸素だけではない良くないものが体内に流れ込んでくる。嫌で嫌で仕方がないのに、人は呼吸をしないと死んでしまうから……だから、吸い込んでしまう。
むせ返るぐらい甘くて、でも酸っぱくて、じんと脳に染みこむ香り。吸えば吸うほど、口内に涎が溜まって、ますます欲しくなる。まるで劇薬みたいな香り。
「幸樹、大丈夫……?」
香りの出どころ――僕から向かって左側に立つ女性は、気遣うようにそう言う。でも、その態度は余りにも白々しかった。誰のせいで、こんな状態になっているのか。抗議するように、僕は彼女をきっと睨みつける。
視線の先……とは言っても、ほんの数センチの距離でこちらを窺う女性。まるで絵画の世界から飛び出してきたような美貌を持つ女の子――新藤香耶は、こちらの威嚇に対しても涼しい表情を崩さない。
眩しい金髪ストレートをなびかせながら、彼女はほんの少し腕を上下をさせる。たったそれだけで、強張っていた僕の顔からあっさりと力が抜ける。
「んっ……!」
次いで、じわぁっと股間を中心に抗いがたいものが全身に広がっていく。くすぐったいとか、むず痒いとかいう感覚を何倍にも濃縮した快感。人が健全に繁殖できるように備えられた感覚。
僕みたいな思春期の雄にとって、その快感は時に全てを犠牲にしてでも手に入れたいもので。そんな代物を、彼女は溢れるぐらいに何度も何度も与えてくる。
本来であれば、雄としてこれ以上ないぐらいの幸せ……なのだけれど。僕には、拒否しないといけない理由がある。すぐさま目の前の彼女を突き飛ばして、この場から逃げないといけない。そのはずなのに……。
むにゅん。
「っ……!」
左にいる香耶とは逆方向、つまり右の脇腹に、ひどく柔らかいものが押し付けられる。ほんのりあったかくて、ただそれが揺れるだけでも昂ってしまうもの。着ている制服が歪むぐらいに自身の乳房を押し付けるのは、香耶と瓜二つの顔をした女の子――新藤胡桃。
「もう、溢れてる……」
真っ白でシミ一つない肌。ややクールな印象を思わせる、切れ長の瞳。香耶と同じくやはり端正な顔立ちをした胡桃は、ちらりと僕の股間に目をやりながらそうこぼす。
白魚のような細く綺麗な指先から、粘っこい透明の液体がぬとぉっと伸びている。糸のように伸びた液体の出どころを探れば、そこには赤黒いグロテスクな性器がびくびくと脈打っていた。
「うぅっ……」
自身の興奮した証を目の前で見せつけられ、顔が熱くなる。穴があったら入りたい――そんな気持ちを抱く僕とは対照的に、密着した双子の女の子は、耳元で囁くように語り掛ける。
「頑張って、幸樹……♡」
「私たちが一生懸命、トレーニングしてあげるから……♡」
トレーニング。そんな空々しい言い回しでさえ、性器を愛撫されている僕にとっては、何とも甘美で背徳的な響きに聞こえてしまうのだった――。
*
きっかけは、些細なものだった。
高校生にもなれば、誰だって色恋沙汰に興味が出てくる。もちろん、ごく普通の男子学生である僕も例外ではない。同い年の女の子と交流し、絆を深めれば、もっと踏み込んだ関係になりたいと考える。
だから僕は、意中の相手に告白した。そして偶然にも、彼女も僕と同じ想いを抱いてくれていた。ただ、それだけのこと。
別に、僕に恋人が出来たところで、世の中の何かが変わるわけではない。ただ、周りの人間に対して、ある程度の報告はしておくべきなのだろうと思った。特に、親しい人に対しては。
言っておこう。断じて、それ以上の意図や悪意はなかった。ただ純粋に、僕は昔から仲の良い双子の幼馴染――香耶と胡桃に、恋人が出来たことを伝えたかっただけなのだ。
「……実は僕、彼女が出来てさ」
「「――っ!!」」
