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眠れない夜に、メイドさん。-カラダを使って性処理させてくれるお姉ちゃんのあまふわ添い寝-

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その日、まろび出るおっぱいが、無垢な心を狂わせた。

ドアの隙間から覗き込む向こう側、曇りない瞳がまっすぐ見つめるその先に楽園が広がる。

白く透き通った肌。滑らかな曲線を描く肢体。宝石みたいにきらきらと、美しく流れる水色の髪。

そしてたわわに実った果実――これでもかと存在感を主張しながらも決して美の調和を乱すことのない、豊かな胸。大きく綺麗な形をしたおっぱい。

いつもならメイド服の下に隠されていて、拝む機会などあるはずのない女性の下着姿。純白のランジェリーの、ブラジャーを外した瞬間にぷるるんとこぼれ落ちた乳房に少年の目は釘付けになる。

「お姉ちゃんの裸……お、おっぱい……っ」

彼は本能的に、それが見てはいけないものであると理解していた。女性の着替えを覗くことが人として礼儀を欠く行為だと知っていた。

なのに目を離すことができない。否、むしろ理解していればこそ、余計に直視せざるを得ないのだった。

実の姉のように慕っていて、実の母親のように愛していた――彼女のあまりにも綺麗な裸体と薄紅色の乳首が、性を知らない若い芽の、内に秘めたる雄の本能をくすぐっていく。

着替えを覗き見ているという背徳感でさえ、いつバレるかもしれないという緊張感でさえ、興奮が熱を帯びていくのを手伝わせた。瑞々しくもほどよい熟れ具合で肉付いた下半身にぴったりと張り付くショーツを見るだけでも、幼い劣情が煽られていくのを感じていた。

見たい。もっとずっと、見ていたい。

官能的な毒が若くも確かにある男の性
さが
を蝕んでいき、高まる鼓動が押し殺した息を荒く、小さな手先を徐々に震えさせた。下腹部の疼きが止まらない。

もしかすれば、もうすぐあのショーツの下も見えてしまうのではないか。そこに隠されたまだ見ぬ世界が見られるのではないか。そんな期待が嵩
かさ
を増して、正常な判断を鈍らせる。心の片隅にもうやめようという思いがありながら、足は根を張って動かない。

あと少し……あと少しだけ……

純粋で邪
よこしま
な気持ちが少年の胸をいっぱいにする。

あのふわふわで柔らかそうなおっぱいに触れてみたい。直接触って、顔をうずめて、匂いを嗅いでみたい。いけない妄想ばかりが頭の中まで埋めつくして、目の前がぼうっと霞んでくる。

だからか、彼は一瞬気づくのが遅れた。

部屋の中で半裸を晒していた彼女と、目が合ってしまったことに。

「――ッ!!」

心臓がいびつな鼓動を刻んで大きく跳ねる。

サッと隙間から顔を離し、一目散にその場を後にした。

大急ぎで、それでも気取られないように息を殺し足音を消し、必死の思いで足を動かした。途中で誰かと通り過ぎた気もする。変な風に見られたかもしれない。けれど、そんなことに思考を割く余裕なんてない。

大好きなお姉ちゃんに、自分の愚行を知られてしまった。その事実が、割れたガラスの破片みたいに心に深く突き刺さる。

本当に、いけないことをしてしまったんだ。寒気まで覚えるほど血の気が引いて、蓄えていた興奮が後悔にすり替わった時、自分がようやく足を止めていたことに初めて気づいた。

いつも見慣れた自分の部屋。そこに辿り着いたと知っても安堵は訪れない。扉を閉めて外界との繋がりを遮断したつもりになっても、今しがたの出来事を変えることができないのは知っている。

ただひとつ、唯一残された逃げ場を求めてベッドに潜り込む。夢の中へ逃げ込んで明日になれば何もかも無かったことになっているかもしれないと、強く願って、ちっぽけな希望にすがって、瞼を閉じた。

痛いくらいに膨らんでいるはずの股間の違和感を、気にも留めないままに。

「おはようございます、ユミル様」
「あっ……お、おはよう……」

不意打ちを食らった気分でぎこちなくメイドと挨拶を交わした少年、ユミル。

急に降りかかってきたのが若い女性の声色だったものだから、もしやと思って身構えたものの、想像した人物が相手ではないと知って彼はホッと胸を撫で下ろす。

朝食を済ませたばかりの朝。心の中に靄をかけ、頭をぐるぐるさせながら行く当てもなくユミルは屋敷の中を歩いていた。

大貴族のひとり息子である彼が住まうこの建物は、家と言うにはやけに豪勢でいくら歩いても果てがないとさえ思えてしまうほど、とかく広い。迷子になる可能性があっても何ら不思議はないが、生まれてから十年の歳月をここで過ごしてきたユミルにとってそれは万一にもありえないことだった。こんな朝方から散歩をする趣味があるわけでもない。

ならばなぜ彼がこんな風にぶらぶらと、誰かの目を盗むような足取りで廊下を歩き回っているのか。それは昨晩と今朝のある出来事に起因していた。

「やっぱり、あんなことしたから罰が当たったのかな……」

口から不安を漏らす彼の頭には、昨日覗き見た女性の裸体が浮かび上がる。

元々、わざと覗きに行くようなほど彼に悪戯心があったわけではない。就寝前にトイレに行って、その帰りがけに通りかかった彼女の私室のドアが偶然にも少しだけ開いていることに気づき、ほんの出来心で中を覗いたに過ぎないのだ。それがまさか、あんなことになるとは夢にも思っていなかった。

思い出してすぐ罪悪感に苛まれ、いけないことだと自分を叱るつもりで頭を振り、脳内の邪念を掻き消そうとした。しかし脳の奥にまで鮮明に焼き付いた光景はなかなか消えてはくれず、これを繰り返すのももう何度目だろう。

やっとの思いで記憶を塗り替え、別のことを考えようとして次に浮かんだのは、今朝起きたばかりの事件。

いつものように起床してすぐ。”それ”に気づくまで数分あるかないかくらいの頃はまだ幸せだった。昨日犯した罪を綺麗さっぱり忘れられていたのだから。

違和感に気づいたのは寝ぼけ眼を擦っていた時のこと。

初めはおねしょをしてしまったのかと思った。パンツの中がじっとり濡れていて、不快感があるのは見ずとも確認できた。恐る恐る布団を捲ると……不思議なことにパジャマやシーツは濡れていない。だが明らかにおかしいのはすぐに分かった。

もっこりと、テントを張ったように膨らんだ股間。何が起きたのか分からず目を丸くするも、その正体を確かめようとパンツごとズボンを脱いだ瞬間、言葉を失ったのを彼は確かに覚えている。

元気に、ぴんと起立したおちんちんがそこにあったのだ。小さく可愛げのあった相棒は見たこともない姿に変貌していて、しかもパンツの中はぐしょぐしょに汚れていた。白くベタつく粘液が、普段ならおしっこを出すための穴から吐き出されたのだと、そこまではすぐに理解できた。

知識のない頭で整理できたのはそこまでのみ。どうしておちんちんがこんなに腫れてしまったのか、こんな白いものまで漏らしてしまったのか。その意味が分からず病気か何かかと困惑したまま、今に至る。

急いで下着を履き替えているうちにどうにか股間の腫れは収まったが、またあんな風になってしまうんじゃないかという底知れない不安が、未だにユミルの胸を締めつけているのが現状だ。

もし本当に病気なら、すぐに治療しなくてはならない。しかしそれを――おちんちんが大きくなってしまったなどと父に報告するには、自らの羞恥心に打ち勝つ必要がある。こんな恥ずかしいこと、一体なんと説明すれば良いのか。

歩きながら頭を悩ませる彼は、それだけを考えるあまりすっかり失念してしまっていた。朝食を摂ってからも自室に戻らず出歩いていた、もうひとつの理由があったことを。

「おはようございます、ぼっちゃん」
「! プリシラ……お姉、ちゃん……!」

声を聞いた途端、無意識に背筋を伸ばして視線を持ち上げる。廊下の突き当たりでばったり出くわしたその人の、一番特徴的に映る水色の長髪を見てユミルは、己の命運が尽きたことを確信した。

彼女――プリシラは、ユミルの世話係を務めるメイドである。

歳は二十代半ばほど。屋敷に属するメイドの中でも特にユミルと親しく、彼が物心ついた時から家族同然に接してきた特別な存在だ。

ぴっしりと着込んだメイド服――純真なる白と穢れのない黒であしらわれたエプロンドレスは他のメイド達と同じ装いだが、その佇まいは誰よりも魅力的であるとユミルは常々感じている。

天使。もしくは女神様。物腰が柔らかく、溢れる母性と暖かさで誰だろうと包み込んでしまいそうなその容姿はいつもなら、そのように形容することを躊躇わない。

心に巣食う罪の意識がそうさせたのだろう。その時だけは一瞬、彼女が恐ろしいものに見えてしまったが、次に見せた彼女の笑顔はそれがただの杞憂であることを物語っていた。

「今朝は随分と早起きでしたね。いつもなら私が起こしに行くまでぐっすり眠っていらっしゃいましたのに」
「そ、そうだけど……」

部屋から離れざるを得なかった理由はこれだ。

プリシラは事あるごとに、ちょっとした用事で彼の部屋を訪れる機会がある。朝食の支度ができたことを告げに来るのは茶飯事で、他にも部屋の掃除や勉学の手伝いなど目的は様々。

屋敷で共に暮らす以上彼女を完全に避けることは不可能なのだが、昨日のことを咎められるかと思うと気が気でなく、どうしても顔を合わせる勇気が出ずに屋敷の中を右往左往。温厚なプリシラがユミルを叱ることなどただの一度もなかったとはいえ、間違いなく失望はされた。

その事実と直面するのが恐ろしくて背を向け続けていたのだが、かくして短い逃亡劇は呆気なく終焉を迎えることとなる。

焦る気持ちを抑えつけてひとつ瞬く間に逡巡したユミルは、プリシラの顔を見上げて言った。

「……ほら! 僕だってもう子供じゃないんだから、ひとりで起きて朝ごはん食べに行くくらいできるし!」

我ながら上出来と思えた即席の言い訳はあながち嘘でもない。大人への階段を上りたいと背伸びする意識は前々からあった。

「あらあら。そうでしたね。ぼっちゃんも十歳になりましたし……お姉ちゃんの手助けはもう要りませんね」

柔和に垂れた碧眼を悪戯っぽく細め、プリシラはこくんと小首を傾げる。慈愛に満ちた眼差しに射抜かれて思わず萎縮しそうになったのは、後ろめたさが為、だろうか。

「それじゃあ『ぼっちゃん』と呼ぶのも、子供っぽいからやめにしましょうか?」
「え……う、うん。いやでも、何もそこまで……」

公の場においては誰に対しても名前で呼び合うのが彼にとって普通なのだが、プリシラとふたりきりでいる時だけは例外が生じる。

昔から第三者さえいなければお互いを『ぼっちゃん』『お姉ちゃん』と呼ぶようにしており、その特別な関係をユミルは気に入っていた。

子供から成長したいというのも確かな意思である。一方で、甘えたさが残っているのも彼は認めていた。相反するふたつの狭間に囚われて答えを決めあぐねていると、前に屈んだプリシラがユミルに顔を近づけて言った。

「冗談ですよ♡お姉ちゃんにとってぼっちゃんは、ぼっちゃんのままですからね~」

陽だまりの笑顔で頭をぽんぽん撫でられる。ミルキーな甘い香りもふわりと鼻をくすぐってきて、ユミルは顔から火が出そうになるのを実感した。

その時、視線を逸らしたのは純粋な気恥しさゆえ。だからこそ彼は後悔した。

うっかり見やる方向を下に傾けたことで、メイド服に内包された双丘がすぐそばまで迫っていたのに気づいてしまったのだ。布ごときに収まりたくないと言わんばかりの魅惑的な膨らみが、目の前に。肌の露出は一切ないのに、その奥に潜む肌色をなぜか想像してしまう。

そうなればもう止められない。いくら自戒したとしても淫靡な記憶が蘇ろうとしているのを、遮ることなんてできやしない。

「え……と……ぼ、僕! 用事を思い出したから、その……また後でね!」
「……ぼっちゃん?」

自分でも不自然だと分かるくらいの言動だが、そうせざるには――逃げずにはいられなかった。回れ右をし、脇目も振らずにその場から立ち去る。

様子を見る限りでは、どうやらプリシラは彼の覗きに気づいていないようだった。あの時目が合ったと感じたのも気のせいだったのかもしれない。でなければとっくに言及されているはずなのだから。

知られずに済んだことが今となっては、ただただ辛い。

いっそ気づかれて叱られた方がまだ、気が楽だった。あの笑顔を裏切るような真似をして、それを黙っているのも、自分から打ち明けるのもどちらも選べそうにない。少なくともこのまま事を起こさずにいれば、自ずと前者寄りにはなるだろうが。これから先、自責の念に駆られたまま今後を過ごすのだと考えるだけで吐き気を催しそうになる。

僕は、悪い子なんだ。

「あ……また……」

走りづらさを感じて立ち止まった彼の、股の部分だけが大きく膨らんだズボン。ユミルにはそれが、自身に嵌められた枷
かせ
にしか見えないのだった。

同日。日が傾いて夜が顔を覗かせ始めるこの時間は、座学の予習復習を行うことが取り決められている。

今日だけでも既に午前と午後の数時間を座学に費やしており、一般的な子供であればそろそろ飽きが生じていても、歳相応の反応として無理はない。

少なくともユミルにとって座学は、退屈を招くものではなかった。彼の向上心と知識欲は並の子供のそれより秀で、知ることを楽しいと感じることができ、勉学に励む姿勢は講師を唸らせたこともある。

自習でさえ、一日のうちの楽しみのひとつと数えていた……のだが。今日に限ってはその時間が訪れることが憂鬱で仕方なかった。

コン、コン――自室の扉を叩く音に反応して小さな肩が揺れた。

「失礼いたします、ユミル様。勉学のお手伝いに参りました」
「ど、どうぞ!」

事務的な女性の声が扉の奥から僅かにくぐもる。入室を許す声は音程の外れた楽器みたいに間抜けだ。

その後開かれた扉からひとりのメイドが現れる。丁寧な所作で扉を開け閉めするのは他の使用人達と同じ。異なるのは完全に扉を閉めきってから。静かに入室した彼女は、ふたりきりの空間ができあがるや否や『一介のメイド』から『お姉ちゃん』へと早変わり。

「本日もお疲れ様です、ぼっちゃん。お勉強捗ってますか?」
「もちろんだよ、お姉ちゃん」

机に向かっていたユミルは椅子を回転させて、プリシラを迎える。外にいた時と打って変わって急に甘ったるくなった声は、聞くとやはり安心感を覚える。そのおかげで声はもう震えなかった。

「それじゃ、今日もよろしくお願いします。先生」
「はいはい。お姉ちゃん先生お願いされました」

互いに頭を下げるのはそれが前々からの始業の合図となっているからだ。

座学は通常、専門の講師を呼んで教室で行われるが、自主的に勉学に励む彼はその日予定されている授業が終わった後も、自分の部屋に特別講師を招くようにしていた。

その相手はもちろんプリシラに他ならない。特別講師といっても彼女から直接教えを請うことは少なく、昼間学んだことの復習や予習の簡単な補佐を頼むくらいのもの。

本音を言えば自分ひとりで充分こと足りるのだが、大好きなお姉ちゃんが近くで見ていてくれるというだけで普段より勉強が捗るため、彼女の快諾を得たのもあってそのようにするのが日課となっていた。皮肉にもそれが自分の首を絞めることになろうとは、これを取り決めた当初は思いもしなかったが。

昼間の授業の復習として教科書に記された問題を解き始めたユミル。勉学にのめり込んでいる間は他の一切を忘れて集中できるため、今朝のひと悶着の後は難なく、いつも通りの生活を送ることができた。

それと同じように集中すれば問題ないだろう。いつものように彼女を招き、いつものように自主勉強を始める。いつものようにさえしていれば何も問題は起こらないはずだと、初めのうちはそう思っていた。

しかし……悩みの根源が真隣にいる今。平静を保つということがいかに困難であるかを、彼は身をもって思い知らされることとなる。

「……ぼっちゃん、もしかしたらですけど、具合が悪いのではありませんか」
「え?」

計算式を書き込んでいたノートを適度に覗いていたプリシラは後ろから、不意に訝しげな声で訊ねてきた。途中まで脳内で組み立てていた計算を中断して頭を上げると、麗しい顔が目と鼻の先に。

「ほらここ、答えが間違ってます。それにこっちも。あとは……ここ。答えは合ってますけど、途中の計算が滅茶苦茶になってしまってます。いつもならこんなに間違ったりしませんのに」

ふにょん。

あくまでも真面目な指摘の数々は、ユミルの肩にもたれかかる圧迫感に全て邪魔されて耳には届かない。彼女がノートの上で指先を滑らせるたびに服の上からでも理解できてしまう柔らかな感触がぐいぐいと押し付けられ、心を揺さぶってくる。

「あ、あれ。おか、しいな……」

当たってる。お姉ちゃんのおっぱいが。肩に。

それらしい返事を口にする裏では劣情が激しい波を立てようとしている。それを抑えるだけでも精いっぱい。そうでなくても心に余裕なんてない。

お姉ちゃんがすぐ近くにいる。お姉ちゃんの匂いがする。意識してしまうとたちまち集中力は乱れて、勉強など手につくはずもないのだった。

「ぼっちゃん? 聞いてます? お顔が赤いですけど、まさかお熱があるんじゃ」
「だ、大丈夫だよ……そんなんじゃないから」

気丈に振る舞おうとするものの、その言葉はどこか頼りないと思われてしまったらしい。ユミルの顔を覗き込むプリシラは、彼の前髪を捲ると自分も同じようにし、互いの額をくっつけ合う。

近い。

少し前までなら顔を寄せるくらい、なんてことなかったはずなのに。唇が触れ合ってしまいそうな距離で、どうしようもなく心拍数が跳ね上がる。心臓の音を聞かれてしまうかもしれない。

そんな彼の気持ちなど露知らずな様子であるのは、保護者としての立場から彼を見ているからなのだろう。体温を直接測って顔を離したプリシラは、一連の行動が当たり前であるようにさして気に留めるでもなく、冷静に告げた。

「やっぱり少し熱いですね。今日はもうお勉強はおしまいにしてお休みになられた方がよろしいかと思います。ささ、服を脱いで、パジャマに着替えてください」
「待ってよ、そこまでしなくても本当に大丈夫だから――」