学校から家へと帰宅する帰り道。ちょうど三人で並び歩いていたタイミングで、僕は彼女らにそう打ち明けた。
僕の言葉を聞いた香耶と胡桃の驚愕は、表情から十二分に伝わってきた。普段はクールで、感情を表に出さない彼女たちが、この時は目を見開いて明らかに動揺していたからだ。
無理もないと思った。スタイル抜群で双子のハーフ美少女である彼女たちに比べれば、僕はごく普通の冴えない男の子で、そんな奴に恋人が出来ただなんて信じられなくて当然だと思った。
「ほら、同じクラスの宍戸さん。ダメもとで告白したんだけど、その……上手く噛み合ってくれたというか」
石のように硬直する二人からの視線が痛くて、僕は俯いたままそう続ける。夕陽で出来た僕たち三人の影が、アスファルトの上に長く伸びている。その影が、不意に揺らめいて……止まる。
「うそ」
「え……?」
「幸樹に彼女なんて絶対嘘……それ、騙されてるんじゃないの?」
「え、えぇ……?」
香耶と胡桃、身長に恵まれた彼女らは、二人で並び立つとかなりの威圧感がある。進行を阻むように、僕の前に回り込んだ二人は、戸惑った様子でまくし立ててくる。
「宍戸って、あの学級委員の子……だよね? 人畜無害な子だと思ってたのに、まさか幸樹のこと狙ってたなんて……」
「いや、狙ってたとかじゃないと思うけど」
「完全にノーマークだった。というか、幸樹もいつからそんなに仲良く……」
「あぁ、選択授業が一緒だったから……」
「「……っ!!」」
僕の言葉を聞いて、二人は無言で天を仰ぐ。双子の息のあったリアクションに、今度は僕が戸惑ってしまう。
「な、なに……どうしたの?」
「……計算外だった。クラスも同じで、登下校も一緒だから他の女が近付くチャンスなんてないと思ってたのに」
「人数制限のある、選択とは名ばかりの選択授業が憎い……」
がっくりと項垂れる香耶に、ギリギリと歯を食いしばって感情を抑える胡桃。突然豹変した二人の様子に、僕はただただ苦笑するほかない。
「何か、反応が意外なんだけど……そりゃあ、僕みたいに地味な男には、宍戸さんは高嶺の花かもしれないけどさ」
「「…………はぁぁぁ~~~」」
深い深いため息が、香耶と胡桃から漏れ出る。これまた双子ならではの反応だった。僕からやや距離を取った二人は、内緒話をするように顔を突き合わす。
『……鈍い鈍いとは思ってたけど、こんなにも意識されてないと流石にへこむ』
『本人に自信がないから余計に……。それで安心してた私たちにも落ち度はあるけど……』
はぁっと、再度二人が顔を合わせてため息をつく。何を喋っているのか、僕には分からない。けれど、何となく責められているような気がしなくもない。
『……でも、こうなってしまったなら仕方ない』
『強硬手段に出るしかないか……』
正直、道のど真ん中で立ち止まっているのは恥ずかしいので、早く移動してしまいたい。僕がそんな気持ちを抱き始めたと同時に、二人はこくりと頷き合う。内緒話はもう終わったのだろうか。
先ほどとは一転、不気味なほどの笑顔を作った二人は、僕の方へと近付いてくる。
「えっと、幸樹。実は私たち学校に忘れ物しちゃって」
「良ければ、幸樹も一緒に付いてきて欲しいんだけど……」
「え、僕も……っていうか今?」
香耶が困ったように眉を下げる中、胡桃が手を合わせてお願いしてくる。僕の話題を思いっきりぶった切ったことはいいとして、そんなにも急いで取りに帰らないといけないものなんだろうか。
「別に用事もないからいいけど、一体何を忘れて……」
「まぁまぁ、それは後から説明するから」
「ほら、行こ……」
両側から僕の腕を取り、無理やり引っ張っていく二人。やや強引ではあったが、特に断る理由もないので、僕はされるがまま付いていくほかない。