抵抗する暇さえ与えられないまま、ユミルは半ば強引に椅子を立たされた。プリシラから必死さを窺えるのは、自分の身を真剣に案じてくれているからなのだとユミル自身も理解はしていた。その上でも、彼女の行動をユミルは少しだけ恨めしく思ってしまう。

もしそうしなければ、内側からの突起に押されて盛り上がる股間の膨らみにプリシラが気づくことなどなかっただろうに、と。

「これは…………ぼっちゃん?」
「あの……その、こ……ちがっ……」

とうとう見つかってしまった。机の陰に隠れていたおかげで目立たずに済んでいた下腹の起立が。

恥ずかしさと後ろめたさと、それに後悔や恐怖。混ぜ合わさった感情が一気に溢れて、ユミルの唇をわなわな震えさせた。咄嗟に吐こうとしたものは雑音に変換されて意味を持たない。

できれば否定したかったが、無理だ。何も違わない。ありありと目に見える現実が、そこにあるのだから。

ユミル自身は小さく縮こまる中、彼の股ぐらでは幼い怒張が元気いっぱいに存在を主張し続けていた。

あれからというもの。ユミルは胸の内全てをつまびらかに告白した。

着替えを覗いたこと。股間が大きく膨らんでしまうこと。今朝起きた異変に至るまで、勢いに任せて漏れなくプリシラに話した。懺悔する思いで、救いを求めるように。

「……ぼっちゃん。ぼっちゃんがどういうことをしたのか、ちゃんと分かってますね」
「……はい」

ベッドの上で横並びに腰掛けるふたりの間に重い空気が流れる。流石のプリシラも今は笑っていない。表情も声音もかつて父親から説教を食らった時を思い起こさせるほど、冷淡な雰囲気を取り巻く。怒気の割合が父より少ないことだけが唯一の救いか。

「女の人の着替えを覗くのは悪いことです。恥ずかしいところを勝手に、それもコソコソと覗き見るなんて人として最低です」

ぴしゃりと言い放たれて、項垂れる。

「そういう無神経なことをされると相手の女性はとても傷つきますし、ぼっちゃんみたいな子供がそんなことをしたら性癖がゆが――将来、悪い大人になってしまいます」
「は、はい」

一瞬何かを言いかけたのは気にかかったが、続く言葉の方に意識を集中させる。

「ぼっちゃんがそんな風に人を傷つける子になったら、お姉ちゃんはとても悲しいです」
「うう……」
「ぼっちゃん。ちゃんと反省してますか?」

叱られるのはやはり、怖い。その機会がそうそう訪れないのもあって余計にそう感じるのだろう。

加えて、今までに聞いたことがない声音でプリシラが話しているというのもそれを増長させた。自分の愚かな行いが、彼女をそうさせてしまったのだと思うと心が痛む。

ユミルは項垂れたまま重い口をこじ開けた。

「……ごめんなさい。僕、もうあんなことしない。絶対しないって約束するから。だから……僕のこと嫌いにならないで……」

本当は頭を上げて、彼女の目を見て言いたかった。それを為せるだけの勇気を持てなかったのは、幼心ながらに悔しさを覚えた。懇願するしかできない自分の弱さにも。

怯えて次の言葉を待つと「顔を上げてください」と促された。見るのはどうしても怖かったが、その言葉に後押しされる形でおずおずと視線を持ち上げる。

待っていたのは、陽だまりの笑顔。

「お姉ちゃんは怒ってないですよ♡ぼっちゃんがお利口さんでいるなら、許してあげます」

予想だにしないものが目に見えて、戸惑うばかりで声も出ず。視線のみで「いいの?」と訊ねるくらいしかユミルにはできそうになかった。

「ぼっちゃんは悪い子じゃないって分かってますから、ぼっちゃんのことを嫌いになったりしませんよ。それに、男の子が女の人の身体に興味を持ってしまうのは仕方のないことだと思います。でも、覗きはやっぱりダメですからね?」

返ってきたのはいつもの甘い声と優しい表情。お説教モードはもうおしまいとでも言うような移り変わりの早さにユミルは困惑し、そして安心した。もう前のようには笑ってくれないとすら考えていただけに、その感動はひとしお。目頭に集まった熱が感情としてこぼれ落ちそうになったのは、男としてそれだけは堪えた。

もう一度、今度はきちんと目を見て心からの謝罪を述べた。

「本当にごめんなさい……お姉ちゃんのこと傷つけたかったんじゃないんだけど、でも……」
「でも見たくなっちゃった、ですよね。大丈夫ですよ。お姉ちゃんはちゃんと分かってます」

自分に母親がいたとすればこんなに暖かいものなのだろうか。ユミルの頭を撫でる手は、そんな風に思えてしまうくらい愛に溢れていた。

生まれてから間もなく病で母を亡くした彼は、母親の愛というものを知らずに生きてきた。その代役のような存在であるプリシラにもここ最近は表立って甘えた記憶はない。もう子供ではないからと言い訳しては必死に背伸びするように、付かず離れずの一定の距離感を保っていたつもりだ。

それでも今は、今だけは、その優しさに甘えていたい気分だった。心のつかえが取れたことで濃く分泌された安堵によって、そうすることも厭わない。

「ね、ぼっちゃん」

頭の上から降りかかる声は依然として甘い。

「ぼっちゃんは見たいですか。お姉ちゃんの……裸」
「えっ」

その甘い声に安堵させられることはあっても、驚愕を植え付けられたのは初めてだった。改めて互いの視線を結んでも、冗談めいた調子とは真逆であることは明らか。

姉でも、母でもない。色気づいた瞳の輝きはさも舌なめずりをしていそうに、実に妖しくあった。

「覗かれたのはちょっとびっくりしましたけど。でも、大好きなぼっちゃんに裸を見られるのはちっとも嫌ではありませんし、ぼっちゃんさえ良ければいつでも見せてあげますよ。覗いたりなんかしなくても、好きなだけ……ね♡」

返答も待たずに立ち上がったプリシラは、ユミルの目の前でメイド服を脱ぎ始めた。おもむろに端から少しずつ、段々と素肌があらわになっていく様を彼は見開いた双眸で凝視する。驚きながらも制止する素振りさえなかったのは、確かな野心が奥底に潜んでいたことの表れであるのだろう。

程なくしてさらけ出された下着姿の女体。純潔を示すようにどこまでも真っ白なランジェリーに包まれた身体は、彼女自身が振り撒く清純な雰囲気と相反してひどく蠱惑的だ。

健やかに育った胸が重たそうに伸しかかるブラジャーは、ふとした拍子に今にもはち切れてしまいそう。ガーターベルトとストッキングからはみ出した柔肉もむちむちとして、いたいけな子供の中にある、雄の部分を誘惑してやまない。対して細くくびれた腰周りのスラリと流れる曲線は、それ自体は目を見張るほど美しくあるというのに胸や尻の丸みをより艶めかしく強調させて際立てる。

「それからおっぱいも……よいしょっ」

後ろに手を回してホックを外しブラジャーも脱ぎ捨てた瞬間。

どっくん――

小さな身体に循環する血液が、鉄をも溶かしてしまいそうなほど熱く煮えた。

惜しげもなく見せつけられた乳白の実り――窮屈な拘束を逃れてから自重で垂れ下がる乳房は、だというのに形を崩すことなく整っており、いかにも柔らかそうに揺蕩
たゆた
う。ぷっくりと薄く赤らんだ乳頭から醸し出される母性に触発されて、ユミルは今すぐにでもむしゃぶりつきたくなるような衝動に駆られた。

「お、お姉ちゃ……うっ……こ、これ……」
「あらあら。うふふ」

少年の下腹部は既に限界だ。何しろ扉越しにしか見られなかったものが何に阻まれるでもなく、すぐそばにあるのだから。収まりかけていた情欲は歯止めが利かず、またも盛り上がるズボンの膨らみを今度は包み隠くことなく、すがる思いでプリシラに見せる。

「心配しなくても大丈夫。ぼっちゃんのおちんちんがそうなってしまうのは男の人の生理現象として当たり前のことなんです」
「そう、なの? 病気じゃなくて?」
「はい。これは『勃起』と言いまして、えっちなものを見たりするとおちんちんが大きくなって中に膿が溜まってしまうんです。その膿は『精子』。精子をおちんちんから出すことを『射精』と言います」

プリシラの落ち着き払った口振りは普段の授業で耳にする、講師の事務的なそれを連想させた。

生活時間のほとんどを勉強のために費やしておきながら聞いたことのない単語ばかりで、ユミルは言葉のひとつひとつを脳内で反芻する。こんな時でも知識欲はよく働くものだと、辛うじて残る冷静さが呆れを抱く。

「定期的に射精しないと身体に悪いですし、寝ている間に精子を勝手におもらししてしまいます。朝起きた時にまたパンツが汚れてしまうのは、もちろん嫌ですよね。そうならないために、これからお姉ちゃんが精子の出し方を教えてあげます」
「よ、よろしくお願いします……?」

授業の延長線とでも言うべきか。いつになく真面目な雰囲気につられてユミルはベッドの上で一礼する。

実際何をするのか検討もつかないが、ここはお姉ちゃんに任せておこう。きっとお姉ちゃんが何とかしてくれる。そう期待して行儀の良い姿勢で座るユミルの前にプリシラがしゃがみ込むと、

「それでは、下、お脱がせしますね」
「……!?」

ユミルのズボンに手をかけ、するり、するり。
ズボンを下ろし、パンツも脱がす手も躊躇いなく。あっという間に丸出しにされたユミルの肉棒がびょんとそそり立った。

「あらかわいい」
「は……恥ずかしいよ…………そんなに見られると……」
「恥ずかしがることなんてありませんよ。ぼっちゃんはこれから大人になるためのお勉強をするんですから」

親に見せるよりは幾分マシに思える、とはいえ。大事な部分を、それも誰より親しい彼女に見られてしまっては赤面するのを抑えられるはずもない。

ユミルを半分脱がせたプリシラは先ほどと同じように隣に座り直す。今度は、彼の肩を抱き寄せてぴったりと肌を密着させるように。そのおかげで布一枚もない生乳が彼の横顔に押し当てられて、血を集めた肉棒が反応して震える。

「いいですか。おちんちんが勃起してしまったらこうやって、手でごしごしするんです。見ててくださいね」

股間に向かって伸ばされたしなやかな指が、それと比べるといささか小ぶりに見える肉棒をつまみ、根元の辺りからゆっくりと上下に擦り始める。痛みを与えないようにといたわるつもりか、動作そのものは非常に微細で、むず痒さばかりが脳に伝わる。

それでもお姉ちゃんにおちんちんを触られているという非現実的すぎる光景が、興奮を焚き付けて心地良さへと変えていく。

「上下に優しく、しこしこ……しこしこ……ぼっちゃん。気持ちいいですか?」
「う、ん……なんか、変な感じ……」

限界まで張り詰めてもしっかり包皮を被った肉棒が、手の動きに合わせて亀頭の先を見え隠れさせる。排尿くらいしか用途がないと思っていた陰部を勃起させた上で弄り回すなど、ユミルにできる想像の範囲を大きく超えており、その不思議な感覚を快感として理解するのにも少々の時間を要した。

とはいえどんなに青くとも、彼もまた紛れもない雄であるということなのだろう。竿を擦られていると次第に身体が反応してぴくりぴくりと震えだした。

「あっ……あっ……」
「段々と感じるようになってきましたね。今はお姉ちゃんがしてあげてますけど、今後は自分でできるように、この気持ちよくなってくる感覚を忘れないようにしてくださいね。それじゃ、少ーしずつ激しくしていきます。痛かったら言ってください」

ユミルの様子を窺いつつ、ほどよい力加減で手淫を続けるプリシラ。

竿に絡ませる指使いは握るよりも、這わせると言うに等しい。あくまでも優しく、徐々に徐々に快楽を染み込ませようとする手つき。扱くだけではなく、そっと揉み込むような動作も加えられた。拙かった指の動きが、本格的に快感を与えようとするものに変わっていくのを、嬌声に近い声を漏らしながらも彼は理解した。

「ぅ……はぁ……っ」

逆上
のぼ
せ始めたせいか息づかいにも熱がこもり、快感に耐えられずにユミルは身をよじる。その都度、横から押し付けられた肉感的な肢体が生々しい温もりを伝えてくるのも、興奮を煽る一因となっていた。

胸もお腹も太腿も、触れる所全てがどうしようもなく柔らかいのだ。股間をまさぐられている上、空いている手でもぬいぐるみのように抱かれてしまっているのだから、この母性溢れる柔らかさからは逃げようがない。普段はそっと香るくらいでしかなかった雌の匂いも呼吸のたびに鼻腔を貫き、肺の中まで往復してくれるのだから、堪らなく色香に溺れそうになる。

(お、おっぱい……触ってもいいかな……)

溺れる寸前、目の前でぶら下がる乳房に手を伸ばしかけて触れる前に躊躇ったのは、微かな理性が語りかけてきたからだ。性処理の方法を教えてもらっているという立場で、自分の欲を満たすためだけの勝手が許されるのだろうかと。

迷いに気づいたプリシラはユミルの肩に回していた方の手で、戸惑う小さな手のひらを掴んだ。

「お姉ちゃんのおっぱい、ぼっちゃんの好きなようにしてください。ほら、遠慮しないで……」

一度止めたはずの手は彼女に導かれるまま胸の柔肌に向かって吸い込まれ、深く沈む。

「ふあ……ぁ……!」

昨晩あれほど渇望していた夢がついに叶ったその瞬間、心がときめいたのをユミルは実感する。あまりの感動に感嘆の言葉すらも出ない。肉棒がさらに膨らんで、感度を増して強まる刺激によって喘ぎ混じりの吐息を漏らすばかり。

許されたのをいいことに、それからユミルは自らの意思で巨乳を堪能し始める。触りやすいように姿勢を変えて差し出された両乳を、左右の手を駆使して遠慮なく、それでも彼女の身体を気遣う範囲で好きなように揉みしだく。

押せば深々と沈み、瑞々しい張りと弾力で押し返される。頑張って指を広げても片手などには収まってくれない。生唾を飲み込みながら、これまで未知とされてきた感触をじっくりと味わうユミルは息をするのも忘れそうになる。

そんな彼が女の色香にすっかり魅了された様を、プリシラは微笑ましそうに眺めていた。乳を揉まれるお返しに、彼の股間を揉みほぐしながら。

「どうですか、お姉ちゃんのおっぱいは?」
「たぷたぷしてて……やらかくて……き、きもちい……」
「ふふ、ありがとうございます。でも触るだけでいいんですか? お口をぱくぱくさせて、何だか寂しそうです。ほらほら、おっぱいの先っぽも、ちゅぱちゅぱ吸ってくださいな……ほぉら♡」

ぐい、と後頭部を押されて片乳にユミルの顔面が埋もれる。丁度半開きにしていた口元には豆粒のような感触があり、ほんの一瞬だけ躊躇ったが――すぐに大きく口を開け、それを含んで吸い付いた。

「あんっ……♡ぼっちゃんってば、そんなに一生懸命おっぱいしゃぶって……赤ちゃんみたいでかわいいです♡」

いくらなんでもこれは恥ずかしい。子供はおろか、これでは赤ん坊のようだ。自分でそう思いながらも、プリシラの巨乳をちうちうと吸い立てるのはどうしてもやめられそうにない。

生まれたての子供が母親の乳を吸って育つことくらいは知っていたし、昔見た教材にそれらしい場面が載っていたのも見たことはある。ただその時は何を思うでもなく、まして、いやらしい感情が湧くなどあるはずもなかった。

それが今ではどうだろう。赤子の授乳を想像して、そのイメージを元に必死になって乳房にむしゃぶりついて。興奮して股間をいきり立たせ、それを女性に慰めてもらう。おおよそ大人とは言えない行動なのに、恥ずかしくて堪らないのに、気持ちよくて仕方がない。

あの時見たおっぱいを自由に吸ったり揉んだりさせてもらえると思うだけで、下腹は容易く限界を迎え、身体の奥底から何かが昇ってくる感覚を覚え始めた。尿意と似ているようで明らかに違う、何か。

「はう……お姉ちゃん……な、なんか出そう……」
「もう出ちゃいそうですか? ……いいですよ。そのままお姉ちゃんの手の中で、おもらしぴゅっぴゅしちゃってください……♡」

愛おしげにプリシラは言いながらも、肉棒を上下する手の動きはほとんど変わっていない。実に優しく愛撫するようなものだが、授乳による興奮で感度を倍増させた身体にはそれでさえも強すぎるくらいで、ユミルが足をもじもじさせてそれを訴えていたのに気づいたらしい。

乳を吸う余裕もなくなって天を仰ぎ、幼い身体が大きく――跳ねた。

「んぁ……っ……く……うぅっ……!」

反り返るくらい背筋を伸ばし、爪先までをピンと硬直させて肉棒から精子を溢れさせる。夜中に知らぬまま達していたのを除けば、彼にとって人生初の射精であり、初めて味わう恐ろしいくらいの快感が一気に押し寄せて脳内を染め上げた。

「よーちよち……♡上手にお射精できて偉いですよ、ぼっちゃん」

初射精の快楽に震える身体を介抱するように抱きしめるプリシラ。彼が身を強ばらせて射精する様子を最後まで見届けつつ、吐き出された白濁は手の内で残さず受け止めた。

全てを出し終えたのを確かめると、荒い呼吸で肩を揺らすユミルの前に手を差し出し、今出したばかりの精液を見せびらかした。

「はい、お疲れ様でしたぼっちゃん。ほらこれ、よく見てください。これがぼっちゃんのおちんちんから出た精子ですよ」

溺れそうなくらいの快感で朦朧とする瞳に映る真っ白な液体は、今朝方パンツの裏側で滲んでいたものと間違いなく同じだった。手のひらに収まる程度の量で、濃厚な粘り気をもって淀んでいる。こんな異質なものを本当に自分が出したのだと、驚き半分、人体の神秘に対する感動のようなものまで抱いてしまうのは、ある意味彼らしいとも言えるだろうか。

「射精した精子はこうやって、ティッシュで拭き取って……それからおちんちんも綺麗に拭いてください。おひとりでされる時は汚れないように、ティッシュに直接出しちゃってもいいですからね」

説明しながらプリシラはティッシュを取ると、汚れた手とユミルの肉棒――精子にまみれて萎びきり、もはや棒とは言えなくなったそれを丁寧に拭う。自慰を行う時に彼が困らないようにするためか、後処理のやり方でさえしっかりと見えるようにやってくれる。