それに、下手に抵抗すると寄り添った二人の身体が当たってしまって……変な気持ちを抱きそうになる。欧米の血が混ざっているからなのか、香耶と胡桃はどちらも豊満な体つきをしている。それなのに、距離感は昔のままだから、男の僕にとっては何とも都合が良くない。
(彼女が出来たんだから、こういうのもやめて欲しいって言うべきなのかな……)
今思えば、何とも呑気で浅はかな考えだった。でも、その時の僕は恋人が出来たことで有頂天になっていた。だから、気付かなかったのだ。
二人が、まるで発情した獣みたいに、そっと舌なめずりをしていたということに――。
*
「ねぇ、恋人同士の仲が気まずくなる大きな要因って何だと思う?」
耳に唇がくっついてしまいそうな距離で、香耶が吐息交じりに問いかける。僕の反応を窺いながら、彼女は一定の間隔で左手を上下させる。ぬちゃぬちゃという水音が、さっきからうるさくてたまらない。
「お互いの家に行って、いざそういう行為をするってなった時に……男の子がすぐに達しちゃったら、雰囲気ぶち壊しだよね?」
香耶の問いに合わせて、胡桃が言葉が紡ぐ。彼女に至っては、先ほどから耳に何度も唇を押し付けている。ちゅっちゅっと、耳の端から耳たぶまで、たっぷりと愛撫してくる。
優しくて柔らかい口づけ。ともすれば、顔が緩んでしまいそうになるのを、僕は必死で耐える。
けれど、そんな僕を妨害するように、胡桃が右手を絡みつかせる。硬く、硬く反り立った性器。先ほどからずっと勃起しっぱなしのそれを、とろけそうなぐらいねっとりとした手つきで撫で回してくる。
「んっ……!」
声が震える。細い指が滑るたびに、恍惚感でおかしくなりそうになる。それでも、僕は……!
「だか、らっ……だから、こんなふざけたトレーニングをしてるっていうのか……!」
理性を振り絞って、僕は棘のある声音で二人を威嚇する。
そう、忘れ物を取りに帰るというのは口実で、最初から二人は僕を襲うつもりでいたのだ。無人の教室に引きずり込み、下半身の衣服を脱がしたかと思えば、二人は示し合わせたかのように僕の性器を弄び始めた。
恋人との仲を応援したいという名目のもとに始まった射精我慢のトレーニング。余りにも唐突で度し難い二人の行動に、僕はただただ声を荒げる。
「んっ、はぁ……こんなっ、こと! 何の意味、もっ……!」
「意味は、あるよ……?」
「宍戸さんとエッチする時に、恥かきたくないでしょ?」
感情的になる僕とは対照的に、二人はあくまでも冷静な口調で囁きかけてくる。両耳から流れ込むウィスパーボイス。聞いているだけで、じんわりと思考に膜がかかっていく。
小さい頃から何度も聞いているはずなのに、密着状態の今は、余計に声がへばりつくように感じてしまって……。
「こうして、女の子に触られるのも初めてでしょ……?」
「うっ……んぅっ!」
香耶が、するすると指先を下ろしていく。張り詰めた亀頭から竿の裏側に向けて、滑っていく。最初は少し冷たかった左手、けれど僕の性器の熱が伝わったのか、今ではほんのりと……温かい。
自分のものとは比べ物にならないぐらい、柔らかくてすべすべの指。くすぐるみたいに動かされて、馬鹿正直にペニスが跳ね上がってしまう。
「ほぅら……初めてだからすごく敏感♡」
「こんな状態で、宍戸さんとエッチしたら絶対暴発しちゃうよ?」
「待って、くる、みっ……!!」
香耶が先端を愛撫する最中、胡桃は根元から陰嚢にかけてを撫で上げてくる。まるでそこに溜まった精液を労わるように、皮に出来た皺の一本一本までをじっくりと。
股間全体が、じんじんと疼く。はぁっと、ため息をついてしまいそうな快感。撫でられる度に、抵抗しようという意志がなくなっていく。身を、任せたくなる……!