興奮から醒め、落ち着きを取り戻しつつある頭でユミルは思う。

思いがけない出来事に困惑するばかりの自分にそれでもプリシラは、最初から最後までお姉ちゃんとして尽くし、世話をしてくれた。覗きに対しても怒らないどころか何も知らない自分のために我儘
わがまま
を許し、恥ずかしげもなくここまで親切に手ほどきしてくれるなど、自分はどれだけ果報者なのだろう。

「お姉ちゃん……」
「はい?」

彼女の献身的な指導に対する感謝の気持ちを、ユミルは勇気を出して口にした。

「その。あ……ありがとうございましたっ」
「……ふふっ。どういたしまして」

プリシラの性指導から数週間が経ち。自慰行為を覚えたユミルは自身の身体の仕組みを理解しつつ、元通りの規則正しい生活を送っていた――はずだった。

「……ふわ……ぁ……」
「あら、またあくび」

いつもの自習時間。勉強する様子を付きっきりで見ていたプリシラは、彼が眠たげに大口を開かせるのにも目敏く気づく。数分おきに一度、既に五回も繰り返していれば、流石に気づかざるを得ないとも言えるが。

「ぼっちゃん、最近ちゃんと眠れていますか。さっきからずっと眠たそうにしてますし、お勉強も進んでませんよ」
「ん……ん。だいじょぶだよ……今日はたまたま、こんなだから……」

言いながらもその目はうつらうつらとしていて、空元気を誤魔化すことさえできていないのは自分でも分かっていた。あくまでも意地を張ろうとするのは彼自身の背伸びしたいという気持ちもあったが、何よりどうしても他人には話せない、できれば隠しておきたい事情が大きな要因となっていた。

明らかに無理をしていると感づいたプリシラはひとつ息をつき、気遣う気持ちを込めて彼に語りかける。

「ここ最近、ぼっちゃんが勉学に集中できていないようだと講師の先生からお話を伺いました。何か困りごとがあるなら仰ってください。お姉ちゃんは何でも聞いてあげますよ」

のろのろとペンを動かす手を止めたユミル。そうして少しの間逡巡する様子を見せると、彼は意を決したようにプリシラに向き直った。

「実は、ちょっと前からあんまり眠れてなくて」
「まあ。それはいけませんね。怖い夢でも見てしまったのですか」
「そうじゃなくて。お、お姉ちゃんの……」

付き纏う羞恥心。それによってどうしても言葉を詰まらせてしまうが、この期に及んで引き下がるのも恰好が悪く、何より自分を心配してくれている彼女に対して悪気を強く感じる。後の言葉は一息に、勢いに任せて吐き出した。

「お姉ちゃんの裸っ、を……夢で見ちゃって。それで、えと、ドキドキしちゃって……目が覚めちゃうんだ」
「……あらら」
「ごめんなさいっ。せっかく僕のために精子の出し方教えてくれたのに」
「謝らなくても大丈夫ですよ。でもやっぱり、男の子には刺激が強かったかもしれませんね」

いつものように優しく頭を撫でてくれるプリシラ。向けられた笑顔も彼を安心させるためなのだろうが、ユミルの中では未だ申し訳なさの方が打ち勝っていた。

迷惑ばかりかけられない、できればかけたくないという健気な思いから相談することも控えようとしていたのだが、結局は頼りがちになってしまう。そんな自分の子供らしさに反省していると、プリシラはしばらく思案した後にさも妙案を思いついたとでも言いたげな調子で、こう言い出した。

「それじゃあ、今夜からお姉ちゃんの部屋で一緒に寝ましょうか」

パジャマ姿でこの扉の前に立つと妙な緊張感に襲われるのは、あの時の出来事を強く思い出してしまうからなのだろう。

その日、いよいよ就寝の時を迎えたユミルはプリシラの私室の前で息を呑んだ。

彼女の部屋に入ること自体はさして珍しくもない。昔から何度も出入りした経験はあり、今さら躊躇う理由などないと直前までは思えていた。しかし。いざこうして立ってみると、着替えを覗いた時と負けないくらいの緊張が一斉に手足を縛り始めて決心を鈍らせようとしていた。

寝る時間になったら好きに入ってきていいと前もって許可はされている。元より許可などなくとも、ふたりの間に遠慮は必要ないのだ。ただ扉を開けるだけだというのに、地獄の門でも開くみたいな覚悟を決めるというのは……流石に馬鹿馬鹿しい。

深呼吸をひとつ。考えを巡らせるのをやめたユミルはなるべく頭を空にして、ドアノブに手をかけた。

「し、失礼します」

扉を開けた後でうっかりノックをし忘れたことに気づくがもう遅い。

その先で待ち受けていた彼女は些細なことなど気にかけていない様子でユミルを出迎えた。

「お待ちしておりました、ぼっちゃん」

ユミルのものと比べると半分もないくらいに狭い部屋。扉を開けてからすぐ数歩先にあるベッドの上で、プリシラはゆったりと腰をかけていた。

薄暗い室内はスタンドライトの柔らかな灯りに照らされていて、部屋の中だけでなく彼女が纏う純白のランジェリーを艶やかに映し出す。前にも見た恰好だというのに思わず見惚れてしまいそうな艶姿。緊張と併せて胸が一層高鳴るのをユミルは感じた。

「ささ、どうぞこちらへ」

プリシラに促されて初めて足が動く。ベッドに向かって進む歩調はどこか遠慮がちだ。

彼女が下着姿でいること以外は前にここを訪れた時と何も変わらない。これから行おうとしていることも、『行う』というのも煩わしく思えるくらいにごくありふれた普通のこと。ただ寝るだけ。

満足に眠ることができない夜を過ごす彼を案じて、彼女が提案してくれたのだ。それ以外には何もやましいことなんてない。それに彼女がわざわざ下着姿でいることにも一応の意味はある。

『えっちな夢を見てしまうのは、ぼっちゃんが女性の裸を見慣れていないせいだと思います。であれば、えっちなものを見ても反応しないように、見慣れてしまえばいいのです』

単純だが真理とも思えたプリシラの言葉が脳裏に過る。

確かにその通りだ。えっちだとかいやらしいとか、そんな風に思わなければ勃起もしなくなるし変な夢を見なくもなる。今後のことを考え、善は急げとばかりに提案に乗ったのは他でもないユミル自身の意思。

なのだが。未成熟な心と身体には、色欲そのものが人を象ったかのような肢体は目の毒――毒と言うのも生ぬるい刺激物でしかない。

うっかり目を瞑りたくもなってしまうが、それでは本末転倒だ。プリシラの思いを無駄にしないためにも、自分が成長して彼女を安心させるためにも、何とか堪えてベッドの上に体重を預ける。

(分かってたけど、やっぱり近い……)

大人ひとり用のベッドに、人間ふたり。片や子供とはいえ自由に身を置ける範囲はあまりなく、枕に頭を乗せて横並びに寝転がると、当然のごとく艶めかしい肉体が間近に迫る。加えて、彼女が普段の就寝に使っているのだろう寝具からは、大変心地の良い香りが漂ってくる。枕も、シーツも、上からかけられた毛布も。つい無意識的に鼻をひくひくさせて女の匂いを堪能していると、寝ながら対面していたプリシラにそれを気取られてしまう。

「いい匂いします?」
「う、うん」
「ぼっちゃんもお風呂に入った後のいい匂いがしますよ」

愛おしげに伸びた手が頭に触れて、ユミルはポッと顔が熱くなる。

ユミルの記憶が確かなら、ふたりとも同じ石鹸を使っていたはず。にも拘らず、こんなにも匂いの質に違いが出るのは――自分よりもプリシラの方が圧倒的に良い香りがするのはなぜだろう。どう頑張っても真似できないと分かるこの匂いが、少しだけ羨ましくもある。だが真似できないからこそより希少だと思えて、ついつい嗅いでしまうのかもしれない。

「それで、どうでしょう。お姉ちゃんのお布団で眠れそうですか?」

大丈夫そうだ、と理想の中のユミルなら答えられた。

一方現実はと言えば。

「……あらあら。やっぱり下がおっきしちゃってますね♡」

顔を真っ赤にするばかりですっかり目が冴えてしまい、寝入るどころではなかった。視覚に伝わるものも嗅覚に伝わるものも、血を滾らせるのに充分刺激的で、真っ先に下腹部が反応を見せていた。

とはいえ素直に無理だと言ってしまうのもやはり恰好がつかない。そんな安っぽいプライドから黙り込んでいたのだが、むしろそこから何かを悟ったプリシラに毛布を捲られてしまい、パジャマのズボンが膨らんでいるのもあっさりバレてしまう。なんと不甲斐ないことか。

「ところで、お精子はちゃんと出してますか」
「ううん……どうしても眠くって最近はあんまり」
「じゃあ、結構溜まってしまっているかもしれませんね。前みたいにお姉ちゃんがぴゅっぴゅさせてあげましょうか?」

堪えようのない恥ずかしさで耳まで熱くさせながらもユミルはこくん、と黙って頷く。

彼女から性処理の方法を教わって以来、何度か見よう見まねで自分を慰めたことはあるが、どれだけ絶頂を味わっても彼女の手で慰められた時には遠く及ばず。不完全燃焼のようなもどかしさがずっと胸中で燻っていた。

ゆえに頷くのにも迷いがないのは当たり前として、お姉ちゃんにまた気持ちよくしてもらえると思って期待すらもしていたのだ。そのくせ、やって欲しいと直接口にできない辺りは狡いことをしていると、自分でも苦笑しそうになるが。

にっこりと微笑んで身体を起こしたプリシラは「失礼します」と言ってユミルの下だけを脱がし、上に向かってまた元気にそそり立つおちんちんがあらわになる。

あの時と同じ快感をようやく味わえる――今か今かと待ち望んでいると、不意にプリシラが思い出したように言う。

「っと、そういえば。ティッシュを切らしてしまったのを忘れてました」
「え。そうなの?」
「はい。あとで持ってこようと思っててうっかりしてました。今から取りに行くのもちょっと時間かかってしまいますし、かといってこのまま出すと汚れてしまいますし……どうしましょう」

ここまで来てお預けを食らうなんて嫌だ。などと、心の中では駄々をこねるがあくまでも口にはしない。

願いが叶わないとなれば残念なのは確かだが、だからといってプリシラを困らせるような真似だけはもうしたくない。自分のために苦労をかけさせるくらいなら、諦めて我慢する方がよっぽどいい。それだけは間違いなくユミルの本心だった。

「大丈夫だよお姉ちゃん。僕、頑張って寝られるようにするから、気にしないで」
「ぼっちゃん……」

おちんちんをおっ立たせたまま口にしても流石に恰好がつかないのではと、言った直後で思うが。とにかく、無理なものは仕方がない。子供ではないのだから我儘を言うのは厳禁だ。自分にそう言い聞かせ、それ以上を強いることはせず大人しく下を履き直そうとする。

その時、プリシラの思いがけない一言がその手を止めた。

「――汚さないようにお射精する方法があるんですけど、使います?」
「汚さないようにって……そんなことできるの?」

ユミルの疑問に返ってきた微笑みは前にも見た、妖しい瞳の輝きを併せ持つものだった。この視線に射抜かれると胸の奥を直にくすぐられたみたいに心臓が跳ねるのは、果たしてなぜなのだろう。

動悸による熱で、顔はおろか手先足先まで赤くなってしまっているのではないかと思えるほどユミルの身体は火照っている。これ以上熱くなってしまったらどうなってしまうのかと、小柄な身体を満たす興奮は恐れと錯覚しそうにもなる。

その燃え盛る炎にさらなる薪をくべたのは、膝を立てたプリシラが彼の顔を跨いだ時だった。

「……っ……!」

視界を埋め尽くさんばかりに迫る純白のショーツ。それだけでも堪らないというのに布地を横にずらした瞬間、奥に秘められていた花園が顔を覗かせて、ユミルは脳髄が焼き切れてしまうかのような感覚を味わう。

「見えますか……この割れ目の所『おまんこ』って言うんですけど、女の人のお股にはこんな風に穴が空いているんです。どうしてだと思います?」
「えっ……えっ……!」
「男の人のおちんちんをここに挿れて、中でお射精してもらうためですよ♡」

くぱっと口を開けた雌の穴。蜜のようなもので潤う穴が髪色と同じ恥毛に覆われていて、ひくひくうごめく様はまるでこちらを誘っているかのよう。

えっち過ぎる。

ただそれだけの漠然とした感情が、精神まで冒そうとしてくる。

秘所をまざまざ見せつけてから姿勢を戻して横たえたプリシラは、ユミルの傍らに寄り添うと耳元で囁いてくる。

「この穴を使って中でどぴゅってすれば、拭かなくても汚れないですし、手でするよりもっと気持ちよくなれますよ」
「そんなに気持ちいいの?」
「それはもう、頭の中がとろとろになってしまうくらいに……♡」

甘い吐息が耳にかかり、ピクンと肩が揺れる。

そこまで催促されると、すぐにでも試してみたいという衝動に駆られてしまう。もしも彼がただの獣
けだもの
であったとすれば、そのまま襲いかかっていたかもしれない。

それだけの衝動に身を委ねようとしなかったのは、どんな時だろうと存在する彼の優しさが雄の本能に首輪を嵌め、繋ぎ止めていたためだ。

「でも、本当に大丈夫なのかな。僕の精子をお姉ちゃんの中に入れちゃったりしても……それでもし、お姉ちゃんが具合悪くなったりしたら――」

おちんちんに溜まった膿をこともあろうに女性の身体の中で排泄するなんて、とんでもないことをしようとしているのでは。拙い頭で抱く一抹の不安が二の足を踏ませていたが、ユミルの額に優しく触れた唇の感触が続く言葉をせき止めた。

「ぼっちゃんは、難しいこと考えなくていいんですよ。なぁんにも気にしなくていいんです。今はただ、カチカチになってしまったおちんちんを気持ちよくして、お姉ちゃんの中でいっぱい射精すれば眠れるようになりますから。頑張ってお精子出しましょうね♡」

幼子をあやすような柔和な笑みと声音。どこか含みのある妖しげな言葉。直前までユミルの中で渦巻いていた様々なものは、それらによって容易く吹き飛んでしまう。

ただ頷くしかできない。願いを叶えてもらうばかりで、そうだと分かっていて自分もそれを求めている。どんなに頑張って大人ぶろうとしても結局、自分は子供なのだと自覚させられてしまうのだった。

互いに対面する形で横たえた状態からプリシラは、ユミルを胸元へ抱き寄せた。それから片脚を持ち上げて小柄な腰の上に太腿をそっと乗せ、彼の半身に脚を絡める。全身を使って抱擁される姿は、例えるなら抱き枕と言うに相応しい。

ぴくぴくと震える皮かむりの肉棒は身体を寄せ合うことで、先ほどからプリシラの女陰をショーツ越しに小突いてしまっている。それを、早く入れて欲しいとせがんでいるみたいに感じたのか、プリシラがショーツをずらしたと同時に肉棒の先端がほんの少しだけ、生温かい粘膜に咥えられた。

「分かりますか。ここのぬるっとしてる所がおまんこの入り口です……このままぐぐ、って腰を押し付けてみてください」
「こ、こうかな……」

雄をからかう肉付きをした太腿はユミルの腰周りと同等か、それより一回り大きいか。そんな柔肉の塊が覆い被さっているというのに大して重さを感じないのは、彼女が可能な限り体重を預けないように配慮しているからだろう。むちむちの肉脚を抱えて腰を前に突き出すのは思いのほか容易で、にも拘らず少し進めただけで腰は止まってしまう。

それは痛みか、強すぎる快楽か。亀頭までを進入させた辺りで、判別できない衝撃が彼を襲ったのだ。

「っ……な……んか……ビリっと、す、る……」
「あらあら。おまんこに挿れた勢いで、皮が剥けてしまったみたいですね……よちよち♡頑張っておちんちん挿れてくださいね♡」

あやすように背中を叩かれながら挿入を再開。脳髄を痺れさせる衝撃に耐えながらにゅるにゅると奥へ深く、肉棒をねじ込んでいくと、ようやく鼠径部が隙間なく密着して腰が止まる。

うっすら汗をかいて息をする余裕を保つのも難しくなり、ユミルは少しの間じっとして挿れたまま休憩をさせてもらう。

「大丈夫ですか、ぼっちゃん」
「うん……ちょっとだけ休めば、へいき……」
「動けそうでしたらそのままゆっくり腰を前後に動かして、おちんちんを抜いたり挿れたりしてみてください……そうすれば、気持ちよくなれますよ……」

息を整えるのにもう少しかかりそうだったが、早くも虜になってしまいそうなこの快感を思う存分味わいたくて、頷くよりも先にユミルの腰は動いていた。

ゆっくり、ゆっくりと腰を振る――振る、と言うのもおこがましい稚拙な腰使い。正しいやり方など知るわけもなく自分でもぎこちないと分かる動きで、だというのにどう動かしても気持ち良くて仕方がない。手では決して得られない生々しい感触。押しても引いても絡みついてくる襞が剥けたばかりの亀頭を舐め回し、竿の根元までを満遍なく愛撫され、女の子のようなか細い声が出てしまうのを、ユミルは恥ずかしいと思いながらも抑えることができない。

必死になって抽送を繰り返しているところに愛おしげな声がかかる。

「お姉ちゃんのおまんこの中は、どんな感じですか?」
「すごい……ぬるぬるしてて、やわやわであったかくて……なん、だか……溶けちゃい、そう……はぅっ」
「ふふ……気持ちよさそうな顔してらっしゃいますね。ぼっちゃんのちっちゃいおちんちんだと、少し緩いかなと、思ったのですけど……」
「だい、じょぶ……っ……きも、ち……ふぅ……ぅ……」
「それならよかったです」

もぞもぞ腰を動かすのに合わせて、本当に微かな音を立ててベッドが軋む。大好きなお姉ちゃんと半裸で抱き合っているというだけでも興奮を促すのは充分。彼女の体内に自分のおちんちんを挿し込んでいることを自覚してしまうと、滾る血と薄く汗ばんだ雌の臭気で頭がおかしくなりそうになる。

「おっぱい……おっぱい……」

柔肌にしがみついて乳肉の谷間に顔をうずめて、脳裏に浮かんだ言葉がうわ言のように口から漏れ出る。プリシラに甘やかされるのを恥じらう心も、肉欲に溺れたがる本能も、全てが蕩けて混ぜ合わさってしまう。

「うふふ♡すっかり甘えんぼさんになっちゃって……すぐにおっぱい出してあげますから、ちょっと待っててくださいね……」

そんなに物欲しそうな目をしていたのだろうか。不意に見上げたユミルと目を合わせたプリシラは、途端に手早くホックを外してブラジャーを捲り上げてくれる。

「はい、どうぞ♡」

待ち望んでいた薄紅色がぽろんと躍り出るなり、勢いよく吸い付くのにも迷いはない。何度吸い立てても出る気配のなかった母乳を求めてしまうのも男の――否、生物としての本能と呼ぶべきか。