「ほら、頑張って幸樹♡ 本番はこんな生易しい刺激じゃないんだよ?」
「もっと激しくて、しつこくて、ねばっこ~い……刺激なんだよ?」
「っ……くぅふ!」
そう言うや否や、二人の手がぴったりとペニスに張り付く。右手と左手を繋ぎあわせることで、輪っか状になった手が握りこまれる。そしてそのまま……扱かれる。
「「しこしこしこしこしこしこ……♡」」
「ふっ!? ふ~~……ふ~~~っ!!」
びくんっと、身体が跳ね上がる。両側から囁かれながらの手コキ。撫でられているだけでも心地よかった二人の手が、ペニス全体をこってりと扱いている。浮き上がった血管も、裏筋も、カリ首も、柔らかい手でにゅるにゅるといじめられる。
先ほどまでとは比べ物にならない、総毛立つ快感。とても表情を崩さずにはいられなくて、足先がぴくぴくと気持ちよさに震える。理性を保とうと思うほど、二人の手コキを意識してしまう。
(柔らか……気持ちいっ……!)
とぷっと、鈴口から透明の液体が流れ出す。香耶と胡桃が、さらに追い立てるように声を掛けてくる。
「ほら、もうイキそうになってる♡ 私たち、宍戸さんじゃないんだよ? 昔からずっと一緒の学校に通ってた幼馴染……なのに、そんなに気持ちよくなっちゃっていいのかな?」
「恋人でもない女の子におちんちん扱かれて、すぐイキそうになるなんて……宍戸さんに悪いと思わない?」
「だ、だって、こんな……っ!」
僕だって、こんな状況で興奮してはいけないことぐらい分かってる。香耶と胡桃はあくまでも幼馴染で、決してそういう関係ではない。でも……。
制服越しに伝わる、香耶と胡桃の体温。ミルクと蜂蜜を煮詰めたような、ほんのり甘い女の子の香り。むちむちとした、肉付きのいい身体。全部が全部、僕のペニスを疼かせて止まない。
意識するなと思えば思うほど、耳にしゃぶりつく唇と舌にぞくぞくする。一定のペースで扱き続ける両手が、気持ちよくて、気持ちよくて、気持ちよくて……!
「んっ……あっ!? うぅうぅ……っ」
「あっ、腰びくびくってしてる♡ 射精寸前って感じ?」
「あ~……いいのかな? このままびゅ~ってして、私たちの手どろどろにしちゃっていいのかな?」
膝が、震える。腰の奥から、昇ってきている。とても濃くて、どろっとした射精の予兆。視界が真っ白になって、幸せで頭がいっぱいになる感覚が、近付いてきてしまっている。
(ダメっ、だ……ダメだ! だめ、で……っ!!)
二人の問いかけが、僕の中の罪悪感を膨らませる。とにかく、何が何でも我慢しないといけない。こんな、こんな無茶苦茶な状況で絶頂するなんて、あってはいけない。
体を振るって、僕はどうにか双子のサンドイッチから逃れようとする。けれど、ペニスを握りこまれた状態で、力が出るわけもなく。むしろ、暴れる僕を抑え込むように、二人はいっそう密着を強める。
「「…………♡」」
「ひっ、ぁ……っ!」
じ~~っと、双子の姉妹が目を細めて、僕の顔を観察している。頬を少し染めて、今にも舌なめずりをしそうなぐらい発情した、瓜二つの表情。
二人の無言の圧力。高校生にしては発達しすぎている巨乳を押し付けながら、激しくペニスを扱く、扱いて……コキ倒してくる。
「イけ、イッちゃえ幸樹♡ 恋人でもない女の子の手にたっぷりびゅーびゅーって……♡」
「ぜーんぶ見ててあげる……♡ 幸樹が射精終わるまで、ず~っとにゅこにゅこしといてあげるから……♡」
「あっ、あっ、だ、やっ! も、無理っ……!!」
きゅぅっと、金玉が収縮する。尿道をこじ開けるように、ぎゅるぎゅると濃い精液が昇ってくる。二人の手がずるんっとペニスの皮を剥き切った瞬間……!
「ぉあ˝っ~~~~!!!!」
どぴゅぅ!! びゅるる、どく、どくん、びゅくん……!
物凄い勢いで、真っ白の精液が弧を描いて飛んでいく。暴れる竿に、ぴったりと香耶と胡桃の手が吸い付く。あったかくて柔らかい感触にのたうち回りながら、脳が痺れる快感に酔いしれる。
途方もない絶頂。一人では決して辿り着けない、間違いなく人生で初めての多幸感。しかも、射精中にも関わらず、二人はなおもぬちゅぬちゅとペニスから精液を搾り出そうとする。
「ぴゅっぴゅ~……どぴゅ、ぴゅ~~……♡」
「ぴゅるる、ぴゅ、どぷどぷどぷ~……♡」
「っ~~~~!!」
ペニスの脈動に合わせて注がれる、甘い囁き声。ただでさえ、柔らかい二人の手で搾られるのが気持ちいいのに、脳の奥まで犯そうとする行為に悶絶する。
完全に射精が終わるまで、たっぷり数十秒はかかったと思う。無人とはいえ、昼間は生徒が集まる教室の床に、たっぷりと僕の精液が付着してしまった。
それに……。
「……いっぱい、出たね♡」
香耶が、ペニスから離した左手をそぅっと開く。にちゃあっと、指の間に広がる濁った精液は、まるで蜘蛛の巣のようだ。目を細め、彼女はくすくすと卑猥な笑みを見せる。
「そんなに、気持ちよかった?」
同じく、胡桃も右手をこちらに掲げ、どれほど激しい射精だったのかを見せつけてくる。どこまでも妖しげで、愉しそうな二人の仕草。絶頂の余韻にくらくらしながらも、僕はぎっと歯を食いしばる。
「これで、満足した……?」
「「…………?」」
僕の問いに、二人はきょとんとした表情を見せる。しらばっくれているわけでもなく、ただただ本当に何を言っているのか分からないといった二人の顔に、僕はいっそう苛立ってしまう。
「急にこんな、え、えっちなことして……! トレーニングとか言いながら、強引に僕のことイかせて……嬉しいのかって聞いてるんだよ!」
「「………………」」
色々と、裏切られた気分だった。僕は、彼女らのことを幼馴染として信頼していた。血の繋がりなんてないけれど、本当に家族みたいに感じていた。
恋人が出来たと伝えた時も、二人はきっと祝福してくれると思っていた。それなのに……!
しんと、教室が静まり返る。僕の言葉に対して、二人はしばらく黙りこくっていた。その場にいるのが耐えがたいほどの沈黙。
「…………」
さすがに言い過ぎたか――そう思い、ちらりと僕が二人の表情を覗き見ようとした瞬間、香耶が動いた。
「幸樹……」
「え……えっ!?」
たぷん……。
不意に、僕の右手が柔らかいものに触れる。たっぷりとした重量感。指に力を入れると、その分だけ沈んでいく。それが何なのか理解した瞬間、僕は衝動的に叫んでいた。
「なっ!? なに、してぇっ……!!」
「どう……? 私のおっぱい、柔らかい?」
「え? えっ!? そんな、の……!」
香耶が、僕の手を取って自らの胸に押し付けている。制服規定のブラウス越しにでも分かる大ボリューム。手の上に「乗っかる」ほどたわわな乳肉を強制的に味わわされ、僕はただただ混乱してしまう。
「私の……ううん、私たちのこの胸も、お尻も、足も、全部幸樹に悦んでもらうためにあるんだよ?」
「……えっ?」
「本当はずっと前から、こういうこと……したくてたまらなかった」
香耶の言葉を理解する前に、胡桃もまた動き出す。真正面にまでやってきて、そのまま彼女は膝を下ろして屈みこんだ。そして、綺麗な金髪を耳に引っ掛けて、股間に顔を近づけたかと思うと……!