彼が腰を前後させるのも、あるいはそうなのかもしれない。この行為がどういう意味合いを持つのかも深くは知らず、ただ漠然とした使命感のようなものを理由に快楽を得ようとしているだけ。ひとりで眠れるようになるために、家族として愛するプリシラを困らせないためにと、乳房の先を頬張りながら蜜壷の中で下腹部を着実に酔わせていく。

やがて、充分酔いしれたと言わんばかりに腰の奥から込み上げてきた膨大な熱が、肉棒をぴくぴく震えさせた。

「お股の中で、おちんちんがぷっくり膨らんできましたね……射精しちゃいそうですか?」

射精欲で頭をいっぱいにしたユミルには、彼を気遣う言葉に対しても、もはや何も答えられそうにない。答えの代わりに腰を速めた。

幾たび秘穴を貫かれてもプリシラは喘ぎ声ひとつ上げることもなく、それでも幸福に満ちた微笑みを向けるのは、自身の身体を使って彼が悦んでいる様を心から祝福しているためなのだろうか。息を荒くするユミルをぎゅっと抱きしめて、彼の吐精を受け入れる準備を整える。

「頑張ってくださいぼっちゃん……あとちょっとで精子出ますよ……我慢できなくなったら、そのまま膣内
なか
に出しちゃってくださいね。出す時は漏れないように、なるべくおまんこの奥の方でぴゅっぴゅって、しましょうね……♡」

ぎこちなさの残る腰振りで一生懸命、射精しようと肉棒を擦り付ける。甘い蠕動で執拗に慰められて、亀頭は爆発寸前。もはや止めるすべはない。豊満な身体に包まれながらユミルは最後の瞬間を迎えた。

「せーし出る……せーし、出る……っ……うっ……!」
「……あっ♡ぴくん、って……♡」

――開きかけていた蕾が長い時間をかけてようやく、ぱあっと、花を咲かせる。ユミルの頭に流れたのはそんなイメージだった。

ぴゅるぴゅると鈴口からほとばしる白濁。ひとつ脈を打つごとに全身を駆け巡る快感はとてつもなく鋭利で、だというのに、瞬く間に清々しさへと変わってまた次の波が押し寄せてくる。愛情を着込んだ女の肉体に埋もれながら目を瞑ってそれに耐え、愛する彼女に精を注いでいく。言いつけられた通りに亀頭を奥深くまで導いたおかげで、吐き出したものは全てプリシラの中に飲み込まれた。

達成感を覚えるまで陶酔し脱力してその余韻に浸る幼い主を、慈しみをもってプリシラは抱き抱える。そしてその勇姿を褒め称えた。

「よく頑張りましたね、ぼっちゃん……いっぱい出せて偉かったですよ」
「ふ……ぅ……お姉ちゃんのなか、すごかった……」

まだまだ雄になりきれない頭では言葉を飾り立てられるだけの余裕もなく、そうとしか言いようがなかった。今の彼が口にできる精いっぱいを、それがどんなに粗末な表現だとしても決して嗤いはせず、プリシラはただ優しくその弱々しい背中を撫でた。

「お姉ちゃんの身体でいっぱい気持ちよくなってくれて……お姉ちゃんも嬉しいですよ。……ん……おちんちん、まだ固そうですね。もうちょっとお射精できそうですか?」

ひと仕事を終えたことでユミルの身体は重く沈み、消耗しきった体力では自ら動くことさえままならない。それほどの疲労感を背負っていながらも、盛りのついた下腹は衰えを知らず。覚えたての雌の味を、もっともっととねだるように半勃ちの肉棒が脈動し、膣壁にそれを訴えていた。残る力でユミルは僅かに頷く。

「うん。もっとしたい……」
「分かりました。では、今度はぼっちゃんが疲れないようにお姉ちゃんが上に乗って動いて差し上げます。気持ちよくなって眠くなってきたら、そのまま寝てしまって大丈夫ですからね」

プリシラはユミルと繋がったまま、彼を潰さないよう慎重に体位を変える。仰向けになったユミルの腰の上にむっちりと雌肉を蓄えた桃尻が腰を据えて跨り、圧迫感と共に彼の下半身を固定した。無論、体重をかけすぎない配慮は忘れていない。

脱ぎかけていたブラジャーを取り払い、プリシラが訊ねる。

「どうでしょう。重くはないですか」
「大丈夫……だけど、出したばかりだからちょっと、くすぐったい、かも」
「あれだけ頑張ってお射精しましたもんね。それでは、気持ちよすぎないようにそぉっと、動きます。辛かったら遠慮なく仰ってくださいね」

お願いします、と内心で呟く直後。緩やかな上下運動が始まる。

吐精後の陰茎を悶えさせないようにと非常に緩慢な腰の動きで行われる抽送は、それでも性経験の乏しい下腹に充分すぎるくらいの快楽を塗り込もうとしてくる。先ほど吐き出した自分の白濁と彼女の蜜が混ざった粘液が、媚肉を掻き分けるたびに裏筋や亀頭に纏わり付いて勃起を促され、肉棒は萎れることなくみるみる膨らんでいく。

「おちんちんが元気になってきましたね……その調子ですよ、ぼっちゃん……」

膣内で小刻みに震える肉棒の感触とユミルの表情を見ながらプリシラは加減をしてくれているようで、肉襞で少しずつ締め付けて射精欲を促しつつ、彼が強く喘ぐとそれを緩める。間違っても苦しめたりしないように、マッサージで揉みほぐす感覚で適度な快感を与えてくれる。

従者として。姉として。母として。心から彼を慕う様子を見せたプリシラの瞳は一瞬、妖艶に、妖しく輝いた。

「お姉ちゃんの身体は、ぼっちゃんのためだけにあるんですからね。他の女の人に迷惑かけたりしないように、お姉ちゃんだ、け、で、気持ちよくなってくださいね……」

時折見せるその妖しさと艶っぽい声で紡がれた言葉。それらの意図する所はいまいち理解し得なかったが、元より彼女以外に性処理を頼むつもりなど毛頭ない。

大好きなお姉ちゃんだからこそ、だ。誰にも頼めないことを文句もなしに聞いてくれて、誰もやってはくれないだろうことを自分のために尽くしてくれる。そんな彼女の、誰より大切な家族の身体で気持ちよくなれるなら、それ以外を必要とする意味なんてない。

いつまでもこの快感に浸っていたい気持ちもありつつ、あまり時間をかけすぎるのも悪いと思い始めたユミルは、すぐにでも射精できるように、肉棒への奉仕を受けながら自ら興奮を底上げしにかかる。

目の前でゆさゆさと扇情的に揺れる乳房を見て、直接吸い立てた感触を思い出す。赤子みたいに甘えた時、羞恥心で身が焦げてしまいそうだったがその分得られた快楽は素晴らしいものだった。むにゅりむにゅりと細い腿を踏む尻肉の肌触りも心地良い。彼女の身体から感じられるどれもが、子供の心に有り余るくらいに、えっちで仕方ない。

次第に腰から背中にかけてぞわぞわするように感じだすと、ユミルは限界が来たことを彼女に告げた。

「お姉ちゃん……精子、出そう……」
「ふふ……またおもらししちゃいそうですか?」

ユミルの頬に優しく手を添えて、瞳を覗き込むようにぐっと顔を寄せてくるプリシラ。一旦腰を止めると、視線を結びつけたまま甘い吐息を纏わせながら囁いてくる。

「それじゃあ最後は、おちんちんがスッキリできるように溜まってる精子をぜーんぶ搾り出してあげますね……射精しやすいように、激しくぬぽぬぽしますので……我慢しないで思いっきり、おまんこに出しちゃってください♡」

言いきるとプリシラはユミルの両手を掴み、互いの指同士を絡めてベッドに軽く押さえつける。ずっと瞳を覗き込んだ状態でそうすると、再び動きだした腰は精液を啜り上げようとする貪欲さを見せて勢いをつけた。ベッドの軋む音もつられて大きくなる。

「お姉ちゃんが精子出すとこ見ててあげますから……頑張って……っ」

両手を上から押さえつけられて、反り返る竿をクチュクチュ扱き回され、身動きもできずにユミルは悶え喘いだ。その蕩けきった顔を、プリシラに凝視されてしまっている。善がる姿を、水晶のように澄んだ瞳が捉えてくる。吸い込まれてしまいそうな視線は果てる瞬間を見逃すまいと、執拗にこちらを見続けている。

「お精子ぴゅっぴゅっ……おまんこ中出しぴゅっぴゅっ……ぼっちゃんがイク時のお顔、よく見せてください♡」

間近でじぃっと見つめられ、恥ずかしさと快感と興奮が頭の中で搔き乱れる。急激に強く締め付けてくる媚肉に肉棒を咀嚼され、身体の中を暴れる快感が唯一動かせる足をくねらせ、快楽の波はもう抑えられないことを悟る。

「ぁ……で、出そう……出るっ……おまんこ、に出……ぅ……っ!」

蜜壷の動きが止まった瞬間、大きく跳ねた身体が目いっぱい背中を反り返らせて絶頂――溜め込んでいた熱を亀頭の先から一気に放出する。雄の本能によって鈴口を最奥まで届かせようとして思いきり腰を押し付け、種を植え付けるイメージで精液をひり出していく。