「んっ……♡」
「あっ、そんなっ! きたなっ……あっ!!」
ぽってりとした厚めの唇が、精液に濡れたペニスに触れる。胡桃が、僕のそこにキスをしている。嫌悪感など微塵もなく、むしろそれが当然のように、彼女は何度もそこに口づけする。
「ちゅっ、ちゅぱっ……はぁっ♡」
「あっ! うぅっ……!」
「私も、胡桃も、ずっと待ってたんだよ? 幸樹が『好き』って言ってくれるの。それなのにさ……」
ぷつん、とすぐ傍でボタンが外される。香耶が、ブラウスの第二ボタンを外している。綺麗な鎖骨がすぐ目の前に現れた瞬間、視線がその生々しい肌色に持っていかれる。
「あっ、か、や……!!」
「たった一年も過ごしてない女の子にほいほい告白しちゃって、付き合いました~なんて……そんなの許せるわけないよね?」
どんどん、ブラウスの前が開いていく。三つ目、四つ目。窮屈そうな胸の部分が解放されて、服の中に閉じ込められていた蒸れた匂いが、鼻腔に飛び込んでくる。
「んっ……」
白いブラにみっちりと包まれた乳肉が、眼前に晒される。ごくっと、意図せず唾液を飲み込んでしまった。息が詰まる。呼吸が上手くできなくなって……ぎゅっと目を閉じる。
でも、そうすると性器に触れる胡桃の唇をより鮮明に感じてしまう。萎えていたはずのペニスは、度重なるキスの雨によってすでに硬度を取り戻しつつあった。
「んあぁ……♡」
「うっ……ふぅぅぅ~……!」
ぴちゃ、ぴちゃっと……小さく水音が鳴る。唇とは明らかに違う、熱くてぬめったものが竿をなぞっていく。
――舐められてる。フェラ、されてる。精液を舐めとるみたいに、舌がちろちろと動かされる。たまらなくて、目を開けた。すると……。
「ふふ、やっと目開けてくれたね……♡」
「あ……っ」
香耶は、すでにブラウスのボタンを外し終わっていた。いや、ボタンだけじゃない。ブラを下にずらすことで、片方の胸だけを完全に露出させてしまっている。普段は隠されていて、やや色素の薄い乳肌。先端にあるピンク色の肉芽に、目を奪われる。
「……食べちゃって、いいよ?」
「た、べ……ダメ、だよ……そんなの……っ!」
とにかく、否定しなければと思う。けれど、目を離すことがどうしても出来ない。香耶が呼吸する度に、小さく揺れるおっぱい。服の上からでもあれほど柔らかかったのだから、生乳はきっと、もっと……!
「涎、垂れてるよ?」
「あ……?」
「目もうるうるしてて……赤ちゃんみたい♡ 我慢、しなくていいんだよ?」
「う、うぅぅぅぅ……で、もっ……!!」
ずいっと、香耶が口元に乳首を寄せる。もう、僕が首を少し動かすだけで、咥えられてしまう距離。視界の全てが、おっぱいに埋まる。興奮しすぎて、頭ががんがんする……!
食べたい。むしゃぶりつきたい。口いっぱいにおっぱいを頬張って、啜り倒したい。ずきんっと、ペニスが張り詰める。もう、そこはガチガチにフル勃起してしまっていた。
「ぼ、ぼくには、宍戸、さんが……!!」
「もし、幸樹が素直にぱくって出来たらぁ……♡」
「私も、これもぐもぐしてあげる……♡」
「っ!?」
ふ~っと、裏筋に吐息を吹きかけられる。無心でペニスを舐めしゃぶっていた胡桃が、大きく口を広げている。涎にまみれた真っ赤な口内から、物欲しそうな舌が覗いている。
(く、咥え……もぐもぐ……って!)
ぴくぴくぴくっと、小刻みにペニスが痙攣する。胡桃の生温かい吐息が、僕の意志をとろとろと溶かしていく。双子の、幼馴染の誘惑。こんな、こんなの、卑怯じゃないか……!
「きて、幸樹……♡」
「ほら、早く……♡」
「あ、あ、あぁぁぁぁあ……っ!!!!」
ごめん、宍戸さん――。
謝ってしまった。それが悪い行為だと知っていながら、僕は、目の前に差し出されたおっぱいに勝てなかった。はむっと、香耶の乳首に思い切り吸い付く。その瞬間――。
「はい……よくできました♡」
「あ~~~……んむっ♡」
「んあっ……!?」
ペニスが、飲み込まれた。亀頭から竿の半ばまで、一気に胡桃の口内に包まれる。にゅるりと裏筋に絡みつく舌。涎を纏った口粘膜が、じゅぞぉっと一斉に襲い掛かってくる。
「んぶっ♡ じゅるるるるぅ……じゅぼっ♡ ぷぽぷぽぷぽっ……♡」
「んあっ! ふむ、ふぅっ、あむっ……!」
「よしよし……気持ちいいね~♡ 焦らなくていいよ? 私のおっぱいにお顔埋めて、いっぱいちゅっちゅしようね……♡」
初めてのフェラチオ。漫画やAVでしか見たことのないプレイ。胡桃のお口による愛撫は、かなり激しかった。ぐっぽり咥え込んだかと思えば、名残惜しそうにたっぷり吸い付いてくる。
かと思えば、首を小刻みに振って先端の亀頭からカリ首までを何度も唇で吸い上げる。ぷるぷるで柔らかい舌が裏筋を擦り上げるたびに、腰が抜けそうなぐらいの快感が襲い掛かる。
そうなると、咥え込んだ乳首への愛撫もままならない。胸に顔を押し付けて、はぁはぁと息を切らす僕に対し、香耶が母性たっぷりに甘やかしてくる。
片方の手で僕の後頭部をなでなでしながら、そっと胸に導く。乳首を唇で咥え込むと、柔らかさと共にこりっとした芯のようなものが、舌先から伝わった。
「んっ♡ 幸樹のお口気持ちいい……♡ もっと、もっと吸っていいよ?」
「あぅぅ……香耶ぁ、うぅぅんむっ……!」
鼻や頬を包む肉厚おっぱい。肌触りはすべすべしているのに、つきたてのお餅みたいに吸い付いてくる。心地よくて、たまらなくて、僕は夢中で舌を伸ばす。綺麗な丸い乳輪を舌でなぞって、ぷっくり膨れた乳首を舐めまわす。
たくさん胸を愛撫すると、香耶がご褒美みたいに頭を何度も撫でてくれる。それが嬉しくて、幸せで、気持ちよくて……!
「ん、んむぅ……んっ……!!」
「あ、その顔……もしかしてイキそうになってきた?」
先ほど、射精の瞬間をしっかり観察されていたせいなのか、香耶はあっさりと僕の限界を察してしまう。否定も、肯定も出来ない中、やり取りを聞いていた胡桃がそっと睾丸に手の平を添える。
「んー……♡ んふ、じゅっぽじゅっぽじゅっぽじゅっぽ……♡」
「あ、あぅぅ……!!」
「あ~……胡桃も射精していいって言ってるみたい♡」
反り立つ肉棒をリズミカルにしゃぶりながら、胡桃が睾丸を撫で回す。それはまるで、一滴残らず啜り取ろうとしているようで。今なお、べったりと張り付く舌の感触に身震いする。
このまま……このまま胡桃の口に包まれたまま射精したら、一体どれほど気持ちいいのか。想像するだけで、歯がカチカチと鳴る。発狂しそうなぐらいのとんでもない絶頂に、期待と恐怖が膨らむ。
でも、本当に――出してしまっていいのか。
とろとろに溶かされて、もはや原型など残っていない理性の欠片。きっと取り返しがつかなくなる。もう、戻れなくなってしまう。もう僕たちは、単なる幼馴染ではなくなってしまう。
それでも、でも……!
「ね、幸樹♡ イク瞬間にさ、キスしよっか……♡」
「っ……!?」
「胡桃のお口に思いっきりびゅ~ってする瞬間にキス……したくない?」
心臓が、大きく跳ね上がる。香耶が、これまでで一番悪戯っぽい笑みを見せる。切れ長の目を細めて、ちゅっと唇を尖らせる。胸に顔を埋めながら、僕は大きく息をつく。
「ふっ、ふぅぅぅ……ふっ!!」
「ぜったい、気持ちいいと思うなぁ♡ お互いの唇に吸いついて、舌を絡めて、見つめ合って……♡」
キス。付き合ったばかりの、宍戸さんともまだ一度もしていないキス。初めては、絶対に恋人の彼女に捧げようと思っていた。だから、断って、はやく、拒否を……!