「んっ……♡ぼっちゃんのあったかいお精子がいっぱい…………かわいいおちんちんが……おまんこの中で震えて……ふふっ♡このままじっとしててあげますから、最後まで出しきってくださいね……」

最後の瞬間に至るまでプリシラはユミルをいたわって言葉をかける。彼が射精する様子を温かく見守りながら、痙攣し続ける肉棒を蜜壷で優しく包み込む。元気よく跳ねる彼の分身をそっと宥めるように。濡れそぼった襞が一滴残らず、生まれたばかりの精子を吸い尽くしていく。

程なくして脈動が収まるとユミルの瞼が重さを感じてゆっくりと閉じた。惚けた頭は休眠を欲して、意識は段々と深い場所を目指そうとする。

「かわいいかわいいぼっちゃん。またおちんちんが切なくなってしまったら、いつでも好きな時にお姉ちゃんの身体を……おまんこ使っていいですからね」

ユミルの髪を梳く感覚は、どこまでも慈愛に満ちた聖母の御手。ぼんやりと響くように届いた声もやはり、暖かい。

消えかけたユミルの意識は少しの間微睡みの中を彷徨っていたが、完全なる深淵に招かれるようにして深く沈んでいった。

「おやすみなさい、ぼっちゃん♡」

彼の寝顔はきっと、この上ない幸せを描いていたことだろう。

人々が寝静まったとある夜。屋敷の一角でおずおずと扉が開かれる。

「し、失礼します……」

ノックもなく、それはまさしく忍び込むといった足取りで。物音を立てないように部屋の主の元へと一歩、二歩。静々進めていく足の歩調はどこか戸惑いを纏わせていて、それでも前にと着実に進んでいく。

「……すぅ……すぅ」

ベッドの上で寝息を立てる女性――プリシラを前にして小さな影は足を止める。普段から灯りをつけたまま寝るようにしているのか、あの時と同じように薄明るく寝姿が照らされていて、胸の双丘が呼吸で上下する様子も確認できる。

また。ユミルは罪を犯そうとしていた。

初夜を迎えたことをきっかけに何度もプリシラと身体を重ねた末、今ではもう、ひとりで安眠を得られるようになった……のだが、一度目覚めた性欲はそう簡単には収まらず。暇を見つけては彼女に処理をねだる日々をこの数ヶ月間過ごしていた。

どれだけ回数を重ねようともプリシラは決してそれを拒まず、いつでも笑って彼の要望を聞き入れてくれる。そんな彼女を敬愛していればこそ、ユミルは謙虚にならざるを得なかった。

自分で慰めるだけでは足りず、彼女の奉仕を受けても飽き足らず。自分が満足するまでして欲しいという気持ちが強くあったが、プリシラにはプリシラの時間があり、メイドとしての務めを果たす義務がある。それを分かっているからこそどうあっても無理を強いる気にはなれず、胸の内を燻らせる毎日にやきもきとし始めていたのだ。

そして今日という日に、己の野性にかけていた首輪がとうとう外れた。

(ごめんなさい、お姉ちゃん……)

ゆっくりと息を吸って吐き、罪を重ねる覚悟を決める。

日々の仕事で疲れているだろう彼女の休眠を邪魔しないように細心の注意を払いながら彼女の脚を持ち上げ、そっと、少しずつ両脚を開かせる。肌が透けて見えるほど薄い黒のネグリジェを捲り上げると、大股を開いた生脚と、紐のような紫のショーツが丸出しに。

「うわ……えっちぃ」

これまで行為に及ぶ際に見てきた彼女の下着は大抵、白系統の清純を象徴した色合いばかりだったはず。ネグリジェもそうだが、こんな男を誘うような下着を身につけたシーンはユミルの記憶にはない。普段のメイド姿からは想像もできない卑猥な光景に心臓が早鐘を打ち、早くも股ぐらがいきり立った。

ベッドに上って開かれた股の間に身体を差し込むユミルは、ズボンとパンツを下ろして血を滾らせる下腹を裸にし、プリシラのショーツも肉の花弁が見える程度にずらした。

興奮に鼻を鳴らしながら、さらけ出された陰部同士をくっつけ、挿入の準備が整う。

彼女とはもう何度も交わっているはずだが、こんな風にこっそりと、寝込みを襲うような形で身勝手に性欲処理を行おうとしたことは一度もない。その背徳感が興奮を招いて、火傷しそうなほど肉棒が滾る。

――滾っていながらも、亀頭の先まで包皮に隠されている姿は相変わらず。挿入前に丁寧に皮を剥いてから、剥き出しになった亀頭をプリシラの中へ潜り込ませていく。

「はぁ……きもちいぃ……」

起こさないようにと注意していながらも、つい喉から声が漏れてしまう。膣内はなぜだか既に絶妙な蕩け具合で潤っていて、限界まで張り詰めた竿をすんなりと、柔らかく包み込んでくれる。興奮で感度を増していた身体は、少し腰を沈めただけでうっかり達してしまいそうになるほど追い込まれたが、歯を食いしばってどうにか堪えた。このスリルを餌にできる機会はそう多くはあるまい。あっという間に果ててしまっては勿体ないだろう。

ぬぷ……ぬぷ……

波が落ち着いてから前後する腰は当然、慎重になる。衣擦れの音ひとつでさえプリシラの安眠を阻害しかねないと思い込み、必死に声を抑えて快感に耐える。

彼女が目覚めるか自分が果てるか。ギリギリの緊張感が脳を麻痺させる感覚は、着替えを覗き見た時と酷似している。後になって散々後悔に苛まれたというのに、あの時以上に大胆なことをしている自分は、一体どれだけ罪深いのだろう。

『またおちんちんが切なくなってしまったら、いつでも好きな時にお姉ちゃんの身体を……おまんこ使っていいですからね』

初めて交わった日、確かにプリシラはそう言ってくれた。その言葉の通りに、自分に身体を差し出すことを厭わなかった。

自分の今の行いは、果たしてそれの延長線上にあると言えるのだろうか。ここへ赴いてしまったのも、その言葉を言い訳にするつもりだったのではないか。悦に入る下半身と相反して、脳内では雑念が渦を巻こうとしていた。

「んんっ……」

呻くような女性の声。ハッとしたユミルは抽送と思考を中断させる。

彼女が起きてしまったのかと、我に返って息を呑む。背筋にヒヤリとしたものを感じて身体を硬直させて、それから数秒。

静寂の後、プリシラは――起きなかった。

安堵を噛み締める呼吸が動悸によって乱れる中、快楽を求めて腰は勝手に動きだす。不意を突かれたせいで萎えかけた肉棒は、膣道を往復させることでたちまち熱を取り戻していく。まったりとした蜜壷の心地は何物にも代え難い、極上の悦楽。いくら罪の意識があろうとも、気持ちいいものは気持ちいいのだ。

「お姉ちゃん……お姉ちゃん……っ」

愛する人を深く想いながらそれを口ずさみ、自ら射精欲を急き立てていく。できれば長く愉しんでいたいと思っていたが、あまり悠長にしていると本当に起きてしまいかねない。今の戦慄で考えを改めたユミルは、プリシラとの結合部に視線の先を縫い付けた。自分のモノが彼女の中を出入りする様子を眺めることで、全神経を昂らせようというのだ。

試みは功を奏し、肉棒が最も大きく震えるのを感じたユミルは腰を深く沈めてから動きを止めた。

汚れないように、一番奥を目掛けての射精。

「で……出るぅ……っ」

呻きながら、全身が痺れるように蕩けた。

ぴゅく……ぴゅぅ……

女性の中で精子を垂れ流し、奥へと流し込むこの感覚が堪らない。どうしてかは分からないがこの、膣内で射精する、という行為に尋常ではない興奮を覚えるようになっていたのだ。無造作にティッシュに吐き出すくらいなら、彼女の中で出したい――そんな風に思い始めてからは自分で慰めるのも控えるようになってしまった。

身体の健康を保つために、膿を排泄するというだけの行為なのに。お姉ちゃんが身体を使わせてくれるのも、膿を溜めないようにするためだというのに。満足したいからという理由でこんな真似をするのはやはり間違っている。

明日起きたら、お姉ちゃんに謝ろう。今度はもう隠し事はしない。欲望を吐き出してから醒めた頭でユミルは固く決意した。

女の身体を使って行う贅沢な自慰行為を終え、彼は乱れた衣服を整えてから静かに踵を返す。そろりと退散し、扉に手をかけた所で――ふと、横たわるプリシラを見やる。

前々から感じていた不鮮明な違和感。

心做しか、プリシラの腹が以前よりも少し大きくなっているように見えたのは……果たして気のせいだろうか。

気にはなるが、直接それを本人に問い質す勇気は持てそうにない。女性に対して太ったかどうかを訊ねるなど、失礼極まりない行為であるのは流石に心得ている。

膣内射精が原因かと一時は考えもしたが、性交自体に害はないと本人も言っていた上、それで突然太るなどあまりに想像し難い。女性の体型を気にかけるのは野暮というものだと適当に結論づけ、ユミルの拙い頭はあっさりと思考を放棄し、改めて扉を開く。

「…………悪い子♡」

背後から聞こえたように感じたのは……きっと寝言か何かだろう。振り返ってみるだけの度胸はなく、ユミルは足早に部屋を去っていった。

こんなことをするのはもう、これっきりにしよう。その言葉を呟くことになるのはこれで最後になると、信じて。

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