「あ、ぼ、くは……ぁ」
「ん~……? なに?」
「は、あ、あっ、あっ……!」
大きな、香耶の瞳が近付く。興奮で声も出ない僕に、彼女は躊躇なく顔を寄せる。せっかく断ろうとしていたのに、香耶の唇が数センチのところにまでやってきて、何も言えなくなる。
ぷるぷるの、柔らかそうな唇。ほんの少し開いたそこから、はぁっ……と悩ましい吐息が漏れる。香耶は、何も言わない。ただ……じぃっと僕を見ている。
その最中、だった。
「ん♡ らひて……こーき……♡」
「え、あ˝っ……!!」
じゅぼっ! ぶっぽぶっぽ、じゅぞぞぉ……じゅぷ、ぐちゅ、じゅるるるっ……!
僕の心の準備も整わないまま、胡桃が両腕を腰に回す。がっちりとロックした状態で、ラストスパートとばかりに激しいピストンフェラを始める。
先ほどまでとは違う、明確に射精させるための動き。硬くなった竿に吸い付きながら、べろべろと裏筋を舐めまわす。亀頭までもが、収縮する喉奥に捕らえられ、ちゅくちゅくと愛撫される。
(あ、いっく……!!!!)
我慢なんて、出来るわけがない。どうやったって、このまま射精する以外の選択肢なんてない。だったら、僕が、選ぶべきなのは……!
「…………♡」
「う、うぅぅうううぅ……!!」
香耶が、舌なめずりをする。涎で艶っぽく光る唇が、今か今かと待ち構えている。もう、もう駄目だ。僕は、僕は……!
「香耶……っ」
「うん、きて……幸樹♡」
香耶の微笑みが視界いっぱいに広がったと同時、自ら僕は腰を突き出して――胡桃の口内に全てをぶちまけた。
びゅくんっ!! どぴゅっ、びゅる、びゅく、びゅっ……!!
「んんっ!! ん……ふー……♡ んぐっ……ん♡」
「ちゅっ♡ ちゅぅぅ……じゅる、ぶちゅっ……♡」
上半身と下半身で、双子の幼馴染の口づけをめいっぱいに感じる。隙間なくぴっちりとペニスを包み込む胡桃の口内で射精するのは、最高としか言えなかった。
尿道から精を吐き出すたびに、彼女の口内が蠢き、こくこくと喉を動かしているのが分かる。僕の精液を嬉しそうに嚥下し、体内に取り込もうとしている。それが、愛おしくてたまらない。
そして、何より……射精の瞬間に吸い付いた香耶の唇のおかげで、頭がぼーっとする。ただ、唇を押し付け合っているだけなのに、どうしてこんなにも幸せになってしまうのか。
「んちゅ♡ はぁ、幸樹♡ 好き、すき……♡」
舌を伸ばしながら、香耶が愛の言葉を囁いてくる。好きと言われながらキスをすると、本当に自分の心も動かされてしまう。
僕は、香耶のことが、好き……好き、好き……!
頭の中でそう考えると、ますます興奮で精が迸る。僕が腰を震わせると、それに合わせて胡桃もまたねっとりとペニスを愛撫してくれる。
あぁ、気持ちいい……香耶と胡桃のどっちも、気持ちいい。気持ちいい……!
――長い、長い絶頂だった。ようやく、僕の絶頂が落ち着いたころには、陽はもうとっくに落ちてしまっていて。濃密なその時間は、僕の心を塗りつぶすには十分なほどで……。
「はっ、はぁぁ……はぁっ」
「ねぇ、幸樹……♡」
「これからも、私たちといっぱいトレーニングしようね♡」
精も根も尽き果て、ぐったりと壁に寄り掛かった僕に、香耶と胡桃が微笑みかける。
トレーニング。最初は、断らないといけないと思っていたのに、今の僕には抵抗など一切なくて。守らないといけなかった恋人の存在など、とっくに薄れてしまっていて――。
「うん……」
こくりと、素直に頷く僕を見て、双子の幼馴染は満面の笑みを見せる。
今の僕にとっては、彼女たちのその笑顔こそが、何より大事にすべきものになってしまっていたのだった――。
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